ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第40話「唐萌萌」

成生視点──────

Liella!とトマカノーテは厳正な抽選の結果、3チームに別れることになった。千砂都、桜小路きな子、若菜四季、俺は東方明珠塔、マルガレーテ、冬毬ちゃん、かのん先輩、創は田子坊、鬼塚夏美、葉月恋、平安名すみれ、米女メイは豫園にそれぞれ唐可可を探しに行くことになった。

千砂都「うわぁ〜近くで見るまる!大きなまる!たくさんのまる!まる!まる!」

きな子「ひとまず落ち着きましょう先輩!周りの人に変な目で見られるっす〜!」

こうなった千砂都は止められない、桜小路きな子は必死に止めようとするが無駄なあがきだ。

「送られてきた写真はどんな感じだった?」

四季「ちょうどここから見た景色。けど可可先輩はいない……」

若菜四季は悲しそうに目を伏せる。

「ちゃんとあっちからコンタクト取ってきてくれたんだからいつか会える、心配すんな。」

四季「……ありがとう。」

少し驚いたように目を見開き、感謝の気持ちを口にする。少しむず痒い気持ちはあるが、少しでも気が紛れたなら何よりだ。

「千砂都、登ってみるか?」

千砂都「えっ……けど、可可ちゃんから送られてきたのはここの写真だし……」

「折角来たんだから行ってみようぜ、なんか別の手がかりあればラッキーくらいでさ。」

俺はちょいちょい、っと眼前に聳える東方明珠塔を指さす。

きな子「成生くん、優しいんっすね。」

「え?俺が?」

いつの間にか隣にいた桜小路きな子から飛び出したのは意外な言葉だった。

きな子「もっと怖い人だと思ってたっす。」

「正直だな……いいよ別に無理に信用しなくたって。」

俺は笑いながら塔に向かって歩き始めた。

四季「照れてる?」

「照れてねーよ!」

後ろから聞こえた若菜四季の言葉につい反応してしまった。

結局塔の上にも何も手がかりはなく、残りの班の連絡を待つことになった。

正直あまり普段話すことの無いLiella!のメンバーと話すのは楽しかった。他愛のない話やそれこそスクールアイドル活動の話、俺と千砂都の昔話まで色々なことを話した。

……この人たちと一緒ならマルガレーテももっと成長できるのかもしれない、俺はそう感じていた。

 

創視点──────

かのん「可可ちゃーん!」

「可可先輩ー!」

マルガレーテ「可可先輩!」

冬毬「可可先輩。」

田子坊の中で必死に呼びかけるも可可先輩の返事はなかった。ここではないのかな……

かのん「写真の場所、ここだよね……」

「人探しするような場所ではなさそうですが……」

ぼそりと冬毬ちゃんが後ろで呟く。

冬毬「竹下通りに少し似ていますね。」

かのん「竹下通りなら任せて!可可ちゃん!」

何故か自信満々でびゅんと飛び出したかのんさんを僕達は必死に追いかけた。

とある路地に入った時、老婆の声が聞こえた。声の主である老婆は占い師のような風貌で僕らの方を向いていた。

怪しげな雰囲気、独特な声色、そして暗い路地という雰囲気も相まって僕達はひぃっと声を上げた。

冬毬「一旦引き上げましょう。」

 

豫園組も東方明珠塔組も何も手がかりは無かったようで1度ホテルに集合して今後のことを考えることになった。

成生「そっちもなんの手がかりなしか。」

「うん、やっぱり成生の方も?」

成生「あぁ、唐可可らしき人影はなかった。」

その時ぶぶっ、と僕の携帯が震える。昼間の時と同じように可可先輩から写真が送られてきていた。

「成生!」

成生「あぁ、すぐ向かうぞ。」

 

