ぷるぷる、ぼくわるいコミュ障じゃないよう   作:スッと出てきてすぐ消える

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おお、コミュ障よ、騒ぎになってしまうとは何事だ!

ジリリリリリリリリ!!!

 

もうとっくに起きていたのに、めざまし時計のアラームが鳴る。

スマホロトムならそこら辺融通を利かせてくれるみたいだけど、僕は持ってない。 

だってアレ、話しかけてくるし。

 

2時間は前から起きていて、家中の掃除もして、持ち物チェックも3週目が終わったところだけどアラームを解除するのは忘れてたみたいだ。

でも、早起きの理由は今日が楽しみだったからなんかじゃない。

 

「ねぇ、モモ…やっぱり無理だよ、できないよ。今日はもうやめとこうよ、2年ちょっとも休学しちゃったせいで前話せてた子たちは卒業しちゃってるだろうし、「モッ!!」…モゲ!?ゲホッゲホッし、死ぬかと思った…」

 

不意打ちの餅はやめて欲しい。

本当に命に関わるから。

毒とか関係なく死んじゃうよ。

 

「うん、うん。でも、元気出たよ、ありがとう。」

 

そう言って餅を飛ばしてすぐ、からに籠もった相棒をバッグに引っ掛ける。

相棒は、あまり大っぴらにできるポケモンじゃないけど、不出来な僕を心配していつもこうして荷物に紛れてくれている。

そうこうしているうちに、もう出かける時間が迫っている。

運転手さんと話せないからイキリンコタクシーも使えないし、早めに出ないといけない。

 

「新しい校長と生徒会長、それに転校生とコサジタウンで顔合わせか、いい人達だといいなぁ。」

 

キーホルダーになりきっている相棒はもう返事をしてくれないけど、僕の独り言は止まらない。

元引きこもりの悲しい習性みたいなものだ。

 

「でも、よかった。ハッコウシティとコサジタウンが海で繋がってて。この距離なら行けないこともないもんね。」

 

本当によかった。この前仕方なく使ったイキリンコタクシーの運転手さん、滅茶苦茶話しかけてくる人で、いい人だったんだけど、「あっ」とか「う」とかしか返せなくてどれだけいたたまれなかったか。

 

それに比べてパルデアの海はいい。

野生のポケモンが強いからか、理由のわからない沖合まで泳いできてる海パン野郎もいないし、船にさえ気をつければ話しかけられることもない気楽な旅だ。

やっぱりミガルーサとか怖いよね。あと、水のなかで半透明になったシビシラス。

 

「久しぶりにミロカロスも広いところを泳がせてあげられるし、そろそろ行こうか。」

 

うちのミロカロスは色違いだ。

パルデアには野生のミロカロスがいないうえに、色違いなのでそれはもう恐ろしく目立つ。

それでも目立たないように外で思いっきり泳ぐ機会は作ってるけど、申し訳なく思ってるんだ。

僕にもっと人目を気にしない勇気があればって。

 

「着替えもあるしせっかくの機会だから思いっきり泳がせてあげないとね。モモは落っこちないように気をつけてね。」

 

こんな僕に着いてきてくれる大切な仲間達の入ったフレンドボールを5つと、相棒の入る歪なフレンドボールもどき(これを僕はフレンドボールと認められていない)をベルトに付けて家を出る。

 

「いってきます!……ねぇ、やっぱりやめ「モ"ッ!」ごめんて」

 

ちょっと帰りたくなっただけじゃん。

でも、いつも背中押してくれてありがとう。

そんな、周りから見たら怪しい独り言を喋りながら街外れの海岸でミロカロスを出す。

すると、周りから驚きの声がいくつか聞こえた。

でもそれ以上に、その驚きが伝播してどんどん騒ぎが大きくなっている。

 

「え?な、なんでこんなに人が集まってるの!?!?ミ、ミロカロスっ、できるだけ早く沖に!その後はコサジタウンまでお願い!!」

 

とにかくはやく、できるだけ人目のつかない沖までお願いします。

人目が嫌で目立たないここまで来たのになんでこんなに人がいるんだろう。

 

「ん?あれは…げぇ!?ナンジャモ!!近くで配信やってたのか!」

 

幸い本人にはまだ見つかってなさそうだしカメラもこっちには向いてなさそうだけど、気づかれるのは時間の問題だろう。

もう少し周りに気を配っておけばよかった。

このまま潜ってしまう?

