ラブライブ!スーパースター!! Create the future   作:園枝こるだ

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第49話「蝶と成る」

創視点──────

かのん「遂にっ……!」

かのん「13人になりました〜!」

僕たち旧Liella!9人と、トマカノーテの3人の間に仲介人のような形で立つかのんさんはぴょんぴょんと飛び跳ねている。

きな子「感動っす〜!」

マルガレーテは恥ずかしそうにそっぽを向いている。

冬毬「マルガレーテ、緊張しているのですか?」

マルガレーテ「はぁ?どうして私が緊張しなきゃいけないのよ!」

マルガレーテ「……ただ、Liella!はずっと敵だと思っていたから……」

マルガレーテを挟む形にして立っている成生と冬毬ちゃんはこくりと頷き、マルガレーテの背中をえいっ、と叩く。

わ、たたっ、とよろけながらもLiella!の前に1歩を踏み出す。

マルガレーテ「ちょっと……!」

千砂都「3人とも、ようこそLiella!へ!」

四季「これからは仲間。」

メイ「一緒に頑張ろうぜ。」

冬毬ちゃんと成生はよろしくお願いします、と頭を下げる。

マルガレーテ「よ……よろしく……」

「じゃあまずはストレッチから、いきましょう。」

均等に散らばり、13人が屋上に並ぶ、今まで広いと思っていた屋上が急に狭くなったように感じる。

きな子「ほ、ほ、ほわぁ〜……っ!」

よろよろとバランスを崩したきな子ちゃんは後ろにいたマルガレーテに軽く受け止められる。

マルガレーテ「大丈夫!?」

きな子「ご、ごめんなさいっ!」

マルガレーテ「構わないけど……」

謝った後きな子ちゃんはマルガレーテの方に向き直す。

きな子「そういえば自己紹介してなかったっすよね、改めて北海道から来た桜小路きな子っす!よろしくっす!」

マルガレーテ「……よろしく。」

千砂都「それじゃ次は2人1組になって〜!」

僕と成生、可可先輩とすみれ先輩、四季とメイ、夏美と冬毬ちゃん、かのんさんと恋先輩と千砂都先輩、そしてマルガレーテときな子ちゃんのペア構成となった。

 

「気になる?マルガレーテのこと。」

成生「え……?あぁ……まぁな。」

成生はストレッチ中もずっとマルガレーテの方を見ていた。

まだペアでのストレッチの時間だが、マルガレーテはきな子ちゃんと離れ、1人でストレッチを行っていた。

成生「不器用なんだ、俺もあいつも。」

「成生……」

そういう成生の顔はどこか寂しげだった。

 

きな子「失敗しちゃったっすかね……」

「そんなことないよ、多分まだ恥ずかしいだけだよ。」

しゅんとするきな子ちゃんの横を僕は並走する。

可可「そんな時は、可可にお任せあれ!」

だだだっ、と最前を走るマルガレーテの横に並ぶ可可先輩。

可可「どうデスか!?Liella!は!」

マルガレーテ「まだなんとも。」

初手の反応から中々不安だが可可先輩は臆せずマルガレーテとの交流を図る。

可可「もうすぐLoveLive!が始まりマスね!マルマルは楽しみにしてマスか!?」

マルガレーテ「マルマル……?」

独特な呼び名にマルガレーテは眉をひそめている。

可可「可可は超楽しみデス〜!またみんなと全国大会を目指せることが!」

マルガレーテ「……何が目的?」

可可先輩は短くえっ?とマルガレーテを見つめている。

マルガレーテ「興味無いわよ!あんな大会!」

可可「あ、ぁぅあ……ェ〜……あ、ぁ、あんな、大会、可可の青春の全てを賭けてイルLoveLive!を……」

顔を真っ青にしてその場にがくりと倒れ込む可可先輩。

かのん「ほんとに思ってるわけじゃないから、気にしないであげて。」

可可「難儀な子デス……」

1度も立ち止まることも無く、ただひたすらに走り続けるマルガレーテの背中はどこか寂しげだった。

 

「4人の時のマルガレーテもあんな感じだったんですか?」

部室に残って話していたのはかのんさんを始めとする3年生の5人、僕、そして成生の計7人。

かのん「最初はいつもの感じだったけど、最近はいっぱい喋ってくれるようになったよ。」

成生「同じく、俺と組み始めた時もあんな感じ、というかもっと冷たかったな。」

恋「早く打ち解けるためには、どうすればよいでしょうか……」

うーん、と恋先輩は首を傾げ悩んでいる。

可可「みんなでワイワイ!カラオケに行ってみたり?」

すみれ「お茶するのも悪くないかもね。」

かのん「練習以外だと身構えそうな気もするなぁ……」

千砂都「じゃあ班わけしてみるとか?」

千砂都先輩は真上に指をぴっと立てている。

恋「確かに、部員の多い学校はA班、B班に分けているところもあるようですね。」

「けど、折角同じグループになれたからには……」

千砂都「じゃあその代わりに1日に1回、全員でまとまって練習する時間を入れるっていうのは?」

成生「今後のユニット活動とかにも広がりそうだし、悪くないんじゃないか?」

可可「ユニット……!ナイスアイデアデス!ナルナル!」

そりゃどーも、と照れくさそうに成生が笑う。

千砂都「じゃ!練習メニュー考えて……班わけは明日くじ引きにしよう!」

ということで意見が纏まった。

 

