ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
こういう話も1度書いてみたかったので書けてよかったです。
いつもと文章の感じが少し違うかもしれませんが、息抜き程度にお楽しみください。
幕間「1年生合宿の夜」
ペンション、夜──────
メイ「ここ、どうやってやるんだ。」
四季「それは、この公式とそっちの公式を使う。」
僕たちはお風呂の後みんなで協力して夏休みの課題を終わらせようと意気込んでいた。
四季とメイは数学、僕ときな子ちゃんと夏美ちゃんは古文のテキストを解いている。
夏美「んんん……」
夏美ちゃんは唸りながらテキストとにらめっこしている。
「夏美ちゃんそこはここら辺読むとわかりやすいかも。」
テキストの1部をすすすと指でなぞる。そうすると夏美ちゃんはぱあっと顔を明るくさせてテキストに書き込んでいく。
夏美「ありがとうですの!あと、夏美でいいって言ったはずですの。」
四季とメイは名前呼びですのと指摘される。
「えぇ……ご、ごめん……な、夏美?」
夏美ちゃんはふんと鼻を鳴らす。
夏美「ま、最初にしては上出来ですの。」
なんなんだ、と思い僕は呆れていると視界の外にむすっと膨れたきな子ちゃんがいた。
「あ……えと、きな子ちゃん……?どうかした?」
きな子「…………っす。」
なんて言ったのか上手く聞き取れなく僕はえ?と聞き返す。
きな子「きな子も呼び捨てがいいっす!」
思わぬ提案かつ大きい声だったので、四季とメイもこちらを見る。
メイ「どうしたどうしたいきなり……」
きな子「どうしたもこうしたもないっす!これで創くん、きな子以外全員呼び捨てっす!!」
僕は思わぬところできな子ちゃんに不満を抱かせてしまったようだ。
夏美「けどきな子はなんとなく……ちゃん付けの方が似合いますの。」
その夏美の言葉に僕はうんうんと頷く。きな子ちゃんはなんとなくきな子ちゃんという感じがするのだ。
きな子「なんすか!きな子だけ子供扱いする気っしゅか!?」
うわぁなんだろうこの感じ……すごい懐かしいような、というかなんか酒臭い……?
きな子母「きな子こっちに来てなぁい?……あ、いた!この子間違えて私のお酒飲んだみたいなのよ。」
僕たちがいた2階の部屋に早足で駆け込んできたのはきな子ちゃんのお母さん。酒臭いのはそれのせいだったのか。
きな子「おかあしゃん!創くんがきな子にだけちゃん付けするんっす!あぁ〜ん!!」
泣き出した。なんの脈絡もなく。僕含め他の1年生は呆気に取られている。と思ったら夏美は冷静にカメラを回している。こんなところでLtuber魂見せなくていいんだけど。
きな子母「あぁ〜……お父さんに似て面倒臭い酔い方ね……」
そう言ってきな子ちゃんのお母さんはちらりと僕の顔を見る。
きな子母「創くんなら変なことしないわよね。じゃきな子のことよろしく頼むわね〜。」
勝手に判断されて勝手に預けられた。振り返るとそこにきな子ちゃんのお母さんの姿は無かった。
きな子「なによそ見してるんしゅか!きな子よりお母さんの方がいいんすかっ!!?」
きな子ちゃんがいきなり僕を押し倒すようにして詰め寄る。女の子とこんなに密着したことがなく、ドギマギとした気持ちと純粋な酒臭さで僕の頭は思うように回らなかった。
メイ「きな子……大胆だな……」
四季「スクープ……」
メイは少し顔を赤くしてこちらを見ている。メイはカシャカシャと連続でシャッターを切っている。この裏切り者共……
「そ、そういうわけじゃないよっ!とにかく落ち着いて、ね!?」
僕はきな子ちゃんの肩をがしっと押さえたまま僕の体から引き剥がす。
きな子「じゃあ……きな子のことも呼び捨てで呼んでほしいっす……」
「え、えぇ……うーん……」
なんかそんなに頼まれると小っ恥ずかしい気もしてくる。というかメイと四季は付き合いが長いから呼び捨てなだけだし……
きな子「はやく!は〜や〜く〜!!」
もういつものきな子ちゃんは欠片も残ってない。まるで別人のようになってしまっている。もう観念した方がいいのかもしれない。
「い、いくよ……?」
きな子ちゃんは頬を赤らめ、上目遣いで僕の顔を見てくる。
きな子「うん……はやく……」
なんだか僕まで変な気持ちになってきた。早く言わないと、これ以上は……!
