ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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久しぶりの投稿になってしまい申し訳ありません。
大分スローペースではありますが更新していきます。


第38話「蛍雪の功」

築視点──────

「神谷創……まさかあちら側からコンタクトを取ってくれるなんてね……」

僕は署に戻り、彼らから預かったノート、似顔絵を全て写真に撮り実物を鍵付きの引き出しにしまい込んだ。

「……YATSUGAKE、ね……まさかの関連性ではあったが……」

今や日本を代表する企業にまで成長したYATSUGAKE。まさかその息子が……ね。

「事実は小説よりも奇なり、か。」

僕はパソコンを閉じ、署を後にした。

 

創視点──────

きな子「よっし、強敵の期末試験を倒したっす!」

前の席のきな子ちゃんがガッツポーズをしてふ〜と大きくひとつ息をつく。今日で二学期末試験が終わり、ひとまずひと段落といったところだ。

「お疲れ、きな子ちゃん。」

四季「今回は少し難しかった、かも。」

僕の席に体重を預けている四季が思い出すような素振りをする。

メイ「ダメだ……このままじゃ補習だ……」

夏美「私もですの……」

2人並んで机に突っ伏しているメイと夏美はきな子ちゃんとは対照的にはぁ〜と大きなため息を何度もついている。

むくっと何事も無かったかのように起き上がり夏美は口を開く。

夏美「先輩方は大丈夫なんですの?」

「夏美と比べたら大丈夫だとは思うけど……」

覚えておくですの、とこちらを睨みつける。

メイ「夏休みが終われば受験、だよな。」

きな子「忙しいっすよね……」

そうだ、かのんさん達と一緒にいれるのも長くてあと半年、4月からは離れ離れになってしまう。

 

成生視点──────

マルガレーテ「全く簡単すぎない?日本のテスト。」

頬杖をつき、ふふんと自慢げに鼻を鳴らしているマルガレーテ。

その答案にはウィーン・マルガレーテ 90点と書かれている。

「おぉ、高いな。」

マルガレーテ「そういうあんたはどうなのよ、げっ……」

俺の答案には八掛成生 93点と書かれている。

「残念だったな。」

ぐぬぬ、と歯を食いしばるマルガレーテ。

冬毬「何の話をしているのです?」

冬毬ちゃんが俺たちが話しているところにすたすたと寄ってくる。以前と比べると俺たちと話をしてくれることも増えた。

マルガレーテ「なんでもないわよ、ぬぁ!?」

「流石だね、冬毬ちゃん。」

冬毬ちゃんの持つ答案には満点を示す3桁の数字が書かれていた。

冬毬「当然です。日本のテストは簡単、ですので。」

あんたねぇ……とマルガレーテは冬毬ちゃんを睨みつけていた。

マルガレーテ「今回は本気出してないのよ、左手でやったの、ひ だ り て で!」

「ってことにしておいてあげて。」

アグリーです、という言葉の後に視界がぐわんと揺れたのはマルガレーテの渾身の一撃が頭に入ったからだった。

冬毬「あれは、かのん先輩?」

中庭の方をじーっと見つめている冬毬ちゃんの視線の先にはとぼとぼと歩くかのん先輩の姿が。

「様子見に行くか。」

 

かのん「卒業かぁ……」

1人呟くかのん先輩の視線の先には進路希望調査票が。そうか先輩たちはもう受験期に入るのか。

マルガレーテ「ウィーン国立音楽学校への留学、決まっていることでしょ。」

うわぁっ、と短い悲鳴をあげ、なんだマルガレーテちゃんか、とかのん先輩は胸を撫で下ろす。

かのん「なんだか頭が全然追いつかなくて、気持ち切り替えていかなきゃ……なんだけど〜……」

うぅ〜……とマルガレーテに泣きつくかのん先輩。

マルガレーテ「何よこの頼りない先輩!」

さらには私なんてそんなもんだよ〜!とおいおい泣き始める。

苦笑いでかのん先輩を見ていると視界の端に見覚えのある人影が映る。

「あれは……唐可可……?」

かのん「ほんとだ可可ちゃん。」

反対の中庭の影に隠れるように歩いていく。

マルガレーテ「まさか私たちの偵察に……」

可可ちゃんがそんなことするわけないよ、と否定するかのん先輩。

冬毬「落ち込んでいるように見受けられます。」

かのん「すぐ戻るから、先に練習の準備しといて!」

こちらの返答も待たずに唐可可のもとへ駆け寄っていく。

 

