RE Take of EVANGELION 外伝   作:Air1204

3 / 9
今作は日常回多めに書こうかなと。
何せ使徒戦は色んな人が書いているし、重要な使徒以外物語の進行に関係無さすぎる。
前世?の知識を用いれば勝てる相手もいるが、それでも技術は追いつかない。
まぁ、この程度のシンちゃんには限界…という事ですね。


第参話 甘味はいずれ毒となる。

「だーもう!うっさいわねぇ!なんにもしないっての!!」

 

『そんなのは当たり前でしょ!?子供相手になんてこと言ってんのよ!』

 

「でも…顔は可愛いのよね。本人がやぶさかでもなければ…ワンチャン…。」

 

『ミサト!いい加減に!!』

 

「冗談に決まってるでしょ!?碇司令にも許可は取ってあるんだからリツコに入る余地無しよ!それじゃ!買い物もあるからお先!」

 

『ちょ、待ちなさ…話は終わってないわ…。』

 

「ふぅ…。リツコは小煩くて溜まったものじゃないわね…。さ、行こっかシンジくん。」

特段難しい話ではないはず。一緒に暮らしていく上でいくら年の差があるとは言え男女、そうならないはずがない…と。

まぁ前の世界の僕は無気力で生に必死でもなかった。

どうせ死ねないし、逃げたところでサードインパクトが起きて人類滅亡、それこそ死ねない僕は1人っきり。

だったら謳歌しようと。

ひとまずは何人にも手を出すより1人とのTRUE END。

いちばん簡単そうだったのがミサトさんってだけだ。

スタートから綾波やアスカを狙っていたんじゃ面白みに欠けてしまう。

かと言ってリツコさんとかマヤさんはハードルが高い気がした。

 

だからミサトさん。1番近くにいて誰にも邪魔をされない環境と。

まぁ最初に取り乱してしまったのは誤算だったけど…。

 

なんて事を考えながらの車窓、夕暮れが街を橙色に染め上げる。

いつかの帰り道。だがコンビニ飯はしんどい。だからこそアクションを起こす事にした。

 

 

「え!?料理を作るからコンビニは嫌だって…?」

 

怪訝そうな顔を浮かべたミサトさん。そんなにいやだったのかな?

 

「あの…嫌…ですか?」

 

僕の顔は母譲りだ。綺麗で整ってると自負してる。

まぁ別にそれが自信につながっていたとか言うのは断じてない。

けどこの世界では遺憾無くその力は借りようと思った。

 

上目遣いからの涙目と言う合わせ技。

 

「ぐっ…。嫌とかそういうのは…。まだ越してきたばかりで…片付けもできてなくて…調理器具とか買ってないのよ…。」

(綺麗な顔立ちをしてるとは思ってたけど。こんな顔されたら…あぁ…リツコ…ごめん…耐えられないかも…。)

 

〆た。まだ終わっちゃいない。ぱあっと明るい笑顔をしてみせる。

 

「僕も手伝っていいですか?荷物少ないですし僕のは直ぐに片付けられるので。ミサトさん、疲れてるだろうから僕がご飯を作ってあげたいんです。ダメ…ですか?」

 

「…。はっ…え、ああうん。そうしてくれると助かるというか…お願いしても良いかしら…?」

(可愛い!可愛すぎる。こんな顔されたらダメなんて到底言えない!碇司令の息子と聞いていたからどんな無愛想な子が来るかと思ったら…。すんごく可愛い子が来てしまったわ…。)

 

「はい!なんでも!」

 

なんて会話をして行き先がコンビニから大型のショッピングモールへと変わる。

まぁ、土地勘のない僕はミサトさんの手を握って。

「始めてきた場所だから…迷子になったらいけないと思って…手を繋いでもいいですか?」と言ってみたら快くOKが下ったのでしっかり腕を組ませてもらってのデートになりましたまる

 

 

「…。最近の子って大胆なのね…。」

 

「?そうなんですか…?」

 

「シンちゃん?あなたの事を言ってるのよ?」

 

「え、あ、そうなんですか…?」

 

「手を繋いでいいですかって聞かれたから良いのよって答えたのに腕組まれたんじゃびっくりしちゃうじゃないの…。」

 

「だって…人が思ったより多くて…。はぐれたら嫌だなって…。」

 

子犬のように潤んだ瞳。

 

「う…。そういうことなら仕方ないわね…。」

 

まぁ、言うだけ番長である。理由付けなど後から幾らでもできる。でも真っ赤になった耳と頬をみたら少しの意地悪くらいしたくなるものだ。

 

「さ、着いたわよ。」

 

