ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第12話「渡り蝶」

体育館──────

理事長「では、これより新たな生徒会の結成式を始めます。」

今日は生徒会の結成式、これまでは恋先輩が生徒会長がたった1人で仕事していたこともあって生徒会自体はあってないようなものだった。

その後僕やかのん先輩とあと一人が加入したこともあって無事生徒会として機能するようになり、今日結成式が執り行われる運びとなった。

生徒会長である恋先輩はもう壇上に立っている。

理事長「生徒会書記、桜小路きな子。」

きな子「はいっす!」

僕とかのん先輩が生徒会に加入した翌日、きな子ちゃんも生徒会に加入する決心をしたらしい。恋先輩が言うには男子生徒代表として創さん、1年生かつ普通科の代表としてきな子ちゃんを入れたかったということらしい。

理事長「続いて会計、神谷創。」

「はい。」

緊張でがちがちのきな子ちゃんの横に立つ。

理事長「生徒会副会長、澁谷かのん。」

かのん「はい!」

元気な返事ととともにかのん先輩が袖から壇上へ。この4人が結ヶ丘生徒会だ。

恋「生徒会は新たなメンバーを加え、活動を続けてまいります。来年はついに3学年が揃う大事な年、それに向けて今月はオープンキャンパスがあります。」

恋「そこでこの学校の魅力を広く伝え、ここにいる全員が誇れるような素晴らしい学校をともにつくっていきましょう!」

全校生徒の拍手とともに生徒会結成式は終了した。

 

昼休み──────

メイ「バイト?」

僕たち1年生は基本的に話す時メイと四季の席の周りに集まる。

「うん、高校生にもなったししてみようかなって。」

メイ「やってみたらいいんじゃねえか、勉強になりそうだし。」

夏美「一緒に荒稼ぎしますの……」

にや〜と嫌な笑みを浮かべ、手で銭のジェスチャーをしてくる夏美にしない、ときっぱり断りを入れる。

四季「創はお金必要だもんね。色々。」

きな子「そうなんすか?創くん。」

四季は少し口角を上げこちらを見る。きな子ちゃんは僕のことを無垢な瞳で見つめてくる。

「ま、まぁね。お金がかかるというかかかるようになるというか……」

夏美「……もう言った方がいいと思いますの。」

隠し通せないでしょ、とやれやれといった感じで首を横に振る。

メイ「なーんか隠してんのか?」

きな子「創くん言ってほしいっす……!」

メイときな子ちゃんが僕の顔にぐいぐいと迫る。

「じ、実は……」

ごにょごにょと小声でかのん先輩と付き合ったことを伝える。

きな子「えぇっ!?かのむぐむぐ……」

クラス中に響きそうなほどの大声を出しかけたきな子ちゃんの口をメイが必死に押さえる。

メイ「あっぶね……上手くいったんだな。」

きな子ちゃんの口から手を離してメイは笑顔で祝ってくれる。

きな子「えっメイちゃん知ってたんすか。」

……そういえばあの時きな子ちゃん酔ってたっけ。そりゃ驚きもするかと納得する。

四季「知らないのはきな子ちゃんだけ。私たちは北海道の時からずっと知ってる。」

夏美「きな子が酔ってる間に面白いことになってたんですの。」

きな子ちゃんは僕たちの顔をきょろきょろと見回した後ぴたりと動きが止まる。わなわなと肩を震わせながら。

きな子「みんな、酷いっす〜!!」

その後きな子ちゃんを慰めるのに残りの昼休みの時間全てを費やした。ごめんねきな子ちゃん。

 

放課後、部室──────

暗くなった部室、垂れ下がったスクリーンにはプロジェクーが照射され、遊園地や近未来、さらには森の中など様々な場所が映し出される。それら全てに共通する点はLoveLive!という文字がどこかに入っていることだ。

可可「これら全てLoveLive!のステージデス!去年使われた各校のスクールアイドルのステージなのデス!うわぁっ!?」

可可先輩の最後の悲鳴は部室が急に明るくなったことによるものだ。スイッチの傍には呆れ顔のすみれ先輩がいた。

すみれ「まーたやってるの?」

可可「勝手に点けるなデス!!」

可可先輩はぷりぷりと怒っている。

きな子「朝っすか〜……?」

むにゃむにゃと寝ぼけ眼を擦りながら起き上がるきな子ちゃん。

メイ「寝てたのかよ!!」

「四季も寝てたよ……」

1年生の約半分が寝てるのは中々問題じゃないのか……

千砂都「つまり、それだけステージが重要ってこと?」

可可「そうデス!今年は地区予選がいきなりのリモート大会。去年よりもたくさーんのグループが参加する中で目立つことが必要なの

デス!」

可可先輩は腕を後ろで組み、堂々としているがそんなに上手くいくのだろうか……?

