ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第22話「認めない」

創視点、ステージ裏──────

僕たちはその日東京大会のステージ裏にいた。今回はLoveLive!側がステージを用意してくれたため僕はステージ設営や管理などには参加せず、先程スタッフの方々にお願いしておいた。

千砂都「いよいよ始まるね……!」

かのん「うん……!」

かのん「大丈夫……!」

真っ直ぐと前を見つめ、緊張をほぐしているかのんさんの後ろから突然声がした。僕はぎょっと目を見開いた。

マルガレーテ「澁谷かのん。」

かのん「マルガレーテちゃん……!」

かつ、かつと美しい足音とともにLiella!のメンバーの間を抜けていく。

マルガレーテ「私が、本当の歌を教えてあげる。」

マルガレーテ「歌は力、そして、未来を私自身でビルドする。歌の力で。」

ステージに上がっていくマルガレーテ。まるでマルガレーテの心を表したかのようにカーテンがばさっ、と音を立てて閉じる。

かのん「違うよ……そんなの……!」

かのん「本当の歌じゃない……!」

 

成生視点──────

俺は控え室に入ることなく近くにあったYATSUGAKEの子会社の会議室を借り、マルガレーテのステージを見守ることにした。

「お、上がってきた。」

俺の作った曲が流れ出す。我ながらいい出来栄えの曲だ。マルガレーテのために作った、マルガレーテを象徴するものを前面に出した。

遠くからでも十二分に分かる、今日のマルガレーテのパフォーマンスは絶好調だ。振りも歌声も問題ない。

「さ、見せてもらうよ千砂都、Liella!が何たるかをね。」

壇上から降りていくマルガレーテの表情はこちらから見えなかったがさぞ堂々としていたのであろう。

 

創視点──────

きな子「なんすか、これは……!」

完璧にマルガレーテ色に染め上げられたステージを見たきな子ちゃんの足は震えている。

メイ「鳥肌立った……」

四季「勝者の、オーラ……」

恋「この後に、私たちが……」

誰も踏み出せない、完全にアウェーとなったステージに、まるでステージの幕が鋼鉄の扉になったかのようにも思える。

かのん「さ、行こ。学校のみんなも見に来てくれてる。」

かのん「Liella!の歌を、渋谷の街に響かせようよ。」

その言葉にみんなの表情が変わる。暖かくて、その中に強さがあって、みんなを導いてくれる、Liella!のセンター。

すっと突き出されたピース、そこにひとつ、またひとつと集まっていく。

いつしかそれは大きなひとつの星になる。

かのん「1!」

可可「2!」

すみれ「3!」

千砂都「4!」

恋「5!」

きな子「6!」

「7!」

メイ「8!」

四季「9!」

夏美「10!」

かのん「結ヶ丘スクールアイドル部Liella!!たくさんの人に歌を届けよう!Song for me!Song for you!」

10人「Song for all!!」

 

 

Sing!いっしょに歌おう Smile!心結んで

Shine!煌めかせよう Smile!笑顔の星を

 

もしも過去と未来 どこへだって行けてもきっと

ここにいるよずっと この瞬間君と噛みしめるんだ

 

ちいさい瞬きが ひとつまたひとつ めぐり逢い 楽しいを越えて

傷ついて 知った もっと楽しいって 気持ち

 

夢みてるんだ ただ夢中さ 眠るのも忘れちゃうほど

好きに理由なんかいらないよ 気付いたんだ

なにも見えない夜が来ても 勇気だして笑ってみよう

その煌めきは伝わるはずさ

笑顔きらり ほらみんなきらり

 

Sing!いっしょに歌おう Smile!心結んで

Shine!煌めかせよう Smile!笑顔の星を

 

 

僕はただ涙を流していた。嬉しかった。僕の紡いだ歌詞をみんなが歌ってくれているのが。暖かくて、心地よくて、ほっとした。

「ありがとう、Liella!。」

けどこの後すぐ結果発表があるらしい。正直泣いている場合じゃない。

「みんなが帰ってくるまでに止めないと……」

ぼろぼろと溢れ出る涙を僕はずっとハンカチで拭いていた。

 

リポーター「それでは結果発表です!!」

僕は本配信をスマホで見ながらエレベーターを降り、結果が写し出される大きいモニターの前で立ち止まっていた。

運命の2位が今表示されるところだった。

「頼む……!」

2位に表示されたのは、むっと澄ました顔のマルガレーテだった。

「やったっ……!」

Finalist Liella!、モニターに表示されたのは僕が1番待ち望んだものそのものだった。

 

成生視点──────

「…………ま、いいとこまで行ったって感じかな。」

2ndに表示されたのはウィーン・マルガレーテ。俺が作った曲は2位どまりだった。

そっか、なんとなくそんな気はしてた。マルガレーテもLiella!もどっちも良かった。

だけど、だけど……

「悔しくないわけじゃ、ないよな。」

俺は会社の人にもう大丈夫です、ありがとうございました、と述べ会議室を後にした。

 

