ラブライブ!スーパースター!! Create the future 作:園枝こるだ
今回からはアニメ本編をなぞる、というよりは創がどんどん関わっていく風にシフトチェンジしていきます。
メンバーとの関係や、創自身の成長などにも注目していただければ嬉しいです。
四季「私が科学部作ろうとしてるって知ったら、創もメイも科学に興味ないのに入ってきて。」
四季はその時を思い出して少し微笑んでいた。
かのん「本当はスクールアイドル、好きなのに?」
四季「メイがこの学校を選んだのは、スクールアイドルをやってみたいと思ったから、Liella!がいたから。」
そう、メイが結ヶ丘を選んだ理由はLiella!がいたからというのもあるが、スクールアイドルをやってみたいと思ったからだ。
すみれ「なのに、いつまでたっても始めない。」
四季はこくり、と頷く。
千砂都「四季ちゃんは?スクールアイドル部に体験入部してくれたのは、メイちゃんだけのため?」
……ごめんなさい、と四季は少し俯く。
「気にしないで。それより、四季は楽しかった?」
四季は中学の時から運動神経もよく、何度か運動部に助っ人を頼まれたり、勧誘をされたりするところを見たことがある。
ただその度に四季は断っていたが、スクールアイドルのダンスは楽しんでくれたのか、純粋に気になった。
四季「わからない。ごめん……」
四季は眉間に皺を寄せている。……なにか別のこと考えてるようにも見える……?
千砂都「メイちゃんは多分、四季ちゃんを1人にしたくないんじゃないのかな?」
四季「なぜ……?」
1人……かつて、四季とメイと出会う前の自分を思い出す。最愛の家族を亡くし、何も『なかった』頃の自分。
………………。
四季に「創、行くよ。」と声をかけられるまで、僕は昔のことを思い出していた。「……うん。」と短く返事をする。あのまま1人だったら、僕はどうなっていたんだろう。ただ1人で。何も目指せなかった。何も始められなかったら。……こんなことを考えても何にもならない、ふぅと深い深呼吸をして僕はみんなの背中を追いかけた。
四季視点、帰路──────
私はさっきメイからメッセージが来ていることに気づいた。メッセージには短く、「ここに来い。話がある」とだけ。ここ、というのはもうすぐそばの曲がり角の先。
「隠れて。」
私はすぐ後ろを歩いていた創をぐいっと押さえつける。創がぐえっ、と苦しそうな声を出す。
メイ「随分遅いな、どこ寄り道してたんだ。」
「……何?」
メイ「どうするつもりなのか聞いておこうと思ってな。」
メイが口調が荒んでいるのはいつものこと、だけど少し苛立っているのを感じ取る。
「素直になった方がいい。スクールアイドル部の人、みんないい人。創が入ったのも納得。」
メイ「アタシのことじゃねぇよ!お前のことだよ!」
私のことは、どうでもいい。ただ、メイが私を気にしてやりたい事ができないのなら、私は……
「私は、1人が好き。一緒にいてなんて頼んだことない。新設校だから、部員1人でも、科学部は無くならない。心配しないで、はやくスクールアイドル部に行って。」
メイ「だから言ってるだろ!アタシは向いてないって……」
私は短く息を吸い込む。これからのことを少し考えて。
メイは、私がいなくても平気。スクールアイドル部に行けば、創がいるから。メイが私というお荷物を抱えることは無い。
「じゃあ、科学室にも来ないで。」
メイはえっ、と驚いた表情をこちらに向ける。
いつもと同じ声色、いつもと同じ表情で。私はメイに言う。
これで、いつもが終わっても。
「興味もないのに、いつもいられるとむしろ迷惑。」
これが私のキモチ、と思い込む。
私はメイの顔を見ずにその場を立ち去る。
これでいい。……これでいい、はず。
創視点、路地裏──────
四季「興味もないのに、いつもいられるとむしろ迷惑。」
……なんで、あんなこと……!
