ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第4話です。前回の予想通り大ボリュームになってしまいました。


第4話「科学室の2人と」

ライブ後、HR前──────

メイ「ぐふ、ぬふふ……」

後ろのドアから教室に入るとメイがスマホを見てにやにや……というか声まで出して笑っていた。

スマホの画面には先日行われたLiella!の校内ライブの写真が。

「メイ、声出てるよ……」

メイ「んがっ!?って創か……びっくりさせんなよ。」

そんなに好きなら部活見学に来ればいいのに……と思いつつ、スクールアイドル好きがバレたくないというメイの気持ちを尊重して黙っておくことにする。

生徒「スクールアイドル!?」

メイはスクールアイドルという言葉に反応し、教卓近くで話している生徒をじっと見つめる。近くにいたきな子ちゃんが勧誘しようとするが、その時にメイの視線に気づいたようだ。

きな子「ご、ごめんなさい!また米女さんの前でスクールアイドルの話をぉ……」

メイははっとして「別にっ!」と教室を出ていく。

僕は既に席に着いていた四季と顔を見合わせてはぁとひとつため息をつく。

 

放課後、屋上──────

ストレッチから始まる、ストレッチは僕も参加して行うことが多い。

恋「そうだ、今度部長会を開催しようと思っているのです。」

可可「そう言えば決めていませんデシタ。」

僕ときな子ちゃんは顔を見合わせる。

創、きな子「かのん先輩が部長じゃないんですか?(っすか?)」

かのん「え゛っ!?」

その一言に合わせて他の先輩方もかのん先輩を見る。

千砂都「決まりだね。」

ま、まってよっ!とかのん先輩が慌てているがお構い無しに話は進む。

なんとなくかのん先輩に決まりと言った空気感になっていた。これを覆すのは中々難しそうだ。

きな子「恋先輩は生徒会長がありますし、他の先輩方で部長を任せられる方は大分限られるかと……」

えっ、なんかどさくさに紛れてすごいこと言ったよねきな子ちゃん。

かのん先輩は大分不安そうな顔をしている。

……なんか窓が光ってるような……あそこは確か、化学室……あまり考えたくないが可能性があるとしたら間違いなくあの2人だ。

 

メイ視点──────

「何の話してるんだ……」

アタシは特等席で四季の双眼鏡を借りながら屋上で練習しているLiella!を観察する。

四季「使う?」

ありがと、と四季から差し出されたイヤホンを受け取りLiella!の会話を聞く。

千砂都「じゃ部長も決まった事だし、昨日のステップから!」

「部長!?やっぱり澁谷さん!?まさかの平安名さんとか〜……?千砂都さんも、いや可可さん……恋さんが生徒会長も兼任か〜……?」

「ってなんだよこれ!」

四季から渡されたイヤホンを外し、「聞こえづらかった?」という四季に「そういうことじゃねえよ……」と返す。

四季「じゃあなんで毎日見てるの?」

「そ、それは……」

思わぬ四季の問いかけに少し言い淀む。興味があるなんて言ったら、この前のあいつ……桜小路きな子のように強制連行されかねない。

「ここじゃなんもすることないし……単なる暇つぶしだよ。」

そう言うと四季はいつもの顔で「そ。」とだけ言った。

おもむろに取り出したスマホの画面には……ライブ中のアタシの顔が。

「おま、何勝手に撮ってんだ!」

四季「すごく可愛かった。」

そんなことは聞いてねえよ……と思いながら。

「とにかくこれはたまたまだ!たまたまやっていたから……見てただけで……」

と振り返ると視界の端ににゅいっと何かが伸びてくる。そこには真っ赤になったアタシの顔が。

四季「顔、真っ赤。」

恥ずかしくなったアタシは鏡を手で押しのける。

「うるっせえなぁ!!」

四季はおもむろに言葉を続ける。

四季「このまま時間が経ったら入るタイミングを失う。本当にそれでいいの?」

あの日が脳裏によぎる、四季と創と入学後にどうしたいか話し合った日。

創『僕は、父さんの遺したものに触れて、僕だけの夢を見つけたい、過去を越えたい。』

四季『私は、中学の時はこの3人でしかいれなかった。人付き合い、頑張ってみる。』

『アタシは、アタシは……スクールアイドル、やってみるよ!』

 

「四季には……関係ないだろ。それに……アタシがいなくなったら、ただでさえ薄暗いここがもっと暗くなっちまうだろ……」

そう言って虫の居所が悪くなったアタシは、化学愛好会仮部室を後にした。四季がどんな顔をしているのか、振り返ったりもせずに。

 

