ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
前回から章を分けてみましたがいかがでしょうか、読みづらいなどあれば戻そうかと思います。
他にも感想、評価などいただけると励みになります。
創視点──────
むっす〜と頬を膨らませた可可先輩が机の前に立っている。
可可「不満デス……」
千砂都「何が?」
可可「かのんデス!なんでみんな向こうのスクールアイドル部に入ることを許したんデスか!?」
かのんは騙されているんデス!と騒ぎ立てる可可先輩、1日こんな感じで大変だったのよとすみれ先輩が肩を落としていた。
すみれ「かのんは超のつくお人好しだけど、あんたみたいに単純じゃないわ。」
なんデスと!と取っ組み合いになる可可先輩とすみれ先輩、これかのんさんいないと止めるの大変だな……と早速弊害が出ている。
四季「でも、騙されている可能性は0ではない。」
四季「西洋は魔術が盛ん。」
メイ「あるわけないだろ……」
四季が慣れた手つきでプロジェクターを使い、壁にかのんさんの書いた入部届けを表示する。どこから入手したんだこれ……
きな子「ほんとにあっちに入部するんすね……」
可可先輩がばんっと机を叩き恋先輩に迫る。
可可「レンレンもレンレンデス、どうして認めたのデス!」
恋「怒らないでください……理事長も構わないと言っているのです。断る理由がありません……」
可可「断ればいいのデス!可可がかつてスクールアイドル部を作ろうとした時はあんなにしつこく反対したのに〜……」
可可先輩はぶつぶつ、本当に文字通りぶつぶつと恋先輩を憎らしそうに見つめながら呟いている。
千砂都「私はかのんちゃんが騙されているとは思えない。」
「僕も。というかマルガレーテが結ヶ丘に来るかもって時にこうなること予想してたみたいだし。」
すみれ先輩とメイと可可先輩になんで言わないんだ!(デス!)と3方向から襟首を掴まれ宙に浮く。
千砂都「かのんちゃんはきっと、いつかひとつのLiella!になろうって考えてるんじゃないかな。」
きな子「それって……マルガレーテちゃんごと、ってことっすか?」
きな子ちゃんの質問にこくりと頷き話を続ける。
千砂都「そのためにも今はバラバラのグルーブで競い合って、切磋琢磨しようってことだと思う!」
練習メニューの書かれた紙を持ってさぁ練習練習!と意気揚々に部室から出ていく千砂都先輩を僕たちは慌てて追いかけた。
成生視点──────
マルガレーテ「ここで練習するの?」
かのん「うん、なるべく練習中は鉢合わせしない方がいいんじゃないかって、創くんとちぃちゃんと相談したの。」
ふーん、とマルガレーテはストレッチをしながら興味ありませんけどと言わんばかりに聞き流す。
「お、今年もやるみたいだ、代々木スクールアイドルフェスティバル。」
何気なくスマホを流し見ていると情報が回ってきた。このライブは俺とマルガレーテが出会うきっかけになったライブでもある。
かのん「今年もLiella!が招待されてる。」
マルガレーテ「なるほど、そこで私たちも出場して、格が上だってところを見せつけてやろうって話ね。」
にやぁと悪い顔をしたマルガレーテが俺のスマホを覗き込む。
かのん「ううん、このフェスもね基本的には参加出来るスクールアイドルは1校につき1グループだけ。」
「このままじゃ出られないってことか。」
かのん「ただまだゲスト枠が空いてるんだ、相応の評価がリモートライブで貰えれば出場できるチャンスが貰えるの。」
かのん先輩は自分のスマホの画面をすいすいとスクロールしてこちらに見せてくれる。確かにゲスト枠についての制度が詳しく書かれている。
マルガレーテ「つまり競い合えってこと?」
かのん「まぁ……簡単に言うと……」
マルガレーテ「なんでよ!去年私は1番になったのよ!?Liella!も倒して!他のスクールアイドルと争えっての!?」
マルガレーテはぐいっと詰め寄り、それに応じて仰け反るかのん先輩。
かのん「でも、このフェスの一番の目的は地元のお客さんに楽しんでもらうことだから。」
かのん先輩の言葉を聞きバツが悪そうに黙り込むマルガレーテ。その横から制服姿の入部希望者の子が足音とともに現れる。
冬毬「かのん先輩の言う通りです。お客さんに見てもらうことで利益を得ている訳ですから。」
かのん「利益って……」
冬毬ちゃんは頭にはてなマークを浮かべ違うのですか、と問いかける。
かのん「利益なんてないよ、お金を集めている訳でもないし、何かを売ったりしている訳でもないし。」
