ぷるぷる、ぼくわるいコミュ障じゃないよう 作:スッと出てきてすぐ消える
「ねぇ!あなた、絶対ポケモンバトル強いよね!?私とバトルしようよ!!」
「え、あ…あの…」
顔合わせのための待ち合わせ場所として指定された場所で、先ほどのミロカロスの騒ぎのことを考えていたら突然バトルを申し込まれていた。
ひぃ、グイグイくる…パルデアは眼と眼があってもバトルにならない安心安全の地方だったはずなのに…
ぼ、僕のいない2年の間にルールとか変わっちゃったのかな?
というか、やっぱり無理!助けてみんな!!
「ねぇ!バトル!!バトルしよう!!」
「ポ…」
「ポ?」
「ポケ…モンを……出してもいい?」
な、なんとか絞り出せた。
「ポケモンを!?じゃあ、バトルしてくれるんだね!じゃあ、私はどの子にしようかな〜!」
「ち、違っ…そうじゃな…」
ダメだ、勘違いされてる…
僕がポケモンを出したいのはそういうことじゃないんだけど、どうしようこのままだと完全にバトルする流れだ…
待ち合わせもあるから、ちゃんと断らないと。
「ご、ごめん!ポケモン!出すね!!」
「え!?どうしたの急にそんな大きな声で??」
「カ、カラマネロ!助けて!!」
無我夢中でボールを投げる。
「うわっ!大きなカラマネロ!私初めて見た!それにすっごい強そう!!それなら私は…「カラマネロ!急いで!さいみんじゅつ!!」えっ!?ちょ、ちょっと待って!!」
驚かせちゃってごめんね!!
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「待って!ダメだよ!!ストップ!ストップ!!!」
さっきの女の子が必死に声を上げているのが聞こえる。
「おや、こちらはどういった状況なのでしょうか?」
「先生!えっとバトルを申し込んでて!そしたら、この人が突然
誰か新しく来たみたいだ。
さっきの女の子の知り合いっぽいな。
でも、もうだいぶ【さいみんじゅつ】も効いてきた。
これなら自分で説明できるね。
「ありがとう、カラマネロ。お騒がせしてすみません。僕はメドハギと言います。今日はアカデミーへの復学前の顔合わせとして、編入生の方と新しい校長先生と生徒会長の3名との待ち合わせでここにいました。」
「あぁ、あなたがメドハギさんでしたか。私が校長のクラベルです。」
「あ!ごめんなさい、名乗ってなかった!私が生徒会長のネモです!あの!それよりも【さいみんじゅつ】は大丈夫なんですか!?」
この女の子が生徒会長だったんだ。
制服も着てたし薄々そうかとは思っていたけど。
それにこの反応、多分この地方にいないカラマネロのことにも詳しいのだろう。
カラマネロについて知っていたら突然自分への【さいみんじゅつ】を始めた僕達を見てパニックになるよ。
「ネモさんは、他の地方のポケモンのこともよく知ってるんだね。でも大丈夫。元々僕は人と話すのが苦手でね、カラマネロの催眠だったり、他の手持ちの力を借りて気持ちを落ち着けたり、人と話すための勇気を出して貰ってたりしてるんだ。」
今回は慌ててたから1番即効性で効果の高いカラマネロにお願いして、カラマネロの危険性を知ってるネモさんがいたから話がややこしくなっちゃったけど。
「それにカラマネロとは僕が11歳の時からの付き合いで、もう10年以上こうして貰ってるから安心して大丈夫だよ。」
「そう…なんですね。あの、メドハギさんのカラマネロを疑うわけじゃないんですけど怖くないんですか?カラマネロは今見つかっているポケモンの中で1番強い催眠を使えるポケモンです。もしかしたら催眠で記憶や人格を変えられてるかもしれないんですよ?」
ネモさんが不安そうに伝えてくるそれは、カラマネロというポケモンを知っているなら当然の懸念だ。
でも、それに関しては僕は明確な答えを持っている。
「いいんだネモさん。僕にとってはカラマネロの催眠で違う自分になってしまうことよりも、今ここで人との関係を踏み出せないことの方が怖い。僕の手持ちは他の子達も僕の心や行動、人格を変える事ができるポケモン達ばかりだけれど、そんなことはされないと信じているし、たとえされたとしても後悔はない。」
それが、僕のトレーナーとしての唯一の矜持。
そして、トレーナーの先輩としてネモさんに伝えるべきだと思ったことも続ける。
始めて、相棒としてモモワロウと一緒に生活するようになった時に博士から伝えられた、大切なことを。
「それにね、ネモさん。忘れてはいけないんだ。
えっと…ネモさんもクラベル校長もなにか反応してほしいかな…
ねぇカラマネロ、僕ちゃんと伝えたいこと伝えられてた?
