ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第36話「雨が降らなければ、虹は出ない」

創視点──────

「ふぅ……っと。」

検査入院から帰って2日、僕は再び結ヶ丘に帰ってきた。

「おはよ〜。」

メイ「お〜……って創じゃねえか!もう大丈夫なのか……?」

心配そうに僕を見つめるメイに大丈夫と返す。

四季「創に報告しなきゃいけないことがある。」

「えっなに。」

僕の顔を見てきな子ちゃんがだだだっと駆け寄ってくる。

きな子「創くん!良かったっす〜!!あとそれと大事件があって……!」

「わ、わかった、わかったから落ち着いて……!」

す、すまねえっす……と呟くきな子ちゃんの奥の方で夏美はずっと窓の外を眺めている。夏美に何かあったのかな……

 

僕はその後、部室にてメイと四季、きな子ちゃんから夏美の家で起こった一連の騒動について教えてもらった。

「複雑な姉妹関係だね……」

部室には先客として可可先輩、千砂都先輩、かのんさんが座っていた。

かのん「けど何もかもダメってわけじゃなくて、夏美ちゃんをすごく応援してるし……夏美ちゃんのこと大好きだよね……」

千砂都「傷ついて欲しくない……か。」

その時ガラっと部室のドアが開け放たれる。そこに立っていたのはマルガレーテだった。

マルガレーテ「いた!やっぱりここだったのね!」

入ってくるなりかのんさんの頬をつねりあげ、無理やり立ち上がらせる。

マルガレーテ「な!ん!で!あんたがここにいんのよ!敵の本部みたいなとこでしょここは!」

かのん「敵とか言うのやめようよ〜……!同じスクールアイドルなんだよ〜……」

頬をつねられているせいで全体的にふがふがしているが多分こんなことを言っているような気がする。

マルガレーテ「だからあんたと組むのは嫌だったのよ!そんな甘い考え!」

千砂都「マルガレーテちゃんはどう思う?」

は!?と千砂都先輩の方に意識が向く。その隙にかのんさんは僕の後ろに隠れる。

「かのんさん……僕の後ろに隠れてもマルガレーテは俺ごと殴ってきますよきっと……」

えぇ!?とわたわたしているかのんさんを無視してマルガレーテは話し出す。

マルガレーテ「私だったらなんと言おうと諦めないわよ。というか、アンタらのうちの誰か、あれもってんじゃないの。」

僕たち2年生の方を指さす。

メイ「……これのことか?」

おもむろに鞄から取り出したのはボロボロになったノート。表紙には夢ノート、と書かれていた。

マルガレーテ「……ほっとくのかちゃんと向き合うのか、さっさと決めなさいよ。心折れるわよ、アレ。」

アレ、というのはおそらく夏美のことだろう。マルガレーテは僕の後ろにいたかのんさんの頬を再び掴み無理やり部室から引きずり出していった。

「……行ってみよう、夏美のところ。」

僕の言葉に、2年生はうん、と頷く。

 

