ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
新生活の準備のため、これからは以前ほどの更新ペースを維持することは難しくなってしまいますが、たまに見に来たら増えてるな、ぐらいの気持ちで読んでくださると嬉しいです。
ご理解の程よろしくお願いします。
創視点──────
選択科目の授業で僕はたまたま四季と一緒になった。メイと夏美ときな子ちゃんはまた別の授業である。
僕が授業の準備をしていると四季は僕の方に近づいてくる。
四季「創、今日話すの?」
「うん、一応そのつもり。」
四季は1冊のノートを僕の机の上に置く。その表紙には何も書かれておらず、一見何用のノートなのかはわからない。
四季「これ、一応事件について調べてきた。それと……成生くんのこと。」
「四季……!危ないでしょ……!」
大丈夫、出歩いて調べたりはしてない、という四季の言葉を信じて胸を撫で下ろす。
四季「ただ、所詮はネットにあった情報、可能性の一部として考えて欲しい。」
「うん、ありがとう……読んでみるよ。」
四季は無言で自分の席へと戻っていく。
ノートを開くと僕の事件のことが1ページ目に書かれていた。悪いがここのページは飛ばして読ませてもらうことにする。
事件や事故、それに噂まで、詳細に調べた上で書かれている。
「国光製作所……少し気になる……」
父さんが建てた建物、そしてYATSUGAKEの噂……ふたつの要素が合わさっている唯一の場所。
それに1人になってしまった息子さん……僕と境遇が似ている人……
「あ、授業……!」
いつの間にか授業時間になってしまい、僕は慌ててノートを閉じた。とりあえず、国光製作所について深く調べてみる必要がありそうだ。
……成生には関係ない、と思いたいけど……赤の他人にしては余りにも似すぎているような気がする……
ひとまず授業に集中しないと、と僕は四季から預かったノートを机の中にしまい込んだ。
放課後も僕は四季から預かったノートを黙って読み進めていた。僕の知らなかった父さんの関わった出来事を知るのは少し怖かったが、真実を知りたいという気持ちが勝ってしまった。
きな子「創くん、何読んでるんっすか?」
「え、あ〜っと……ちょっと勉強……はは……」
いきなりきな子ちゃんに声をかけられ、不器用に誤魔化す。
きな子「偉いっすね……夏美ちゃんも、創くんも……」
あまり聞いたことの無いきな子ちゃんの声色に僕は思わず顔を上げる。しかしきな子ちゃんはいつも通りの笑顔だった。
メイ「創、きな子、そろそろ部活行くぞ〜。」
きな子「あ、今行くっす〜!」
鞄を両肩にかけ、たったっと廊下に向かっていくきな子ちゃん。
「…………」
少しきな子ちゃんの様子を気にかけて見てみよう。なにか引っかかる。
「ひとまず今日はみんなに話さなきゃ。」
僕は鞄をよっと肩にかけてきな子ちゃんの背中を追いかけた。
その後僕は部室に集合し、話があるということでみんなに集まってもらった。そして先日思い出したことを話した。
すみれ「事件の犯人の手がかり!?」
「はい、ですがそれが……」
僕が言いにくそうに口を噤んでいると千砂都先輩が僕に近づく。
千砂都「もしかして、なるくん?」
「……わからないんです、けどどこか成生に似ていて……」
なんとなく違う……あれは成生じゃない、そう思ってはいるんだけど、確証が持てない。
可可「それなら問いただした方が早いデス!」
メイ「待てよ!ほんとに犯人だったらどうすんだ!」
駆け出そうとする可可先輩を荒い口調で食い止めるメイ。
恋「ひとまず、安易に情報を広めることは避けましょう。もし犯人の耳に入ったら危険です。」
恋先輩の言葉に僕たちは唾を飲んだ。
四季「個人的に調べてた。創のお父さんのことも、YATSUGAKEのことも。」
四季は僕が返したノートを机の上に置く。すみれ先輩はぴらぴらとページを捲る。
すみれ「ネットだけでよくここまでの情報集めたわね……」
夏美「ただネットの情報なら真偽を確認する必要がありそうですの。」
「僕、会ってみたい人がいるんだ。」
みんなが僕の方を見てぎょっとする。
メイ「四季にも言ったが相手が殺人犯だったらどうする気だ。それに……創はもしかしたら顔を覚えられてるかもしれないんだぞ。」