かのんさんたちとはロビーで落ち合い、僕達12人は写真の場所、それは東方明珠塔がよく見える僕達が上海に着いた時にちょうど降り立った場所だった。

「偶然……?」

成生「とは考えづらいな。」

冬毬「この人混みから可可先輩を見つけるなんてとても……」

その時かのんさんははっとして皆に呼びかける。

かのん「もしかして可可ちゃん、私たちに見てほしいところの写真を送ってきたんじゃ……」

恋「確かに……いずれも素敵なところでした……」

すみれ「でもなんでそんな回りくどいこと……!らしくないと思わない……?」

みんなが真剣な面持ちで考え込む。その時僕の背後からぬるりと傘を持った女性が声をかける。

??「大家好。船に、乗りませんか?」

かのん「日本語……?」

「騙そうとしてるかもしれない、かのんさん気をつけてください。」

僕は小声でかのんさんに耳打ちをする。

??「まさかまさか、私はみなさんのことを知っているのデス。怪しいなんてとんでもない。」

大きな傘で目元は隠れ、いかにも怪しい風貌の女性はひらひらと手を振っている。

きな子「怪しい人が言うセリフっす!」

恋「失礼ですが、あなたはどちら様でしょうか?」

怪しげな女性は張り付いた笑みをそのままに淡々と口を開く。

??「野暮なこと聞かないで下サイ。船の上ですぐにわかりマスよ。」

かのん「私たち、唐可可ちゃんを探しているんです!」

怪しげな女性は驚きの一言を発した。

??「存じ上げてございマス。」

すみれ「可可のことも知ってるの!?」

すみれ先輩は一歩前に出て決して食い下がらんとばかりに怪しげな女性を見つめている。

??「この先に素晴らしい出来事がございマス。さぁさ、目眩く浪漫の旅へ12名様ご案内〜〜。」

ふらふらと歩き出した女性はかのんさんの肩を掴みゆらりゆらりと連れ去っていった。

 

僕達はまんまと12人船に乗せられた。絵に描いたような立派なクルーズ船、この女の人がどうやって手配したのかすごく気になるけど……

成生「よくもまぁ素直に景色を楽しめるもんだ。」

「ここがみんなのいい所だよ。」

警戒心無さすぎるだろ……と思い思いの会話を楽しむ10人を呆れ顔で成生は見つめている。

冬毬「この景色を見れただけでも、来たかいがありました。」

マルガレーテ「海外、初めてなの?私は子供の頃から何カ国も訪れてたから。」

子供のように目を煌めかせる冬毬ちゃん、あんな表情もするんだと少し驚いた。

冬毬「他の国のことも、いつか教えてください!」

マルガレーテ「えぇ、いいわよ。」

成生は微笑みながらぼんやりと1年生2人の会話を眺めていた。

「良かったね。」

成生「ん?あぁ……そうだな。」

成生はまるで兄のように2人を見守っていた。

離れたところで成生と同じような顔をしている夏美と目が合うと、少し恥ずかしそうに目線を逸らされた。

千砂都「ところでこの船……どこに行くんだろう……?」

すみれ「あの人……可可のこと知っている感じだった……」

僕たちの近くでかのんさんたちが怪しげな女性から目を離せずにいた。

怪しげな女性の傘で隠れていた目元はいつの間にか明かされ、キリッとした顔立ちに妖艶な泣きぼくろを携えたまさにクールビューティといった感じの風貌だ。

??「みなさん、私が本日ナビゲートしたミステリーツアー、楽しんでいただけマシたでしょうか?」

私が……ナビゲートした……?可可先輩のスマートフォンをこの人が持ってる……!?