冬毬「なるほど……では姉者が言っていた言葉は事実……」
3人「姉者?」
急な古典的な言い回しが気になったのか3人が声を揃えて反芻する。
冬毬「貴女方は全く利益もなく将来的な資格取得のために役に立つ訳でもないのにスクールアイドル活動を続けている、という訳ですね。」
淡々と中々に残酷な事実を突きつけてくるのがなんか面白く吹き出してしまう。
「はは、その通りだな。」
マルガレーテ「何笑ってんのよ。で、あんたは何なの。何が目的なの!?」
冬毬「お構いなく。」
マルガレーテ「聞いてるんだけど!?」
まぁまぁとかのん先輩がマルガレーテを宥める。
かのん「とにかく練習しよ、ね?」
冬毬「練習が私に必要と判断すれば参加します。無駄な時間は過ごしたくないので今日は失礼。」
おぉ……マルガレーテとはまた違うタイプの図太い子だなと少し感心する。感心していいものではないのだが。
マルガレーテ「つまり普段の練習は自分には無駄だって言いたいわけ?」
嫌味ったらしく突っ込むマルガレーテ。普段から努力を欠かさないからこそ言える言葉だろう。
その言葉を受け無言で踊り出す。正直少し踊れるぐらいだろうと予想していたが、かなり上手だ。練習していないとは思えないほどに。
かのん「すごい……練習してないのに……!」
マルガレーテ「なんなのこの子……」
冬毬「体幹には自信があります。曲の具体的な内容が決まったら連絡ください。これ、正式な入部届になります。」
入部届に書かれた名前は鬼塚 冬毬……鬼塚?
マルガレーテ「鬼塚……」
かのん「冬毬……」
3人「えっ!?」
冬毬「私の名前は鬼塚冬毬、鬼塚夏美は私の姉者です。」
創視点──────
僕たちは練習後の雑談に花を咲かせていた。
夏美「冬毬がなんでスクールアイドル部に!?!?」
恋「今わかったのですが新スクールアイドル部には部員が4人いるらしく、かのんさん、成生さん、マルガレーテさん、そして鬼塚冬毬さん。」
生徒会長の恋先輩の元には校内の様々な情報が集まってくるらしく、最近の話題の中心である新スクールアイドル部も例外ではない。
7人「鬼塚?」
んげっ、と露骨に嫌そうな顔をする夏美。たまたま偶然苗字が同じだけですの〜、としらを切る夏美に四季がサーモグラフィーカメラを当てる。
四季「判定、嘘つき。」
夏美「何勝手に見てるんですの!」
温度で嘘ついてるのかわかるって……どういう機能なの……
すみれ、可可「なんで妹が新スクールアイドル部の方にいるのよっ!(デスカっ!)」
ひゅーひゅーと鳴りもしない口笛と泳ぎまくる目の夏美が詰め寄られているその時、屋上のドアがばんと開く。
冬毬「そこからは私が説明しましょう。」
「……え?もしかして夏美の妹さん?」
夏美「と、冬毬…………」
すたすたと近づき夏美の前で立ち止まる。
冬毬「姉者がお世話になっております。」
きな子「姉者……?」
独特な言い回しにきな子ちゃんを含めたメンバーが首を傾げる。
冬毬「私があちらに入部した動機はスクールアイドル活動というものが根本的にどういったものなのかこの目で確かめたいと思ったから。この1点のみです。」
近づいてきてわかったが夏美より10cm以上大きい……とても妹とは思えない身長差だ。
恋「確かめる……?」
冬毬「姉者はかつて言いました、スクールアイドルはマニーを集めるよりも将来に備えるよりも大切な夢を得られる特別なもの、と。」
夏美「と、冬毬ぃ……!」
顔を赤くしてわなわなと震える夏美。
メイ「こいつがそんな素敵なことを!?」
「言うなんて……ほんと?」
知らない〜!と地団駄を踏む夏美を横目に恋先輩は質問を続ける。
恋「では、冬毬さんは今実際かのんさんたちの元で……?」
冬毬「活動時間は最小限になっておりますが、その通りです。」
冬毬「姉者がいないグループに在籍することで、色々冷静に分析できるかと思いまして。」
夏美は妹が突然の暴露とともに現れたのがよっぽど恥ずかしかったのかもういい!とぶんぶん首を横に振っている。
冬毬「突然失礼いたしました、では。」
屋上のドアを開け無駄のない歩幅で去っていく。
夏美「……冬毬は、私以上にマニーの鬼なんですの、利益にならないことは一切するべきではないという考え方なんですの。」
夏美「私がひとりで動画配信をしている時は応援してくれていたのですが……スクールアイドル活動を始めてからは利益にならないことをしていると……私を軽蔑しているんですの……」
寂しそうに虚空を眺めながら話す夏美を見守ることしか出来なかった。
……そんな風に考えてたら、一緒の学校通おうってなるかな……?
