ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
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創視点、音楽室──────
僕とかのん先輩は事前に理事長室へ行き、生徒会への加入を承諾する書類を貰いに行った。
「こんなにあっさり承諾して貰えるものなんですね.....」
正直もっと複雑な手続きや、なんなら選挙などがあるのかと思っていた。しかし理事長はもう入る人がいるならすぐ入ってくれと言わんばかりに書類を発行してくれた。
かのん「それだけ恋ちゃんがしてる仕事が多いってことだよね.....」
確かにそういうことになる。今生徒会には恋先輩しか所属していない。
そうこうしてるうちに音楽室の扉の前に。ピアノの音がしなくなったのを確認してかのん先輩が扉を開ける。
恋「ゲームはいけません.....」
かのん「ゲーム?」
恋先輩はへっ?と情けない声を漏らす。そうか、かのん先輩は恋先輩の家があんな風になってるって知らないのか。
恋「かのんさんに創さん!?」
かのん「驚かせちゃってごめん.....」
「今大丈夫ですか?」
恋「はい、少し休憩しようと思っていたところで.....」
その言葉を受け、僕とかのん先輩は恋先輩の方へ近づく。
恋「なにかあったのですか?もしかしてそろそろ練習.....?」
かのん「ううん、すこし話したいことあって。」
恋先輩は冷や汗を流している、恋先輩どれだけゲームのことバレたくないんだろう.....
かのん「急な話でびっくりするかもなんだけど、私に副会長やらせてほしい。」
「僕は会計でも書記でも。」
恋先輩はきょとんとした顔で僕たちの顔を見る。
恋「お二人とも生徒会に.....?」
かのん「力になりたいの、恋ちゃんがお母さんから受け継いだこの学校を、私も一緒に盛り上げていきたい。頼りない私だけど恋ちゃんを助けることが出来たらなって.....!」
「僕も父が遺したこの学校を盛り上げたい、父の生きた証を僕の手でみんなに伝えたい。」
父の遺作と言ってもいいこの結ヶ丘高校。僕はここに来て本当に良かったと心から思っている。だからこそ、僕が動かなきゃいけない、そう感じた。今までの僕から一歩を踏み出す時だって。
恋「かのんさん.....創さん......」
僕とかのん先輩は先程理事長から貰った書類を恋先輩に差し出す。
かのん「理事長の許可は貰ってきたよ!」
「あとは恋先輩さえよければ。」
恋先輩は黙って僕たち2人の書類を受け取る。
かのん「私たち先に生徒会室で準備してるから、あとで仕事教えてね。」
恋「あのっ.....!」
背中を向けて歩き出していた僕とかのん先輩は呼び止められ歩みを止める。
恋「いえ、ありがとうございます。」
.....恋先輩はまだあのことを言い出せないようだ。
かのん「うん。」
僕とかのん先輩は音楽室を出る。僕も言わなきゃいけないことがある。かのん先輩に。
廊下──────
運動部のかけ声や吹奏楽部の演奏などがオレンジ色の廊下に木霊する。
言うなら、今.....だよね。後々かのん先輩に時間をわざわざ取ってもらうのも気が引ける。
「あ、あのかのん先輩!」
少し前を歩き、窓の外の様子を眺めていたかのん先輩がゆっくりと僕の方を振り返る。
かのん「どうしたの?もしかして.....生徒会やりたくない.....?」
かのん先輩はうぁぁ無理やりだったもんなぁ.....と落胆している。
「いやそ、そうじゃなくて!」
僕はふぅ、と大きく息を吸い込む。その様子を見てかのん先輩も少し真剣な顔つきになる。
夕陽が僕らの姿を照らしている。とくとくと鼓動が早まるのを感じる。
「僕、かのん先輩のことが好きです。」
顔が湯を沸かせそうなほどに熱くなるのを感じる、しかし今更止まることはできない。今、言わなきゃ。
「僕と付き合ってください!」
僕の素直な気持ちをかのん先輩にぶつける。僕はかのん先輩の隣にいたいのだ。
腰をほぼ90度に曲げてばっと前に手を伸ばす。
少しの間だったのだろうが、僕にはこの時間がまるで無限のように感じた。そして僕の手をかのん先輩がすっと取る。
かのん「はい、よろしくお願いします!」
顔を上げるとにっと笑っているかのん先輩がいた。その目は少し潤んでいるかのように感じた。