真新しいマンションの最上階。いつもながら結構給料もらってるんだなって思う。

オートロックに網膜認証、音声認識に有人の監視室。

まあ作戦部長だしそんなの余裕で払えるくらいには貰ってるか。

 

「あの…お邪魔…します。」

 

「…シンちゃん…?ここは貴方の家なのよ?」

 

懐かしいやり取りが響く。ああ、そうだ、ここは僕の帰るべき家だ。

 

「た、ただいま。」

 

「うん。おかえりなさい。遠慮なんてしなくていいわ、あなたはまだ子供だもの。」

 

なんだかムッとしてしまった。子供だと言われるのはまだ男として見られていないからだろう。そう思ってしまった。

 

 

そこからは部屋の片付け、いつも通りに飲みっぱなしの食べっぱなし。良くもまぁこれでペンペンが怒りださないものだと…。

履き捨てられたパンツにブラジャー。…うん。第二次性徴の途中の僕らからすればご褒美でもあるし目の毒でもある。

 

「ちょーっち散らかってるけど…ごめんね…?」

 

ちょっとどころではないんだけどね。

兎にも角、下着類を片すのは後回しに脱ぎ捨てられたブラウスや、バスタオルなどをせっせと集めては洗濯機に放り込む。

回しては干す。その合間にゴミを纏める。ミサトさんは先にシャワーを浴びている。うん…。

 

「ミサトさん!?なんで僕が今洗濯物を回してるのわかってるのに下着を!ブラウスを床に捨てるのさ!!」

 

「ごめぇーん。拾ってくれる??」

 

「人使いが荒いなぁ…僕は部屋の掃除もしてるんですよ!?」

 

「シンちゃんがしてくれるって言ったんじゃないの…?けーちー。」

 

「もう…。知りませんよ!僕だって年頃ですから!パンツでもブラジャーでも僕の何を擦り付けるかもしれませんよ!?」

 

「えー…。じゃあそれ私も使っちゃおうかな?」

 

冗談が冗談に聞こえないジョークを辞めてくれ。

肝が冷えるわ。本当にとんでもないジョークの上を行ってくれる…。

 

「…ごめんなさい…そういうことはしないので、変なこと言わないでください…。掃除も料理もしますから…。」

 

「ふふふ…。まぁたまぁになら良いわよ?写真だって有るし…ね?」

 

「ば、ばばば、馬鹿なこと言わないでくだひゃい!!」

 

…童貞の僕には些かまだ刺激が強いね!この会話!!

でもまぁミサトさんらしいといえばらしいのか。

 

「ふふふ…。もう少ししたら上がるからぁ、そうしたら手伝うわね。」

 

「ん!分かりました!」

 

なるべく全部終わらせよう。

荷物を開ける作業だけはミサトさんにやってもらわないと多分エラいことになる。

何せ今のミサトさんは加持さんに未練タラタラで元カレのもんが山ほど出てくる可能性があるからだ。

 

「掃除機もかけた、餌皿も洗った、買ってきたものは今日使うもの以外は小分けに冷凍もしたしたし飲み物も冷蔵庫に入れた。」

 

しかしまぁ、よく出来ている。というかやっぱりちょっと違うのだ。

ビールはエビスじゃなくてサッポロだし。

前はよく分からん甲類焼酎ばっかりだったのに今や日本酒だし…。

 

「ツマミの類があるのは助かったよ…。ビーフジャーキーばっかりだけど。」

 

これは料理に使いやすい。ポテトサラダに刻んで入れるだけでもハムよりも重厚感が増す。

つまみに持ってこいなのだ。

なんなら卵焼きにだって悪くない。その際、甘めにというか塩味を抑えなければならないが…。

 

「とにかく作り始めよう…。今日はポテサラと唐揚げとかでいいと思うからね。」

 

十八番といえば十八番、ポテサラを作る前に唐揚げを仕込む。

僕は揉みこまない。加水という方式を上手く使う。こっちの方がパサつかないから僕は好きだ。

時間が経つとしっとりしてしまうがそれも醍醐味だと思う。

何より前の世界でミサトさんもアスカもよく好んでたからね。

しょうがとニンニクは刻まない。包丁の背で潰すだけ。ネギは青いところを軽く潰していれる。水、酒、少し多めの砂糖に塩、醤油、そして…。

 

「説得するのに時間はかかったけど…。僕が消費するって言ったら何とか買ってくれたからね…大切に使おう…。」

 