成生視点──────
マルガレーテ「1、2、3、4、5、6、7、8……どう?」
俺たちは練習場所を後にして、帰宅途中の少し開けたスペースで振り付けの会議を行っていた。
かのん「いい!すごい可愛い!」
成生「うん、可愛らしくていいんじゃないか。」
少し恥ずかしそうにふん、と顔を隠すマルガレーテ。
マルガレーテ「かのんがうるさいからアイドルっぽくしてみただけ、本番はクールに決めるわよ。」
俺とかのん先輩は顔を見合わせてくすくすと笑う。
マルガレーテ「大体、なんてこんな色々やんなきゃいけないの?」
かのん「でも好きだなって楽しいなって思えるだけで素敵じゃない?」
はぁ?とマルガレーテは聞き返す。
かのん「マルガレーテちゃんと成生くんはなんで歌が好きになったの?」
あ俺もか、俺は……なんだったっけ。
マルガレーテ「私の家は音楽一家で……」
成生「俺はただ敷かれたレールを歩くのが嫌で……」
かのん「そうじゃなくって!もっと純粋に!心がキラキラした瞬間の話!」
心が、キラキラ……
千砂都『なるくん!はやくはやく!』
『まってよちぃちゃん!そんなはやくはしれないよ!』
……あれ昔の俺と千砂都か……そして、ここは代々木公園。
千砂都『ほら、ここだよ!わたしたちのステージ!』
『ここがぼくとちいちゃんがおどるところ?』
「そっか……ここだったっけ、踊る”はず”だったステージ……」
まだ子供の背では登ることができず、幼い千砂都と俺はステージの目の前で立ち止まる。
千砂都『そうだよ!そして、ここからはじまるの!』
千砂都『わたしとなるくんのステージ!』
『……うん!ぼくとちぃちゃんでせかいいちのダンサーになるんだもんね!』
俺の目の前で2人の子供が手を握り合う。この手が再び握り合うことがないことを知っているのは俺だけだった。
「……俺なんかが千砂都と踊っていいわけ……
かのん「成生くん?成生くーん?」
「え?あぁ……ごめんなさい……何の話でしたっけ?」
ちゃんと聞いててよ〜!と頬をふくらませるかのん先輩。さっきまで思い出していたことは、なんとなく黙っておこう。
マルガレーテ「心がキラキラした瞬間、あんたはあんまり無さそうだけど。」
かのん「そんなこと言っちゃダメだよ!成生くんにだってあるよね?」
「はは、どうでしょうね。マルガレーテはなんかあったの?」
さっきまで話してたわよ、と呆れた顔で俺の顔を見つめるマルガレーテ。
かのん「けどやっぱり幸せな気持ちになれるのが歌の魅力だと思わない?」
かのん「そのためにはさっきマルガレーテちゃんが言ってたものが全部必要なの!」
くるくるとミュージカルのように動き回りながら幸せそうに話すかのん先輩。
「幸せな気持ち、ね……」
今回も読んでいただきありがとうございました。
創はLiella!に、成生はNewella!(?)に関わっていく形になります。本作品ならではの話など書けたらいいなと思います。
では、次回もよろしくお願いします。