ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第17話「大好き」

校門前──────

千砂都「こんな時にごめんね……明日は予定通り、朝から練習するから。」

頭を下げる千砂都先輩の横には申しわけなさそうな表情を浮かべている恋先輩がいる。……可可先輩とかのんさんの表情は読み取れない。

きな子「ほんとうに、大丈夫っすか……?」

心配になるのも無理はない。こうしてLiella!で揉めたことは今まで1度もなかったのだから。

恋「はい。私たちで話しておきますから。皆さんは今まで通り、次のステージに立つ準備をしておいて下さい。」

 

僕たち5人は夕暮れ時の原宿を並んで歩く。いつもはみんなで笑いあって歩く道も今日は小さい物音が聞こえるほどに静かだ。

メイ「で、どーすんだよ。」

はぁ、とため息の後にメイが口を開く。

夏美「言われた通りにするしかないんですの。」

「そう、だね……僕たちが話に割って入る訳にも……いかなそうだし……」

かのん『ねぇ答えてッ!!』

未だかつて見たことがないほどの剣幕を帯びたかのんさんを思い出し、うーんと唸る。

きな子「先輩たちがすみれ先輩説得するっす。」

その言葉の直後、メイがぴたり、と歩みを止める。

メイ「それでいいのかな。」

四季「メイ……」

メイ「アタシたちのことを思って千砂都先輩たちはああやって言ってるけど、本当はすみれ先輩と同じぐらい勝ちたいって……」

言い終えた後にぐっ、と拳を握る。

「学校の生徒だって期待してるし、それに応えなきゃいけない……」

四季「一年、この時のために頑張ってきた。」

両肩にかかる鞄の紐をぎゅっと握り、きな子ちゃんが口を開く。

きな子「メイちゃんは、どう思ってるんすか……?」

メイ「アタシは……多分きな子たちと同じだよ。」

にっと微笑んだメイの顔はどこか吹っ切れたような、そんな風に見えた。

 

可可視点──────

憂いを帯びた5人の背中を見て、ずきりと心が痛む。かつて1曲踊りきることすらできなかった自分に、もしすみれから大会に出るななんて言われたらそれこそ立ち直ることなんてできないだろう。

千砂都「さて、と。とりあえず私が1人ですみれちゃんの話に聞いてきた方がいいよね。」

先程手をあげてしまったかのんをすみれの所に行かせるわけにもいかず、恐らく自分でも適任であると思った千砂都が提案する。

かのん「ちぃちゃん……」

千砂都「かのんちゃんの気持ちはわかるよ。」

恋「多分全員かのんさんに賛成だと思います。」

Liella!全員で勝たなきゃ意味が無い。その言葉に間違いはない。ただし、勝てるかどうか、すみれの言うことだって間違いな訳では無い。

千砂都「ただ……すみれちゃんにはすみれちゃんの事情も……」

かのん「ごめん……大きな声出して……それに、すみれちゃんのこと……」

かのんは視線を自らの手に落とし、じっと見つめている。

千砂都「大丈夫!かのんちゃんが本気だって、全員のこと大切に思ってくれてるんだってわかったから!」

千砂都はかのんの手をぎゅっと握っている。

……このままだと、千砂都がすみれのところに行ってしまう。

すみれ『…………なんもわかってないわよ、あんたも、可可も……』

ずき、ずき、と再び心が痛む。私の秘密を知っているただひとりの親友。うざいけど、頼りになって、やかましいけど、優しくて……大好きな親友。

可可「可可に行かせてくれませんか、すみれのところに。」

わかってないのはすみれです。それだけ、伝えたい。このまますれ違うなんて、嫌だから。

 

創視点、すみれの神社──────

メイ「勝つためだ、先輩たち5人に任せよう」

そう言うメイの言葉に反論するものは誰一人いなかった。

「とにかく、それをすみれ先輩に伝えないとね。多分、僕らのこと気にしてるだろうし。」

頷くみんなの顔を一瞥し、神社の境内へと入るため階段を上る。

しかし視線の先には巫女服に身を包んだすみれ先輩。

その前に立っているのは他でもない可可先輩だった。

夏美「可可先輩ですの。」

四季「とりあえず、一旦待とう。」

僕らは木の影に隠れ様子を伺うことにした。

 

すみれ視点、神社──────

可可「なんであんなこと言ったデスか?」

背後から聞きなれた声がする。そこには可可が立っていた。

「なんで、ってなによ。思ったこと言っただけよ。」

可可「嘘ついてる時の癖デス。すぐ目線逸らして逃げようとして。」

自分にそんな癖があったなんて知らず、急いで視線を可可へ向ける。

可可「やっとこっち見たデスか。ちなみにそんな癖、グソクムシにはないデス。」

「あ、あんた……ハメたわね……」

可可は無言ですたすたとこちらに近づいてくる。

可可「大切なのは全員で歌うことデス。みんなで最高のステージにすることなんデス!……本当はわかってマスよね?」

そんなことわかってるったらわかってる。私が1番わかってるわよ。ただ、それで負けたらあんたが……

「でも、でもっ……!」

目の前の可可は私の顔を見て一瞬驚いたような顔をして、一転して優しい顔になる。

可可「可可は構わないって言ってるのに、どうして余計なことばっかりするのデスか?勝手に苦しんでるんデスか……?」

そんなの、決まってるでしょ……

「嫌なの……」

可可「え……?」

「あんたと一緒にいたいのよ……3年間一緒に、スクールアイドルやり切りたいの……!」

私は、あんたが好き。だから、上海に帰ってほしくない。たとえあんた以外に嫌われても、あんたに嫌われても、あんたにスクールアイドル続けてほしいのよ……なんでわかってくれないのっ……!