創視点、放課後──────

部活後、僕はかのん先輩と千砂都先輩に誘われて、たこ焼きを食べに来ていた。キッチンカーの中にはエプロンを身につけた千砂都先輩が。

千砂都「これは……完璧なまる……!!」

「千砂都先輩、とっても上手ですね!」

ありがと〜!と自慢げにガッツポーズする千砂都先輩、出来上がったたこ焼きをどーぞ、と手渡してくれる。

少し離れた座席に座っているかのん先輩はどうやら少し考え事をしているようだ。おそらく、部長の件だろう。

千砂都「どうしたもんかねぇ……」

「ですね……あ、千砂都先輩は、やらないんですか?部長。」

可可先輩やすみれ先輩に任せるのは少し危険な気がするが、千砂都先輩ならみんなを纏める力があるのではないかと思った。

千砂都「わ、私!?私には無理だよ〜……」

「あの」と横から1人声が加わった。

四季「お話が。」

その声の主は四季だった。

 

次の日、1年生の教室──────

きな子「ふんふふんふんふーん。」

放課を知らせるチャイムとともに鼻歌を歌いながら教室を出ようとするきな子ちゃんの後を歩く。

生徒「きな子ちゃんと創くんは今日も部活?」

「はいっす!」「うん。」と返事をする。

きな子「興味があったらいつでも来てくださいっす!屋上で待ってますっす〜!……はっ!」

何かに気がついたかのようにきな子ちゃんは後ろを振り向く。目を凝らしたメイと目が合ったようだ。

きな子「また教室で……ごめんなさいっ、ごめんなさいっす〜っ!!」

きな子ちゃんは両手を上げ逃げるように教室を後にした。

メイ「あ、おいっ……別に怒ってるわけじゃ……」

少し寂しそうな表情を浮かべたメイに声をかける。

「四季の言う通りいい加減メガネつけなよ、誤解されたまんまじゃいつまで経っても仲良くなれないよ。」

メイは生まれつき視力が悪く何かを注視する時は眉をひそめてしまう癖がある。それが態度や言動と相まって怒っているように見えてしまって、中学の時はそれで一悶着あった程だ。

メイ「いーんだよアタシは……ってそれより四季はどこいった?」

メイは僕の方を振り向いたついでに四季のことを探したようだ。しかし既に四季は教室にはいない。

「四季は今日から何日かスクールアイドル部体験するってさ。」

と言うとメイは1歩分踏み出し僕の眼前へと迫る。

メイ「し、四季がスクールアイドル部に!?」

「ま、まだ体験だよ、入部するかどうかは四季次第。というかメイも一緒だと思ってたよ。」

僕はてっきりメイがやっと踏ん切りをつけて四季と一緒に体験入部に来るものだと思っていた。

メイ「アタシはそんなこと一言も言ってねぇ!何考えてるんだ……四季のやつ……」

「心配?四季のこと。」

メイの顔をのぞき込むようにニヤリと笑って見せた。僕の顔が余程憎たらしかったのかぐいぐいと手で押しのける。

メイ「そんなんじゃねえっての……」

ふん、と鞄を取って教室を出ようとするメイに。

「科学部の部室寄ってから行くって言ってたよ。気になるなら行ってみれば。」

メイはひらひらと手を振って科学部の部室の方へと向かって行った。

 

メイ視点、科学部部室──────

アタシは部室の扉を少し乱暴に開ける。窓のそばにぼーっと突っ立ってる四季の姿がそこにはあった。

「おい、少しはクラスに馴染もうとしろよ。それに、体験入部するって聞いたぞ、先輩たち待たせるつもりかよ。」

話しかけても四季から返事どころか反応もない。まるで屍のようだ。

「このまんまじゃ中学の時と同じだ。人付き合い頑張ってみるって言ってたのは四季じゃねえか。」

それでも四季は動かない。内心少しイラっときて四季の方へずかずかと進む。

「おいっ!てうわぁっ!?」

肩をガシッと掴んだ瞬間、四季の青い髪はだらんと滑り落ち、白骨化した四季の顔がこちらを向く。

「ひっひっひぃぃ〜っっ……てなんだよ、この仕掛け……」

はぁとため息をつく。……首からはいつもアタシが使ってる双眼鏡がぶら下がっていた。これで見ろってことかよ。

「ったく……なんなんだ一体。」

アタシは骸骨と隣同士で屋上を双眼鏡で見つめた。

 

