ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
今回はあまり長くならないと思ったんですけど……
変わらず楽しんでいただけたら嬉しいです。
練習中──────
僕はランニングのゴール地点である代々木公園にて、みんなが飲むスポーツドリンクのセッティングをしている。
先輩たちが次々とゴールし、「お疲れ様です。」の一言とともにスポーツドリンクを手渡す。
千砂都「どう?ちょっと慣れてきた?」
額の汗を拭きながら千砂都先輩が気にかけてくれる。
「はい!みなさん優しくて、マネージャーの仕事楽しいです!」
その返事を聞き、みんなが笑いあって「よかった」と安堵の声を漏らす。
そうこうしてるとまるで上半身が泳ぐような姿勢でヘトヘトになったきな子ちゃんもゴールした。
「お疲れ、きな子ちゃん。どんどんタイム、よくなってるよ。」
ほら、ときな子ちゃんのタイムが表示されたストップウォッチを見せる。入部したての頃よりも少しではあるが速くはなってきている。
きな子「ほん、とだっ……ありがとっす……創くん……」
そう言うとふぃ〜……と手渡したタオルで汗を拭う。
きな子「あれは……ステージっすか?」
「ほんとだ、あんなところにあったんだ。」
かのん先輩がこちらをちらりと見て。
かのん「2人は見るの初めて?」
ぼくときな子ちゃんはこくりと頷く。
すみれ「去年はこのステージで歌ったのよ。」
可可「歌ったのは可可とかのんデス。」
じっと可可先輩がすみれ先輩を見る。
かのん「もう1年かぁ……」
可可「そういえば今年はあるんでしょうか……」
と言ったその時、恋先輩のスマホに通知が届く。
恋「きました!……Liella!招待されました!」
同日、部室──────
恋以外の5人「最後?」
恋「はい、Liella!には1番最後をお願いしたいと。」
ぼくの正面に座っていたすみれ先輩がわなわなと肩を震わせる。
すみれ「それってつまり……トリ!!ずばり私たち、主役ったら主役よ!!」
すみれ先輩がよくやっているギャラクシーのポーズをして勢いよく立ち上がる。「うるさいデス」と可可先輩。
かのん「ほんとにいいの?私たちで。」
可可「今年はSunnyPassionサマが出演しませんので。」
聞きなれない単語が可可先輩の口から出る。
「すみません、SunnyPassionって……」
とおずおず手を上げると、可可先輩の顔が僕の目の前に迫る。
可可「SunnyPassion様を知らないのデスか!?去年のLoveLive!優勝者!今最も素晴らしいスクールアイドルデスよ!」
今までにない勢いで可可先輩の熱を感じた。
「ご、ごめんなさい!可可先輩はスクールアイドルお好きなんですね……」
そう言うと可可先輩はふふん、と自慢げに鼻を鳴らして。
可可「当たり前デス!可可はスクールアイドルをするために上海からやってきたんデスから!」
そんな可可先輩をすみれ先輩が優しい姉のような表情で見守る。
千砂都「てことは、今年はLiella!が優勝候補なんだね。」
千砂都先輩がおもむろに口を開く。横にいたかのん先輩が。
かのん「でもフェスってLoveLive!と直接の関係は……」
「前年優勝者がトリで披露していたのなら、そういうことになりますよね。」
千砂都先輩が僕の言葉を聞いて頷く。
かのん「そう思うと、私たちって1位ってないんだね……」
弱気なかのん先輩を見て可可先輩とすみれ先輩がニヤリと笑う。
可可「だからこそ、今年結果を残すんデス!」
すみれ「その通り!ギャラクシーな優勝候補であることを見せつけるのよ!」
恋先輩がふふ、と笑い「息がピッタリなおふたりを信じて頑張りましょう。」と言うと、息がピッタリな2人はフン!とお互いに顔を逸らす。
その後帰宅の準備をしていると、かのん先輩から声をかけられる。
かのん「創くん、今日1人?もしよかったら途中までどうかな?」
憧れの先輩からお誘い、迷うことなく「ご一緒します!」と返事をした。