僕の前に勇み立ったメイは黙って僕の目を見つめる。
「わかってる、けどこの人にはどうしても聞きたいことがあるんだ。」
僕はノートの一文を指さす。
「国光さんの息子さん、この人なら何か知っているのかもしれない。」
恋「そんなの、危険です!理事長にだって黙ってはいられません!」
恋先輩は柄にもなくだん、と机を叩く。
「けど、僕は真実を知りたい。それが僕のためでもあり、父さんのためでもあるから。」
「今が向き合う時だって、思ったんです。」
僕の嘘の無い言葉にみんなが息を飲む。
四季「……一応、国光さんの息子さんがいた施設はわかってる。」
メイ「おい四季っ……!」
四季「私が創の立場だったら、同じように考える。だから私は創を助けたい。」
メイは少し考え、はぁ……とため息をつく。
メイ「恋先輩、この2人にはアタシも着く。それでいいだろ?」
恋「で、ですが……!」
千砂都先輩は恋先輩の前にばっと手を出す。
千砂都「わかった、けど危なくなったらすぐ逃げること。そして慌てないこと。」
恋「千砂都さん……!」
千砂都「部長としても、仲間としても、信頼してる。だから創くん、絶対無事に帰ってくるんだよ。」
「……はい!」
数日後、僕は国光さんがいた施設へと電話をかけた。
そこで国光さんはもう施設を出ているということだった。
こちらの事情を言わずともわかってくれたのかは分からないが、少し待ってね、という言葉の後、国光さんと話せるように繋いでくれた。
「あ……あの結ヶ丘高校の神谷創と言います。」
国光「創……まさか、あの創くんかい!?健さんの!?」
一言目から大きな手がかりの予感を感じる。
「はい、僕は安城健の息子です。少し、国光さんにお伺いしたいことがありまして……」
国光「あぁ、わかった。こちらも1度話してみたかったんだ。コンタクトを取ってくれてありがとう。」
少し不安になるぐらいにトントン拍子で話が進んでいく。今度の休みに会えないか、と尋ねられた僕は二つ返事で了承した。
この日僕たちは国光さんととある喫茶店で落ち合うことにした。
四季「あまりに事が上手く進みすぎてる……」
顎に手を当てながら四季は今の状況を訝しんでいる。
「けど、会わなきゃ始まらないよ。」
メイ「わかってるな。危なくなったらすぐ逃げる、千砂都先輩との約束だぞ。」
僕と四季は頷き、待ち合わせしていた喫茶店へと入る。他にお客さんはおらず、マスターはこちらを一瞥した。
マスター「あんたらの会いたいやつはあっちの奥だ。」
「あ、ありがとうございます……」
低い声と強面さも相まってだが、すごい威圧感がある。僕たちは足早に店の奥へと歩みを進めた。
?「おぉ!こっちだよ!」
店の奥のテーブル席でワイシャツ姿の爽やかな20代くらいの男性が手を振っている。
「遅くなってすみません、神谷 創です。」
メイ「結ヶ丘高校の米女 メイ。」
四季「同じく若菜 四季。」
メイと四季は警戒態勢を解かず、目の前の男性を真っ直ぐ見つめている。
築「話には聞いてるよ。僕は国光 築、今日はよろしく。」
座っていいよ、と手でジェスチャーをする築さん。僕たちは目の前に3人並んで座る。
メイ「まずあんたが信用に足る人物なのか証明してもらいたい。」
「ちょ、ちょっとメイ!すみません……!」
築さんは少し微笑み、メイの方をじっと見つめる。
築「いや、米女さんの気持ちもわかる。僕がなぜ創くんと話したかったのか知りたいんだろう?」
メイはあぁ、とぶっきらぼうに返事をする。
築「実は僕も事件を追っているんだ。創くんが巻き込まれたあの事件をね。」
四季「僕も、というのは?」
築さんは胸ポケットから取り出したものをこちらに見せる。それは警察手帳だった。
築「これで信用に足るかどうかはわからないが、僕は捜査一課の一員なんだ。創くんの事件をずっと追ってきた、未解決事件と言われてからもずっと、ね。」
築さんはすっ、と目を伏せる。
四季「健さんに恩があるからですか?」
築「うん、健さんは僕の育ての親……と言っては大袈裟だけど、大事な人だったんだ。」
築「荒んでいた僕が人に心を開けるようになったきっかけの人。」
にっ、と笑い歯を見せた後、カバンから何枚かの書類を取り出す。これは極秘のやつじゃないから、と指を立てて、口に当てる。