創視点、屋上──────

四季「若菜四季です。」

「四季はこの前の皆さんのライブを見て興味を持ったみたいなんです。」

1番近くにいた僕が四季をLiella!のみなさんに紹介する。

恋「ありがとうございます。今日はスクールアイドルを体験してみてください。」

きな子「1年生っす……きな子と同じ……」

同級生が増えたのがよっぽど嬉しいのか涙を流している。それにもらい泣きしているのかなぜか可可先輩も泣いている。なんで。

ちらりと四季の方を見ると科学部の部室の方を見てピースしている。

窓になにか光っているものが見える気がする……あれがメイか。

その間にも四季は先輩達と一緒にストレッチに励んでいた。なんかやけにメイに興味が無いような……気のせいかな。

可可「いいデスよ〜……可可ぐらい体は柔らかいみたいデスね〜……」

四季「割と、余裕。」

四季は足を震わせている可可先輩を見ながらべたんと足を屋上の床に付けながらストレッチを続けている。

……なんか視線を感じるような。誰も僕の方を見ていないことを確認し、屋上の入口に目線を向けると、鋭い眼光のメイと目が合う。

お互い目が合っても微動だにせず、瞬きもしない。

千砂都「それじゃ、そろそろ始めよっか!」

四季は短くはい。と返事をして各々がポジションに立つ。四季はセンターポジションの空いた場所に収まった。

メイ「うわぁ……一緒に並んでりゅ……羨ましぃ〜……」

心の声ダダ漏れだし、語尾もにょもにょしてるし……と聞き耳を立てていると、後ろの方でぐえっ、という声と倒れ込むような物音で視線を背後にうつす。そこには倒れ込むメイがいた。

全員の視線がメイに集中する。すみれ先輩はなんかデジャブね……と言う横で、きな子ちゃんがひゅっ、と息を吸い込む音が聞こえる。

四季「メイ、1年生。」

「見に来るなら先に言ってくれればよかったのに。」

かのん先輩は僕たちが話すのを見て「友達?」と聞いてくる。

「まぁ、そんな感じです。」と僕が言う中で、四季は黙り込んでいる。

四季……?なんか考えてる……?と思っていると、可可先輩がたたたっとメイの方に駆け寄る。

可可「もしかしてスクールアイドルにご興味が……!?」

メイ「えっい、いやっ!」

四季「ずっとそこで見てた。」

四季の追い打ちにメイはおいっ!と僅かな抵抗を見せる。

可可「つまり……興味津々ということデスね……!」

かのん「もしよかったら、ちょっと体験してかない?スクールアイドル。」

メイは私が……?と戸惑っているのと、憧れの先輩を一気に目の前にしているので少し固まったいた。

メイはどこかを見つめたと思ったら、いつもの教室の中での鋭い目付きに戻る。

メイ「四季はどうするんだよ。本当に、スクールアイドル始めんのか?」

四季「……私はまだ、決めてない。」

少しの沈黙、といっても1秒にも満たないが僕は感じ取った。これは良くない空気感だと。

「ま、まぁまぁふた」

メイ「……嘘つくなよ、帰る。」

メイは僕の言葉を遮るように吐き捨て立ち上がった。

千砂都「そんな、せっかくっ……!」

メイ「うるせえっ!帰るって言ってんだよ!」

メイは半分叫ぶように言って走り去っていった。

「あっ、メイ……!待って!」

と追いかけようとする僕の腕を誰かが掴む。

振り返ると僕の腕をがっしりと掴む四季がいた。

 

