ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第20話「本当の歌?」

成生視点、???──────

千砂都「なるくん、なるくん。」

聞きなれたようで、少し大人びた雰囲気の声。それが千砂都の声だと気づくのに少し時間を要した。

「千砂都……どうしてここに?」

千砂都「なるくん、こっちきて。」

なんとなく会話が噛み合っていないようだが、そんなことはどうでもいい。千砂都が俺の前に現れてくれたのだから。

「あぁ、すぐ行くよ。」

と言って笑いかけ、千砂都の方に向かおうとする、だが足が動かない。

「あ?」

ぐちゃ

みし、みし……

「う、あ、ぁっ……」

忌々しい膝の傷跡が音を立てて開いていく。余りの痛みに俺はその場に蹲る。

千砂都「なるくん、なるくん。」

「千砂都……ちぃちゃん……っ!」

いつしか俺の目線の高さはちぃちゃんの腰の高さほどになっていた。まるで幼少期に戻ったように。

「ちぃちゃん、たすけてっ!」

千砂都「ごめんね、なるくん。」

俺が伸ばし続けた手の先にいる人物は靄になって消えていった。

 

「ち、ぃ、ちゃ……」

俺の伸ばした手の先にあるのは見慣れた天井だった。

慌てて膝の傷を確認する。そこにあるのはただ縫い目があるだけのいつも通りの俺の膝だった。

「……千砂都が俺のとこに来るわけないか。」

ふぅ、と一息ついて俺は起き上がる。何気なく顔に手を当てると涙で濡れていることに気がついた。

 

創視点──────

夏美「オーニナッツ〜!今日は合宿中のLiella!に密着ですの〜!密着密着〜!」

「カメラあると僕作業できないんだけど。」

夏美の頭にびしっ、とチョップを叩き込み、資材を運んでいた。

今日は東京予選進出者のオンラインインタビューが行われる日、なのだが……

すみれ「ちょっと、なんなのこれ。」

可可「他校に負けていないと伝えるためデス。」

脚立の上で可可先輩が伸ばした手の先にはでかでかとLiella!と書かれた巨大な看板が。各メンバーのデフォルメされたイラストがところどころに散りばめられており正直かわいい。

すみれ「またこんなもんつくってどうするのよ。」

可可「このあと開かれる出場者のリモート会見、そこから既に戦いは始まるのデス!」

ムッとして反論する可可先輩、やれやれと呆れるすみれ先輩といういつもの構図だ。

「リモートなんだからバーチャル背景でいいんじゃ……」

夏美「お二人共変ですの……抱き合って泣いてみたり、喧嘩してみたり……それでいいんですの……?」

僕たちは神社で可可先輩とすみれ先輩の抱き合う様子を見た数少ない人物だ。いつも言い合っている2人もあの時は素直に気持ちをぶつけ合っていたように思う。

すみれ「可可が強情なだけよ。」

可可「なにを!すみれがうるさいからデ〜スっ!」

ガタガタッ。

4人「うわぁぁああ!!」

可可先輩が腰につけていたテープが看板に引っかかっていたのか、可可先輩が激しく動いた拍子に看板がこちらに倒れ込んでくる。

夏美「マニーが!制作費がー!!」

すみれ「なーにやってんのよぉ!!」

その後勢いを抑えきれず倒れてきた看板を4人でメソメソしながら直したのは言うまでもない。

 

リポーター「お待たせしました!ではこれよりリモート会見を行いまーす!それぞれの意気込みをモニターの前のみんなに伝えまくりましょ〜!!」

お馴染みの元気のいいリポーターさんの合図で配信が始まった。

四季「何故にガムテ?」

すみれ「聞かないで……!」

四季は後ろの看板をちらりと一瞥して一際目立つガムテープに視線が向く。可可先輩はすみれのせいデス、と悪態をついている。

夏美「静かに!そろそろ来ますの……!」

リポーター「それではLiella!!張り切ってどうぞ!!」

僕もスマホで本配信を見ているが、先程オープニングムービーが終わり、リポーターさんにカメラが向いていた。

千砂都「私たちは……っ!」

かのん「結ヶ丘高校スクールアイドル部!」

9人「Liella!です!」

配信上で応援コメントや投票が行われると画面下部にある星マークにエネルギーが溜まっていくシステムがあるのだが、Liella!のインタビューが始まった際にはみるみるうちに星にエネルギーが注がれていった。

Liella!がこれほどまでに人気なのだと改めて思わされる。

かのん「私たちLiella!は去年、決勝には進めませんでした。それから1年、今年こそは全員で決勝に進もうって頑張ってきました。」

かのん「叶うことなら優勝を目指して、みんなを笑顔にできるライブをしたいと思っています!」

千砂都「みなさんの応援、よろしくお願いします!」

Liella!のみんなが礼をする時に僕もカメラの外ではあるが礼をする。

リポーター「ありがとう!以上、Liella!でした〜!」

リポーターさんの一言とともに画面が本配信に切り替わる。

それを確認してかのんさんは後ろにあったパイプ椅子に座り込む。

かのん「いつまでたっても慣れないなぁ……」

千砂都「そんなことないよ、助けてくれてありがと!」

リポーター「それでは、今大会注目のウィーン・マルガレーテちゃんです!」

和気あいあいとしているLiella!を他所に画面に映し出されたのは最大のライバルであった。

 

