ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第31話「Newella!?」

成生視点──────

神社にて、俺たちはいつも通り練習をするために集まっていた。

かのん「ライブ最高だった〜!だって!」

マルガレーテ「むむむ……」

元気なかのん先輩と陰気なマルガレーテ、まさに太陽と影である。

「配信見逃して、人生損した〜、だそうだ。」

マルガレーテ「むむむむ……」

俺の読み上げにも表情を変えることなく眉間に皺を寄せている。

冬毬「昔のマルガレーテと別人。」

マルガレーテ「ん!」

かっ、と目を見開くマルガレーテ。地雷だよそれ、冬毬ちゃん。

マルガレーテ「そんな感想書くぐらいなら、あの時見に来て評価押せってのよ!!」

この言葉からわかる通り、俺たちトマカノーテはオンラインでの得票数の目標には満たなかった。開始前よりは見る人は増えていたっぽかったが、あと一歩足りなかったと言った感じだった。

かのん「けどけど!マルガレーテちゃんの笑顔、かわいい〜。」

かのん先輩はすいすいっとスマホをスクロールして画面をこちらに向ける。そこには可愛らしい笑顔を浮かべるマルガレーテが。

「いい写真じゃんか、マルガレーテ。保存しとけ。」

いらない!と背を向けるマルガレーテ。

かのん「やっぱお客さんにも伝わるんだね、笑顔にしたいって気持ち。」

冬毬「しかし、フェスに出場できないという事実は覆りません。」

ため息とともに冬毬ちゃんは事実を突きつける。

マルガレーテ「関係ないわ!最初から狙いはLoveLive!での優勝だけだから!」

一足先にランニングを始めるマルガレーテを俺とかのん先輩は微笑んで見守っていた。

 

創視点──────

部室にて、練習開始前の団欒時間に可可先輩はパソコンを見てわなわなと震えていた。

可可「まずいデス〜……由々しき事態デス〜……」

きな子「結ヶ丘の新しいスクールアイドル好きかも。」

夏美「Liella!にいた子も1人いて、すごくキラキラしてるらしいよ。」

横にいたきな子ちゃんと夏美がパソコンに映る文字列を読み上げる。

メイ「そういえば今Liella!って何してるんだろ……でぇっ!?」

可可「可可タチ、すっかり影が薄くなってるデス〜!!」

メイと可可先輩は手を取り合ってよよよ、と泣いている。

それを全く意に介さない様子で四季はお茶を飲んでいる。

四季「梅昆布茶、好き……」

「四季はいつも通りだね……」

四季「慌てても、事態は変わらない。」

茶柱……と手元の湯呑みを見つめ、ふふと笑っている。

「うーん……なんか成生元気なかったような……」

僕はこの前のトマカノーテのライブの時に会った成生を思い出す。

四季『見る勇気がないだけ?』

「あながち間違いじゃ……ないのかも。」

千砂都「なるくんのこと?」

目の前の壁を見つめながら考え込んでいた僕の視界に千砂都先輩がひょっこりと入り込んでくる。

「あっ、はい……この前のライブの時、なんか元気なかったような気がして……」

千砂都「まぁ……確かに……けど最近のなるくんのことは私より創くんの方がわかってるんじゃないかな?」

うーんと顎に手を当てる千砂都先輩。

「そう、ですかねぇ……千砂都先輩はあれから会いました?」

千砂都「いや会ってないかな?学年も違うし……」

「今日、会いに行ってきてくれませんか?ここにいるみたいなので。」

僕はスマホの画面に映る成生が普段使ってるスタジオの住所をつんつんと指さした。

 

成生視点──────

「……まだ勝てない、か。」

「楽しむだけでいいって言ったの俺だしな〜……」

う〜ん、と伸びをしながら1人反省会をする俺の前には先日のライブの評価、コメントが映し出されていた。

その時がちゃ、と後ろのドアが開く音がした。

「敵の本拠地に上がり込んでくるのはお前ぐらいだ、ぞ……?」

俺は振り返って固まった。予想していた人物と全く違う人物がそこに立っていたからだ。

千砂都「今日は私でした!」

「ちょ、な、千砂都?なんでここを……?まさか……」

創くんが教えてくれたの、とスマホの画面を見せてくれる千砂都。そこには確かにこのスタジオの住所が記されていた。

「あいつ……覚えとけよ……」

あはは……と笑う千砂都。

千砂都「ちょっとね、用事があってきたんだ。」

「え?あ、あぁ、わかった。とりあえず横の部屋に行こう、ここじゃ椅子もないしな。」

 