創視点──────

練習後、家事も落ち着き僕はかのんさんとのテレビ電話にて可可先輩の話を聞いていた。

「やはり可可先輩は上海に1度帰るみたいです。ご両親とお話してみるとのことです。」

かのんさんはそうだよねぇ、とマグカップの中のコーヒーを少し冷ましている。

マルガレーテ「まーたLiella!の誰かさんと長電話?」

かのん「今日は創くんだよ。話す?」

また、ということは千砂都先輩達とも日頃から話しているのだろう。マルガレーテの呆れた声がこちらにまで届く。

マルガレーテ「本気で言ってるの?相手は敵よ!よりによってあいつ!」

机をバンと叩く音と共にマルガレーテの怒号が響く。

マルガレーテ「ねぇ、あんた前入院してたのはもう大丈夫なの?」

「えっ、あぁ…うん。またしばらくは経過観察だって。」

そ、と質問してきた側とは思えない態度の言葉が返ってくる。

かのん「マルガレーテちゃんも心配してたんだよむぐっ!?」

んなわけないでしょ!と画面外から伸びる手に思いっきり頬を抓られるかのんさんの姿が映し出された。

かのん「ちょっとはずかしいからやめてよっ!それじゃあね!」

悲痛な叫びとともに画面が暗転した。

 

かのん視点──────

マルガレーテ「本当にLiella!に勝つ気あるの?冬毬も言ってたわよ、とても敵対しているようには見えないって。」

冬毬ちゃんと話すようになったんだと少し嬉しく思うが、未だに考えが変わらないマルガレーテちゃんの前で首を横に振る。

「だから敵じゃないもん。お互いを高めあえるライバル、でしょ?」

私の言葉に思うところがあったのか少し頬を赤らめて知らない!と鼻をひとつ鳴らしてマルガレーテちゃんはすたすたと自室に帰ってしまった。

 

本日もLiella!とは少し離れた場所で練習をする。

ストレッチをしていた私の上から空気を裂く音が聞こえる。

「飛んでくね〜!可可ちゃんもあれに乗ってるのかなぁ。」

太陽と重なった飛行機を目を細めながら見つめる。仲間の無事を祈りながら習慣のストレッチに励む。

成生「帰るの今週からでしたっけ。」

冬毬「その件は姉者からも聞きました。」

以前の冬毬ちゃんの口からは飛び出さなかったであろう名前が飛び出し嬉しくなる。

「おっ夏美ちゃんと話したの?」

冬毬「騒いでいたのを聞いていただけですが。」

マルガレーテちゃんとは対照的に表情を全く変えず淡々と語る冬毬ちゃん。

マルガレーテ「あんたまでLiella!と仲良くなったの?」

冬毬「以前も言いましたがLoveLive!出場という目的にコミットする理由は私にはありません。」

成生「そうそう、誰かさんと一緒にするなってことだ。」

成生くんにげんこつが落ち、呻き声を上げその場に踞る。

「でも冬毬ちゃん、夏休みになっても練習来てくれるようになったね。」

今までの冬毬ちゃんなら、練習に参加する理由はありませんので、と一蹴していたはずだ。

冬毬「それは……休む理由もありませんので……ただ……」

何かを言い淀んでいる冬毬ちゃんにみんなの視線が集まる。

冬毬「姉者の気持ちを確かめるには、私も本気で挑むしかないというだけです、失礼します!」

冬毬ちゃんは恥ずかしくなったのか一足先にランニングへと向かう。

「いいなぁ、いいないいなぁ……」

マルガレーテ「何笑ってんのよ。」

成生「なんですかその動き……」

私が体をくねくねとさせていると2人の後輩からの冷たい視線が刺さる。

「冬毬ちゃんも少しずつ熱心に取り組んでくれてる、スクールアイドルの輪が広がっていく感じがするなぁ……」

マルガレーテ「キモチワルーイ。」

冷たく言い放つマルガレーテちゃんの横で成生くんもけらけらと笑っている。

「気持ち悪いは酷くない!?」

マルガレーテ「はいはい、さっさと行くわよ。」

成生「行きましょう、かのん先輩。」

先を行く後輩の背中を私は駆け足で追いかける。

 