僕は回り道をして四季を追いかける。薄暗くなった原宿の街を1人駆ける。
そうすると視線の先に四季が見えた。
「四季!四季っ!」
名前を呼ばれ、四季はゆっくりと振り返る。僕を見る四季の目には少し涙が浮かんでいた。
「……無理しちゃダメだよ。あんなこと、言い慣れてないんだから。」
僕はポケットからティッシュを取り出し、四季へと手渡す。
四季「……こうでもしないと、メイは行ってくれない、から。」
四季はティッシュを1枚取り出し、目元をそっと拭く。
「それはそうかもね。」
僕たちは近くの公園にあったベンチに座る。
「……四季は、どうするの?スクールアイドル部。」
四季「……私は、わからない。」
四季「私は、どうしたらいい……?」
道に迷った子供のような表情で四季は僕の顔を見る。
まるで昔の僕を見ているようだった。
「僕が、こうしろっていうのは言えないよ、けどね。」
「向いてるか向いてないかで決めるんじゃなくて、──────。」
創の自室──────
帰宅して風呂を出るとスマホに通知が。
スクールアイドル部のグループには千砂都先輩が部長になる旨が、何か心変わりがあったんだろう。千砂都先輩が一歩を踏み出しているのを知って僕は嬉しくなった。
それともう1件。
メイからだった。「都合のいい時に電話かけてくれないか。話したいことがあるんだ。」と。僕はメイに電話をかける。数コールのあとメイが電話に出る。
「ごめん、お風呂入ってて。」
メイ「大丈夫。こちらこそ忙しい時に悪いな。」
メイの声色は明らかに普段よりも元気がなかった。四季に言われたことを気にしているんだろう。
「それで、話って?」
メイ「あぁ。創、アタシと四季が話してるとこ見てたよな?」
図星だった。あ、えっと、と言い淀んでいるとメイが気にしなくていい、と。
「ごめん……四季が呼び出されているの知らなくて……」
メイ「そんなことだろうと思った……じゃあスクールアイドル部の先輩たちも一緒だったんだな。」
僕は正直にうん、と返事をする。
メイ「……四季のこと怒らせちまったな……初めてだよ、四季のあんな顔見たの。」
言葉はいつも通りだが、声色はだいぶ暗かった。少しの間僕たちの間に沈黙が流れる。
「メイがスクールアイドル部に入らないのは、四季が1人になる、それだけが理由?」
メイ「……言っただろ、向いてないからだって。」
創もそんな意地悪なこと言うようになるなんてな、とメイは少し笑う。
「ごめん、そういうつもりじゃっ!……けど、2人ともお互いのこと大好きだから、今こうなってるんじゃない?」
メイ「は、はぁっ!?大好きっ、て……アタシと四季が……っ!?」
「うん、前から思ってたけど、メイと四季は似た者同士だよ。」
に、似てるわけないだろっ!とメイは少し声を荒らげ、僕はスマホから少し耳を遠ざける。
「2人とも恥ずかしがり屋で、寂しがり屋で、けどそんな自分が嫌だからこれでいいんだ、って自分に言い聞かせて。」
僕はベランダから振り返って自分の机の上に置いてある写真に目をやる。
結ヶ丘に合格した日、校門の前で泣いている僕を慰める四季とメイが写った、僕の大事な思い出。
「お互いに似てて、大好きで、けど他人だから違う、って思い込んでる。2人とも自分の気持ちに嘘をついてる。」
メイは黙っている。
メイ「けど、アタシは……」
「向いてない、でしょ。」
電話越しでもどんな顔をしているのかわかる。
今、2人の背中を押すのが僕の仕事だ。2人がいなきゃ僕は今ここにいない。だからこそ、2人を僕が。
メイ「じゃあアタシはどうしたらいいんだよっ!」
四季『私は、どうしたらいい……?』
あのときの四季が頭をよぎる。ほんとに似た者同士だな、と少し口角が上がる。
「向いてるか向いてないかで決めるんじゃなくて、やってみたいかで決めたらいいんじゃないかな。」
「正直になってみようよ、少しだけ。自分のキモチに。」
月の光を受けて、僕の身につけたペンダントが少し光った。
メイ視点、化学室へ向かう廊下──────
創『向いてるか向いてないかで決めるんじゃなくて、やってみたいかで決めたらいいんじゃないかな。』
「やって、みたい……か……」
創の昨日の言葉を思い出す。アタシはずっと、自分の気持ちに嘘をついてたんだって気付かされた。
踏み出せないのを四季のせいにしてた。あいつを1人にするから、なんて。ほんとはアタシが1人になるのが怖かっただけだ。
考えながら歩いていると、開かれた化学室のドアから差し込む夕日が見えた。そこにはダンスをする四季もいた。
「そういうことか、お前もとはな。」
四季はびくっ、と体を震わせる。
四季「別に、好きじゃない。ただ、メイが興味あるみたいだから、調べていただけ。」
アタシはそばにあった伸び縮みする鏡をすすい、と四季の顔が写るように前へ出す。
四季「はっ……!」
「顔、真っ赤だぞ?」
アタシはこの前四季にされたことを綺麗にやり返してやった。
四季「こんな笑顔ひとつつくれない子に、スクールアイドルなんて、無理……」
