ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
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第27話「新たなる私の道」
創視点──────
「というか、ほんとにいいんですか……?新スクールアイドル部の方行ってしまって……」
マルガレーテと成生が部室にやってきた日、僕とかのんさんは一緒に帰る約束をしていた。
かのん「うん、決めてたことだし……思ってたより反対されたけどね……」
あはは、と笑いながら頭を搔く。
かのん「新学期になるまではLiella!で練習するよ!」
「……それからは離れ離れ……なんですよね。」
かのん「離れ離れじゃないよ、いつかひとつになるためなんだから。」
暗い表情で俯く僕の手をぎゅっと握る。
「いつか……そう、ですよね……」
「僕、かのんさんを信じます。」
かのんさんの手を握り返して見つめ合う。
かのん「ありがと!創くんも頑張ってね。」
かのんさんの家の前で別れ、帰路についた。
数日後、結ヶ丘は少し特殊で新学期前から1年生も学校の中を歩き回れるようになっている。教室を見学したり、部活動を体験したりなど新学期に備えて来校する新入生も多い。
メイ「創、ちょっと見てみろ。」
僕が外を眺めてぼーっとしているとメイがとんとんと肩を叩く。
そのまま廊下に案内され、あれあれと中庭の中心にいる人物を指さす。
「……マルガレーテ。」
そこにはチラシを配るマルガレーテの姿があった。しかし東京予選の悪評が広がったせいか、チラシを受け取る者は誰一人いなかった。
メイ「お、おい、恋先輩……!」
マルガレーテのそばにすたすたと近づいていく人影があった。その正体は恋先輩……後ろにはすみれ先輩やきな子ちゃんの姿も見える。
恋「やはり、私たちと一緒にLoveLive!を目指すという選択肢はないのでしょうか。」
恋「この結ヶ丘高校はまだ3年目、歴史も浅く、生徒も多くありません。今生徒同士が校内で競い合うメリットはないと思います。ならば今こそ思いをひとつにするべきではないですか?」
恋先輩の言葉に何一つ間違いはない。ただ、マルガレーテの気持ちは事実では曲げることは出来ない。
マルガレーテ「お断りよ。何度も言わせないで!私はLiella!に入るつもりはないの!」
すみれ「ちょっと!もう少し言い方があるんじゃない?一緒のステージで競い合った相手にわざわざ手を差し伸べてあげているのに……!」
木の影からすみれ先輩が飛び出す。マルガレーテの言葉に抑えが効かなくなったようだ。
マルガレーテ「だからよ。」
すみれ「え……?」
マルガレーテは悔しさを噛み締めるように1拍置いて話し始める。
マルガレーテ「競い合った相手だからよ!Liella!に入れば優勝に近づく、ウィーンに戻れる、そんなことはわかってるっ!」
マルガレーテ「でも私は、あなた達に勝ちたいの!じゃなきゃ自分が納得できないっ!」
マルガレーテの言葉を聞き、どこからともなく成生が現れる。
成生「その気持ちは俺も一緒だ。マルガレーテを勝たせられなかった、Liella!に負けた、だから勝ちたい。」
恋先輩は力強く口を噤み、ふぅとひとつ息を吐く。
恋「……わかりました、ですがこれだけは覚えておいてください。私たちは同じ結ヶ丘の生徒だということを。」
成生視点──────
「新学期前に生徒会長と真っ向勝負とは、穏やかじゃないな。」
マルガレーテ「言っとくけどあっちから来たんだからね。」
じろり、とこちらを睨みつけるマルガレーテ。
「ただ俺ら2人でやるのもな、あの時負けた以上このまま順当に成長していくだけじゃ勝てない。」
そんなのわかってるわよ、と俺の横で仏頂面で呟く。
「例えば、新メンバーとかな。」
と冗談ぽく俺が話した時、俺たちの横をひらりと通り過ぎる人物がいた。ミントグリーンの髪色をツインテールに束ねた少女、驚くべきはマルガレーテをも凌駕する身長だった。
マルガレーテ「新メンバーは最終手段よ!あんたが私を勝たせるって言ったんだからね!」
マルガレーテ「今集めてるのはサポーターなんだから!」
「あ、あぁ……わかってるよ……」
横から怒鳴られている時も横を通り過ぎた人物のことを考えていた。
「あの顔……誰かに似ているような……」
創視点──────
今日は入学式当日、朝からきな子ちゃんはファンの子とかいるんすかね!とソワソワしていたが……
生徒「きな子先輩サインください!」
生徒「四季先輩ぜひ写真を!」
想像以上だった。僕たちの教室のドアの前には人が溢れかえり、きな子ちゃんは新入生の中に埋もれていた。
「すごいね……Liella!の人気。」
メイ「そりゃあな、なんたってLoveLive!優勝グループだし。」
僕の近くで腕を組みながらメイが語る。そうか……もう僕たちは優勝校なんだっけ。
四季「メイ、写真撮らせてって。」