「え……?」
状況が上手く呑み込めず、ほぼ息のように疑問符が口からこぼれ落ちる。
かのん「創くんが言ったんでしょ。付き合ってくださいって。」
あはは、とかのん先輩は困惑する僕を見て笑っている。その間も震える僕の手を優しく握ってくれていた。
「ほ、ほんとに僕で、いいんですか?」
かのん「うん、創くんがいい子なのは知ってるし……何より告白の時かっこよかったから。」
かのん先輩は僕から目を逸らし、照れ隠しなのか頬を掻いている。
かのん「改めてよろしくね、創くん。」
「はい、よろしくお願いします。かのん先輩。」
夕陽が落とした僕らの影は少しだけ重なっているように見えた。
かのん「ただ……これ、みんなに言えるかな……」
かのん先輩は生徒会室の机にうなだれ、うーんと頭を悩ませる。
「すみれ先輩と夏美が……」
かのん「うん……」
妄想すみれ『そ、そんなのっショービズ的にスキャンダルよ!!やめなさいったらやめなさい!!』
妄想夏美『この事実を拡散してわざと炎上、更なる知名度アップ……マニーですの……マニーですのぉ〜……』
絶対こういうこと言う。
生徒会室に2人のため息が溶けていく。しかも夏美にバレるのは時間の問題というのがまたネックだ。
「なんか……すみません……」
僕はしゅんとしてかのん先輩の近くで座り直す。そう言うとかのん先輩はうなだれていた姿勢をなおし僕の前で手をぶんぶんと振る。
かのん「だ、大丈夫大丈夫!!ただ……まだ言えないね……特に2人は……」
「ですね……けど実は……」
僕はかのん先輩にメイと四季と夏美は僕がかのん先輩のことを好きだということを知っている事実を伝えた。
かのん「それ私が行く前日じゃん!!夏美ちゃん……終始にやにやしてると思ったらそれかぁ……!」
かのん先輩ははぁぁ……と両手で顔を押さえる。
かのん「思えばメイちゃんも話してる時ぎこちなかったな……」
「それはいつもだと思いますけど……」
うわー恥ずかしい……と声を漏らすかのん先輩を見て僕は思わず笑みがこぼれた。
メイ視点、音楽室──────
アタシは今、猛烈な誤解を受けている。四季を初めとした何人かに恋先輩と付き合ってるんじゃないかって。かといってこの誤解を解くためには恋先輩の秘密を明かさなきゃならない。一体どうすりゃいいんだ……
何より誤解を解くために恋先輩をどうにかしなきゃならない、だとしたらやることは1つだ。
音楽室へ向かうと、音楽室の中から声がする。どうやら創とかのん先輩が生徒会に入るということらしい。その間も恋先輩は自分の悩みに対して発言することは無かった。
「いいのか?今の話全部聞いてた。」
アタシはやっぱり真っ向からぶつからなきゃ気が済まない。このままじゃ恋先輩にとってももちろんよくない。
「正直に全部話した方がいい。」
恋「ですが……」
ピアノ椅子に座り直し、何度目かのしょんぼりとする恋先輩を見る。
その恋先輩の目線の先にじゃらり、と今回の騒動の原因でもある鍵を差し出す。
「かのん先輩と創はほんとに恋先輩のこと考えているんだぞ。恋先輩の力になりたいって。」
恋「……みなさん怒らないでしょうか。」
また怒られた子犬のようにしゅんとした表情になる恋先輩。
「さぁ?もしかしたらすごい怒っちゃうかもな。こんなに心配したのに!って。」
えぇ、と更に不安そうな表情になり、どんどん恋先輩の肩が狭くなっていく。流石にからかいすぎたかとちょっと申し訳なくなる。
「でも、それでもいいと思う。」
「友達ってそういう部分を互いに知って、たまには喧嘩もして仲良くなるもんだろ。」
自分の過去を思い出しながらつらつらと言葉を述べる。
「アタシも昔四季と……」
四季と、そうやってしてたっけ。この前の四季の悲しそうな顔が蘇ってくる。……正直になるって決めたしな。
創視点、生徒会室──────
僕とかのん先輩が雑談に花を咲かせていると、メンバー全員が生徒会室に来た。どうやら僕とかのん先輩、メイと恋先輩の帰りが遅く、先に生徒会室に様子を見に来たようだ。
きな子「あれ?珍しい組み合わせっすね。」
きな子ちゃんの言葉に僕とかのん先輩はびくっと体を緊張させる。
バレたらまずい。僕たちの頭にはそれしかなかった。
かのん「そ、そ、そう!?創くんと私の組み合わせ珍しくないと思うけどな!?」
