ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
入学式前日、僕、メイ、四季3人のグループチャットにて
メイ「持ち物、確認したか?」
「うん、対してなかったけど」
四季「(頷くスタンプ)」
メイ「お前ら……」
メイ「Liella!のゲリラライブがあるかもしれないからペンライト買ってこい!!!」
「え、えぇ……」
四季「私は、買ってある。」
メイ「創!早く!」
「はいはい……」
ふっと暗くなった画面に僕の顔が写る。
「行かないと……なにされるかわかんないしな……」
とぼとぼと見慣れた東京の街を眺めながらペンライトが売っていそうな某ペンギンの店を目指して歩いていると
???「ここは一体、どこっすかぁ〜っ!!!」
と女の子の声が聞こえた。
「なんだ……?一体……」
聞こえた方に駆けていくと黄色いキャリーケースをひいている結ヶ丘の制服を着た女の子がいた。
「もしかして……迷ってる……?」
ペースを落とさず女の子に駆け寄る。
「その制服、結ヶ丘だよね?」
と横から声をかけるとびくっ!と体を跳ねさせる。
???「はひぃっ!?そうっす!!許してください!これ、これでっ!」
カツアゲされると思ったのだろうか、腰を90度曲げ、北海道土産らしきものが僕の体にコツンと当たる。
「ごめんごめん、いきなり声かけて。カツアゲじゃないから。」
???「ふぇ……?ど、どなたっすか……?」
北海道出身なのだろうか、白く透けるような肌に深い草原を思わせる緑の瞳が印象的な子はこちらを見てきょとんとしている。
「僕も明日からその学校の生徒なんだ。迷ってるなら学校まで案内しようか?」
そう言うと目を輝かせて口を開く。
???「えぇっ!?いいんすかっ!?ぜひよろしく頼むっす!!」
「うん。僕は神谷 創、君は?」
きな子「桜小路きな子って言うっす。創くん、よろしくっす!」
「よろしく、桜小路さん。」
きな子「苗字じゃなくてきな子でいいっすよ。」
「わかった、きな子ちゃん。それじゃ行こっか。」
僕ときな子ちゃんはそれぞれ趣味なんかの話をしながら結ヶ丘高校へと向かった。
「ほら、着いたよ。ここが結ヶ丘高校。」
きな子「ほんとっす!パンフレット通りっす!」
胸ポケットからパンフレットを取り出し、パンフレットと校舎を交互に見てう〜んと感動したように身をよじらせる。
メイ「んふ、んふ、んふふふふ……あの屋上にLiella!がぁ〜……」
どこからともなく聞きなれた声が聞こえる。
きな子「りえら?」
はぁとため息をついて木に隠れている旧クラスメイトに声をかける。
「メーイ、なにやってんの?」
メイ「んげっ……てなんだ創かよ。ペンライト買ったか!?」
「まだ。迷ってたみたいだから道案内してたんだよ。」
きな子「ど、どうもっす……へへ……」
メイはすっと僕の背中に半分身を隠して
メイ「知り合いか?」
「まさか、さっき出会ったばっかりだよ。」
きな子ちゃんは校門の前でおろおろしだした。
きな子「きな子、邪魔っすか!?アベックの邪魔してるっすか!?」
僕とメイは全く同じ動作で「そんなんじゃないからっ!!」と必死に否定する。
「何より着けてよかったよ。きな子ちゃんここからは大丈夫?」
きな子「は、はいっ!創くんありがとうっす!」
僕はひらひらと手を振ってきな子ちゃんと別れる。
メイ「早速1人たらしこむなんてやるじゃねえか、創。」
「そんなんじゃないって、最初カツアゲだと思われたんだから。」
カツアゲ……?とメイは僕の全身を小さい首の動きで観察する。
「……背丈は関係ないでしょ。」
メイ「はは、悪い悪い。」
ケラケラと笑うメイをじっと見る。
「メイに言われてペンライト買うんだから着いてきてよ。」
メイ「いいけど……長くなるぜ?」
「はは……できるだけ手短に。」
2人で店へと向かう道をだらだらと歩く。こんな日がまた過ごせると思うと足取りが軽くなる。
入学式当日──────
「おはよう2人とも。制服、似合ってる。」
校門で待っていてくれた2人に合流する。メイは少し着崩して、四季はしっかりと規則通りに制服を着こなしている。
メイ「創も似合ってるよ。じゃ、行くか。」
横目に音楽科の校舎を見る。見たことのないものなのにどこか懐かしいような不思議な気持ちが込み上げた。
??「にゃは〜、オ〜ニナッツゥ〜!みんなの心のオニサプリ!鬼塚夏美ですの〜!!」
……早速奇抜な人見つけちゃった、Ltuberの人かな。
ってきな子ちゃん!?そんなとこいたら写りこんじゃうって!