築「それで、何故創くんは僕と話したかったんだい?」
真っ直ぐに僕を見つめる目は、さっきまでの優しい目ではなく、捜査一課としての目に変わっていた。
「生前の父さんを知っている人と話したいという気持ちが1番ですが……」
「実は、犯人の顔をぼんやりですが思い出した気がするんです。」
築「本当かい……!?」
信じられないという様子で目を見開く。
四季「あとは、これも。ネットの情報なのでもう知ってることかもしらないですが。」
四季はノートを机の上に置く。築さんはそれを失礼するね、と手に取りペラペラと読み進める。
築「うん……すごいね、ここまでの洞察力を高校2年生で……YATSUGAKEとの関係性は確かに考えていなかったな……」
メモ帳を取り出し、すらすらとメモを摂る。
築「創くん、犯人の似顔絵描けるかい?何となくでいいんだ。」
メモ帳とペンをこちらに手渡す築さん。ゆっくりでいいからね、と気を遣ってくれる。
「ありがとうございます。似顔絵……か。」
僕は必死に犯人の顔を思い出そうとする。頭の中で炎が燃え盛る音や、振り下ろされた斧が骨に当たる音なども思い返され、吐き気を催す。
メイ「創!無理すんな……!」
「ごめん、大丈夫……知りたいんだ、どうしても……」
ぐっ、とペンを握って、似顔絵を描き進める。
メイ「創……」
僕の描く犯人の顔はどうしても成生の顔に似てしまう、違う、違う、と拒んでもどうしても似通ってしまう。成生を信じなきゃいけないのに、その気持ちがぐらぐらと揺らいでいくのがわかる。
四季「本当に、似てる……」
メイ「あ、あぁ……」
築「似てるって、誰にだい?」
メイはやべっ、という顔をして僕と四季の顔を交互に見る。
創「僕たちはYATSUGAKEの息子と友人なのですが、そっくりなんです。僕が思い出した犯人と。」
四季「けど、その子じゃないと思うんです。その子はそんなことをする人じゃない。」
いつになく真剣な四季の表情に僕とメイは黙って四季の顔を見つめる。
築さんはコーヒーを一口啜り、口を開く。
築「君たちの友人だというのなら信じたい気持ちもある。しかし先程若菜さんが見せてくれたノートの内容を見てからでは疑わざるを得ない。」
「けどっ、成生はっ……!」
築「……その子について僕も少し調べてみる。あくまで僕は公正な立場でいなくてはならないんだ、申し訳ない。」
築さんは僕たちの目の前で深々と頭を下げた。
築「創くん似顔絵をありがとう。よく頑張って描いてくれたね。」
その後なんとか似顔絵を描き終えた僕は、メモ帳とペンを築さんに返し、傍にあった水を一口飲んだ。
「いえ……ですが、それだけでは何も手がかりになりませんよね……?」
いやそんなことはないよ、と話しながら念入りに色々な方向からメモ帳の写真を撮影する築さん。
築「まずはデータベースで検索をかけて見るよ、過去に逮捕歴などがある人物かもしれないからね。」
築「3人とも今日は疲れただろう。この辺りでお開きにしておこう。」
僕たち3人は築さんと店の外で別れ、帰路に着いた。築さんはこの後署に戻って残っている仕事を片付けるそうだ。
メイ「……まだいい人かどうかはわからないが、警察ってのは本当みたいだな。」
メイの言葉に四季は頷く。
四季「創は、どう?」
「え、どうって?」
四季の言葉の意味がわからず、僕は聞き返す。
四季「似顔絵を描いてみて、やっぱり成生くんだと思う?」
「……そう思いたくない、って無理やり納得させようとしてるんだけど、自分の記憶が間違っているとも思えなくて……」
成生の顔と、僕の記憶の中の顔が重なる。完璧な一致では無いものの、他人とは思えないほどに似ているその面影が僕の気持ちを揺らがせる。
メイ「ひとまず、会えてよかったんじゃねえか。創も疲れただろ、今日はゆっくり休んだ方がいい。」
メイの言葉に四季も頷く。
四季「創の家まで送っていく。私たちと手、繋ぐ?」
「繋がないよ!」
あはは、と笑いながら僕たちは久しぶりに3人で帰った。
真実がわかった時、僕はどんな風に思うんだろう。
すっきりするんだろうか、それとも犯人に苛立つんだろうか、それともまた別の感情を抱くんだろうか。
どんな結末を迎えても、僕は僕でいられるんだろうか。