放課後、とあるアパート前──────

僕たちは何も四季に説明されないまま、ただ後を着いてきた。そうするととあるアパートの前でぴたりと四季が歩みを止め、ここ、と言う。

かのん「ここって……?」

四季「あの2階の端の部屋。」

なにかあるんすか?と僕の後ろできな子ちゃんがぴょんぴょんと跳ねる。

そうすると可可先輩が何かに気づいたように、すみれ先輩におぶさるような姿勢で前に出る。

可可「待つデス。あそこにあるのは……」

すい、と四季に渡された双眼鏡を受け取り覗き込む。これ今のこの状況誰かに見られたらどうしよう……

可可先輩はメイの部屋にあるスクールアイドルグッズに大興奮しているようだ。

すみれ「棚の上にもなにかあるわよ。」

可可「なぁ〜…………」

可可先輩はデンデンデン、と謎の文字列を口にして涙を流す。

恋「あ、誰か部屋に。」

部屋のドアが開くとそこに入ってきたのは僕たちがよく知る米女メイだった。

四季「隠れて。」

「ちょっ……!?」

近くの物陰に各々思い思いの形で隠れる。僕は四季に下敷きにされる形で隠れることになった。

メイ「なんか……視線を感じたような……」

これでもバレてないのか、とメイの視力の悪さを実感すると共に安心したその時、僕の頭上できな子ちゃんがふぇ、へ、へっ……と短く息を漏らす。

きな子「へぷしっっ!!ごめんなさ〜いっ!!」

大きなくしゃみをしたきな子ちゃんははっとしたように例のアパートの一室の方を振り返る。

きな子「ひぇ〜っ……」

どうやらメイと目が合ったようだ。

メイ「気のせいか……」

きな子ちゃんはえっ、と不思議そうにしている。

「メイ、視力悪いんだ。ずっと。」

きな子「じゃあ、ずっと教室でみんなを睨みつけてるのも。」

四季「目が悪いだけ。ずっとメガネつけろって言ってるのに……」

僕と四季はやれやれといった感じで首を横に振る。

きな子「それで……ちょっとクラスで怖がられてるんすね……」

きな子ちゃんは少ししゅんとしている。

千砂都「ちゃんと言えばいいのに……」

四季「口下手だから。」

「だね、中学の時もこんな話した気がするよ。」

メイは中学の時も最初は怖がられていた。僕たち3人が一緒にいるようになってからはそんなことなかったけど、その時にはほとんどの時間を3人で過ごすことになっていた。

かのん「四季ちゃんと創くん、昔からメイちゃんと友達なんだ!」

四季「友達……?」

「何言ってるの四季、僕たち友達でしょ?」

四季は少し考えてから。

四季「友達……わからない。」

 

3年前、外苑西中学校──────

「……父さん、母さん……僕、どうすればいいのかな。」

放課後の教室で僕はロケットペンダントの中の父さんと母さんに話しかけていた。もちろん返事は返ってこない。2人がいなくなった実感は未だ湧いてこないままだった。

はぁ、とため息をついていると教室にある2人が入ってきた。

メイ「めんどくさいよな、誰と仲良くしろとか、仲良くするなとかさ。」

四季「私は、わからない。誰とも話さないから。」

同じクラスの……確か米女さんと、若菜さん、だった気がする。

2人は教室に入るまで僕の存在に気づかなかったようだ。

メイ「あ、悪い……邪魔だったか?」

四季「……大丈夫?涙、出てるよ。」

若菜さんに指摘されて僕はやっと自分が涙を流していることに気がついた。

「あっ、えっ、ごめんっ!な、なんでもないんだっ……じゃ、僕行くからっ!」

恥ずかしくなった僕は急いで荷物をまとめて、早歩きで教室を出ようとする。その拍子でペンダントトップが外れ、米女さんの足元に転がる。

メイ「これは……?家族の写真か……?」

見られてしまった。息が詰まる。同情される、軽蔑される、何をされる、僕にこれから、何が起きる。

メイ「なぁ、何があったか、アタシらでよかったら聞くよ。」

僕に向けられたのは、優しい言葉だった。

四季「ハンカチ、必要?」

「……ありがとう、借りるね。」

僕はそこから2人に自分に何が起きたのか、中学生の用いられる言葉でわかりやすく話した。両親が殺されたことから、僕が何のために生きているのかわからないことまで。

ほぼ初めて話すような人に話すことではなかった。しかし、2人は僕の言葉がどれだけ詰まっても真剣な表情で聞いてくれた。

メイ「……大変だったんだな、神谷。偉いよ、お前は。」

四季「私たちに神谷くんの気持ちを理解することはできない、けどこうして聞くことならできる。」

僕が話し終える頃にはすっかり日が落ちかけていた。こんなに話していたのかと僕は自分の周りの見えなさに驚いた。

「ごめん、こんな時間まで。」

2人とも大丈夫、と優しい表情で許してくれた。

メイ「神谷もさ、辛かったらアタシらといないか?」

「え?」

メイ「馴染みづらいだろ?そんなことがあったばっかりじゃ。」

はい、と米女さんは僕にペンダントトップを手渡す。

四季「私とメイも、クラスに馴染めなかった。お互い1人でいるのが好きだから。」

米女さんはお前と一緒にするなよ、と若菜さんを指さす。一緒でしょ、と冷たく言い放つ2人を前にして笑みがこぼれる。

「ありがとう、2人とも。あと、創でいいよ。」

2人は照れくさそうに顔を逸らし合う。

メイ「よろしくな、創。」

若菜さんも短くよろしく、と微笑む。

これが僕たちの始まりだったんだ。それからほぼ毎日僕たちは一緒にいるようになった。




アニメ本編があまりにも完成されているからこそ、創をどう絡ませるか、かなり悩みながら書き進めております。
創がいて良かったと思ってもらえるように書いていけたらなと思います。次回もよろしくお願いします。
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