ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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いつも読んでいただきありがとうございます。
前話で新しいオリキャラを登場させる運びとなったことを後書きの方に書かせていただいたのですが重ねてこちらの方でご報告させていただきます。
よろしくお願いします。


第18話「dekkaidow、再び」

創視点──────

僕たちはひょんなことから北海道の大地へと降り立つことになった。

今は撮れ高、撮れ高、と呪文のように呟きながら雪原へ旅立って行った夏美の捜索中である。

「夏美!どこー!」

メイ「夏美〜!……あっ。」

僕と夏美の目の前には奇抜な色をした雪像が……じゃなくて夏美が固まったまま動けなくなっていた。

メイ「自撮りしたまま……」

「固まってる……」

夏美はブルブルと小刻みに震えながら真っ青になった唇を動かす。

夏美「寒い……コーヒー……」

「はいはい、はやく戻ろうね。」

遠くからきな子ちゃんと千砂都先輩の声が聞こえる。

きな子「あんまり離れると迷子になるっすよ〜。」

千砂都「はやく戻って〜!」

呼ぶ声の方に僕とメイは夏美を抱えて向かおうとするが腕の中にいた死にかけの夏美が突如じたばたと動き始めた。

夏美「このままでは撮れ高が〜!」

 

暴れる夏美をガン無視してペンションへと連れ戻す。中は暖房がきいていて北海道とは思えないほどに快適な室温だ。

夏美「うぅ〜……」

毛布にくるまりながら真っ青な顔で鼻水を垂らす夏美を見て僕とメイは同時に深いため息をつく。

メイ「あんまり無茶すんなよ……」

「ほんとに……いきなり駆け出した時はどうなることかと……」

毛布の塊がもぞもぞと動き反論を始める。

夏美「折角の北海道ですのよ、日々新しい動画を出し続けることがいかに重要か〜……」

すみれ「はいはい、そこまで。」

あたたかいコーヒーを持ってきたすみれ先輩がまるで口止め料のように夏美に手渡す。

「それにしても、すごい吹雪ですね……」

恋「晴れていれば素敵な景色なのでしょうね、晴れていれば……」

文字通りの苦笑いをしている恋先輩。

かのん「明日はすっかり晴れるみたいだよ、そしたらたくさん練習できるね〜!」

今回のことの元凶であるかのん先輩が口を開く。なぜ元凶なのかと言うと……

千砂都「かのんちゃんのバカ!かのんちゃんが、あの時……」

ことは1週間ほど前に遡る。

 

部室──────

千砂都「冬休みに強化合宿したいと思います!ぜひみんなの

意見を!」

可可先輩が勢いよく手を挙げる。

可可「ここはぜひ私の故郷、上海に!」

すみれ「そんな時間ないでしょ。」

とすみれ先輩にばっさり切られてしまいうぅ……と黙り込む。

メイ「京都!」

四季「行きたいだけ……」

旅行しに行くわけでは……いや多少は入ってるだろうけどあくまで合宿という名目での旅行であり、観光気分で行ける場所ははばかられる。

恋「渋谷区内でも合宿できる施設はあるみたいです。」

夏美「都内じゃ代わり映えしませんの……」

かのん「困ったなぁ……」

どこへ行くかの会議はどうどう巡りでゆうに30分を経過していた。

きな子「あるっすよ。」

きな子「かのん先輩も来てくれた、きな子のペンション。お母さんがいつでも来てって。」

あ。

かのん「本当に!?」

僕の目の前で2年生の先輩たちが立ち上がる。まずいぞこれは。

すみれ「説明してもらえる?私、きな子のおうち行ったことないんだけど。」

かのん「うぐぇ……」

ずい、ずい、と可可先輩、恋先輩がかのんさんに詰め寄る。

可可「1人、内緒で行ったのデスか……?」

恋「無連絡……」

かのんさんはいやそうじゃなくて!と必死に否定しているが数的不利すぎる。

すると今まで黙っていた千砂都先輩が遂に口を開く。

千砂都「ふぅん……そうだったんだ……」

かのん「ち、ちぃちゃん!?ち、ちち違うのっ!前にお父さんが忘れ物して届けに行った時、ひぃっ!?」

必死に弁解しようと千砂都先輩の背中に語りかけるかのんさんの前で千砂都先輩が思いっきり立ち上がる。それに合わせ情けない悲鳴をあげるかのんさん。

千砂都「一言言ってくれなかったのが、ショック。」

かのん「ごめんなさい〜!!きな子ちゃん助けて〜っ!!」

逃げられないように2年生に囲まれたかのんさんがきな子ちゃんに助けを求める中、きな子ちゃんはホワイトボードに行先、北海道と記していた。

 