 

本日はランニングコースを少し変え、ゴール地点を代々木公園から外苑球場へ変更した。その申し出をしたのは可可先輩。なにか考えがあるのかランニング前からくふふ、と笑っている。何を企んでいたんだろうか。

そんなことを考えているとみんながゴール地点に迫ってくる。

ゴールしてきた可可先輩がはぁはぁと息を荒らげながらもまた笑っている様子を見て少し恐怖を覚える。

「ど、どうしました、可可先輩……?」

可可「可可は用意してたんデスよ……完璧な計画を……」

んふ、んふふ、といつの日かの夏美のように怪しい笑い声を上げている。

可可「ずばり、外苑球場貸切計画!!……聞くデス!!」

メイ「すってき〜……!」

メイ以外は興味がないといった様子で各自ストレッチや休憩している。

すみれ「あんた前に1度断られてなかった?」

夏美「費用対効果も全く釣り合いませんの。」

すみれ先輩と夏美は可可先輩の無謀ともいえる提案をすぐに払い除けた。案外リアリストな2人だ。

可可「大丈夫。地元の学校デスよ。しかも優勝候補!!」

メイ「そうだよな!スクールアイドルなら試してもみずに諦めるなんて言うなー!!!」

横にいたすみれ先輩に向かって突然吠えるメイにすみれ先輩はひぃぃと怯えている。可可先輩に影響されたのか、スクールアイドル好きが共鳴してこうなってしまっているのか……厄介なことになっている。

可可「メイメイ……わかってくれマスか……?」

メイ「当たり前だろ!」

輝く太陽を背に手を組んだ2人は何かを叫びながら外苑球場の中へ消えていった。

かのん「あぁ……可可ちゃんあぁなるとダメなんだよね……」

「メイも、あぁなったらもう止められません……」

はぁ……と全員で溜息をつき2人の帰りを待つことになった。

 

可可「ダメ……デシたぁ……」

メイ「すっげぇ怒られた……」

すみれ「当たり前でしょうが!」

おか……すみれ先輩に怒られ2人はしゅんとしている。さっきまでの元気は一体なんだったんだ。

かのん「でも、そうなるとどこがいいのかな……」

夏美「ここは無駄にマネーを使うより、効果的な作戦を考えるべきですの〜……」

待ってましたと言わんばかりに夏美は腕を組んでいる。

千砂都「効果的?」

恋「何かあるんですか?」

ふふふ、と笑い考えがあるのか夏美はそのまま話し出した。

夏美「よ〜く考えるんですの。勝者は視聴者の人気投票で決まる、つまり視聴者の興味をいかに引くかが重要ですの。」

きな子「それはわかってるっす……」

四季「問題はその方法。」

まるで答えになっていない夏美の言葉にきな子ちゃんと四季が反論する。

夏美「簡単ですの。例えばLiella!に投票してくれた人全員にここにいるメンバーの秘蔵写真を配布……そして更にマニーを追加してくれた人にはなんと……」

すみれ「無理。」

おかん、すみれ先輩にチョップをくらい、夏美はまだ何かは言ってないですの、と不満げな表情を浮かべる。

千砂都「とにかく、みんなで考えて見つけるしかないよ。Liella!と結ヶ丘、そして私たちのことがちゃんと伝わるシンボルになるような場所。」

「シンボル……」

他の学校もこんな風に躍起になっているのだろうか。

……あの子も勝ち進んでくるんだろうか。名前は……確か……

ウィーン・マルガレーテ。

 

生徒会室──────

かのん「うーん……はっきりしないよねぇ……」

ペンを顎に当ててうーんと考え込むかのん先輩。

きな子「結ヶ丘のシンボルっすか?」

恋「そうですね……雪国なら雪、海に近い学校なら海、とそれぞれシンボルは定めやすいと思います。」

きな子「結ヶ丘の周りにも有名なものいっぱいあるっすよ!大きな通りに、お店に……」

きな子ちゃんは整理した書類を置き、指を立てながらあとは……と考え込んでいる、しかし……

かのん「それが結ヶ丘を表しているかっていうと……」

「有名すぎて結ヶ丘を表しているかと言われると、少し微妙な気もしますね。」

僕は机の上に分厚いファイルを何個もどさりと置いた。

かのん「これは?」

「オープンキャンパスの各部活の企画案です。皆さん結ヶ丘を盛り上げたいという一心で様々な企画案を出してくれてます。」

恋先輩は嬉しそうにファイルを眺めている。

きな子「スクールアイドル部はオープンキャンパスどうするんすか?」

かのん「う……すっかり忘れてた……」

LoveLive!予選のことに集中してオープンキャンパスのことを全く考えていなかった。

恋「やっぱりライブ……と言いたいところですが……」

恋「私は地区予選に集中するべきだと思います。」

恋先輩の口から意外な一言が飛び出した。

「どうしてですか……?」

恋「はい。Liella!、スクールアイドル部は今結ヶ丘を代表する部活動になりつつあります。」

恋「だからこそ、オープンキャンパスでもライブをしてしまうと他の部の注目を奪ってしまうのではないか……とも思うんです。」

恋先輩は神妙な面持ちで話す。オープンキャンパスはあくまで学校紹介の場所……そこでLiella!が目立ちすぎるのも違う気がする。

「そうですね、今回はLoveLive!予選に集中するという方針で問題ないと思います。」

僕の言葉にかのん先輩ときな子ちゃんも頷く。

恋「みなさん……ありがとうございます!」

 