ナンプラーを少々。これだけで旨みがだいぶ変わる。

全てをしっかりと混ぜ合わせ、その液に少し大きめに切り分けた鶏もも肉を入れる。

上からラップを被せて…。よし、ポテサラの準備に移ろう。

そんな時、ちょうどミサトさんが風呂から上がる。

…言わなくてもわかるだろ?バスタオル巻いただけだよ。

 

「ん〜。いい匂い…。まさか自分の家からこんな匂いがするようになるなんて…シンちゃんは将来はいいお嫁さんになるわね?」

 

ふふっと微笑む彼女、なんだか意地悪がしたくなってしまったな。

 

「僕は男ですから嫁じゃなく主夫です。」

 

「こりゃあ失敬。でも本当仕込みでこの匂いはね?早くビール飲もーっと!」

 

「だめです!!先に部屋のダンボール片付けて!!」

 

「いーけーずぅ〜。」

 

「じゃなきゃツマミは無しです。あ、それと…僕のタイプはバリバリに仕事が出来てたまーにえっちで優しい年上のお姉さんです。」

 

「それって…。」

 

ぱんっと手を叩く。

 

「はいっ!片付けしてください。僕はまだまだ作るものがありますから!ね?」

 

あどけない笑顔をしてみせる。

それを見たミサトさんはなんだか少し気恥しそうに頬をかく。

 

「全く…年上の女ってったって15も上じゃ仕方ないでしょうに…。」

 

小言を言いながら奥の部屋に荷物を片しに行く。うん、効果は覿面だったみたいだ。

 

「っよし。よかったぁ…。時間を稼げた…。もう少し茹でたいとは思ってたからちょうどいいね。」

 

このポテサラの神髄はどれだけ柔らかく煮たじゃがいもを潰しカリッカリに焼き上げられるか、でしかない。

味はほぼヨーグルトの酸味とマヨネーズ、軽く炙ったビーフジャーキーの味でしかない。

食感が大事なのだ。

 

「良し。あとはオリーブ・オイルで焼いて…。オーブンじゃないから根気がいるんよなぁ…。」

 

ちなみにこれとミートソース、レタスやキャベツをトルティーヤに巻くと絶品だ。これだけでお腹は満たされるしワンハンドで食べられる。

サンドウィッチでも悪くは無いのだが…。パンよりもトルティーヤの方がしっくりくる味がする。

 

「シンちゃん!?このうちから絶対にしない匂いなんだけど!?お店の匂いがするんだけど!?」

 

自室から顔をのぞかせたミサトさんが声を荒らげる。

そんなに興奮することかなあ…。

でも慣れとは恐ろしいものだ。あとひと月もすれば自信満々にアスカにこれよコレーなんてうたまうのだからね。

 

「僕の十八番ですから!」

 

と顔を覗かせた僕が大馬鹿だった。バスタオルを捨て既に上裸、パンツこそは履いたようだが…それでもバカデカい乳だけは露出して…。うーんえっち。

 

「あ、いや…来るとは思ってなくて…えへへ…。夜はいつも…着てないから。」

 

そういう問題では無い。確かに僕はミサトさんを幸せにすると決めたし僕が寄り添うとも決めた。

今まで見てこなかったが自室ではいつもこうなのか!?

 

「か、かかかか、隠せよ!!め、めめめ、目の目の!!」

 

実際毒ではない。保養でしかないのだけれど…。まぁ…うん…。

一応同居初日なのだから体裁は保って欲しい…。

 

「あらぁ?おっぱいは初めて??シンちゃん吸ってみる♡?」

 

僕はここで鼻血を吹き出してぶっ倒れることになった。

薬で何ともならないのにミサトさんの乳でこんなことになるとは思いもしなかった…。

 

 

「ごめんなさい!!!」

 

ジャパニーズ侍特有の土下座スタイルで謝るミサトさん。

まぁ、火事にはならんですんだ、じゃがいもは無駄になったけど…。

 

「ミサトさん…?あのね?」

 

「はい…。」

 

「僕だって男ですし、正味ミサトさんはタイプです。めっちゃ。」

 

「…めっちゃ…。」

 

「拾わんでよろしい!!」

 

「ふぇ!?」

 

「…だからこそですね…?僕と…その…。」

 

「その?」

 

童貞というのは不憫である。言葉選びができない…。

今回ばかしは加持さんに近づこう…。じゃ無いと学べることもないや…。

 

「ええい!!ままよ!えっちするときに見せて欲しいんですよ!!ね!??好きな女性の裸を見るのは好ましいです!!でもね!?初日!!同棲…じゃなかった!!同居初日ですよ!?」

 

「好き…?私を…?」

 

いや、綾波か?

…まぁ自然な反応か…?