終わった。かのん先輩、絶望的に隠し事が下手である。僕はおそるおそる周りの顔色を伺うと四季と夏美は笑いをこらえ、千砂都先輩は眉をひそめていた。
「実は僕とかのん先輩生徒会に入ることにしたんだ。それで今恋先輩待ってるとこ。」
手元にあった書類をとんとんと机に当てて整えるふりをしてなんとか誤魔化す。
かのん「そ、そうそう!!だから珍しくないよ!?」
こんなに怪しくなれるのも一種の才能だろうか。ちょうどいい感じに誤魔化せたと思った瞬間にこれである。
すみれ「なんか変じゃない?かのん……」
可可「そうデス……顔もなんか赤いような……」
むむむ……とかのん先輩の顔に近づくすみれ先輩と可可先輩。もう言うしかないのかと思った矢先思わぬところからの助け舟が。
千砂都「かのんちゃん今日朝から頭痛いって言ってたよね。無理しちゃだめだよって言ったのに〜。」
千砂都先輩が横から手を伸ばしかのん先輩の額を指で優しくとん、と押す。その千砂都先輩の言葉を聞いて2人はやれ体調管理だの無理するなだのと騒いでいる。
僕のズボンのポケットの中でスマホが震える。千砂都先輩からあとでお話があります、と短くメッセージが来ていた。僕はそのまま頭を抱えるのであった。
そうこうしていると件の恋先輩が生徒会室に入ってきた。
夏美「どうしたんですの?」
恋「みなさん……」
恋先輩はまさかメンバーが集まっているなどとは思っていなく、生徒会室内の人口密度に呆気を取られているようだった。
恋「私は……あの、みなさん……お話があります。」
恋先輩のただことではなさそうな表情に周りのみんなはごく、と唾を飲んだ。
部室──────
生徒会室で話すのは……と言う恋先輩のために場所を部室へと移し、恋先輩はいわゆるお誕生日席と呼ばれる席に座り、僕らはそれを取り囲むように座った。
恋「実は……ゲームのやりすぎで作曲やその他もろもろに支障が……」
みんなはきょとんとした顔で恋先輩を見つめる。事情を知っている僕とメイは黙って話を聞いていた。
かのん「ゲーム?」
千砂都「それで……」
すみれ「寝不足?」
先輩方はまさか恋先輩がそんなにゲームにハマっているとは露知らず終始意外そうな顔をしていた。
恋「黙っていて、すみませんでした……」
うぅ、と俯きまるで汚職をした議員のようにどんな罵声も受け入れますといった姿勢だ。
しかし恋先輩に浴びせられたのは罵声ではなくみんなの楽しそうな笑い声だった。
かのん「なんだ、そうだっのかぁ。よかったぁ……」
すみれ「それならそうと早く言いなさいよ……」
可可「レンレンがそんなにゲームに夢中になってくれていたなんて。」
恋先輩は状況が呑み込めないのかあたりを見回し、え、えと戸惑っている。
かのん「恋ちゃんにもそういうところあるんだね。」
千砂都「なんだか嬉しいね。」
かのん先輩と千砂都先輩は顔を見合わせ笑っている。
きな子「ずっと遠い世界の人だと思ってたっすから。」
恋「……怒ってないのですか……?」
恋先輩はきょろきょろと周りを見回して誰も怒っていないことを不思議そうにしている。
かのん「怒って?そうだねぇ……」
かのん先輩はにやぁと口角を上げ、まるで映画の悪役かのような表情になる。
かのん「じゃ、黙ってた罰として……?」
かのん「みんなで恋ちゃんの家に遊びに行っちゃいまーす!!」
恋以外「いえーい!!」
葉月邸に向かうまで──────
千砂都「創くん、ちょっといいかな?」
みんなが前を歩く中いつの間にか千砂都先輩が僕の横に立っていた。絶対詰められる……
「は、はい……」
千砂都「かのんちゃんに告白、したんでしょ?かのんちゃんの様子から返事もだいたい分かるけど。」
僕は千砂都先輩の質問にただはい、はいと答える。
千砂都「うん、じゃあよし!堂々としなさい!」
急にばしっと背中に衝撃が走り、少し前によろけるもばっと振り返る。千砂都先輩は僕のことを笑顔で見つめている。
「へ……?な、なんか怒ってるわけじゃ……?」
千砂都「怒ってるわけないでしょ!かのんちゃんのこと悲しませたらちゃんと怒るけどね。」
千砂都先輩は拳をぎゅっと握りこちらに見せつける。
「ぜ、善処します……」
葉月邸──────
メイが鍵を預かっていた例の部屋は以前と違い大変賑やかな空気に包まれていた。珍しいゲーム機に可可先輩とすみれ先輩は大はしゃぎだ。