かのん「ありがとうね、急に誘ったのに。」
「いえいえ、先輩と話すの楽しいので!」
そう言うとかのん先輩はよかったぁ、とほっと一息を着く。
かのん「そう言えば創くんはなんで私たちのマネージャーに?理事長に提案されたって言ってたけど。」
そういえば、理由の説明はまだしてなかったっけ。
「そうですね、1番は夢を追いかけてる人を応援したかったんですよね。」
かのん「へぇ……すっごい素敵!」
かのん先輩の反応に少し照れながらも続きを述べる。
「あとは……父に見せてあげたいんです。僕が父の遺したもので、夢を見つける瞬間を。」
かのん「お父さん……?」
「はい。僕の父は音楽科の校舎の建設に関わっていたんです。」
かのん先輩はそうだったんだ、と驚いた顔をする。
かのん「お父さんに、見せれるといいね。創くんの輝き。」
「輝き……」
僕はいつの間にか握りしめていた自分の拳を開いて見据える。もちろんまだ拳の中には何も無い。
かのん「あ……っと着いちゃった。創くん、ありがとね話聞かせてくれて。」
いつの間にかかのん先輩の自宅の前まで来てしまった。どうやらカフェを経営しているらしい。
「あ……すみません!僕ばっかり喋っちゃって……」
かのん「いいのいいのいいの!また聞かせてね。」
ばいばい、と笑顔で手を振ってかのん先輩は店のドアを開く。ドアベルの音と優しいかのん先輩のお母さんと思われる人の声がうっすらと聞こえる。
かのん母「あら〜彼氏くん?なにか飲んでいかなくていいの?」
かのん「そういうんじゃないって!この前言ってた後輩くんだから!」
……かのん先輩の家はなんだかとっても楽しそうだ。
「輝き、か。いい言葉。」
うーん、とひとつ伸びをして僕は帰路に着いた。
代々木スクールアイドルフェスティバル当日──────
「これが代々木スクールアイドルフェス……」
普段はランニングや散歩に来た人しかいない代々木公園には人が大勢集まっていた。出店なども出てまさに祭りといった様相である。
千砂都「ほらほら、かのんちゃんこっち向いて〜。」
かのん「え゛っ」
千砂都先輩にカメラを向けられてかのん先輩が固まっている。
千砂都「ステージに向けた意気込みをどうぞ!」
かのん「ちょ、ちょちょ何これっ!」
かのん先輩は助けを求める形で可可先輩の腕をガシッと掴む。
可可「ライブの裏側をあとでアップしようと思いまシテ。」
かのん「じゃあみんな見るってこと……!?」
すみれ先輩が当たり前でしょ、と眉を顰める。
「すみれちゃんお願い!」っとかのん先輩がすごい勢いで画角内からフェードアウトする。
すみれ「まったくしょうがないわね〜っ……こういう時はギャラ」
千砂都「あ、バッテリー切れた。」
なぁんでよっ!とすみれ先輩が吠える。
「千砂都先輩、モバイルバッテリーいります?」
千砂都「ありがと〜!助かる!」
ナナミ「かのんちゃん!」
かのん先輩たちの同級生と思われる3人の先輩たちが応援に駆けつけてくださった。
ヤエ「みんな会場以外のとこでも応援してるよ!がんばってね!」
そう言われるとかのん先輩の顔が自信たっぷりの顔つきに変わる。
かのん「みんな、頑張ろ!」
すっ、とピースにした手を差し出す。いつものお約束のあれをやるらしい。
6人「うぃっす、うぃっす、うぃっすー!」
もちろん男の僕は控え室まで入ることはできず、関係者用のチケットを持ってそれなりにステージが見える席へたどり着いた。
早速1人目のスクールアイドルが歌唱するらしい、Liella!以外のライブを目の前で見るのは初めてなので楽しみだ。
かのん「創くん!ちょっと横いい!?」
本来ここにいるはずのないかのん先輩が僕の横へいきなり飛び込んでくる。
「えっ!?か、かのん先輩っ!?時間はっ!?」
かのん「あの子だけは見なきゃ……!」
そう言った時会場を包み込む大衆から歓声が上がる。
パンフレットに書かれた名前は……ウィーン・マルガレーテ……中学三年生!?