ということがあり、今に至る。ちなみにこの一件からかのんさんは千砂都先輩に対してずっと低姿勢である。

かのん「でも、こうやってひとつの場所に籠ると集中できそうだし、1年生とももっと距離を縮めたいなと思ってたから!」

四季「一体感。」

ドアの外から四季ときな子ちゃんがひょっこりと姿を現す。

メイ「それはわかるけど……」

きな子「それだけで先輩達に追いつけるとは……」

夏美「ですの!」

まぁ実際問題それはそうである。同じ練習メニューをこなしているはずなのに実力が段違いなのには何か秘訣があるはずだと、先日1年生で会話している時に結論が出た。

かのん「だから……数人でチームに別れて練習します!」

 

マルガレーテ視点──────

??「マルガレーテ、曲。聞いてみて。」

休憩中に練習室に入ってきた人物にはい、とヘッドホンを手渡される。

「やっとできたの?今朝本選インタビューあるって連絡来たわよ?」

??「悪かったって。勝つために色々考えてたら時間かかっちゃってな。」

顔の前ですまん、と手を縦に立てるジェスチャーをするこの男の名前は八掛 成生(やつがけ なるせ)。私の代々木スクールアイドルフェスティバルでのステージを見て、俺の曲を歌って欲しいと連絡してきた。

成生「とにかく、俺はLiella!に勝てればそれでいい。マルガレーテと目的は同じだ。」

「私の目的は才能の証明!一緒にしないでくれる?」

ま、そういうことにしておくよ、とへらへらと笑っている。あいつ……神谷 創とはまた別ベクトルで気に食わないわね。掴みどころがないというかなんというか……

「で?なんであんたはそんなにLiella!に勝ちたいのよ。」

そういえば今まで聞いたこと無かった。ただLiella!に勝ちたい、勝つためには君の力が必要だと言われただけ。ただ本選に進む以上、素性の分からない人間と組む訳にもいかない。

成生「え?あ〜……嵐 千砂都。昔一緒のダンススクール通っててさ。」

「へぇ、でなんでそこまで執着してるのよ。」

執着ってお前なぁ……とやれやれと呆れながらも話し始める。

成生「俺はもう”これ”のせいで踊れない。だから知ってる中で1番の実力を持ってる千砂都に夢を押し付けたいだけだよ。」

これ、と言ってズボンの裾をがばっと捲り、指でとんとんと自分の右膝を示す。そこには縫ったような傷跡が見えた。

「あんたも中々歪んでるわね。」

ズボンの裾を元に戻しながら成生は話し始める。

成生「どうとでも言え。俺はマルガレーテが勝って、千砂都に存在を示せればなんでもいい。」

はい、と持っていたヘッドホンを成生に返す。

成生「あんだけ早くしろって言ったのに聞かないのかよ。」

「あんたが真剣なのかどうか覚悟を見たかっただけよ。あんたの曲自体に文句はないし。」

そ、と受け取ったヘッドホンを首にひっかけ成生は練習室を後にする。

成生「あ。」

「何よ、まだ何かあるの?」

成生「インタビュー、楽しみにしてる。」

それじゃ、とそれだけ言い残してどこかへ消える成生をやはり気に食わない、と閉じたままのドアを数秒睨みつける。

「……あいつも私も訳あり品ってことね。」

 

