ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第30話「トマカノーテwith成生」

成生視点──────

俺たちは練習場所の近くにあるベンチに集まり作戦会議を行っていた。

冬毬「前回の優勝グループのセンターと、衝撃のパフォーマンスを披露したマルガレーテのコラボレーション、興味を惹くようなプロフィールにしてみました。」

冬毬ちゃんは最新型ノートパソコンを手馴れた様子で操作し、画面をこちらに見せてくれる。

マルガレーテ「いーんじゃない?」

冬毬「現状のサイト閲覧数からすると、当日は5万以上の観客が視聴すると予想されます。」

まぁ色々な意味で話題のマルガレーテと、優勝グループのセンターが一緒になればそりゃ注目されるか、とは思うが正直予想以上の数だった。

「へぇ、そりゃいい曲作んなきゃだな。」

かのん「つまり、5人に1人評価してもらえばいいってこと……?」

冬毬ちゃんは黙ってこくりと頷く。

かのん「それじゃ!今日は作詞!成生くん、詞が先の方が作りやすいタイプ……?」

「そうですね、そっちの方がやりやすいです。」

じゃー決まり!とかのん先輩は浮かれた様子で駆け出していった。

冬毬「いつもあんな感じなのですか。」

マルガレーテ「知らないわよ。うるさいったらありゃしない。」

 

運良く空き教室を借りられた俺たちは黒板の前に集まる。

かのん「それじゃ、マルガレーテちゃんが歌詞のアイデア出してみてよ!」

マルガレーテ「な、なんで私が……!」

まさか自分が指されるとは思ってなかったのかたじろぐマルガレーテ。

かのん「だって、センターはマルガレーテちゃんでしょ?」

ニコニコとしながらかのん先輩はマルガレーテのことを見つめる。

マルガレーテ「それは……っやるわよ、センター。やってやるわよ!」

一瞬迷う様子も見せたがすぐにいつもの顔に戻り大口を叩く。

冬毬ちゃんは黙ってマルガレーテの顔を見つめていた。

歌詞作りは特に難航せず、流れるように決まり、歌詞ノートをかのん先輩から預かった。他のページは見ちゃダメだから!と釘を刺された。

 

場所は練習場所の神社に移り、ダンス練習が始まった。セクシーな練習着姿の冬毬ちゃんのせいで少し目のやり場に困る。

かのん「1!2!3!4!5!6!7!8!」

かのん先輩の合図に合わせ、冬毬ちゃんは空中で3回転、まるでフィギュアスケートのような姿勢で着地する。

「おぉ……ほんとに未経験か……?」

冬毬「注目を浴びたいのならこのぐらい必要だと思いますが、できますか?」

マルガレーテ「ら、楽勝よ!」

青くなった顔で虚勢を張るマルガレーテをかのん先輩が抑え込む。

 

またまた場所は移ってかのん先輩の家……兼マルガレーテの居候先。衣装についての話し合いが行われる予定、だったのだが……

マルガレーテ「これで歌う気……?」

冬毬ちゃんが机の上に出したのは肌の露出が極めて高い衣装だった。俺が見ていいものなのかちょっとわからなかった。

冬毬「この衣装で歌っていただければ、利益も上がるかと。」

かのん「利益?」

冬毬「今度のライブですが、私たちだけ独自の課金システムを構築し、導入しようかと。」

かのん先輩はばん、と机を叩き冬毬ちゃんに迫る。

かのん「だーめ!」

冬毬「手厳しい……」

 