なんか貰ってるけど、なんだろう。変なものじゃないといいけど。
教室に入ると座席表が黒板に貼られていて、みんなそれぞれ自分の席に座っていく。四季とメイは隣同士……なんか早速メイがぶつぶつ言ってるけど、どうせ中学と変わんねー、とか言ってるんだろうなと適当に流して自分の席を探す。
あった。窓際……で前はきな子ちゃんだ。知ってる人で助かった。
少し経ってきな子ちゃんも同様に座席表を確認する。席に向かう時に僕が目に入ったようで嬉しそうに手を振ってこっちに来る。
きな子「創くん!後ろの席が創くんなんてすっごい偶然っすね!」
「だね。これからよろしくね、きな子ちゃん。」
先生「全員来たかな〜?荷物を置いたら廊下に集合、入学式行くよ〜。」
先生からアナウンスが入る。これがあるときゅっと身が引き締まる感じがして僕は結構好き。
「それじゃ、行こうか。」
きな子「はいっす!」
その後行われた入学式では生徒会長、葉月恋さんの挨拶の後におばさん……学校では理事長の挨拶があった。先生の紹介などがささっと終わり、この後は部活見学の時間になるとのことだった。
お手洗いに寄った僕は少し遅れて教室へと戻った。
視線の先でメイときな子ちゃんが同じポスターを見ていた。
メイ「スクール……!」
きな子「アイドル……」
メイ「どわぁっ!?!」
「うわぁっ!?」
驚いたメイにさらに驚く形になって変な声が2つ廊下に響くことになった。
きな子「驚かせてすまないっす……」
「あはは、大丈夫大丈夫。メイもなんともないよね?」
メイ「あぁ、特には。」
きな子ちゃんはよかったっす、とはにかんだ。
きな子「これってかのん先輩がやってる部活っすよね!」
メイ「澁谷さんと知り合いなのか!?」
メイが食い気味に質問を返す。澁谷さんは僕たちがいた外苑西中学校の先輩であり、メイが大ファンである結ヶ丘高校のスクールアイドルグループ、Liella!のリーダーでもある。
きな子「はい!家まで送ってくれて、スクールアイドル部にも誘ってくれたっす。」
メイ「スクールアイドル部に誘われたぁ〜!?」
「すごいね、きな子ちゃん。もしかして昨日僕たちと別れたあと?」
メイの大きな声で周りの1年生もえぇ!?嘘!?などと口々に言い合う。
そのままきな子ちゃんは質問攻めにあい、入学式当日僕とメイは結局どこも見学することなく帰宅することになった。
次の日──────
きな子「優勝候補〜!?」
メイ「この学校に来てそんなことも知らなかったのか?今年のラブライブ!は決勝進出間違いなしって言われてんだぞ?」
「へぇ、そんなにすごいんだ。」
放課後、本来は部活動見学にあたる時間中、僕ときな子ちゃん、そしてメイは3人並んでメイからスクールアイドル部について教えて貰っていた。
メイ「そう、スターなんだよ、今のLiella!のメンバーは。」
きな子「そんなすごいんすか、あの人たち……」
僕もメイと一緒に動画を見たことがあるがそんなにすごい人達だとは知らなかった。
メイ「だから1年の間では入部しても練習についていけないんじゃねえかって、みんな言ってる。」
あたしはよく知らねえけど、と付け加えてメイは席を立つ。スクールアイドル好きってまだバレたくないんだときな子ちゃんの後ろでふふっと笑う。
メイ「行こうぜ、四季。今日科学部設立の話しに行くんだろ。」
四季「うん。創は、いいの?」
リュックを背負いながら四季が僕に問いかける。
「あぁ、僕は何か見てから帰るよ、科学部の話進んだら教えてよ。」
四季「わかった、じゃあね。」
メイもまたな、と手をびしっと顔の前で出し、教室を出ていく2人を見送る。
僕は遅れて教室を出て、音楽科の校舎の裏へ回る。
たしかこの辺に……あった。定礎……。
「父さん、父さんの遺してくれた学校にはすごい人がいっぱいいるよ、みんな夢に向かって頑張ってる。輝いてるよ。」
言葉を送っても、もちろん建物から返事はない。
「僕もなにか見つけてみせる。だから、父さんは安心して。向こうで母さんと僕のこと見守っててね。」
僕は鞄から白いガーベラを1本取り出し、地面にそっと置いた。
理事長「白いガーベラの花言葉は希望、いい花ね。」
振り向いた先には理事長もといおばさんが立っていた。
「理事長。入学したら供えようと決めてましたから。」