創視点──────

翌日のグループ練習に控え、今日は英気を養おうということで練習はお休み。きな子ちゃんのペンションの中で1日過ごすことになった。

きな子母「あら〜創くん久しぶりね。いらっしゃい。」

「あ、きな子ちゃんのお母さん、お久しぶりです。すみません大人数で押しかけちゃって。」

トイレからみんなのいる部屋に戻る時にばったりきな子ちゃんのお母さんに遭遇した。

「あの……1つ聞きたいことがあるんですけど……」

「僕ってどこに寝ればいいですかね……?」

先程の部屋に一応寝床を確保すれば寝ることは出来るが、大人気スクールアイドル9人と同部屋で寝るのは気が引ける。

それを聞いたきな子ちゃんのお母さんはにこにことした表情のまま。

きな子母「あら、その部屋で寝ていいわよ?みんな、創くんのこと大好きみたいだしね。」

青春っていいわね〜、とすすす、と関係者用の部屋へ入っていくきな子ちゃんのお母さんを追いかけることは出来ず僕は途方に暮れていた。

「さすがに一緒に寝る訳には……」

 

かのん「別にいいんじゃない?」

返ってきたのは意外な言葉だった。

「い、いや!いやいやいや!ダメですって!」

きな子「別にきな子は気にしないっすけど……」

きな子ちゃんから華麗なアシストまで入ってしまった……この構図はまずい……9対1だ……

四季「創は何もしないってわかってる。」

メイ「まぁ、な……創だし。」

夏美「何かをする度胸なんてないですの。」

四季とメイはまだしも夏美の返答には少し腹立つが……まぁ信用されているってことでいいのだろうか。

千砂都「みんなで距離縮めようって時に創くん1人別部屋なのは変だしね。」

恋「はい!みんなで仲良く、ですから!」

そう言って貰えるとすごくありがたい。一人部屋になっても仕方ないとは思っていたがどうしても寂しい気持ちはある。

可可「もしかしてかのんと2人っきりがよかったデスか〜?」

すみれ「そうは問屋が卸さないわよ〜?」

かのん「可可ちゃん!すみれちゃん!」

「僕なんも言ってませんよ!?」

ペンションの中にあはは、と笑い声が木霊する。

 

今日は大人数だから五右衛門風呂じゃなくて普通の浴場使いなさい、ときな子ちゃんのお母さんのお言葉に甘え、僕たちは備え付けの浴場を利用させてもらうことになった。

お風呂から上がって部屋に戻ってくると千砂都先輩が一足先に部屋に戻ってきており、僕に気づくとスマホから目線を僕に写しひらひらと手を振る。

千砂都「早いねぇ、さすが男の子。」

「なんですか、それ。おじさんみたいですよ。」

あはは、と笑い合いながら僕は千砂都先輩の横に座る。

スマホで見ていたものはLiella!最大のライバル、ウィーン・マルガレーテの東京予選でのステージ映像だった。

「……すごいですね、マルガレーテ。」

千砂都「うん。正直勝てるかどうかわかんない。」

ま、私たちが勝つけどね!とぐっ、とガッツポーズをする千砂都先輩。

千砂都「…………。」

「……千砂都先輩、なんか悩み事ありますか?その、僕ら1年生のこと以外にも。」

僕の顔を見て驚いた表情のまま固まる千砂都先輩。数秒そのままだったがふっ、といつもの顔に戻る。

千砂都「すごいねぇ創くん!私あんま顔に出ないって言われるのになー。」

「ってことは何かあるんですね。」

「僕にできることなら、何かさせてください。」

あはは、と陽気に振舞っている千砂都先輩は僕の顔を見て、真剣な顔つきになる。

千砂都「ありがと、うーん……まだ憶測の域を出ないんだけどさ。」

千砂都「このマルガレーテちゃんの曲つくってる人、知り合いかも。」

「え?」

マルガレーテのステージ映像を少し下にスクロールする。そこには曲名と作曲者名が刻まれていた。

「八掛……せいせい……?」

千砂都「私の知り合いだったらなるせかも。」

千砂都「八掛 成生。」

どこか寂しそうな顔で千砂都先輩は呟く。

千砂都「ダンス……やっぱできてないよね……」




今回も読んでいただきありがとうございます。
成生は創とは性格も考え方も才能も全く違うキャラとなっています。
そして前話から1話の文字数を少し減らして4000文字前後にしています。
まだ試し段階ですが今がいい、前の方がいい、このぐらいがいいなどあれば感想の方に書いていただけると参考になります。よろしくお願いします。
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