またまたまた場所は移って体力づくりのランニング。事情を話して俺も参加させてもらうことになった。

マルガレーテ「はぁ、はぁ……はぁ……」

かなりの距離を走ったせいか、あのマルガレーテも膝に手を当て立ち止まる。

「大丈夫か、ほら、これ。」

俺は預かっていたマルガレーテの水筒を手渡す。

かのん「あ!ねぇ見て見て!」

かのん先輩が指さす方には代々木公園のステージがあった。

「ふふっ。」

マルガレーテ「何いきなり笑ってんのよ、気持ち悪いわね。」

思い出し笑いをしていた俺をうわっ、とジト目で見るマルガレーテ。

「ここはさ、俺にとって大切な場所なんだ。千砂都と踊るはずだった場所、そしてマルガレーテに出会った場所。」

冬毬「少し調べました、八掛 成生。かつて天才ダンス少年と呼ばれていたが、怪我により幼少期に引退した、と。」

冬毬ちゃんはつらつらと事実を並べる。が、マルガレーテは冬毬ちゃんに食ってかかった。

マルガレーテ「ちょっと、本人の前でわざわざ言うことじゃないんじゃないの。」

かのん「ま、まぁまぁ!落ち着いて……成生くんもごめんね……」

冬毬ちゃんとマルガレーテの間に割って入るかのん先輩。気まずそうに僕の方を見て、何度も頭を下げる。

「大丈夫です、事実ですから。」

冬毬「ダンスは諦めて作曲を志した、と。」

マルガレーテはその言葉に再度苛立ったのかきっ、と冬毬ちゃんを睨みつける。

「まぁ、そんなとこ。けど1個だけ間違ってるから修正しとく。」

「俺はダンスの道、まだ諦めてないよ。」

冬毬ちゃんだけでなくかのん先輩もマルガレーテもきょとんとした顔をしていた。

 

創視点──────

僕たち旧Liella!メンバーはとあるホールの前に集まっていた。

恋「遂に、今日なんですね……」

恋先輩の言う今日とは代々木スクールアイドルフェスティバルのオンライン予選当日のことを指しているのであろう。

メイ「やっぱり注目されてたぞ……マルガレーテとかのん先輩、夢の共演って……!」

まじまじとメイが見つめるスマホの画面には今日のオンライン予選参加者の一覧が表示されていた。

四季「1番楽しみにしていたのは、メイ。」

んなわけねーだろ、とメイが慌てて否定する。

「千砂都先輩、成生とは……会いました?」

僕はちょうど横にいた千砂都先輩にひそひそと小さい声で尋ねる。

千砂都「うん、創くん色々してくれてたみたいだね。」

今までどこか表情に陰りがあった千砂都先輩の顔は晴れ渡っていた。

「そっか……成生、ちゃんと言えたんですね。」

千砂都「踊れるって知った時はびっくりしたよ〜……なんで創くん言ってくれないのさ。」

「いや……成生から聞いた方がいいかなって……」

も〜、と口をふくらませる千砂都先輩を横目に夏美はスマホをスワイプしている。

夏美「冬毬も徐々に人気が出てきているみたいですの。」

今日1日ずっと辛気臭い顔をしていた夏美は妹の話をしているその時でも眉をひそめていた。

きな子「冬毬ちゃんもスクールアイドルのこと、好きになってくれたんすか!?」

うきうきとした様子できな子ちゃんは夏美に尋ねる。

夏美「わかりませんの……ただ、一時の感情に流されるような子ではないので……それより……」

夏美の顔が曇る。……かのんさんたちに何かあったのか……?

 

成生視点──────

ナナミ「カメラテストー!はい準備OK!」

深海をイメージしたステージの上で、かのん先輩とマルガレーテ、冬毬ちゃんはポーズを取っていた。

「すみません、協力してもらっちゃって。」

ヤエ「全然!かのんちゃんに頼まれたら断れないよ〜。」

お気楽な様子な先輩……えっと確かヤエさん、だったっけ。が答える。うちの先輩は随分慕われてるみたいだ。

ココノ「もうすぐ前のグループ終わりそう、なんだけど……」

「視聴者数、足りてませんね。明らかに。」

俺は手に持っていたスマホをちらりと見て言葉を発する。俺の言葉を受け、先輩たちは目を伏せる。

事前評価では高得点を得て、注目もされていたものの、いざ本番になると視聴者数が少ないなんてのはよくある事だ。恐らく、マルガレーテの東京大会での発言が響いてるのだろう。