少し憂うような、しかし優しさも含んだような眼差しを供えられたガーベラに向ける。
理事長「そうね、あの人も喜んでいると思うわ。」
僕は鞄を閉じて理事長に向き直る。
「僕は先に帰ります、それでは。」
軽くお辞儀をしてその場を離れようとした時。
理事長「神谷くん、スクールアイドル部に興味はない?」
思いもよらぬ一言に思わずオウム返ししてしまう。
「スクールアイドル部……?Liella!さんですか?」
理事長「えぇ、昨年この結ヶ丘高校で1年生ながらも華々しい実績を残したまさにこの学校の誇り。」
理事長「そのスクールアイドル部のマネージャー、やってみる気はないかしら?」
さっきメイから聞いたことはやはり事実だったらしい。あの人たちは本当にすごい人たちなんだ。
「僕なんかがそんなすごい人たちのマネージャーなんて、できませんよ。もっと適任がいるはずです。」
理事長「果たしてそうかしら?あの子たちも至って普通の高校生よ。」
それは……確かにそうかもしれないけど、優勝候補なんて言われている人たちのマネージャーなんて……と考えていると僕の手に紙が触れる。
理事長「スクールアイドル部のチラシ、考えてみて。」
そう言って理事長は踵を返して校舎内へと戻って行った。
「スクールアイドル部……Liella!……」
チラシにかわいらしいイラストで描かれた5人のメンバーを見つめて1分ほど立ち尽くしていた。
「あ、もうこんな時間……見学、またできなかったな。」
スマホで時間を確認するともう18時をまわっていた。はぁ、と肩を落としながらとぼとぼと結ヶ丘高校を後にした。
家に帰ってしばらくしたらおばさんが帰ってきた。
「おかえり、おばさん。ちょっと料理の支度するから待ってて。」
理事長「もう、早くに食べてていいのっていつも言ってるじゃない。」
もうやり慣れたこのやり取り、いつも通りの日常を思わせてくれて嫌いじゃない。
「いいの、2人で食べた方が美味しいし。」
理事長「そうね、ありがとう。」
僕はキッチンであらかじめ味をつけておいた鶏肉を調理し始める。
理事長「……今日で3年ね、創がうちに来てから。」
「うん、ありがとうね、3年間も面倒見てくれて。」
僕がおばさんに預かられて今日で3年、そして父さん、母さん、家政婦さんが殺されてから3年が経つ。
理事長「もう、またそんなこと言って。面倒なんてあるわけないでしょ。あなたはもっと甘えなさい。」
冷蔵庫から飲み物を取り出しながらやれやれ、と肩をすくめる。
「もう充分甘えてるよ、ありがと。……はい、お待ちどおさま。」
出来上がった料理を食卓へ並べる。2人で向かい合って座り、いただきます、と言ってから食べ始める。
「……マネージャー、やってみるかも。」
理事長「あら、早い決断ね。どうしたの?」
おばさんは微笑みながらこちらを見る。
「なんとなく、新しいことやってみたいんだ。それに……夢を追いかける人を、応援したい。そう思ったんだ。」
理事長「とってもいいじゃない、それでこそ創よ。」
僕はえっ?と聞き直す。
理事長「結ヶ丘に行くって決まってからずっと浮かない顔してたわよ。健さんのこと考えてたんでしょ。」
何事も見抜かれていることに驚きおもわず箸が止まる。健……安城健(あんじょう たける)は僕の父親、父さんのことである。
「まぁ……ね。どうしても、頭に浮かんじゃって。」
おばさんはとても優しい顔になって僕を見つめる。
理事長「大丈夫、創がどんな道を選んでも、健さんは「それでこそ俺の息子だ!自分の道を創り出せ!!」って言うはずよ。」
2人であはは、と笑い合う。
「そう、だよね。ありがとう、おばさん。僕、考えすぎてた。」
僕の中に引っかかっていた重荷がどこか、少し軽くなった気がした。
明日、挨拶しに行こう。澁谷さん……澁谷かのんさんに。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
1話、筆が乗ってしまい5000文字を越えてしまいました。読んでくださる人には長くなってしまって申し訳ありません、と一言謝罪申し上げます。
ひとつの話が長い!短い!このぐらいがいい!とあれば感想に書いていただけると励み、またこれからこ参考になります。
今後ともよろしくお願いします。第2話、すぐ投稿できるように頑張ります。