「……それ言ったらアタシはどうなる……?」
笑顔どころか常に怖がられてきたアタシになんてこと言うんだ。
四季「それは平気、メイはかわいいから。」
「お前の方がかわいいだろ。」
四季「かわいくないっ!」
アタシは思わず笑ってしまう、赤らめた頬を少し膨らませて、いつもの大人びた四季とは違う、アタシしか知らない顔。
「かわいい。」
四季「……い、言わないで。」
短い髪をきゅっと掴み、顔を隠そうとする、可愛いとは思ってたけど、こんなかわいい仕草までできたんだな。
四季を独りにさせないためじゃなく、アタシが、四季といたいんだ。
「似た者同士が出会えたんだ、少しだけ、素直になってみないか。」
「四季が近くにいてくれたら、頑張れそうな気がするんだ。」
これが、今まで言えなかった心からの言葉。アタシのキモチ。
四季は少し間を開けてから、アタシの手にそっと手を伸ばす。四季の細くて、けど少し大きな手がアタシの手を包む。解けないように、解かせないように、そっと指を交互に絡ませる。
そうしていると後ろから「あだっ……つぅ……」と聞きなれた声がする。
振り返ると目元から大粒の涙を流した創がいた。
「なっ……!創!聞いてたのかっ!?」
四季「聞いてたどころか、ずっと見てた。最初から。」
創はぶつけた左手を撫でながら「ごめん……」と笑う。
「なんで言わないんだよっ!あんな、あ、あんなっ……手をっ……!」
自分の手元に目をやる、ぎっちりと四季の指が絡んでいる。そう思うと急に恥ずかしくなり、顔が赤くなるのを感じる。
四季「私は……メイがこんなに大胆なんて知らなかった……」
わざとらしく頬を赤らめる四季、照れるアタシ、泣いている創ととてつもなくカオスな状況が科学室には広がっていた。
創「よかったよ……2人とも……どうなることかと思った……」
創は目を擦りながら鼻を啜っている。……無理してアタシらのこと元気づけてたんだな……
四季がおもむろに創の手を取る。それを見てアタシも同じように創の手を取る。
創「2人とも……?」
創は何が起こっているのかという様子でアタシと四季の顔を交互に見る。
四季「……私とメイが正直になれたのは創のおかげ、だから……ありがとう。」
「創がいなかったらアタシも四季も、多分踏み出せなかった。中学の時のままだった。」
メイ、四季「だけど変われた。創のおかげで。」
創はそれを聞くと余計に泣き出す。床に大粒の雫が落ちる。
「あ〜もうそんな泣くな!ほら、これで拭け!」
四季「それ……試験紙……」
こうしてまたアタシ達は3人になった。けど中学の時とは違う、新しいアタシ達。
創視点、屋上──────
恋「今日から新しく2人が加わることになりました。」
僕たち7人の前に四季とメイが並ぶ。
四季「ん。」
メイ「よ、よろしきゅっ!」
千砂都「これは……2人ともステップの前に笑顔の練習だね……」
千砂都先輩は2人の顔を見て思わず呆れ笑いだ。四季は無表情だし、メイは緊張でガッチガチだし。
すみれ「仕っ方ないわねぇ〜お手本を見せてあげるわ!ギャラ」
可可「結構デス。」
可可先輩によって持ちネタをキャンセルされたすみれ先輩はまたいがみあっている。
かのん「創くん、大丈夫……?」
「えっ!?あ、はいっ!ごめんなさいこんな顔で……」
かのん先輩は目を真っ赤に腫らした僕を見て心配そうに覗き込む。
顔が近い……思わず照れて顔を逸らしてしまう。
千砂都「そうだ!部員も増えたし、アレ!やってみない?」
創、メイ、四季「アレ?」
きな子「わぁ……!」
きな子ちゃんが感嘆の声を漏らす。
9人が丸くなって中心に向かってピースを差し出す。
千砂都「私たちのライブ前のおまじない!」
メイ「うひ〜!恐れ多い、恐れ多いっ!」
オタクの素振りを隠さないメイに僕はメイが変わったことを実感する。……そういうわけじゃなくただオタクが出ちゃってるだけかもしれないけど……
かのん「創くん、最初やってみて。」
「えっ!?僕ですか!?」
うん!とまっすぐな笑顔でかのん先輩がこちらを見る。他のメンバーも僕が言うのを待っている表情だった。そうだ、僕もLiella!のメンバーなんだ……!
「結ヶ丘高校スクールアイドル部、Liella!これからも、もっともっとたくさんの人に歌とキモチを届けよう!メイ!」
僕はメイにセリフとキモチを繋ぐ。
メイ「そ、Song for me!」
メイから四季へ。
四季「Song for you.」
四季からLiella!へ。
全員「Song for all!!」
Liella!からみんなへ!
ここまで読んでいただきありがとうございます。創、メイ、四季3人がお互いをどう思っているのか、どうしてほしいのか自分なりに解釈して書き上げてみました。1番書きたかった話だったので筆が乗るかと思いきや、これは違うと何度も書き直すことに……結果更新が遅れてしまいました。もし待っててくださる方がいたら申し訳ありませんでした。
次回は遂にCEOが登場します。楽しみです。