ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第24話「夢の道筋」

創視点──────

本日は念願のかのんさんとのデート、とりあえず竹下通りの近くで落ち合うことになっている。

「……服、大丈夫かな。」

「それと、髪型も……」

1つ気になり出すと全部気になってしまう、けど会うまでに何とか……

かのん「創くん。」

後ろから声をかけられ振り向くと、そこにはかわいい服を身にまとったかのんさんが立っていた。

「…………」

かのん「創くん?」

あまりの可愛さに思わず見とれてしまっていた。練習着や制服姿しか見たことがなく、改めて私服というものの破壊力を知る。

「あ、ぇっと……かわいいです、かのんさん。」

かのん「あ、りがと……創くんも似合ってる……」

ぎこちない会話、2人ともこういう雰囲気に慣れておらず、すぐに照れてしまう。

「そ、それじゃ、行きましょうか!」

かのん「うん!!」

 

僕たちはそれから竹下通りを巡って食べ歩いたり、服を見たり、時には座って話をしたり……念願の初デートは素晴らしいものになった。

その帰り道、かのんさんがおもむろに口を開く。

かのん「ね、創くん。」

「どうしたんですか?」

かのん「この前私、マルガレーテちゃんに会ったの。」

かのんさんの口から出た言葉は意外なものだった。

その時マルガレーテから聞いたことをかのんさんは全て僕に教えてくれた。マルガレーテが編入するための条件がLoveLive!優勝だったこと、マルガレーテが音楽一家だったこと、そして……マルガレーテはあの勝敗に未だ納得していないこと。

「…………そんなことが……」

「実は僕も、成生と会ってきました。」

かのん「えっ成生くんと!?」

僕はその時成生から聞いた情報を伝えた。さっきかのんさんが言ってくれた情報と大した齟齬はなく、成生が嘘をついていないことが証明された。

……かのんさんが留学するかもしれない可能性のことは話さなかった。

かのん「そんなことがあったんだね……」

「はい、けど益々わからなくなりました、なんで千砂都先輩にあんなことを言ったのか……」

僕は顎に手を当てて考える。千砂都先輩になにか特別な思いがあるのなら、あんな言葉をかけるはずが……

…………大切だから、あんなこと言ったのか……?

 

数日後の始業式、Liella!の決勝進出を祝う式典も同時に行われた。

全校生徒から全力のエールを貰ったLiella!は満面の笑顔で部室に集合していた。

きな子「んぃ〜……」

すみれ「さっきの微妙ってどういうこと〜!?」

式典中の失言を咎められているのか、きな子ちゃんはすみれ先輩に両頬を抓られていた。

きな子「人徳というかなんというか〜……」

夏美「そうですの、すみれ先輩の人徳の無さには納得ですが……」

今度は夏美が地雷を踏み抜きに行った。1年生、まさに怖いもの知らずといった様子だ。

すみれ「待ちなさい!どいつもこいつも!私はあんたみたいにお金に意地汚くないわ!」

夏美「意地汚いとはなんですの!グソクムシ先輩でも言っていいことと悪いことがありますの!」

グソクムシ、久しぶりの登場だ。

すみれ「誰で聞いた……!」

夏美はすみれ先輩に印籠のようにスマホを突き出す。

夏美「もう既に有名ですの。」

小さい頃のすみれ先輩がグソクムシの着ぐるみで踊る動画、見飽きるほど可可先輩に見せられた思い出がある。

千砂都「ほっといていいの?可可ちゃん。」

可可「はい。遊び相手ができたみたいでせいせいするデス。」

夏美が少し離れた場所で遊び相手では無いですの!と反論するがこちらには何も届いていない様子だ。

千砂都先輩も、特に変わった様子はない。気にしていないのならそれでいいんだけど……

理事長「澁谷さん、少しいいかしら?」

かのん「え?」

まさか……

成生『……対抗策は早く打っておくに限る。本人の意思を尊重するか、一緒にいてほしいと伝えるか、決めておくんだな。』

「って言ったって、早すぎる……!」

「……みなさん、お話があります。」

かのん以外の8人「え?」

 

それから僕は成生に会ったこと、そしてそこで得た情報、かのんさんの留学の可能性についても全て話した。

すみれ「あんた、単身であの子のとこ行ったの!?」

メイ「なんで一言も言わないんだ!」

まずそこを怒られるとは思わずごめんなさい!と頭を下げる。

四季「かのん先輩が、留学……」

きな子「しちゃうんすかね……」

留学するのかしないのか……ここは正直、僕たちが踏み込む問題ではない気がする。かのんさんが本場で学びたいのか、スクールアイドルをやり切りたいのか、どちらの考えなのか僕らにはわからない。

そこで僕のスマホに1件の着信が入る。

恋「誰からですか?」

「……!!」

「八掛 成生です。」

千砂都「なるくん……!?」

 

成生「創か?多分澁谷かのんに留学の話が行っているころだと思うんだが、今どんな感じだ?」

「その通りだよ、今Liella!のメンバーで話し合ってたところ。」

電話口の成生は至って普通の口調だ。

成生「そりゃ都合がいい、少し話したいことがある。もしあれならスピーカーにしてくれて構わない。」

そこで成生が話し始めたのは衝撃の内容だった。

 