かのん視点──────

みんなと学校で別れ、1人寂しく帰路に着く、こんな風に帰るのも数える程しかないんだと思うと視線が地面に落ちる。

「ただいまー。」

ガチャ、と家のドアを開けるとマルガレーテちゃんとありあの声が聞こえてくる。

マルガレーテ「ちょっと!牛乳沸いてるわよ!早く混ぜて鍋に戻す!」

ありあ「はいはーい!ちょっと待ってぇ……」

鼻の中を甘い匂いが通り、空腹を刺激する。

「わぁ……いい匂い……」

ありあ「おかえり!お姉ちゃん!」

マルガレーテ「目を離さない。」

横にいる厳しい先生に叱られ、ありあはすぐさま私からボウルに視線を移す。

「お菓子の作り方、教わってるの?」

ありあ「オーストリアって、お菓子の本場でしょ?」

見てらんないわ、とありあからボウルを受け取り、慣れた手つきで耐熱皿に適量で移していく。

ありあ「初めてつくるんだから優しくしてよ〜!」

マルガレーテ「そういうの嫌いなの。」

む〜、と不満そうにするありあをふん、と流す。

「あ、そうだ。マルガレーテちゃん後で話があるんだけど……」

マルガレーテ「断る。」

「なんでえっ!?」

机に前のめりになる私をふん、とカウンターから見下す。

マルガレーテ「お見通しよ。どうせ無理やりあの人たちと仲良くさせようってんでしょ?」

「そういうことじゃないって、ほら!」

と私はさっきちぃちゃんから預かった仮の練習メニューが書かれた紙をマルガレーテちゃんに見せつける。

「ユニット形式で少人数に別れて練習しようと思うの!それならマルガレーテちゃんも練習しやすくなると思って、3人だった頃と近い感じで。」

マルガレーテ「わざわざそんなことしなくてもいいわ。」

でも……と私が言い淀んでいると。

マルガレーテ「前にも言ったけど、練習だって私は1人で全然平気、ライブが近づいたらその時にみんなに合わせることだってできるし……」

「そうかもしれないけど……」

そういうことじゃないんだよ、と強く言えない自分の自信のなさに嫌気がさす。

「みんな、マルガレーテちゃんと早く仲良くなりたいって思ってるんだよ?だからこんなに気にかけて……」

マルガレーテ「それが嫌なの。特に話すこともないのに、無理に話しかけてきたり……」

「そんな言い方……」

マルガレーテ「あんな風に気遣われるの、すごく嫌。Liella!の一員になったことに後悔はないけど……馴れ合いたいなんて、全く思わない。」

心配そうに見つめるありあを横目に、カウンターを抜け自室に向かっていくマルガレーテちゃん。

マルガレーテ「このメニューは1人でもちゃんとこなすわ、私のことは構わなくて結構!」

それじゃ、と言い残し、自室に入ってしまう。

「うぅん……不器用さんが多すぎだよぉ……」

ありあ「お姉ちゃんもでしょー。」

むっ、と睨みつけるとなんでもないでーす、とそっぽを向くありあ。

どうしたら納得してくれるのかなぁ……

 

創視点──────

昼休みにかのんさんに呼ばれ、2年生5人、そして冬毬ちゃんと成生は中庭に集められた。

夏美「再びLiella!に激震!新メンバーと旧メンバーの間に修復不可能と思われる絆が!?」

冬毬「動画作成しましょう!姉者!」

ナッツゥ〜!と強力な味方、冬毬ちゃんを得た夏美はふんすふんすと鼻息を荒らげている。

そんな夏美の後頭部にメイのチョップが炸裂し、夏美は前へつんのめる。

メイ「んなことしてる場合じゃないだろ。」

四季「でも、私マルガレーテちゃんの気持ち少し分かるかもしれない。」

かのん「みんなのことが嫌いだとか、スクールアイドルがやりたくないってことではないと思うんだ。」

きな子「クラスではどんな感じっすか?」

きな子ちゃんは冬毬ちゃんと成生の顔を交互に見る。

成生「別にいつも通りだけどな、積極的に誰かと話すような性格でもないし。」

成生の言葉に冬毬ちゃんはこくりと頷く。

 