「澁谷かのんを見たい、鬼塚冬毬を見たいよりもウィーン・マルガレーテを見たくない、観客もその気持ちが勝っているんでしょうね。」

ヤエ「な、何もそんな言い方っ!」

ヤエ先輩が声を荒らげる。それをいいの、とマルガレーテが制す。

マルガレーテ「私のせいだもの。笑顔になりたいと思う人が集うステージで、あんなことをした私が悪いのよ。」

マルガレーテ「……この顔を見ているだけでも、腹が立つ人がいるってことよね。」

冬毬ちゃんとかのん先輩がマルガレーテを憐れむような視線で見つめる。

「じゃあどうするんだ。」

3人「えっ?」

ステージ上の3人が俺の言葉が予想外だったのか、こちらに視線を集める。

「そのままでいいのかって聞いてるんだ。あの時のマルガレーテじゃない、今のマルガレーテを何も分かってない観客に示せ。」

あの時のマルガレーテ、そしてあの時の俺は憎しみで動いていた。評価されない自分を、評価しない世間を、力だけで変えようとしていた。

「マルガレーテの評価はマルガレーテにしか変えれない。俺はその手伝いしかできないけど、変えられるほどの曲は作ってきた。」

だが俺もマルガレーテも変わったんだ。歌は憎しみを込めるための物じゃない、歌は力を証明するためのものじゃないんだ。

「だから存分に歌ってこい。今は楽しむだけでいい。歌は人の心を動かす力がある、だろ?かのん先輩。」

唐突なパスに目を一瞬見開くかのん先輩。すぐに意を決した表情に変わり、マルガレーテと冬毬ちゃんの方に向き直る。

かのん「成生くんの言う通り!私たちの歌でみんなの心を動かそう!このステージから!」

マルガレーテ「……ここから?」

マルガレーテはまだ不安を拭いきれないのか、疑問符を浮かべている。

かのん「うん。ここから。このステージから!」

冬毬ちゃんはマルガレーテの手を握る。少しでも安心させようという気配りだろうか。

……大丈夫そうだな。俺はカメラを調整していたココノ先輩にお願いします、と耳打ちする。ココノ先輩は黙ってこくりと頷く。

パソコンの画面にトマカノーテというなんだかふわふわとしたグループ名とともに3人の姿が映し出される。

マルガレーテ「今日は私たちのライブを見に来てくれてありがとう。ここに来てくれた全ての人に、この声が届いている全ての人に……」

言葉を詰まらせるマルガレーテの手を横にいる2人がすっと握る。

マルガレーテ「私たちの歌が、届きますように……!」

 

「ふぅ……あ。」

もう大丈夫だと悟った俺は3人の気が散らないようにと3人の視界から外れようとする。その視線の先にはLiella!の面々が。

創「ごめん……心配で……」

「んなこったろうと思った……応援する気満々なのも若干名いるようだな、どうも。」

ぺこりとわざとらしく頭を下げる俺をまるで敵を見つけた猫かのようにシャーっと威嚇する唐可可と米女メイ。

すみれ「ステージ見る必要は無いってこと?」

「俺が見てると集中できなそうだからな。特に真ん中のあいつは。」

ステージ上で歌う3人をちらりと横目で見る。

四季「見る勇気がないだけ?」

「……は?」

桜小路きな子が若菜四季をちょ、ちょっと四季ちゃん!と抑える。

千砂都「……見てあげなくて、いいの?」

「千砂都まで……いいよ、俺は。自分の曲聞くのはむず痒いしな。」

ひらりと手を振って俺はLiella!の横を通り過ぎる。

創「成生……っ!」

俺を呼ぶ声にも振り返らず俺は3人のステージを後にした。

 

マルガレーテ視点──────

楽しい。

ただそれだけが頭に浮かんだ。

久しぶりに。

あいつの曲が良かった?私が考えたダンス?かのんの振り付け?冬毬の衣装?

……多分全部。今まで、勝つために歌ってきた。

成生『今は楽しむだけでいい。』

楽しむだけ……ただそれだけが答えだったのかもしれない。

「ねぇ、かのん。」

かのん「ん?」

マルガレーテ「歌、久しぶりに楽しいって思えた。」

初めて、かのんに自分の気持ちを吐露した。

かのん「その気持ち、ずっと持ってようね!!」

どんっ、と横から抱きつかれ少しふらふらと足を遊ばせる。

冬毬「……価値のあるものとは思えませんが。」

かのん「いつかわかるよ!冬毬ちゃんも!」

私と冬毬をまとめて抱きしめるかのんは満面の笑みを浮かべていた。

成生、あなたもいつか、楽しめる時が来るのかしら。

本当の歌を。




今回も読んでいただきありがとうございました。
トマカノーテ陣営、とても好きです。書いていて楽しいです。
次回もよろしくお願いします。
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