ばっとステージを見上げると、黒いドレスに身を包んだ少女の淡い紫色の髪が靡く。そしてこちらを一瞥する。その視線の先にいたのは僕ではなく、かのん先輩。「そこで黙って見ていろ。」と言わんばかりの眼力であった。
ウィーン・マルガレーテの歌の衝撃に圧倒され、披露が終わったあとも僕はただステージを見上げることしか出来なかった。
ライブ後、歩道橋──────
すみれ「ここでいつまで佇んでるつもりよ。」
みんな暗い表情で眼下を行き交う車を見ていた。その中でも1人、きな子ちゃんだけは涙を浮かべていた。
可可「いいから黙っているデス!」
きな子ちゃんを心配してかすみれ先輩に厳しい言葉を投げかける。
千砂都「けど2年連続特別賞なんてすごいよ!」
恋「そうです!すごいことですよ!」
かのん先輩は短く、うん……とだけ。
きな子「ごめんなさい……きな子が上手くなかったせいっすよね……」
先輩たちだけで歌っていたら……と続かせようとするきな子ちゃんの手をぎゅっと握る。
「そんなことない!きな子ちゃんがいて出来たステージだったよ!」
先輩たちが優しい微笑みを浮かべ僕たちを見つめる。
すみれ「そ、誰のせいとか、誰のおかげとかない。みんなで創りあげるものなんだから。」
可可「失敗は成功の準備運動デス!次頑張りまショウ!」
少しの沈黙が流れ、「じゃあ、今日は解散しよっか」という千砂都先輩の言葉にみんなが動き出す準備をする。
みんな表面上は元気に振舞っているが、そのまま微妙な空気感のままその場は解散となった。
後日、放課後部室にて──────
かのん「みんなに話したいことがあるの。」
部室に来たかのん先輩がおそるおそる口を開こうとすると、パンっ!と何かが弾ける音が何度も響く。
生徒たち「おめでとーっ!!」
僕たちスクールアイドル部が呆気に取られていると。
ココノ「新人賞取ったんでしょ!来て!」
僕達は促されるまま結ヶ丘のこれまでに受賞したトロフィーや盾が並ぶケースの前に。数は……僅かに4つ。お世辞にも多いとは言えない。
ヤエ「これは、この学校の去年1年の成果。」
ココノ「全然ないでしょ、優勝もほとんどないし……そりゃそうだよね、1年生しかいなかったんだから。」
そうか……この学校は新設1年目。けど周りは3年生や2年生。どうしても埋められない差が存在する。
ナナミ「かのんちゃん達はまだまだって思ってるかもしれないけど……Liella!はこの学校の誇りなんだよ!」
ココノ「Liella!はこの学校の、スーパースターなんだよ!」
かのん「スーパー……」きな子「スター……」
スーパースター、Liella!はこの学校の一等星。最も輝きを放つ存在なんだ。
ナナミ「だから、これからも優勝目指してほしい!」
それを聞いたかのん先輩の目には涙が浮かんでいた。
恋「ライブ、しましょう!場所は決まり、ですよね!」
かのん「うん!」
かのん先輩の後ろでLiella! LoveLive!東京大会 2位の盾がキラリと輝いた。
「Liella!のライブ、まもなくです!!」
僕はナナミ先輩たちと一緒にチラシを配っていた。チラシを受け取りにメイが僕のところへ来た。
メイ「頑張ってるみたいだな。」
メイの鞄からはペンライトの頭が何本も顔を出していた。
「それ……いつも持ち歩いてるわけじゃないよね……?」
そんなふうに会話していると近くにいたナナミ先輩が声をかける。
ナナミ「創くん、もしかして友達?一緒に見に行っちゃいな!」
「えっ、けどチラシが……」と狼狽えていると「チラシは私たちが配っておくから!ほら早く行く行く!」とヤエ先輩にぐいぐいと背中を押される。
「すみません!チラシお願いします!」
と深深と頭を下げる。先輩3人方はビシッとサムズアップする。
最前の席を確保していた四季を見つけ、2人で人の波を抜ける。
四季「メイのために席取っておいた、不要?」
メイは「必要!」と食い気味に返事をする。
四季「創、仕事ないの?」
「うん、先輩たちが友達と見てきなって。」
そう言うと四季は少し微笑んで「優しいんだね。」と一言。
そんな会話をしているとLiella!のライブが始まった。
メイ「はぁぁ……最っ高……!!」
メイは僕の横で大粒の涙を流しながら四季に見守られている。
「きな子ちゃん!みんな!最高のステージだった!!」
ステージの上のみんなが僕の方を見てニコッと笑う。きな子ちゃんも、今までで1番楽しそうな表情で安心した。
思い思いの歓声を受けてLiella!は色々な方向へ手を振ったり、ポーズを取ったりなどしている。
「Liella!のマネージャー、どう?」と四季が僕に問いかける。
「最っ高に楽しい!!」
僕は今までで1番の笑顔を見せた。
第3話読んでいただきありがとうございました。マルガレーテに喋らせなかったのは少し失敗だったかなぁと後悔しております。
次回は遂に四季メイ回です。おそらく相当長くなるのかなぁと思っています。