僕達8人はこそこそと校舎内に移動し、窓際の席で読書をしているマルガレーテの様子を廊下から伺う。

きな子「確かに同じっす……」

冬毬「実際、一緒に練習をしなくてもマルガレーテのポテンシャルがあればライブに問題が生じる可能性は低いです。」

成生「このままで大会に挑んでも実力的な問題はないな。」

マルガレーテの実力をよく知っている2人は特に問題はないという考えのようだ。

きな子「折角同じLiella!の一員になれたのに……」

きな子ちゃんが寂しそうに呟く。

冬毬「同じになったからこそ、互いが活動しやすくすることこそ大切なのかもしれません。」

きな子「でも……でも嫌っす!きな子たちは同じ仲間、同じチームなんす!」

ドアを勢いよく開け、ふんふんと鼻を鳴らしながらマルガレーテへと近づく。

人の気配を感じたのか、マルガレーテは読んでいた本から視線を上げ、きな子ちゃんを目で捉える。

きな子「マルガレーテちゃん!きな子と一緒に遊ぶっす!」

マルガレーテ「どうして?」

きな子「仲良くなるためっす!」

鬱陶しそうな顔をするマルガレーテにも怯まず、その場にとどまるきな子ちゃん。

んっ!とマルガレーテの前に突き出されたのは黄色の縄跳びだった。

成生「えっ縄跳び?」

僕の横で成生が小さく呟く。

きな子「どっちが二重跳びずっと飛び続けられるか勝負っす!」

マルガレーテ「……もうちょっといい遊びないの……?」

きな子「はやぶさの方が好きっすか!?」

多分そういうことじゃないと思うよ、きな子ちゃん。

マルガレーテ「そういうことじゃなくて……まぁいいわ、なんでも付き合ってあげる。」

あんたたちもいたのね、ときな子ちゃんに連れられて出てきたマルガレーテにため息をつかれる。

 

その後部室に移動して、いつの間にか持ち込んであった可可先輩のトランプを使って大富豪をすることに。

マルガレーテ「はい。」

マルガレーテが出したのは3連キング、1手目から強すぎでしょと思いながらもパスを宣言する。

マルガレーテまで誰も出すことが出来ず2手目のマルガレーテが出したのは4連A。

マルガレーテ「あがり。」

成生「はぁ!?」

きな子「んなぁっ!?」

成生ときな子ちゃんがテーブルの上の7枚のカードを見て目を見開く。

マルガレーテ「私の勝ちでいい?」

きな子「さ、3回勝負っす!」

ルール変えないでよ……と呆れるマルガレーテ。

メイ「だったら、アタシが相手だ!」

そう言ってスマートフォンを突き出すメイ。

が、結果は惨敗。

マルガレーテ「You lose。」

メイ「マルガレーテ!なんかズルしたろ!!」

マルガレーテ「チュートリアル通りにやっただけよ?」

チュートリアルなんてルールのおさらいみたいなもののはずなのに、それだけで上級者のメイを負かすなんて……

夏美「まず争いごとて解決しようとすること自体ナンセンス!ここは穏やかにティータイムを……」

とティーパックを用意する夏美を他所に、マルガレーテはどこからか取り出したコーヒーミルで豆からコーヒーをつくり始めた。

マルガレーテ「オーストリアでは、コーヒーがよく飲まれているの。」

出来上がったコーヒーを飲んでみると独特な深み、かといってくどい訳ではなく、サッパリとした苦味と香りが鼻を抜ける。

7人「美味しい……」

夏美「ナッチュ〜……」

その場に項垂れる夏美のそばにマルガレーテがことん、とひとつティーカップを置いた。

 

きな子「マルガレーテちゃん何をやらせても完璧っす……」

きな子ちゃん、メイ、夏美、主にマルガレーテにしてやられた面々は部室の机に突っ伏し、うんうんと唸っている。

冬毬「やはり私は、無理に仲良くなる必要はないと思います。」

成生「あいつは多分、人の気遣いに敏感なんだ。恐らく……ウィーンでもそうされてきたから。」

「ウィーンでも?」

あぁ、と成生は頷き傍にあった椅子に座る。

成生「前にも言ったけど、マルガレーテはお姉さんのいる学校に入りたかったんだ、その気持ちは今でも変わってないだろうな。」

「けど結果は実力不足って判断された……それで今、結ヶ丘に……」

成生「あっちでも相当気を遣われたんだろう。」

成生は俯き、目を伏せる。

成生「だから無理に仲良くなろうとするんじゃなく、自然に距離が縮まる方法を考えたい。」

かのん「……わかった、考えてみよう!」

かのんさんの言葉に成生は短くありがとう、と呟いた。

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