ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第44話「サイコ・キラー」

成生視点──────

マルガレーテ「……ねぇ、どうしたの?あんたらしくないわよ。」

後ろからマルガレーテが声をかけてくる。

冬毬「なにか、あったのですか?」

「……なんもないよ、何かあったとして2人には関係ない。」

マルガレーテがスピードを上げ、俺の前に立ち塞がる。

マルガレーテ「何よそれ、どういうこと?」

冬毬「その痣は一体……」

真剣な眼差しで俺の目を真っ直ぐに見てくる。

「そのままの意味だよ。お前らには関係ない。」

俺の顔を見て、マルガレーテ、そして冬毬ちゃんも怯えている。

心が痛むが俺にはこうするしかない。

こうしなきゃ、いけないんだ。

 

俺は上海から帰ったら、兄さんに呼び出された。

功「お、成生。来たか。」

「うん、どうしたの?兄さん。」

そう返事した瞬間、俺の左頬にごんっ、と脳が揺れるほどの衝撃が。

身構えていなかった衝撃に俺は体ごと吹き飛ばされる。

「う、ぁ……」

功「警察がなんか嗅ぎ回ってるっぽいんだけど、成生知らないか?」

倒れる俺の前で、何事も無かったかのような顔で尋ねてくる兄さん。

「お、俺……は……」

煮え切らない返事に苛立ったのか、兄さんに髪を掴まれ、壁に何度も打ち付けられる。

功「成生、俺はお前になんの期待もしてないんだよ。家を継ぐのは俺なんだよ。」

功「お前は家の名を汚さずに過ごしてればよかっただけなのに……」

はぁ、とため息をつき立ち上がる。その後は何度も何度も何度も何度も俺を踏みつけ、俺は床に吐瀉物をぶちまけ、意識が途切れそうになる。

「に、い、さ……ごめ……」

功「成生、これ以上警察をこっちに近づけるな。」

功「それができなかったら……」

まるで怪物のようににたぁ、と笑う兄さんの口から衝撃の一言が飛び出した。

功「お前の数少ない友達も……安城健のようになるかもな。」

兄さんの口から飛び出した名前。

安城健、それは間違いなく創の父さんの名前だった。

 

マルガレーテ視点──────

その後練習を終えた私と冬毬、そして成生はそれぞれ別れ帰路についた。

「…………なんなのよ、今日のあいつ……」

成生『そのままの意味だよ。お前らには関係ない。』

まるで私と出会った時、いやそれ以上に曇った目で。

傷のある顔で。

「なんなのよ……」

がちゃ、と私の家……といってもかのんの家のドアを開け、ただいまと短く慣れた挨拶をする。

かのん「おかえり!ごめんね……練習行けなくて。」

水道管の修理はもう終わったのか、キッチンで食器を洗っていたかのんと目が合う。

「……別にいいわよ、今日はあんたがいなくて助かったわ。」

かのん「ひどい!」

ひーん、と泣く真似をするかのんを横目にづかづかと2階に向かう。あそこにかのんがいたらもっとめんどくさくなってた気がするわ。

「ていうか……なんでこんな心配してるのよ、私。」

ぼすっ、と畳んである布団に勢いよく寝っ転がり、目の前で開いた手をまじまじと見つめる。

その時ドアをコンコンとノックする音が聞こえる。

かのん「マルガレーテちゃん……何かあった……?」

勢いよく寝っ転がりすぎたのか、かのんが心配した様子でドアの向こうに立っている。

かのん「……成生くんと何かあった?」

「……だったら何よ。」

かのん「……ううん。私でよければいつでも相談乗るから。」

これ以上ないお人好しね、とはぁとため息をひとつつく。

LoveLive!前に面倒なことにならないといいけど……

 

創視点──────

偵察、そして勧誘を終えた僕たちは無言で神社に立ち尽くしていた。

きな子「…………成生くん、あんな感じじゃなかったっすよね……」

沈黙を破ったのはきな子ちゃんだった。きな子ちゃんの言う通り、成生の対応は普段から冷たいが、あんな風に突き放すようなことは決してしなかった。

「けど、上海じゃいつもの成生だった。それが急に……」

四季「上海から帰ってきて、何かがあった。」

顎に手をあてた四季が僕の目を真っ直ぐに見ている。

夏美「あの様子じゃ話もできるかすら怪しいですの。」

夏美は眉をひそめ、やれやれといった感じだ。

メイ「ひとまず、勧誘したことを千砂都先輩たちに伝えに行こう。」

メイの言葉に僕たちは頷き、学校へ1度戻ることにした。

 