「可可の馬鹿ッ!」

可可「すみれっ……」

私は箒を投げ捨て、自室へと駆け出す。せめて、感謝だけでも伝えたい。今の私、平安名すみれになれたきっかけ、可可が私のために作ってくれたティアラ。大事に抱えて再度可可の前に飛び出す。

可可「これは……」

「私はこれで救われたの、だからお礼がしたいの。私の力で……あんたに最後までスクールアイドル続けさせたいの……」

ぼろぼろと涙が零れる。止めようと思っても止めることが出来ず、垂れた涙は少し腫れた左頬を冷ます。

「上海に絶対帰らせたくないの……あんた、帰っちゃうんでしょ!?結果残せなきゃ、帰っちゃうんでしょ!?」

「お願い、いなくならないで……可可、そばにいてよ……あんたがいないと、私は……」

嗚咽混じりの声が口から零れ落ちる。足元の石の色が次々に変わっていく。

可可「ほんと、馬鹿デスね……」

屈んだ可可は私の涙を指で拭う。

可可「すみれは、本当に余計なことばかりするのデスね……可可の嫌がることばかり……」

「可可……」

涙でぼやけていた視界が段々と晴れていき、目の前の可可の顔をやっとこさ捉える。可可の目は涙で濡れていた。

可可「可可が決めたことに反対ばっかりして、可可の言うことにいつもいつも口を挟んできて……」

「うるさいっ!うるさいうるさいうるさっ……!」

それも全部、あんたが、あんたのことがっ……!

可可「ほんと大嫌いです……

大嫌いで、大好きデス。」

大嫌いで、大好きなのよ。

 

創視点、翌日──────

千砂都「はい!できたよー!」

屋上に入ってくるなり、手を高く上げている千砂都先輩。その手には数枚の紙が握られている。

きな子「なんすか?」

メイとペアを組んでストレッチ中のきな子ちゃんが千砂都先輩に尋ねる。

千砂都「9人で出る、東京大会に向けての練習メニューだよ!」

それぞれが千砂都先輩から練習メニューを受け取る。目をひん剥いて夏美が練習メニューに釘付けになる。

夏美「んげぇ!?こんなに……」

四季も夏美が持っている紙を見ておぉ……と短く唸り声を上げる。

すみれ「できるの?体力のない泣き虫のくせに。」

可可「そっくり返します。泣き虫グソクムシ!」

むむむっ、と睨み合った可可先輩とすみれ先輩はふふっと笑いあっている。

先日の一件から二人の関係性がどこか変わったような……はたまた何も変わっていないような……不思議な感覚だ。

かのん「それじゃ、練習頑張ろー!」

9人「おー!!」

また1つ困難を乗り越えたLiella!はさらに強くなった。

見てなよ、マルガレーテ。

絶対夢中にさせてあげるから。

 

マルガレーテ視点──────

「で、どうすんの、本選の曲は。」

??「いいもんが思いつかないんだよ。仕方ないだろ。」

ぎしっ、ぎしっ、と社長イスの背もたれから音を立てながら、ラムネをボリボリと音を立てて食べている。

「私が勝つ手伝いをするって言ったのはあんたでしょうが。Liella!を負かすためにならなんでもするって。」

??「俺が興味あるのはLiella!じゃない、──だけ。」

「誰って言った?はっきり言いなさいよ。」

こいつ、ぼそぼそ喋るとこだけ気に食わないわ。才能に関しては全く文句ないけど。

??「そこはマルガレーテには関係ない。俺らの関係は所詮ビジネス。それ以上でもそれ以下でもない。」

それはそうだけど……なんかこいつに言われると腹立つわね……

「ま、それもそうね。深入りはしないわ。」

「じゃ、練習してくるから。曲出来たら言いなさい。」

??「はいはい。早めに作りますよっと。」

……東京本選。ここで勝って、Liella!よりも、澁谷かのんよりも上って証明してみせるんだから。

「私もお姉様みたいに……」

才能があるものしか生きていけないあの家に、今私の居場所はない。

だったら創るまでよ、見てなさい、父さん。

「私はウィーン・マルガレーテよ……!」




創だけにするつもりだったんですが……より良いものにするためにもう1キャラ追加させていただきます……
0話の部分は編集しておきます。
次回もよろしくお願いします。
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