メイ「お前が撮りたいだけだろ……」
スマホを構えたまま近づいてくる四季のスマホをがしっと手で掴むメイ。
「あれ……夏美は……?」
もみくちゃにされているきな子ちゃん、四季とメイの姿は教室にある。ただいつも騒いでいる夏美がいない。いつもだったら動画のネタにとか言って撮影しているはずなのに。
「……どこ行ったんだろ。」
夏美視点──────
「冬毬!!」
私は窓から見えた見覚えのある人影を走って追いかけていた。冬毬と名前を呼ばれた少女は振り返って冷たい目で私を一瞥する。
冬毬「姉者。」
「……本当に、結ヶ丘に入学したんですの……?」
冬毬「はい、姉者の夢を見定めさせていただこうかと思いまして。」
言い放つ言葉のひとつひとつが私の心を突き刺す。夢を見定める、って。
冬毬「……アグリーしかねます、また夢を追いかけるなど。」
「冬毬っ……それは違っ……」
私の言葉を聞こうともせずすたすたと歩き去っていく背中を私は見ることしかできなかった。
成生視点──────
マルガレーテ「スクールアイドル部です。」
成生「スクールアイドル部でーす……なぁ、人来ないぞ。」
俺とマルガレーテの小さい声が中庭に溶けていく。
マルガレーテ「仕方ないでしょ、あんなこと言ったんだし、Liella!もあるんだから。」
「全部マルガレーテのせいだろ。」
うるさいわねあんたと肘で小突かれる。その時校舎の方から見知った人物が近づいてくる。
「澁谷、かのん……」
かのん「声出さないと、誰も振り向いてくれないよ。」
マルガレーテ「うるさいわね!ほっといてよ。」
俺とマルガレーテの前にある机に1枚の紙が置かれる……入部届け、澁谷かのん……?
かのん「私、入部を希望します!」
マルガレーテ「え?」
「え?」
かのん「3年生の澁谷かのんです!よろしくお願いしますっ!」
俺とマルガレーテは唖然とする。その時また新たな人影が近づいてくるのに気づく。これ以上ややこしくしないでくれ。
冬毬「失礼。」
マルガレーテ「取り込み中よ。」
あ、この子昨日すれ違った子だ。背でかいな……
冬毬「聞くところによると、新たなスクールアイドル部が生まれたそうで。」
マルガレーテ「えぇ、ちょっと待ってて。」
「ごめんね、こいつあんまり器用じゃなくてさ。」
マルガレーテにばしっと頭を叩かれる。その子は笑いもせずこくりと頷きアイアンダスタンドと何事もなかったかのように英語を話す。帰国子女……には見えないしビジネス用語?
マルガレーテはくるっと澁谷かのんの方に振り向き、机をばんっと叩く。
マルガレーテ「私、認めないから。」
かのん「でもここに書いてあるよ!誰でも歓迎、って。」
指でチラシに書いてある文言を指す……それ書いたの俺だ、後でなんか言われるだろうな。
マルガレーテは澁谷かのんの手からチラシを奪い取り、手に持ったペンでLiella!メンバー不可!!!と新たに書き足した。
マルガレーテ「当然でしょ、私にとってLiella!は敵。なんで仲間になんかしなきゃいけないのよ!」
かのん「敵って言わないでよ!」
スパイだのなんだのと物騒な言葉も飛び交っている、そろそろ止めるか……と口を開こうとしたその時。
冬毬「契約において後から書き足した事項は通常無効とされます。なので今回のケースは澁谷かのんさんに正当性があるかと。」
かのん「だってさ。」
へへん、と自慢げに鼻を鳴らす澁谷かのんを睨みつけるマルガレーテ。
「もしかして、入部希望?」
冬毬「はい、ですが私のことはお構いなく。」
「え、お構いなくってどういうこと!?」
マルガレーテ「気になるに決まってんでしょ。」
その時チャイムが鳴り、入部希望の子はそれでは、と頭を下げすたすたと校舎の方へ向かっていった。
かのん「なんか、社長秘書みたいな子だね……」
「……ひとまず澁谷かのん……かのん先輩の入部は許可する。こちらの落ち度だしな。」
マルガレーテ「ちょっと!何勝手に決めてんのよ!」
やったぁ!と無邪気に喜ぶかのん先輩を横目にマルガレーテが子犬のようにこちらにがーっと噛み付いてくる。
「仕方ないだろ、誰でも歓迎って書いちゃってたんだし……」
「それにスパイなんか出来るか?この人。」
マルガレーテ「それはわかんないでしょ!」
かのん「なんかどさくさに紛れて酷いこと言わなかった?」
とにかく……と持っていたペンでかのん先輩の入部届けに承認と印す。
「よろしく、かのん先輩。あんたの才能は本物だ、期待してる。」
かのん「こちらこそよろしくね!」
無視するな!と騒ぐマルガレーテを横目に俺とかのん先輩はかたい握手を交わした。
今回も読んでいただきありがとうございました。
色々なキャラの視点で書きたいところが多く少しゴチャゴチャしてしまい読みづらいところがあったかもしれません。申し訳ないです。
次回も読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。