でもまぁなにか理由をつけなくては…。

 

「一目惚です!!!」

 

「んにゃ!?!?」

 

らしからぬ声を上げてぶっ飛んだミサトさんはそのまま居間のテーブルに頭をぶつけた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「いってて…。もう!変なこと言わないでよ!だいたい15も離れた女なんて…シンちゃんが成人する頃には私35よ!?」

 

一番最初に変なこと言ったのもしたのもミサトさんのハズなんだけど!?

 

「年の差なんて関係ありませんよ!!僕が必ず幸せに…。」

 

とまぁ、なぜこのタイミングでこんな告白まがいな事になってしまったんだろうか…。ふと冷静になるととんでもないことを口走ってる。だからこそ押し黙ってしまったのだが…。

 

「…。」

 

「…。」

 

沈黙。嫌な沈黙、余りにも勢いに任せすぎた。血の気がサッと引くのがわかる。

拒絶される。また独りになる、そんなことを考えた。

動悸が激しくなって胸の当たりが苦しくなる。ダメだ、弱さを見せては…。弱みを握らせて主導権を握るなんて良くない。

そう分かってはいても…。

独りは…辛い。

 

「ハッ…ハッ…。んく…。ゴホッゴホッ」

 

呼吸がままならない。深く息を吸い込もうと思っても上手く吸えない。唾を飲下す、上手く飲めないで咳き込む。また酸素を欲する。吸えない。

 

「シンちゃん!?ねぇ…シンちゃん!」

 

肩を揺すられる。暖かい手。

嫌だ離したくない。その手を握り返す。

 

「ハッ…ハッ……。ミサト…さん…。」

 

「どうしたの!?」

 

そりゃあそうださっきまで楽しそうに話していたのに急にこんな状態になってしまえば心配もする。

出ない声でその言葉を振り絞る。

 

「独りに…しないで…。」

 

握りしめた手をギュッと強く握り返してきたミサトさん。

その顔は先程のような恥じらいを含む表情ではない。

憐れみ。そして悲しみ。そんな表情が見て取れた。

あぁ、最低だ…俺って…。

 

「大丈夫よシンジくん。あなたを独りになんてしない。私が傍にいるから。ね?だから深呼吸をして。ゆっくりでいいの。」

 

僕が吐き出した呪いの言葉。優しいミサトさんは、いや…多分。

ミサトさん自身も独りは嫌だったのかもしれない。それを知ってか知らずか。

彼女は僕の動機が収まるまで頭を撫で続けた。

 

 

「すみません…。ご飯遅くなってしまって…すぐ作りますから…。」

 

「大丈夫なの?無理しなくていいのよ?」

 

数刻。落ち着きを取り戻した僕はキッチンへと立つ。

焦がしてしまったじゃがいもは仕方がない。

死ねない癖に過呼吸にはなるし苦しい思いはする、なんの呪いだよこれ。

 

「もう大丈夫です。すみません…迷惑かけて…。」

 

「迷惑だなんて思ってないから大丈夫よ。」

 

なんだかお通夜みたいな空気になってしまった。

さっさと唐揚げ揚げてしまおう。

後は、適当にアジの干物でも焼いて…今日はそれでいいや…。

なんだかしおらしくモジモジとしているミサトさんを放って。とりあえずキッチンへと足を運ぶ。

ビールでもとりあえず渡しておけば…機嫌もそのうち元に戻ると思う。

が。冷蔵庫を開けるのに近づいた時に不意に声を掛けられる。

 

「それで…。本当に私のことが…好き…だと?」

 

「…はい。一目惚れですよ。初めてです。だからこそ、まだ恋なのかなんなのか僕には分からないんです。でも好きだって気持ちは多分本当です。」

 

「そ、そっか…。」

 

「別に答えとか…答えて欲しいとか今は無いです。日も浅いのに僕を好きですか?なんておかしな質問は出来ませんし。代理保護者の立場ですから…。」

 

「そうよね…。うん。私は保護者…私は保護者…。」

 

ブツブツと独り言を漏らすミサトさんに缶ビールを手渡す。

もうなんというか…。心ここに在らずでも変わらずに一気にビールを飲み干すので流石だなと思ってしまったんだけどね。

 

「ぷっはぁー!やっぱりこのために生きてるって感じよね。」

 

「でも500mlを一気飲みはやり過ぎですよ。しかも空きっ腹でしょ…?」

 

だから具合悪くなるんだよと言いたくなったがここは我慢だ。

 

「なにかつまんでください。体に悪いですから…。」

 

今日出す予定は無かったけれど、出来合いの浅漬けを出す。

少しでも先に食べてもらないとアルコールの吸収率に関わってくる。

 