創視点──────

築「やぁ創くん、調子はどうかな?」

Liella!での練習中に築さんから着信があった。

「今のところは安定しています。ありがとうございます。」

それはよかった、という言葉の後に築さんが続ける。

築「僕の方で少し調べたことを纏めた資料があるんだ。もし今時間があるのなら校門の傍で受け取ってくれるかな?」

僕はちらりとLiella!の方を向く。今僕がしなければいけないような仕事は特にないようだ。

「わかりました、すぐ向かいます。」

築「助かるよ、女子校には流石に入る勇気はなくてね。」

たはは、と築さんは電話口で笑っている

失礼します、と通話を切り、千砂都先輩に少し抜ける旨を伝える。

その光景を見て何かあったのかと他のメンバーも集まる。

すみれ「本当に大丈夫なの?いきなり学校まで来るなんて……」

すみれ先輩の言葉を受け、確かに不用心だったかと反省する。

メイ「ならあたしが着いてくよ。」

四季「私も、自分の情報がどれだけ正確か知りたい。」

メイと四季が小さく手を上げる。

千砂都「わかった、3人で行ってきて。」

礼をして僕たち3人は屋上を後にする。

 

校門を出ると黒い車の前でコーヒーを片手に一息ついている築さんと目が合う。

築「いきなりすまないね、米女さんも若菜さんも練習中に申し訳ない。」

頭を下げる築さんに大丈夫ですと声をかける。

築「私の方で少し情報を精査し、またYATSUGAKEについて調べさせてもらった。若菜さんよく調べられているね、恐れ入ったよ。」

四季「ありがとうございます。」

無表情で淡々と返事をする四季の感情は読み取れない。

築「これが纏めた資料だ。できるだけ口外無用で頼むよ。」

口に人差し指を当てるジェスチャーをしながら僕に資料を手渡す。

「ありがとうございます。」

その時築さんの後方から走り寄る影があった。

「成生。」

成生「ん……おぉ、どうしたこんなとこで。」

練習着姿の成生は見知らぬ大人に軽く会釈をする。

築「君が成生くんか、私は創の叔父の築だ。いつも創がお世話になっているみたいだね。」

成生「いえ、とんでもない。僕の方こそ創くんには良くしてもらっています。」

さすがYATSUGAKEの御曹司と言うべきかビジネスマナーは身につけているようだ。

成生「少し用があるので、失礼します。」

また先程のペースで校舎の方へ向かっていく。

メイ「なんで嘘ついたんだ。」

築「もしも犯人だった時のためにね、誰であっても信用してはならないと教育されているんだ。」

ついさっきと全く同じトーンで語る築さんに少し恐れを抱く。

築「……現時点での段階ではYATSUGAKE関係者の犯行である可能性が高い。充分に注意するんだよ、3人とも。」

四季「私たちも……?」

築「もちろんだ、君たちはスクールアイドルとして名を馳せている。学校名を背負ってね。」

不特定多数の人に名前、顔、出身校が知られているのはどちらかというと僕ではなくLiella!のメンバーだ。

「…………」

築「とは言ってもこの辺りは見回りも厳重に行っている。今までより少し気にかけてもらうぐらいで大丈夫だよ。」

それでは、と築さんは車に乗りこみまた連絡するよという意味のジェスチャーなのか携帯を耳に当てた後車を走らせた。

 

Liella!のメンバーを危険に晒すことになる、それは心に留めておかなきゃ。

メイ「……う……そう……創!」

「えっ!?何!?」

僕はメイに何度も呼ばれていたのか、大声とともに肩を掴まれ体を跳ねさせる。

メイ「どうせあたしらが危ないとか考えてたんだろ。」

四季「分かりやすい。」

「いや……それは……」

メイはため息の後に言葉を続ける。

メイ「創が真実を知りたいならあたしらは止めない、それに協力する。」

四季「中学の時からずっと、創が知りたいと思ったのなら協力するつもりだった。」

2人は柔らかい笑顔でこちらを見る。

メイ「だから心配すんな。」

四季「私たちはずっと一緒。」

「2人とも、ありがとう……」

また2人の前で僕は泣いてしまった。

 

成生視点──────

警視庁関係者……か。叔父にしては創がよそよそしいと思ったんだ。

盗み聞きは趣味が悪いなとは思いつつも、何か引っかかった。

「なんでうちの名前が……」

会話の中で何度も出てきたYATSUGAKEという名前、恐らく……いや確実にうちの会社の名前だろう。

警視庁が追いかけるようなことがうちに隠されている……?

「聞くしかない、か。」

俺は物音を立てずに物陰になっている場所を移動し、校舎内へ向かった。

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