かのんさんは可可先輩からのメッセージだと思われていたものを女性に突きつける。

かのん「これを送ってきたのは、あなたですか?」

??「はい、左様でございマス。」

成生「なんであんたが唐可可としてメッセージが送れるんだ?」

当然の疑問を成生が続けて投げかける。

すみれ「あなた……何者なの!?」

??「可可ちゃんのことを何故知っているか、デスか?」

女性は悪びれもせず、僕たちの質問を上手く躱している。

すみれ「それもだし、なんで私たちにメッセージを送ることが出来たのか……」

すみれ「もしかしてあなた、可可を誘拐したの……?」

犯罪の容疑をかけられているとは思えぬ余裕そうな表情で女性はにやりと微笑む。

かのん「誘拐!?」

四季「騙された……」

メイ「この野郎……!」

四季とメイはいつでもこいとかばかりに身構えている。

成生「逃げ場がないのは俺達もあんたも一緒だぞ。」

きな子「可可先輩を返すっす!!」

かのんさんは恐れることなく女性の目の前に立つ。

かのん「どういうことですか!?」

??「おやおや、かのんさんまで険しい顔をなされて……」

「なんでかのんさんの名前を……!」

女性はこちらを一瞥し、にたりと笑う。

??「存じ上げていると、申しましたでしょ?」

その人は他のメンバーの名前をつらつらと読み上げ始めた。

??「そして、神谷創さん、八掛成生さん。」

「僕達まで……」

成生「何が目的だ。」

成生はきっと女性を睨みつける。

かのん「可可ちゃんはどこにいるんですか!?」

怪しげな女性の笑みの後ろでいくつものスポットライトが点灯する。船尾を眩く照らしだしたその先には───。

かのん「可可ちゃん!!」

中国の伝統的な衣装をアレンジした服装に身を包む可可先輩がそこにいた。

 

可可「驚かせてすみません!」

かのん「可可ちゃん、無事でよかった……!」

船尾から僕たちの方へやってきた可可先輩にかのんさんが抱きつく。

可可「可可は元気デスよ……心配かけマシた……」

かのんさんを抱き返し、背中を優しく擦る。

可可「もうお姉ちゃんってば……」

??「可可の友達をもてなしたかったのよ。普通じゃつまらないでしょ?」

可可「普通でよかったのに……」

流暢な中国語が飛び交い、僕らにはさっぱりだったがニュアンスと雰囲気的にこんな感じだったのだろうか。

かのん「あぁ〜でもほっとしたぁ……」

すみれ「全く人騒がせな……」

口ではそう言うが心底安心していそうな表情を浮かべるすみれ先輩はにこやかに可可先輩を見つめている。

可可「可可のお姉ちゃんはとても優しいのデスが、ちょっとイタズラ好きなところがありますデス……可可に黙ってみなさんに手紙を……」

あはは……と呆れ笑いを浮かべる可可先輩。

全員「お姉ちゃん!?」

先程までの怪しげな笑みはふっと消え、いかにも真面目そうな表情の可可先輩のお姉さんはこちらに一礼する。

萌萌「初めまして、私は可可の姉、唐萌萌(タン・ムンムン)です。」

可可「可可が気づいた時にはみんなもう既に上海に来てしまっていマシた……それで折角だから上海を知ってもらおうとお姉ちゃんが……」

してやったりと言わんばかりの笑顔でニコニコと笑っている萌萌さんはすっ、と落ち着いた顔になり語り出す。

萌萌「実はLiella!のみなさんにお願いがあるのデス。」

成生「……あれは……?」

成生は何かを見つけたのか船頭の方へスタスタ歩いていく。それに気づいたメンバーも船頭に向かい、成生と同じ方向を向く。

その視線の先にあったのは巨大なステージ。モニターに書かれた文字はSHANGHAI SCHOOL IDOL FES。

「上海スクールアイドルフェス……!」

萌萌「創さんの言う通り、これは上海で行われるスクールアイドルフェスの会場がこちらです。」

可可先輩とともに船頭へ歩いてくる萌萌さん。

かのん「それで……お願いって……?」

萌萌「このフェスの開催は明後日。そこでみなさんにフェスに参加していただきたいのデス!」

真剣な面持ち、真っ直ぐな瞳に思わず吸い込まれそうになる。

四季「フェスに……?」

千砂都「私たちが……?」

萌萌「お願い……可可ちゃんを助けて……!」

かのん「助けるって……」

マルガレーテ「どういうことよ……」

水面に反射するステージの光は僕たちの乗る船を照らし、上海の街へ船影を落としていた。

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