ダメだ、流石にこれから人に会うのにずぶ濡れはマズイ。

あの辺りはポケモンセンターもないしすぐに乾かすのは難しいだろう。

 

「どうしようどうしようなにか「ミ〜ロ〜」あ、あぁ、ありがとうミロカロス、少し落ち着いたよ。とりあえず【くろいきり】を薄めに出して目眩ましにしよう、それでそのまま急いで沖に向かってくれる?」

 

ミロカロスのウロコが優しく光って慌てていた気持ちが鎮まるのを感じる。

なんとか…なんとか…この霧でナンジャモさんに『見つかりたくない意思』だけでも伝われば…

そうすれば多分、無理に撮影とかはしないでくれるはず。

ジムリーダーって基本的に人格者じゃないと慣れないはずだし。

あと、万が一生配信でカメラに映ったりしても霧があるからくっきりとは見えない…はず。

 

「はぁ、先行き不安だなぁ…」

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

「ニッシッシッ!皆の者どうだった?ハッコウシティの朝焼け生配信!たまにはこういうのも悪くないでしょ〜」

 

・よかった

・マリナードタウンからは見れない日の出に感動

・なんか奥の方騒がしくない?

 

ザワザワザワザワ

 

「あれ?どうしたんだろ、海岸が騒がしいよ!皆の者!行ってみよう!!」

 

「おい!海岸で色違いのミロカロスが出たってよ!!」

 

思いつきで始めた朝焼け生配信も締めに入ってた頃に突然の特ダネを聞いちゃって僕もビックリ!

 

「色違いのミロカロス!?そ、そんな珍しいポケモン動画に出せたらチャンネル登録者数もシビルドン登り…フヒッ!」

 

・パルデアでミロカロス!?

・しかも色違い

・心の声全部漏れてます

・フヒッ助かる

 

ちょっと、心の声が漏れちゃったけど仕方ない!

だって、ここで動かなきゃストリーマーじゃないよね!

 

「あ!アレだよ!皆の者見えてる!?もうだいぶ沖に行っちゃってるけど、スッ…ゴ……イ綺麗だよ!?」

 

・こんな遠目でもはっきりわかる、綺麗だ…

・人乗ってね?

・スゲェ

・ミクリ《へぇ、今どき珍しいね、【うつくしさ】を上げて進化しているミロカロスじゃないか。》

・!?

・え、本物??

・ナンジャモ、気づけ!!

 

「って、ミロカロスにばっかり目が行ってたけど人が乗ってるよ!そりゃトレーナーいるよね!これ、映しちゃダメだったかも?」

 

・それはそうだけどそうじゃない

・ダメだコメント早すぎて追いきれてない

・アカデミーの制服っぽい?

・ミクリ《最近は【きれいなウロコ】での進化も発見されて昔より見かけるようになったけど、やっぱりミロカロスは【うつくしさ】での進化が素晴らしいね、かなり鍛えられてもいるみたいだし、ぜひあの背に乗っているトレーナーとは一度話をしてみたいな!》

・ホウエンのチャンピオン代理降臨とかマジか

 

「な、何?コメント早すぎるよ!ま、まさか炎上!?って、え、あのミロカロス【くろいきり】出してる!…もしかして…これ、マズっ…」

 

あのミロカロス多分、トレーナーがいて、この【くろいきり】って撮影拒否の意思表示じゃない!?

そりゃそうだよね!ただでさえ珍しいパルデアにはいないミロカロスでそのうえ色違い!どんな騒ぎになるか分かったもんじゃないよ!

も、もうちょっと早めに目立たない様にして欲しかったけど…

 

「ごめん!皆の者!今回はこれで配信を終わるよ!あのミロカロスはトレーナーさんがいるみたいだし、撮影してしまったものはとりあえず仕方ないけど、変に拡散とかはしないように!!この配信も一旦アーカイブ非公開にします!あなたの目玉を エレキネット! エレキトリカル★ストリーマー 何者なんじゃ? ナンジャモでしたっ!」

 

・え、終わり!?

・ナンジャモまた燃えるの?

・チャンピオン代理を完全スルーとか伝説になるわ

・ミクリ《でも、コンテストに色違いのヒンバスやミロカロスが出た記録はなかったはず…となるとポケモンリーグ挑戦者なのかな?連絡を取ってみるとしようかな》

・ダメだチャンピオン代理も自分の世界入ってる

 

一瞬見えたけどあのトレーナー、アカデミーの制服着てたよね!?

とりあえず、アーカイブ消して、オモダカさんに連絡しないと!

 

 




ナンジャモはこの後滅茶苦茶バズったし、オモダカさんに怒られたし、過激なミクリファンに燃やされました。

ミロカロス
大きな湖の底にすんでいる。体が鮮やかなピンク色に輝くとき荒んだ心を癒す波動を放つ。(サファイア、アルファサファイア)
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