成生視点、スタジオ──────

いつも俺とマルガレーテはYATSUGAKEが貸し出しているスタジオを利用し練習や作業を行っている。

今日の配信はここでやる、とマルガレーテが先日言い出したので急遽スタジオを借りることにした。

「んで、なんでここからなわけ?」

マルガレーテ「別に。いつも通りでいいのよ、こういうのは。」

そういうもんか、と半ば強引に納得させる。こんな会話をしているが今本配信ではLiella!のインタビューが表示されている。

俺とマルガレーテは少し黙って画面を見つめていた。

リポーター「それでは、今大会注目のウィーン・マルガレーテちゃんです!」

マルガレーテの順番が回ってきた。カメラの設定は俺の仕事だ。慌ててカメラを接続し、マルガレーテが写っているか確認する。

マルガレーテにハンドサインでOKと伝えるとマルガレーテは淡々と話し始めた。

マルガレーテ「私がLoveLive!に出場するのは、ここがいかに低レベルであるかをスクールアイドルたちに知ってもらうため。」

マルガレーテ「私が、本当の歌を教えてあげる、それだけ。」

こつん、マルガレーテが机を叩いたのを合図に配信を切断する。

画面にはdisconnectedの文字が表示される。

「ぷ、はは、ははっ!最高だよマルガレーテ。こんな大口叩けるのはマルガレーテしかいない。」

僕は堪えていた笑いが一気にこみ上げてくる。

マルガレーテ「本当のことよ。どれだけスクールアイドルがどれだけ下らないものか、教えてあげるの。」

「そう、だな……舞台は最高に整った、あとは証明するだけだ。」

マルガレーテは黙って頷く。こいつとなら勝てる、そう思わせてくれる雰囲気がマルガレーテにはある。

「それじゃ、練習頑張れよ。」

俺はいつも通りひらひらと手を振り、レッスン室を後にする。

が、少し目的があるのでドア横の壁にもたれかかり、レッスン室から漏れてくる声に聞き耳を立てる。

マルガレーテ「えぇ、えぇ、わかってるわ父さん。」

俺はマルガレーテの行動に1つ規則性があることがわかった。大会やステージなどがあった後、すぐにどこかに電話をかけていた。その相手が父親だというのは今知ったことだが。

マルガレーテ「LoveLive!で優勝出来たらウィーンに行かせてくれるのね?」

……そういうことか。ここでマルガレーテが言っているウィーンというのはウィーン国立音楽学校。世界で恐らくトップと言われる音楽系の難関校である。

マルガレーテ「えぇ、それじゃあね。」

電話を切ったマルガレーテがこちらに向かってくる足音がする。俺は慌ててその場を後にした。

 

創視点──────

可可「LoveLive!が低レベル!?」

メイ「ふざけんなっ!いきなり出てきて好き勝手なことを!」

可可先輩とメイはマルガレーテのインタビューを見終えるやいなや怒涛の勢いで怒り出した。それもそうだ、自分たちが夢見た大会、そして夢を与えてくれたものを侮辱されたのだ、無理もない。

四季「でも、最強と言われたサニパさんに勝った……!」

可可「そ、それは……」

僕らは沈黙に包まれた。

 

その後中断していた練習を終え、ペンションへ各自戻ってきてからみんな風呂に入ることになった。

僕はありがたいことに1番に入らせてもらいベッドの上で少しくつろいでいた。

その時ロフトの上に人の気配を感じた。見上げてみるとかのんさんがスマホの画面を真剣な顔で見つめていた。

「マルガレーテ、ですか?」

かのん「創くん……うん、本当の歌ってなんなんだろうと思って。」

スマホを閉じて僕に向き直るかのん先輩。

かのん「言ってたでしょ、本当の歌を教えるって。フェスでのデビューライブも、サニパさんを倒した地区予選も、マルガレーテちゃんは歌、ダンス、ともに圧倒的だった。」

かのん「でも、あれが本当の歌、なのかな……」

本当の歌……という言葉の真意が気になる様子のかのんさん。正直、その答えはマルガレーテにしかわからないと僕は思う。

「……けどマルガレーテ、本当は歌が大好きだと思うんです。」

かのん「うん……だからこそ、歌で泣いたり、笑顔になれたりする素晴らしさを知ってるはず……」

「けど、今のマルガレーテの歌から伝わってくる気持ちは勝つ、ただそれだけ……」

うーん……と少しの沈黙が流れる、それを遮ったのはすみれ先輩だった。

すみれ「お先〜、早く入んないと1年生待たせちゃうわよ。」

かのん「あっうん!それじゃあね!」

「はい。またあとで。」

ぱっと手を上げてかのんさんは部屋を出ていく。

「……本当の歌、か。」




今回も読んでいただきありがとうございました。
マルガレーテがあまりにも書いていて面白いキャラすぎてついつい出番が多くなってしまいます。メインキャラだしいいのかな。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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