テンプレ騎士団「我々の最新の研究によれば、カヤはお仕置き◯ックスに値する」 作:新人先生
亀更新が過ぎますが、たぶんこのシリーズは今後も忘れられた頃に投稿します。
プロローグ
――前回までのあらすじ――
ある日、先生はトリニティの宗教テロリストに突然誘拐され、連邦生徒会防衛室長ともども“セックスしないと出られない部屋”に閉じ込められてしまった!
先生を救出するため、ゲヘナ学園では万魔殿と風紀委員会が歴史的和解を成し遂げ、トリニティに状況説明を求めるため抗議へ向かう。
対してトリニティ総合学園は「当該組織は学園の統制外にあり、我々も被害者である」と主張しつつ、事態収拾のために動いていた。
しかしその態度を責任逃れと受け取ったゲヘナ側は「トリニティが先生を救わないのなら我々がやる」と宣言、遂には多数の戦力を伴いトリニティ陣地に侵入してしまう。
先生を救いたい一心で万魔殿議長、羽沼マコトが決断した結果だったもの、彼女に自分のやっていることの意味を理解するだけの能力はなかった。トリニティからすれば明確な自治権の侵害でしかないこの事態に、両校の対立はかつてないほど悪化。局所的な戦闘が散発し、あわやエデン条約破棄という事態にまで発展するかと思われた。
だが、その危機に一筋の光明が差し込む。
なんと二校の話し合いに割って入る形で、突如として当該テロリスト集団が現れたのである。ルールを破り、自分達の自治区に侵入してきたゲヘナへ抗議しにきたのだ。
キ○ガイじみた集団が大挙して押し寄せてきたことで、長年いがみ合ってきたゲヘナとトリニティですら瞬時に休戦状態となり、揃って迎撃することとなった。
この過程である種の信頼関係が生まれた両校は、協力して“セックスしないと出られない部屋”の場所を突き止めることに成功。部屋の扉は堅く閉ざされていたが、両校から選抜されたキヴォトス最高峰の戦力を誇るメンバーたちにより、遂に部屋の壁を破壊することにも成功した。
壁を破壊すると、そこにいたのはなんと全裸の先生と防衛室長。
「ヤったか!?」と動揺する一同であったが、扉が閉ざされていたということはセックスはしていないということ。当該テロリスト集団が二人を拉致する際に服をひん剥いていたという情報もあり、彼らの証言が正しければ二人が自発的に服を脱いだわけではないということになる。これは二人が性交渉に及んでいないことを裏付ける証拠だと言えるだろう。
こうして先生と防衛室長の貞操は守られ、二人の潔白は証明された――
――かに思われた。
しかし。
そう。事態はまだ収束していなかった。
後日、捕らえたテロリスト集団の一員を尋問したところ、衝撃的な事実が判明したのである。
それは、扉の開閉判定は、あくまでも互いの性器同士の接触を含む“本番行為”の有無を基準としているという事実だった。
つまり、口や指や手などを使った性行為――すなわち、淫語囁き、手コキ、フェラチオ、アナルセックス、およびセッ○スごっこや耳かき等を行っていた可能性が否定できない事態になってしまったのである。
*
『おいゴルァ! だったらなあ、防衛室長サンよお……お前が先生にク○ニさせてないって証拠はあるのか!!? 証明できないよな?』
『そんなことやるわけないでしょう!? そもそも、それは悪魔の証明というやつで――』
『知らねえよそんなの!! とにかくお前を信用できるわけねーだろ!!』
『そうだ! この邪悪な権力の犬め!! ついに正体を現したな!!』
『いや、あの……』
『口を開けば否認の言葉ばかり……それ以外の語彙が脳みそに入っていないのか!?』
『ちょっとは聞いてくださいって! あなた……レッドウィンターの工務部の部長ですよね? なんで警察の取り調べに混ざって…?』
『今そんなことは重要ではない!! 我々は悪しき権力者がどこに隠れようとも、見つけ出し、抗議する。ただそれだけのことだ』
『絶対おかしいですってこんなの』
*