すみれ「……その様子じゃ門前払いにされたわね。」

僕たち5人の暗い表情を見て、仕方ないったらないわよ、とすみれ先輩は励ましてくれている。

四季「成生くんの様子が少し変だった。」

千砂都「なるくんの……?」

千砂都先輩が心配そうな表情を浮かべる。

「頬に痣もあったように……見えました……」

恋「痣……ですか……」

あったよね、と夏美の方を見るとえぇ、とこくりと頷く。

きな子「千砂都先輩、なんか知らないっすか……!?」

メイ「俺にあるのはYATSUGAKEの意志だけだ、とも言ってたんだが……」

うーん……と件の千砂都先輩必死に思い出そうとしている。

千砂都「あ!なるくん実はね……」

千砂都「お兄さんがいるの。」

「成生に、お兄さん……?」

初めて聞いた。成生と話すことは数多くあったが、家族の話は聞いたことがなかった、聞いたことがあるとすればYATSUGAKEの息子であることの苦労などだ。

千砂都「もう20歳……ぐらいかな、ダンスやってた時たまに見に来てたの。」

四季「お兄さんから、虐待……?」

メイ「けどなんでそんなことになるんだよ。痣になるって相当だぞ……」

それもそうだ、痣になるまで殴られるなんて……

千砂都「ひとまず、今日は帰ろう。私もマルガレーテちゃんから何か聞いてないか、かのんちゃんに連絡してみる」

すみれ「創、あなたは絶対メイたちと帰りなさい。いいわね。」

「はい。先輩たちも気をつけて。」

僕たちは胸に曇りを抱えたまま結ヶ丘を後にした。

 

成生視点──────

功「おかえり、成生。ちゃんと言えたか?」

「兄さん……こんなこと、もうやめよう……」

柄にもなく俺は兄さんに反抗した。また同じように顔を殴られ壁に打ち付けられる。

「ぁ、が……」

功「元はと言えばお前が結ヶ丘に行ったからだろうが。」

首を絞めあげられ、足が宙に浮く。

功「お前が真実を知らないように自由にさせていたのに……こんなことになるなんてな……」

腹を蹴り飛ばされ、俺はその場に蹲る。

功「お前を消すのは最後にしてやるよ、成生。」

功「なんたって俺たちは”兄弟”なんだから。」

俺の頭上で悪魔の笑い声が響く。

創、マルガレーテ……千砂都……みんな……

絶対俺が、まも、る……んだ……

 

次の日、俺は遅刻した。

意識が覚めた頃には6限にすら間に合わず、担任に無断欠席してしまったことの謝罪の電話を入れ、練習場所の神社に向かった。

マルガレーテ「……あんたっ……ねぇ、大丈夫なの……?」

俺を叱ろうと近寄ってきたマルガレーテは俺の傷だらけの顔を見て、みるみるうちに青ざめていく。

かのん「……っ……成生くん、先生のとこ、行こう?」

「そんなことしても、意味ないですから。」

「俺は大丈夫です、練習しましょう。」

カバンを置き、ストレッチを始める俺の肩をマルガレーテが掴む。

マルガレーテ「できるわけないでしょ!あんたが、あんたがこんなんなってんのよ!?」

目に涙を浮かべたマルガレーテは俺の傷を優しく押さえる。

「……柄にもないぞ、俺のことで泣くなんて。」

冬毬「とにかく、練習している場合ではありません。ひとまず絆創膏などで応急処置をしましょう。」

かのん先輩に手を引かれ、俺は薬局に突っ込まれた。

 

「いっ……つ……」

冬毬「我慢してください、早期の適切な処置が最善とされているんですから。」

冬毬ちゃんは痛がる俺の腕を押さえ、消毒液を湿らせたガーゼで口元を拭う。

かのん「こんなになるまでなんて……ひどい……」

マルガレーテ「誰にやられたのよ。」

そう言うマルガレーテの目は俺が出会った時の目によく似ていた。憎しみを、怒りを孕んだ翠緑の目。

「聞かれて教えると思うか?」

冬毬「意地でも聞き出す気ですが?」

俺の頬をぐっと掴み、赤色の大きな瞳が眼前に迫る。

「……わかったよ、ただ危険なことだけは絶対にしないって約束してくれ。」

「かのん先輩は、もしかしたら聞かない方がいいかもしれない。それでも聞きますか?」

かのん先輩はぐっ、と拳を握り、生唾を飲み込む。

かのん「……聞くよ、どんなことだって。」

俺はかのん先輩の顔を見こくりと頷く。

「Liella!のメンバーもここに呼んでくれ。」

「創にとっては、辛い事実になる。覚悟してくれ、って伝えてくれ。」

数十分後、創を始めとするLiella!のメンバーが俺らの元に集った。

 

千砂都「なるくん、その傷……」

俺の傷を初めて見る千砂都たちは恐慄く。

すみれ「酷いったら酷すぎるわよ……」

創「成生、話って……何?」

先程かのん先輩が上手く伝えてくれたようで、創の目には覚悟が決まっているように見えた。

「あぁ、落ち着いてられないかもしれないが聞いてくれ。」

俺はひとつ、大きく息を吸い込んだ。

「安城健を殺したのは俺の兄だ。」

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