僕たちは教室の椅子に座りぼーっとしていた夏美の前に4人で立つ。机の上にメイが夢ノートを置く。

夏美「……!」

メイ「……悪いが少し見させてもらった。」

夏美「これは……」

きな子ちゃんが言いづらそうに口を開く。

きな子「冬毬ちゃんに渡されたっす。夏美ちゃんがどれだけ夢を追いかけてきたか、どれだけ諦めてきたか……」

少し黙ってから夏美は話し出した。

夏美「皆さんも、冬毬と同じ考えですよね。こんな私が夢を追いかけても無駄だって。」

「実際、自分たちが先輩よりも実力があるだなんて思えないし。」

四季「私たちの力で優勝なんて夢のまた夢……」

夏美はぐしゃぐしゃになった夢ノートの上に手を置く。まるで、昔を懐かしむかのように。

夏美「昨日、冬毬と話しましたの。」

冬毬『このままスクールアイドルを続けても、またきっと傷つく日が来ます。』

夏美『わかってる。』

冬毬『叶わなかったら、高校でロストした時間の分だけ後悔する。』

夏美『わかってる……』

冬毬『マニーを稼げるようになって、姉者は落ち込まなくなった。いつも笑顔になったし、自信に満ち溢れていました。』

冬毬『私は、姉者の笑顔が好きなのです。姉者にはずっと笑顔でいてほしい。』

「笑顔……」

夏美「実際、冬毬の言う通りですの。ここにいるメンバーで頑張っても届かなかった時はきっと……」

四季「傷ついて落ち込む。」

四季の言葉に夏美は黙って頷く。

きな子「でも、きな子、このノート見て感動したっす!」

夏美「感動?」

夏美はきな子ちゃんを訝しむように見つめる。

きな子「夏美ちゃん、こんなにたくさん挑戦してきたんだって!」

夏美はきな子ちゃんの真剣な顔を見て一瞬呆気に取られた表情をするも、すぐにふっと自分を嘲笑うかのように笑う。

夏美「……全部失敗してきたんですのよ?」

メイ「アタシは対して失敗もしてないのにクヨクヨしたこともあってかっこ悪いな自分……って思った。」

「夏美は全部諦めてきた、できなかったって思ってるかもしれないけど、それは全部夏美だから挑戦できたことなんじゃないかな。」

メイ……創……と僕たちの顔を交互に見る。

きな子「夢を叶えようって思ったら、傷ついたり落ち込んだりするから笑顔になれる日が来るんっすよね!」

夏美「きな子……」

四季はぼそりと呟く。

四季「No rain. No rainbow.」

「雨が降らなければ虹は出ない、外国のことわざだっけ。」

うん、と四季が頷く。

メイ「いいじゃねえか、どうせならでっかい虹つくろうぜ!」

いつもの笑顔に戻った夏美を加え、僕たちは久しぶり2年生5人で集まれた気がした。

 

冬毬視点──────

家に帰るまでの電車を待っている時間、この時間を何か有効活用できないかとずっと考えている。

私のポケットの中でスマホが震える。私に連絡をしてくるのは……姉者しか基本いませんね。

夏美「牛久シャトーに来て、待ってるから。」

私のスマホに届いたその文面には、姉者が一切夢を諦める気がないという気持ちが詰まっていた。

 

雨の日の牛久シャトー、地面には色とりどりの丸いライトが置かれ、周囲を明るく照らしていた。

中心にあるステージ……と言っては大袈裟な円卓に姉者を始めとしたLiella!の2年生の皆さんが立っていた。

「何ですか……これは?」

私は中心に立つ姉者を見つめる。

夏美「冬毬、ありがとう。私の笑顔を好きと言ってくれて。」

「それは事実ですから。」

そんなことか、と私は姉者にノータイムで返答をする。

夏美「落ち込む時や、傷つく時があったとしても、スクールアイドルに出会えて初めてわかったの。」

先程雨を降らせていた曇り空に一筋の光が差し込み、姉者と私をオレンジ色のスポットライトで照らす。

夏美「本当に楽しいって思える笑顔、マニーよりももっともっと最高な笑顔になれると信じているの!」

夏美「だからこれからも私を見ていてほしい!涙を流したここからもう一度!最高の笑顔を目指しますの!」

姉者は横にいた四季先輩、メイ先輩、きな子先輩と固く手を結ぶ。

夏美「雨の後の、あの虹のように!!」

姉者の後ろには、まるで姉者の門出を祝うかのように大きな大きな虹がかかっていた。

『夢なんて、持つものじゃない。』

『夢は、きっと───────』

『夢はきっと、また姉者を傷つけるッ!』

……あの日の私は、どうやら間違っていたのかもしれません。

ですが姉者、私にだってあるのです。

姉者を守る覚悟が。

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