「き、きな子!!……ってあれ?」
思い切って呼び捨てで呼んでみたもののきな子には僕の声は届いていなかった。酔いが回ったのか僕の目の前でぐうぐうと眠っていた。
メイ「う、うぷぷ……ざ、残念だったな届かなくて……」
四季「ふっ……」
くすくす後ろから笑い声が聞こえる。もうこの2人は無視することにする。
「はぁ……とりあえずきな子ちゃんベッドに寝かせてくるから。」
僕はそばにあったベッドに寝かせようときな子ちゃんを抱える。
夏美「変なことする気じゃないんですの……?」
じとっとした目で夏美がこちらを見てくる。
「し ま せ ん !」
「ふぅ……これでよし、と。」
きな子ちゃんはベッドの上ですぅすぅと気持ちよさそうに寝息を立てている。
夏美「あれ、ほんとに変なことしないんですのね。」
夏美が後ろから僕の様子を伺っていた。カメラを片手に。
「しないよ……その映像絶対きな子ちゃんに見せないでよね。」
見せませんの、と目を泳がせる夏美にはぁ、とため息をつきながら肩を落とす。
勉強していたテーブルに戻るとメイと四季はもうテキストを閉じ、2人仲良くひとつのスマホで動画を見ていた。
「なんか、勉強する気なくなっちゃったね。」
2人の対面に僕と夏美が座る。
メイ「あぁ、というかきな子すごかったな……ありゃ飲んじゃダメなタイプだ。」
4人とも視線をあげ、先程までのきな子ちゃんを思い出す。
四季「成人しても、控えた方がいい。」
僕らはうんうんと大きく頷く。
四季「夏美ちゃん、創変なことしてない?」
夏美「残念ながらしてなかったですの。」
本人が横にいるところで聞くかね……と思いつつも。
「するわけないでしょ……」
メイ「けど今創の周りにいる人は相当美人ばっかりだぞ?」
僕以外の3人が僕の方をじっと見る。
「そりゃそうだけど、それ関係ある……?」
夏美「ラノベの主人公ぶってますの?」
「別にぶってないけどね。」
夏美ちゃんに冷静なツッコミで対処する。
四季「いないの?好きな人」
四季の質問に全員の動きが止まる。僕はともかくなんでメイと夏美まで止まったのかはよくわからないけど。
「い、いるわけないでしょ!」
メイ、四季、夏美「顔真っ赤(だぞ)(ですの)。」
こういう時に上手く嘘をつけない自分は損してるなぁと感じる。
メイ「で、誰なんだ?同じクラスか?」
メイがにやにやしながら聞いてくる。正直メイがこんな話に興味があるなんて意外だった。
「いや……言わないからね。」
夏美「ここまで来たなら吐いた方が楽ですの。」
「ちゃっかりカメラ構えんのやめてくれる?」
先程までテーブルの上に無かったカメラに加えてマイクまでもが置かれている。それの録画ボタンをピッと押して止める。
四季「メイ、この反応、Liella!の誰か。」
四季が何やらテーブルの下で手がもぞもぞ動いていると思ったら何やら見たことの無い装置がごうんごうん音を立てて蠢いていた。
「なにそれ!?」
四季「嘘発見器。」
四季は指でVをつくりこちらに悪いドヤ顔を見せつけてくる。こんなとこで才能発揮しなくていいよ……と呆れる。
夏美「で?誰ですの。てっきりメイか四季のどちらかと付き合ってるもんだと。」
メイ「は、はぁっ!?夏美お前、何言ってんだ!!」
メイは顔を真っ赤にして夏美に掴みかからん勢いで顔を近づける。
四季「私はメイしか見てない。」
四季はきっぱりと否定する。確かに事実だ。四季はメイしか見ていない。
夏美「な、なんですの……あ……もしかしてメイ」
メイ「そ、そそそそんなわけあるか!!」
メイはふいっと顔を背ける。そんなにも否定されると少し悲しくもなる。
四季「創の心が動じてない。ということは夏美ちゃんでもない。」
夏美「別にそんなはっきり言わなくてもいいんですの。」
というか高性能すぎるでしょその機械。警察とかに渡した方がいいんじゃ。
メイ「こうなったら手当り次第に名前出して当てるしかないな。」
「なんでそんな本気になってるの……というかそっちこそ好きな人いないの?」
なんとか誤魔化して話題の変更を謀る。
メイ、夏美「いない(な)(ですの)。」
四季「メイ……」
四季がすごく悲しそうな顔でメイを見つめている。
メイ「じゃあ……恋先輩!」
うわ、ほんとに手当たり次第に当てに来た。