「用事なんて珍しいな。」

千砂都の目の前にお茶とお茶菓子を置く。

千砂都「ありがと、なるくんさ、なにか悩んでいることない?」

「え?いや特には……ないけど。」

意外な質問に俺はきょとんとする。特段悩んでいることは無い。

千砂都「創くんも心配してたんだ、この前ちょっと変だったって……」

「この前?あぁ……あれは本音だよ。」

実際そうだ、自分の曲を聞くのはむず痒いし、マルガレーテは俺に見られていない方がいいと思った。

千砂都「けど、なるくんすごく辛そうだよ……?」

「……んなことない、気のせいだろ。」

俺はすくっと立ち、千砂都に顔を見せないように振り向く。

千砂都「けどっ!

「千砂都、俺たちは敵同士だ。」

俺はかつての冷たい目で千砂都を見つめる。

千砂都「そ、それは……敵というか……」

千砂都は俯き、黙り込む。

「……悪いことは言わない、今はLiella!に集中しろ。」

「千砂都が見るべきは俺じゃなくてLiella!だ。」

千砂都はごめん……と小さな声を発する。少し強く言いすぎたかと頭を搔く。

「悪い……今日はもう遅いから、送ってくよ。」

 

俺たちは暗くなった原宿の街を無言で歩いていた。その間俺はずっと考え事をしていた。

なんで、俺はマルガレーテのステージを見れないんだろう。

見ないのではなく、見れない。

そんなことを考えていると、もう千砂都の家の前に着いてしまった。

「じゃ、俺はこれで。」

千砂都「ううん、なるくん……ごめんね。」

玄関のドアの前で千砂都はまた俯く。

「…………」

「千砂都に言われてやっとわかったよ。」

え?とキョトンとした顔で俺を見る千砂都。

「俺は歌が怖いみたいだ。」

東京大会でのマルガレーテのステージ、そしてこの前のリモートライブ、俺は今までマルガレーテのステージに向き合えたことは無かった。

「自分が評価されるのが怖いんだって気づけた。」

千砂都「……かのんちゃんに似てるね、なるくんは。」

千砂都の口から意外な人物の名前が出る。

「俺と、かのん先輩が?」

千砂都「うん。かのんちゃんもね、歌えなくなっちゃったことあったんだ。」

あのかのん先輩にそんな過去があったなんて知らなかった。

千砂都「すごく、辛そうだった。私にはわかってあげることができないことだったし、何も出来なかった……」

千砂都はぎゅっと拳を握る。まるでその時を思い出しているかのように。

「……千砂都は優しいんだな、そこは昔っからずっと一緒だ。」

千砂都「そんなことないよ、私は……何も出来ないのが嫌なだけ……」

俺は自然と千砂都の頭に手を伸ばしていた。特になにか意図があった訳では無いが、気づけば俺は千砂都の頭を撫でていた。

「ありがとな、俺のことそんなに気遣ってくれて。」

千砂都「ぇ……あ……ぅ、うん……ど、どういたしまして……」

恥ずかしいのか千砂都は耳まで真っ赤にしている。……そんな反応されると俺も恥ずかしくなって、千砂都の頭から手を離す。

「1回、歌と向き合ってみるよ。それと……マルガレーテともな。」

千砂都「……うん!なるくんならきっとできるっ!」

にっ、と歯を見せて笑いながらガッツポーズをする千砂都に微笑み返す。

軽い挨拶の後、俺は帰路についた。

 

創視点──────

恋「かのんさんたちのリモートライブすごくよかったですね。」

きな子「きな子たちのクラスでもその話題でもちきりっす。」

きな子ちゃんの言葉に可可先輩はむすっと頬を膨らませる。

可可「このままデハ……」

可可「このままデハあの3人の方が結ヶ丘のスクールアイドルとして有名になり〜……ゆくゆくは〜……」

え?何この景色?可可先輩の妄想?