恋「いいのですか……?みんなでゲームなんて。」
かのん「うん!みんなと思う存分やれば、すっきりするかなって!」
四季「メイが言ってた、進めないところがあるって。」
先程葉月邸に向かうまでにどうやらメイから聞き出したようだ。
「PUNIPUNI HUNTER、でしたっけ。」
以前恋先輩が話していた内容を思い出す。
恋「はい、そのゲームなのですが、どうしても倒せないボスがいまして……」
恋先輩は大きなスクリーンにゲーム画面を映し出す。ソファに座るプレイヤーとそのそばで立って見守る観客に分かれる。
かのん「これソロプレイは苦行だって言われてるよ。」
恋「えっ、そうなのですか!?」
かのん先輩と恋先輩はそれぞれ1プレイヤー、2プレイヤーのコントローラーを持ち戦いに備えている。
可可「協力プレイで打ち倒しまショウ!可可はサポートを担当しマス!」
「お力添えさせていただきます。」
3プレイヤー、4プレイヤーのコントローラーを握るのは可可先輩と僕、2人ともゲーム経験があるとのことで選出された。
かのん「私もやったことあるから、一緒に頑張ろ!」
恋先輩は心の底から嬉しそうな表情だ。
恋「……はい!行きます!」
画面にはでかでかとクエスト開始、と表示され重々しいBGMとともに火山の噴火とも聞き違えるほどの咆哮を上げた黒竜が出現した。その体躯は僕たちが操るプレイヤーの何十倍もの大きさだった。
恋「みなさん、まずは体力を半分に削ります!」
3人「了解!」
太刀を鞘から引き抜き黒竜のもとへ駆けていく恋先輩。それを見て僕らも武器を構え恋先輩を追う。
恋「かのんさん!後ろに回って!創さんはボスの頭部を!」
「了解です!」
僕の持つ巨大なハンマーが黒竜の頭部に直撃、相当ダメージを与えたかと思ったが少しぐらりとよろけるだけですぐに攻撃姿勢へと転じ始めた。
後ろに回り込もうとしたかのん先輩に気がついたのか、大きな棘を携えた尻尾をぶんと振り回しかのん先輩を軽く打ち上げた。
かのん「任せて……!うわ……!」
可可「かのん!今行くデス!」
かのん先輩のもとへ可可先輩が駆けていく、回復薬を投げつけ危険域を意味する赤いHPバーが緑色へと変化する。
恋「い、1段階目撃破!!」
ヒットアンドアウェイを繰り返し恋先輩が敵の1本目のHPバーを削り切る。黒竜は少し苦しむ素振りを見せる。しかしその後すぐに漆黒の翼を広げ、第二形態へと変身した。
すみれ「なんかいつもの恋とちょっと違うわね。」
千砂都「こういうのもいいと思うよ。」
メイ「ありがとな、私のことほんとに気にかけてくれてたんだろ。」
四季「はっ……んん……」
観客席も盛り上がってきている……というか画面見てます?みんな。
直後黒竜は口を大きく広げ、青い火球を天に放つ。火球は空高くで弾け、青い流星となって降り注ぐ。僕とかのん先輩、可可先輩は見事に撃ち抜かれ、生き残ったのは恋先輩だけになってしまった。
恋「回復が尽きた……あと1センチ……!」
恋先輩は過去見たことないほどに目を見開き、コントローラーを高速で動かしている。
恋「あと1ミリ……はっ……!!!」
恋先輩の声とともに黒竜は巨体を地に伏せる。右上にはPUNIPUNI HUNTER 実績を解除しました という文字が。
恋「か、か、か……」
「「「「「「「「「勝ったーーー!!!」」」」」」」」」
恋先輩は思わず飛び上がり、かのん先輩を抱きしめる。黙ってみんなの喜ぶ様子を見ていたが、視界の端で四季がメイの肩に持たれかかっていた。
四季「メイ、思わせぶり……」
恋「四季さん、大丈夫ですか……?」
メイ「大丈夫、少しのぼせただけだよ。」
僕たちは外に出て談笑中だ。なぜかわからないが頬を赤らめた四季をメイがおんぶしていた。
四季「メイのせい。」
メイ「なんで私のせいなんだよ……」
メイ「じゃあな。」
「お邪魔しました。」
可可「ばいばいデースっ!」
外まで出てきてくれた恋先輩にみんなでひらひらと手を振って帰路に着いた。
創の思いが実りました。正直1度振られるか迷ったのですが、このような形で行くことにしました。
PUNIPUNI HUNTERはモンハン的なあれかなと思い、初めてプレイ動画を見ました。面白そうですね、モンハン。
ではまた次回もよろしくお願いします。