四季「動かない、すみれ先輩。」
うーん、と四季が顎に手を当てる。
夏美「いや……どう考えてもかのん先輩ですの。」
四季の手元で装置ががしゃがしゃととんでもない音とともに暴れている。あまりの暴れっぷりに4人の間の空気は一瞬しん、と静まり返った。
僕は恥ずかしさのあまり顔を抑える。
メイ「なんでわかったんだよ。」
夏美「いや……だって明らかにかのん先輩と喋ってる時にやにやしてましたの……」
もう殺してくれ。というかそんな顔してたんだ。
四季「どこが好きなの。」
「別に掘り下げなくてもよくない!?」
自分は安全圏にいるからなのか四季が今日はすごいぐいぐい来る。
メイ「そうだよ、どこが好きなのか言ってくんねえとかのん先輩は渡せねえ。」
「どの立場の人なの……」
まるで結婚相手に挨拶しに行った時のお義父さんのように腕を組んでいるメイが正面にいる。
夏美「顔ですの?」
そんな最低なヤツだと思われてるの?夏美の中での僕ってどんな印象なの……
「……いや、その……」
3人がずい、と僕の方へ顔を近づける。怖いって……
「……頑張り屋さんで、みんなのことちゃんと見てて……優しいところ…………」
何かの拷問かと思うぐらいに恥ずかしい、というかこの人らも酔ってんじゃないのかとも思い始めた。
メイ「案外普通な理由だな。」
夏美「普通ですの。」
四季「普通。」
「じゃあなんて言えばいいのよ……」
なんで好きな人の好きなところ言っていちゃもん付けられなきゃいけないんだ。
メイ「けどアタシら応援するからな!」
夏美「ま、きな子に押し倒されたのは黙っといてあげますの。」
四季「ファイト。」
最後応援すればいいと思ってる、この人たち。
「まぁ……ありがと。」
「というかそんな分かりやすいの……?」
ひそひそと夏美に聞く。夏美ははぁとため息をついて。
夏美「この鈍い2人以外はすぐ気づくはずですの。」
メイ「おい、なんか失礼なこと言っただろ。」
メイはちらりとこちらを睨む。
「バレてるのかな……」
四季「バレてるなら、動きやすい。」
「なんで動く前提で話してるの?」
メイがびしっと僕の額に指を指す。
メイ「かのん先輩言っとくけどすごい人気だからな。2年生でも狙ってる人はたくさんいるぞ。」
うっ……それを言われると弱い。Liella!のメンバー以外とも仲良くしている様子は男女ともに多々見る。
四季「告白。」
「早いよ。」
四季の決断が余りにも短絡的すぎる。ほんとに応援する気あるのかなこの人。
夏美「ま、何にせよ早い方がいいですの。」
メイ「そうだぞ、取られたらなんもできないからな。」
「なんでそんなイキイキしてるの……?」
小学生の頃に女子に好きな人を聞かれた時のことを思い出す。あの頃は友達として答えたらそれが恋愛的な意味で広がって大変だったっけ。
メイ「創に好きな人出来たんだからイキイキもするだろ。」
四季「中学ときにはなかったこと。」
2人してうんうんと頷き合う。別に理由になってないけど……
夏美「とにかく、動くなら早くですの。好きなんでしょう?」
「……うん。」
かのん先輩。男の僕をLiella!に受け入れてくれて、いつも元気をくれる太陽みたいな人。
「ありがと、3人とも。なんかすっきりした。」
3人は優しい笑顔を浮かべてくる。
きな子「はやく寝るっすよー!!うぅん……」
ベッドの方からきな子ちゃんこ声が聞こえばっと振り返るとすぅすぅと寝息を立てている。どうやら寝言だったようだ。
「そろそろ寝よっか。あしたも早いし。」
メイ「そうだな、聞きたいことも聞けたし。」
メイはうーんと伸びをしてすっきりとした表情を浮かべている。
「こっちは散々だったけどね……じゃ、みんなおやすみ。」
部屋の電気を消してそれぞれベッドへ入り込む。
少し勇気を出してみよう、かなとか考えているといつの間にか朝になっていた。
まさか次の日かのん先輩が北海道に来るなんて思いもしなかった。
読んでいただきありがとうございます。
創の好きな人は書き始め時点では決まっていなくて書いているうちにかのんがいいのかなと思いこのような話の運びとなりました。
実際かのんかわいいしね、仕方ないよね。
またこのような本編外の話も書かせていただけたらなと思います。
次回も読んでいただけたら幸いです。