 

冬毬「トマカ!」

マルガレーテ「ノーテ!」

かのん「改め!」

3人「Newella!でーす!」

成生「お前ら旧ella!はお払い箱ってわけだ。」

 

可可「などということニ〜……」

わなわなと手を口の前で震わせる可可先輩を冷めた目で見つめるすみれ先輩。

すみれ「Newella!に旧ella!になんだってのよ……」

夏美「ま、あの3人ならいい線行くのは当然ですの……」

珍しく夏美が暗い表情を見せる。画面には冬毬ちゃんが映っていた。

「冬毬ちゃんのこと、気になる?」

べ、別に!と夏美はパソコンを閉じる。

千砂都「私たちもかのんちゃんたちに負けない、いいライブにしなきゃね!」

にっ、と歯を見せて笑う千砂都先輩。

メイ「このライブを超えないとってことだよな。」

千砂都「当然!優勝目指すんだよ!」

ぐっ、と拳を握る。LoveLive!2連覇……それがLiella!の目標。

「ただ次の代々木スクールアイドルフェス、誰がセンターやりますか……?」

Liella!不動のセンター、澁谷かのんがいない今、他のメンバーからセンターを選出しなければいけないのは必然。

すみれ「千砂都、あなたがセンターをやれば。」

私?と首を傾げる千砂都先輩。

すみれ「かのんのライバル、対等に戦えるのは貴方なんじゃないの。」

千砂都「うーん……私は2年生にセンターをやってもらいたいな!」

千砂都先輩の口から飛び出したのは意外な言葉だった。

2年生「えっ?」

千砂都「今回は新しいLiella!を見てもらうライブ、今までセンターをやったことがない人がいいと思うんだ。」

すたすたと部室の中を歩き、とある人物の前で千砂都先輩は立ち止まる。

千砂都「四季ちゃん、センターやってみない?」

メイ、創「四季が!?」

僕とメイは同時に驚きの声を上げる。

千砂都「ずっと思ってたんだ、四季ちゃんには四季ちゃんにしか出せない魅力がある。今のLiella!に新しい風を起こせるんじゃないかって。」

新しい風……と考えていると視界の端に情けない顔のメイが……嬉しさが隠せてないよ、メイ。

 

その後、2年生組でいつもの行きつけの喫茶店に来ていた。

夏美「それにしても、四季がセンターとは……」

きな子「千砂都先輩の言う通り、新しい風が吹きそうっす!」

話題はやはり四季のセンターの話に。注目が四季に集まるが、当の本人は気まずそうに俯く。

メイ「大丈夫!四季ならできる!」

メイ「ずっと思ってたんだ四季がセンターだからこそ生まれる妖艶かつクールなライブ!いやあえて激しいライブで意表を突くことも可能……!」

1人盛り上がるメイに四季はメイが見たいだけ、と短く一蹴する。

「けどずっと思ってたのは僕も一緒、四季のセンターはきっといいライブになるよ。」

四季「創まで……」

はぁ、とため息をつく四季。その横できな子ちゃんはそういえば、と口を開く。

きな子「作曲はメイちゃんが担当なんすよね。」

メイ「あぁ、先輩たちに頼まれちゃったからな。自信はないけど精一杯頑張るぜ。」

メイの言葉に続き、夏美がどんっとメイの肩に身を寄せる。

夏美「そして私が衣装担当!」

きな子「それなら作詞はメイちゃんと創くんでやってみたらどうっすか?創くん1回やったことあるっすし。」

「えっ?僕とメイで?」

僕の言葉にこくり、と頷くきな子ちゃん。

きな子「お互い相談しながらやってみたらどうっすか……?」

「僕は構わないけど、メイは?」

ちらりとメイの方を見るとはっとした様子でこちらに向き直る。どうやら四季のことをずっと見ていたようだ。

メイ「え……あぁ……四季が嫌じゃなければ……」

再度四季の方に向き直り返事を待つ。

四季「…………メイも創も……本当に私がセンターでいいと思ってるの?」

メイ「あぁ、もちろん!」

「メイと一緒だよ。四季のセンター、見てみたい。」

四季はどこか曇った表情でわかった、と短く答える。

夏美「ぬわぁ〜、もうこんな時間!し、失礼しますの〜!!」

といきなり夏美は大きな声を出してどたどたと店外へ出ていく。

……なんか四季の様子が変なような、気のせいかな。




今回も読んでいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。
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