「すぐ出来ますから。我慢してください。」

 

エプロンを付け直し少し強めに締め直す。

よし…。時間も時間だ、早く仕上げてしまおう。

明日は土曜日、ミサトさんも非番だと言っていたし。色々と話したいこともあるからね。

 

 

「ん〜いい匂い…。本当にいいお嫁さんになるわね。シンジくんは。」

 

ひょこっと顔を覗かせたミサトさんが1つそれをつまんで頬張る。

しかも揚げたてのやつ。

 

「んっっま…。お店顔負けじゃない…。というか私の知る限りここまで美味しい唐揚げを出す所…無いわよ。」

 

色々と試行錯誤した結果の物だからそりゃあお店にはない。

ミサトさんとアスカの好みを探りにさぐって両方が満足しえる味にしたのだから当たり前だ。

 

「そう…ですかね?」

 

「誰が教えてくれたの?」

 

「特には…。幼い頃から自分でご飯の支度、してましたから。」

 

「えっと…。どういう…。」

 

僕にも分からない。物心着いた時には僕には父は居なかった。

ただ、『先生』と呼ばれる人の元で生きてきた。

僕には家族が居なかったから。

 

「父さんの知り合いのところで生活してたんです。部屋を与えられて。」

 

「うん。」

 

「最初こそは掃除の仕方、洗濯の仕方、食事の作り方、家事の全般を教えられました。でもある日を境にパッタリと僕の分は何も準備をしなくなったんです。」

 

「え、それって…。」

 

「まぁ我が子が一番可愛いって事ですかね。だからこそせめて、嫌われないように、やれる家事は全てこなして来ました。だからですかね?」

 

全て揚げ終わって皿に盛り付けた僕はミサトさんの向かいに座って少し嘲笑気味に事の経緯を話す。

血の気の引いた表情のミサトさん。まぁ常人が聞いたらそうなるか…。

 

「でもこうして元気に生きているのは不自由してなかったからですね。勉強もできましたし。」

 

「でも…!そんなのって…。」

 

「今更僕がそれを嘆いてもあの父は僕を見てくれる訳じゃ無いですから。こうして人として扱ってくれるミサトさんに出会えただけでも僕は幸せですよ。」

 

「シンジくん…。」

 

「さぁ、冷めないうちに…。僕はシャワーを浴びてきますから…。」

 

そう言ってミサトさんの顔を見ないように立ち上がった。

つもりだった、でも視界の端に写ってしまったのは今にも泣きそうな彼女の顔。

身の上話はしたこと無かった。

ただ、父に連れ戻された不憫な少年、でしか無かった僕の身の上話。こんなにも彼女の心に刺さるとは思わなかった。

ドキンと心臓が跳ねる。だからこそ、その顔を見て見ぬふりをして浴室に逃げる。そうした方が僕のためだと思ったから。

 

「シンちゃん!待って!!」

 

不意に呼び止められる。でも後ろは振り向けない。

だってミサトさんの声絶対泣いてるんだもん。

ガラガラと椅子を引き立ち上がりこちらに来る足音がする。

 

「もう絶対に1人にしないって約束する。無理強いもしないわ。だから…。」

 

後ろから抱きしめられる。その吐息は少しお酒臭い。

でもその温かさは僕が一番欲しかったもので。手を振り払うことが出来ないでただ佇むことしか出来ない。

前の僕は自分の話をするのが苦手だった。お前が悪い、お前が変だと咎められるのも、父や母が咎められるのも怖かったから。

でも、ようやくわかった、人と腹を割って話すというのはヒトがヒトとしてある上で大切なことなんだと気付かされた。

 

「貴方の気持ちにはまだ応えられない。だからと言って離れないで、私のそばにいて?」

 

「ミサトさん…?」

 

「あなたが欲しいものは全部あげる。今まで我慢してしまった分、私に甘えて?全部全部叶えてあげる。」

 

「…いいの?」

 

「えぇ。シンちゃんが好きなようにして良いのよ?」

 

優しく、優しく耳を甘噛みされるような囁き。脳髄まで響くその声の甘さは2回目の僕を狂わせる事は簡単すぎたんだ…。

そして、僕とミサトさんのどうしようもなく人間味の溢れた共依存が始まった…ということだ…。




ミサトさん…最近性癖なんですよね。
自分で書いたミサトさんにこう邪な感情が…。
久々に旧劇を見た時にこう…落差が…。
てなわけで、次は第4の使徒との戦いです。
ストックはありません。書けたら投稿、書けたら投稿をしていますのでよろぴっぴ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。