普段こんなに喋らないからどんどん不安になってきたんだけど。
「ありがとうございます。あなたのトレーナーとしての考えはよく分かりました。ところで1つお伺いしたいのですが、あなたは何をされたくてアカデミーに?休学中、ガラルでご活躍もされていたようですし、既にご自分の意見もしっかりしている。失礼ですが学べることはあまり多くないかもしれませんよ?」
クラベル校長にかけられた言葉は、言葉だけなら僕にアカデミーは必要ないと突き放すような言葉だったけど、カラマネロの催眠で落ち着いている僕には、心配するようなクラベル校長の表情がしっかりと見える。
例え自分が悪役になっても、僕が無為に時間を過ごさないようにとこれからの道を確認しようとする、尊敬できる教育者の目だ。
「僕は10歳で初めての相棒に出会うまで引きこもりでした。相棒に出会って引きこもりをやめてからも人と関わるのが怖くて、ポケモン達と森の中や小さな無人島なんかで遊んでいました。それでもポケモン達の力を借りて、こうしてなんとか人と話せるようになりました。そうすると今までできなかった、やらなかったことを途端にもったいないと思ってしまって、入学の年齢制限のない、アカデミーに入りました。22歳の人間が言うのは恥ずかしいですが青春をしてみたかったんです。」
あ、ガラルでは活躍とかはしてないです。
幼馴染に巻き込まれて色んなゴタゴタの解決に協力してたら2年も経ってしまっただけです。
そんなことを言っているとクラベル校長が微笑みながら手を差し伸べてきた。
「おかえりなさい、メドハギさん。アカデミーはあなたを歓迎いたします。どうか、あなたにとっての『宝物』がアカデミーで見つかりますように」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします。」
こういう人を見てると、大人って感じがするなぁ。
将来自分が同じような歳になった時に、こんな人になれてるのだろうか。
少なくとも今みたいな、子供じゃないだけの僕とは大違いだ。
「ところでネモさん、クラベル校長。編入生の方とも顔合わせと聞いたのですが、その方はどちらに?」
「あっ!ごめんなさい!忘れてた!先生が編入生の子の家に入学書類とかを届けに行ってて、私はその間にメドハギさんをお迎えに来たんだった!」
「アオイさんは今、初めてのポケモンを選んでいる途中でして、ネモさんのご自宅まで3匹と交流しながら向かうとのことで、私だけ先に来たのですよ」
そういうことなら早めにネモさんの家に向かった方がいいのではと思ったけど、編入生のアオイさんの家からネモさんの家までは、今いるここを通る一本道なので追い越される心配はないのだそうだ。
「しかし、そろそろアオイさんも追い付いてくる頃かもしれません。我々もネモさんのご自宅に向かうとしましょう。」
「はーい!私案内します!」
そんな、クラベル校長の号令で編入生のアオイさんに、追いつかれないようネモさんの家に向かうのだった。
主人公
メドハギ 22歳♂
手持ち
モモワロウ
カラマネロ♂
???
???
ミロカロス♀☆
???
カラマネロ
ポケモンで1番強力な催眠術を使う。相手を意のままに操ってしまうのだ。(X、オメガルビー)