不意に浮上してきた新事実。たとえ本番はしていなかろうと、先生と生徒がそのような行為をすることは許されない。先生と防衛室長は今度はヴァルキューレの手によって捕らえられ、疑いが晴れるまで拘禁されることとなってしまった。
この事実は極秘情報として各学園の首脳陣のみに知らされ――結局はその後クロノススクールがすっぱ抜いたので意味はなかったのだが――広く公表はされなかった。先生の貞操を狙っていた生徒は一人や二人ではない。もし噂が広まれば、今からでも先生と“仲良くなる”ために動き出す生徒が大量に出てきてしまう。今やキヴォトスに残された希望は、先生の純潔だけ。それが失われているかもしれない事実が世間に露見すれば、混乱は避けられない。
このような状況下で、ゲヘナ学園の生徒会組織、万魔殿の議長たる羽沼マコトもまた、真実を知って激しい衝撃を受けていた。いや、“衝撃”などという生易しい言葉では済まされないほどの絶望感。かつてないショックを受けた彼女は、寝込んでしまった。
43℃を超える高熱、幻覚、および幻聴等――医師曰く、“脳破壊”の症例であるという――に七日間もの間苦しんだマコトは、遂には昏倒し、生死の境を彷徨うことになった。
マコトがバカすぎて誰も察することができなかったが、実のところ彼女は先生のことを悪しからず想っていた。そのことが仇となってしまったのである。とはいえ、他ならぬ彼女自身が自分の感情の正体を理解していない有様だったため、この事態を防ぐ方法など無かったのではあるが。
そして、意識不明となってから三日目。
マコトは再び目を覚ます。
そして目覚めたマコトは、なんと。
*
ムクリ。
「……! 先輩!! よかった、目が覚めたんですね!」
「――イロハか。ここはどこだ?」
「……っ! 先輩、話せるんですね!? チアキ! こっちに来てください! 早く!!」
「はいは~い、ただいま参上っ! 一体なんですか、っと。……おおっ!? マコト先輩!?!?」
「そうなんです、早くみんなを呼んできてください!!」
「これは大ニュースですね~っ! せんぱ~い? 笑ってください、まずは一枚――」
「人を呼んでくださいって言ってますよね!? ちょっとは心配してください!!!」
「マコト先輩は殺したって死なないのに……」
「正論ロボ風に言っても正論にはなりませんよ!?」
「なんだ、やけに騒がしいな、二人とも」
「すっ、すみません、先輩……。でも先輩が眠っている間にチアキがサイコパス気味になってきていて……。いや、というか、むしろ私を除いて万魔殿全員にその気が出始めている感じで……。なんというか、悪魔っぽくなってきているんです。原因はよくわかりませんが、たぶん、ストレスでおかしくなってるんじゃないかと……。一時的なものだと思うので、どうか嫌わないであげてくださ――」
「――『我思う、故に我あり』」
「……えぇ????」
「二人に言っておこう。私は眠っていたんじゃない。これは、むしろ目を覚ます過程だった。いまこのときをもって、この世で最も確かなものが目覚めたんだ――」
*
なぜか。
なぜか……若干、頭が良くなっていた。
全くもって不可解。摩訶不思議。つまりは奇跡。
しかし、この青い物語は、いつだってここから始まる。
少し不思議で、奇妙で、シュールで、ポップで、シリアスで、アクションで、ギャグで、スリリングで、クレイジーで、狂気的で、不気味で、ブラックで、ポストモダンで――そんな全ての奇跡が始まる場所。
誰もが違った形で生き、ここではその全てが等しく青春――“青春”の表現形式は無限だ。多少突飛であろうとも、ここにある一つの“青春”もまた、その無限の中の一つに過ぎない。
この青い物語は、いつだってここから始まる。この世の全てが空しいものであろうと、それだけは変わらぬ真実なのである。
勢いで書いたせいでマコトが哲学者みたいな感じになっちゃいましたが、悪魔的な狡賢いタイプの頭の良さを若干取得したという認識の方が適切です。モチーフが悪魔だしそんな感じのマコトもアリやろの精神。
流石に次回からは若干真面目にしたいが、イケるか……?