オープンキャンパス当日──────

各部活や同好会は朝早くから準備をして、無事開場時間にオープンキャンパスが始まった。生徒会に入らなければ結ヶ丘にこんなに部活があったなんて知らなかった。みんなそれぞれの夢や目標に向かって頑張っているのだと思うと嬉しくなる。

かのん「賑わってるね。」

「ですね。みなさん笑顔が素敵で……ほんとにいい学校だと思います。」

かのん先輩は僕の顔を見てふふっと笑い、さ、仕事仕事!とひとつ伸びをして少し遠くにいる恋先輩ときな子ちゃんに合流する。

恋「全員揃いましたね。ではきな子さんは音楽科の演劇のお手伝いをお願いします。」

きな子「わかったっす!」

ぐっ、とガッツポーズをして音楽科校舎の方へきな子ちゃんは走っていく。生徒会の腕章がよく似合っている。

恋「創さんは各部活、各同好会に足りないものや相談事があるかどうか聞いてきてもらえますか?」

「はい!任せてください!」

僕もきな子ちゃんと同じくガッツポーズをしてまず校門の方に集まっている同好会の元へ向かった。

 

「えっと……次は、昭和コミック同好会……と。」

同好会の方は特に問題はなさそうかな、あとひとつ残ってるのを聞いて次は部活の方に聞きに行かなきゃ……とこれからの動向を考えていると。

???「ねぇ。あなたLiella!のマネージャーでしょ。」

ぞくっ、と背筋が冷えるのを感じた。そこには過去Liella!をイベントで負かした少女、ウィーン・マルガレーテが立っていた。

僕の存在はLiella!のSNSにも仄めかしたことはないし、過去イベントなどで控え室に入ったことも無い。知っているのは結ヶ丘の生徒のみだ。なぜ知っているんだ……?

「……何を言っているのか、こちら校内地図です。どうぞ。」

と穏便に済ませようとチラシを笑顔で手渡すと、僕のその仕草が気に入らなかったのか僕の手をぱちんと跳ね除ける。

マルガレーテ「興味無い。こんな学校に、私が入学するわけないでしょ。」

「こんな学校……?」

結ヶ丘には夢を持った人達が通っている。恋先輩のお母さんや僕の父、そんな色々な人たちの思いを結んで、繋いでいるこの学校を。そんな風に吐き捨てる目の前の少女に僕は苛立ちを覚えた。

マルガレーテ「私はもっと上に行く。才能を証明して、羽ばたかなきゃいけないの。」

「そんな人がここになんの用?」

僕はできるだけ冷静を演出し、この子がここに来た理由を聞き出そうとする。

マルガレーテ「あぁ……敵情視察って言うのかしら?まぁ……敵になるとしたら澁谷かのん1人だけだろうけど。」

はんっ、とこちらを見下すように笑う態度に冷静さを失いそうになる。しかし今かのん先輩の名前が出た。どうやらかのん先輩に興味を示しているようだ。

「かのん先輩?」

マルガレーテ「えぇ。Liella!の中で才能があるのはあの子だけね。」

「才能なんて言葉で片付けないで、あの人たちは夢に向かって努力してるんだ。」

僕は思わず言い返してしまう。そうすると目の前の少女はきっ、と僕を睨みつけて言い放つ。

マルガレーテ「ならあなたはなんなの?Liella!なのか、Liella!じゃないのか。」

マルガレーテ「踊りもしない、歌いもしない、ステージにも立たない。あなたは一体何のためにいるの?」

「そ、そんなの!!……そんなの……」

僕は、みんなのために、Liella!のために……

何が出来る……?

僕は、何のために、ここにいるんだ?

マルガレーテ「図星ね……ま、精々考えるといいわ。」

紫の髪をなびかせながらくるりと踵を返し、校門から出ていくマルガレーテを僕は追うどころか、返事をすることすらできなかった。

Liella!に僕は……必要なんだろうか……

僕は1人立ち尽くすことしかできなかった。




読んでいただきありがとうございます。
マルガレーテが初めて喋りました。かなり語気が強いセリフですが事実でもあります。この言葉を受けて創はどうするのでしょうか。
ぜひ次回も読んでいただけたら幸いです。
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