成生視点──────

俺はいつも通りスタジオでマルガレーテを待っていた。今日に限っては俺が呼び出したわけだが。

そうして待っていると少し不機嫌なマルガレーテが入ってくる。

マルガレーテ「何よ、いきなり呼び出して。」

「この前、神谷創がここに来た。」

マルガレーテ「は!?」

マルガレーテは大きな声をあげる。

「まぁそこは良いとして、あいつにマルガレーテの編入のことを話した。そして留学の条件も知っている。」

マルガレーテ「あんた、よくも勝手に……!」

マルガレーテは苛立ちを隠すような素振りも見せず、俺に掴みかかろうとする。その腕を俺はがしっと掴む。

「そして、俺はお前に留学なんてさせない。」

マルガレーテ「…………は?」

俺は片手で器用にスマホを操作し、マルガレーテの父さんへ着信をかける。

マルガレーテ父「もしもし?君はどなたかな?」

「お世話になります。マルガレーテさんに楽曲を提供させていただいていた八掛 成生と申します。」

マルガレーテ「ちょっと!あんたっ!」

俺をどうにかして止めようと掴みかかってくるマルガレーテを止めもせず、俺はただやるべきことをやり遂げようとする。

マルガレーテ父「おぉ君か、先日の大会は残念だった。まだマルガレーテにウィーンは早かったようだね。」

マルガレーテが早かっただと?ふざけるな、そんなのあんたの勝手だ。本当の歌を歌えるのはこいつだけだ、マルガレーテだけが俺に最高の景色を見せてくれる。

「……マルガレーテをそっちには行かせない!あんたにこいつの価値は決めさせない!俺がウィーンに連れていくッ!」

マルガレーテ「ちょ、ちょっと……!」

あまりの俺の剣幕にマルガレーテも少し怯んでいる。

少し強気に出過ぎたか、と電話口の返事を待つ。聞こえてきたのは笑い声だった。

マルガレーテ父「ふ、はは……そうか、わかった。留学の話は取り下げる。こちらにマルガレーテが来る日を待っているよ。」

ぷつん、と電話が切られた。

俺はやば、言い過ぎた、とちらりとマルガレーテの方を見ると今までにないほどの真剣な表情で俺の顔を見つめていた。

「あ……っと……悪い。言い過ぎたかも……」

マルガレーテ「何よ、私の前でもちゃんとしなさいよ。」

俺の様子を見たマルガレーテはぷっ、と吹き出す。……マルガレーテの笑った顔、初めて見たかもしれない。

マルガレーテ「ウィーンに行ければいいって、そう思ってた。どんな手段でも、どんなに醜くもがいても、ね。」

「マルガレーテ……」

マルガレーテ「あんたが言ったんだからね、連れて行くって。」

俺の眼前にびしっ、とマルガレーテの指が突き出される。

「……あぁ、絶対連れて行くよ。」

「俺の曲を歌うマルガレーテが1番だって証明してやる。」

ふっ、と笑ったマルガレーテはLiella!にはあんたが伝えときなさい、と言い放ってレッスン室へ入っていった。

「……勝たなきゃいけない理由、また増えちまったな。」

 

創視点──────

成生「てなわけだ。」

これまでの事情が成生によって解説される。

「いやてなわけだじゃなくて!だ、大丈夫なの?」

成生ならやりかねないとは思っていたが……まさかマルガレーテのお父さんに直接言うとは……

すみれ「それで?また来年も戦おうって挑戦状ってことでいいの?」

千砂都「す、すみれちゃん……」

腕を組みながらすみれ先輩が苛立ちを隠せない様子で問いかける。

成生「どうかな、なんせ俺は結ヶ丘に行くし。」

9人「え?」

成生「多分マルガレーテも。」

9人「えぇっ!?」

衝撃の事実の連発に僕たちの声は外まで響いていた。

成生「そんなことより澁谷かのんのこと考えた方がいいんじゃないか?」

そんなことで片付けられることではなかったけど……

「かのんさんのことって、どういうこと……?」

成生「留学の話が無くなったのはマルガレーテだけだ。澁谷かのんへの留学の話は取り下げられてないんじゃないか?」

僕たちは成生の話を聞いてそれぞれ黙って顔を見合わす。狼狽える者、考え込む者など様々だった。

きな子「かのん先輩、行っちゃうんすかね……」

口からぽろりと感情が零れたきな子ちゃんに返事する人はいなかった。

成生「……まぁそれは本人、そしてLiella!の問題だ。俺が口を挟むことじゃない。」

成生「要件はそれだけだ。」

千砂都「待って!」

成生が電話を切ろうとしたその時、千砂都先輩が勢いよく口を開く。

千砂都「……ありがとう、なるくん。」

千砂都先輩の言葉を受けて成生は少し黙り込み、何事も無かったかのように話し始める。

成生「……別にLiella!のためにやったことじゃない。それじゃあな。」

ぷっ、という音とともに僕のスマホの画面に通話終了という文字が浮び上がる。

千砂都「…………」

可可「色々ありマシたが、とにかくかのんのことデス!」

すみれ「えぇ、早急になんとかしなきゃいけないわね。」

慌てふためく可可先輩の手をぎゅっと握るすみれ先輩。

メイ「けどさ……かのん先輩が留学したいって言ったらどうすんだよ……」

四季「私たちが止めていいことじゃない……」

僕もそう考えていた。もしかのんさんが留学して自分の夢のために音楽を学びたいと言ったのなら、その意見は尊重しなければいけない。

例え、10人のLiella!で無くなってしまう選択だとしても。

夏美「だからって、じっとしてられませんの……!」

「……かのんさんのとこ、行ってみよう。」

こればかりは直接本人に聞くべきだ、かのんさんがどうしたいのか。

僕たち9人は理事長室へ向かうことにした。みんな浮かない顔をしていたことは言うまでもない。




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