かのん視点──────

固唾を飲んでモニターを見守る。次に表示されるのは私たちLiella!か、マルガレーテちゃんか。

2nd、表示されたのは澄ました顔のマルガレーテちゃんだった。

マルガレーテ「なっ……!?」

その数秒後にFinalist、Liella!と表示され、会場が大きな歓声に包まれる。

すみれ「勝った……?」

メイ「これで、全国大会……!」

直後私の体になにかがぶつかる感覚があった。その正体は抱きついてきたちぃちゃんだった。

千砂都「勝った〜!かのんちゃん!!」

ちぃちゃんの目は濡れていた。その顔を見て私も目を潤ませる。

周りに目を配るとLiella!のメンバーそれぞれが喜び、泣いていた。

大きな歓声、虹色のペンライトの海、眼下に広がる美しい景色に私は目を奪われていた。

「見て、みんな喜んでくれてる……!」

「私たちと、学校のみんなの力で!!」

その時私たちの耳をつんざいたのは一人の少女の叫び声にも似た一言だった。

マルガレーテ「有り得ないッ!!」

マルガレーテちゃんはつかつかとレポーターさんに近づいていき、力づくでマイクを奪う。

マルガレーテ「私はこの結果を認めない!!」

マイクがマルガレーテちゃんの声の音圧に耐えられず、ノイズが響き渡る。ノイズのせいか、はたまた誰もが予想だにしないマルガレーテちゃんの動向のせいか、会場は先程の歓声が嘘のように静けさに包まれていた。

「マルガレーテちゃん!」

私に名前を呼ばれ、こちらを睨みつけながら振り返る。

「この結果は聞いてくれたみんなの出した答えだよ、スクールアイドルはひとりじゃない。みんなと一緒だから素敵なライブが生まれるんだと思うの。」

「それが伝わらないなら、マルガレーテちゃんにはスクールアイドルのステージに立ってほしくない。」

こんなこと言うのはガラじゃないとわかっていても、止めることは出来なかった。目の前の少女はきっと歌が大好きだって信じていたから。

ただ悔しいだけじゃない、なにか理由があるんだって思いたかったから。

マルガレーテ「くっ…………ふんっ……」

レポーターさんにマイクを突き返し、カーテンの奥へと消えていくマルガレーテちゃんをただ私たちは見つめることしか出来なかった。

 

創「みなさん、おめでとうございます!!」

私たちは会場の外で待ってくれていた創くんと合流し、帰路につこうとしていた時だった。

??「Liella!の皆さん、素晴らしいステージでした。」

木の影から2人の人物がぬるりと飛び出してくる。

1人はマルガレーテちゃん、その横には見た事があるようなないような不思議な感じのする少年だった。

成生「俺の名前は八掛 成生。先程はうちのマルガレーテがご迷惑をおかけしました。」

マルガレーテ「いつ私があんたの傘下になったのよ!」

がーっと騒ぎ立てるマルガレーテちゃんを慣れた様子で受け流し、こちらにゆっくりと近づいてくる。

どこか怪しげな雰囲気に少し後ずさって身構える。

千砂都「なるくん……!」

すみれ「あんたが例の……」

そうか、ちぃちゃんがこの前言ってたマルガレーテちゃんに曲を提供してる人……!見たことがあった気がしたのは幼少期の面影が少し残っていたからだった。

成生「……千砂都、何故ダンスを辞めた?」

千砂都「えっ……?」

まるで私たちをいないもののようにちぃちゃんだけを見つめて語りかける。その言葉に抑揚はなく、奥に潜むどす黒い感情を必死に隠しているかのように思えた。

成生「何故スクールアイドルなんだ。千砂都の才能なら、ダンスだけで良かったじゃないか。」

千砂都「そ、それは……」

ちぃちゃんは懐かしの友人との再会を喜ぶどころか、淡々と語り続ける成生くんに怯えることしかできていなかった。

創「君にそんなふうに言われる筋合いはないよ。」

黙って聞いていた創くんは私たちの前に出て、成生くんの目の前に立った。

成生「……あ?」

創「昔からの友人なら、今頑張っている人に投げかける言葉がもっとあるんじゃないの?」

成生くんは青筋を立て、創くんのことを睨みつけている。

成生「千砂都、俺は認めないからな。」

その言葉の後、何事も無かったかのように、仮面が張り付いたかのような笑顔になって踵を返す。

成生「今日は帰ろう、マルガレーテ。」

マルガレーテ「…………」

その言葉に黙って成生くんの後ろを歩くマルガレーテちゃん。

私たちは2人の影が見えなくなるまで、ずっと警戒姿勢を解くことが出来なかった。

 

創視点──────

「…………はぁっ……焦ったぁ……」

千砂都先輩を見ていたらいても立ってもいられなくなり、つい前に出てしまったが、普段あんなことしないせいでどっと疲れが後から襲いかかる。

メイ「やるじゃねえか、創。」

きな子「かっこよかったっす!」

メイが僕の肩をばしばしと叩く。少し痛いが褒められて悪い気はしない。

可可「マルガレーテといい、さっきのといい……なんなんデスか……!」

恋「喜びを噛み締める暇すらありませんね……」

僕たちは会場の外でしばらく立ち尽くしていた。

夏美「負け惜しみにもほどがありますの。」

かのん「けど……ほんとに悔しかっただけ、なのかな……」

その言葉に、みんながかのんさんの方を向く。

かのん「何か、特別な理由があるような……」

千砂都「…………」

「千砂都先輩、大丈夫ですか?」

僕はその時千砂都先輩の顔が真っ青と言えるほどに顔色が悪くなっていることに気がついた。

千砂都「ぇ、あ……うん。ごめんね……」

かのん「ちぃちゃんが謝ることないよ!」

かのんさんは千砂都先輩に自分のマフラーをつけてあげてから肩を擦る。

四季「すごい気迫だった。」

すみれ「なんなのよ、あいつ……」

もう外も暗くなっていたため、僕たちはそのままそれぞれの帰路へつくことになった。




今回も読んでいただきありがとうございます。
創と成生、最悪の形での初邂逅となりました。
夢を見つけ走り出した少年と自らの夢を諦めざるを得なかった少年、どちらの動向にも注目していただけると嬉しいです。
次回もよろしくお願いします。
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