RE Take of EVANGELION 外伝   作:Air1204

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第伍話 それぞれの思い ①

あの事件から1週間。漸く僕の釈放が決まった。

理由に関しては言わずもがな、初号機を動かせるのは僕しかいないからだ。

拘留された理由は、頭に血が登った僕も後から教えられた話だけど…。どうやら僕は碇ゲンドウ(クソ髭)をぶん殴ったらしい。

ミサトさんやリツコさん、副司令も止めに入ったみたいだが3人を跳ね除けて文字通り真正面から殴ったらしい。腕に包帯が巻かれているのはそれが理由らしい…。

それに加えて、司令室の電子ロックは当分使用不可、さらに、窓ガラスでさえも叩き割ったらしい。

そのせいで、司令室は使用不可、総司令である(碇ゲンドウ)も全治半年の大怪我を負ったらしい。やったねれ!だが、残念なことに、つい、先刻目覚めたと。それで、本人が言うには

 

「初号機パイロットは観察処分に処す。それ以外の罰は与えんでいい。」

 

と半分くらい何を言ってるか分からない状態だった為、副司令が翻訳するに至ったみたいだ…。うんでもさ?

 

「第3の少年…些か血気盛んすぎんか…?」

 

迎えに来るのが副司令だとは聞いてないんだよね…。

 

「あの…副司令…。ありがとうございます。」

 

「なに、気にしなくていい。若い頃、お前の父であるアレも警察に引取りに行ったくらいだ…。似た者親子って事だな…。」

 

「…あんなのと一緒にしないでください。」

 

「そう言ってやるな。アイツだって苦労はしている。」

 

「仕事の苦労なんか知らないですよ。そりゃあ補完委員会から小言は言われてるだろうけど…。」

 

「驚いたな、そこまで知っているのか…。」

 

「情報の出処は言いません。…それでミサトさんは?」

 

「あぁ、葛城二佐は仕事でな、私が変わりに預かろうと話しを付けてきた。少年、肉は好きか?」

 

「肉…ですか?」

 

「飯でも食べに行こう。気にせずとも監視の目は着いてはおらん。」

 

どうせあれやこれやと聞き出すつもりなんだろう、でも、まぁ肉と言うぐらいだから良い肉を食べさせてくれるに違いない。

悪い話じゃないし乗ってみようか…。

 

 

 

「ん?どうした少年、好きな物を頼むといい。」

 

いつもの壮厳な表情からは考えられないほどにこやかにメニューを差し出してくる。

目を通すとどれも1級品の数々だった。

 

「セカンドインパクト前は今の価格より半分以下だったのだがな…。生態系が戻りつつある今、ヒトの娯楽は食事に戻りつつある。」

 

気にするなと言われても額が額だ。ガスではない上品な炭の温かさで汗が滲む。

 

「ううむ…まぁ、急に組織のトップ2と食事ともなれば緊張もするか…。ならこちらで適当に頼む、それをつまめばいい。」

 

「…ありがとうございます。」

 

あまり話す機会は無かったけど、案外悪い人ではないのかもしれない。

 

「冬月副司令、今日はなんで引取りに来てくれたんですか?」

 

「葛城君が忙しいのもあったが…何より君と話してみたくなってな。」

 

「僕と?」

 

「あぁ、君があまりに若い頃のユイくんに似ていたからな。」

 

「母さんと…僕が?」

 

「顔が似ているとかの話ではなく、行動が、だがね。」

 

「…行動が…。」

 

行動が…?そんなに似ているのかな?優しい母さんのイメージしかないから僕には分からない。

あの世界でLCLに還った時でさえ、母さんのイメージや人物像は掴めなかった。

 

「君には優しい母としての意識しか無いだろうが…。君が産まれるまでは相当だったのだよ…。」

 

やれやれと頭を抱えるような素振りの副司令、こりゃ相当な問題児だったんだろうな…。

 

「碇の奴は何度も殴られていたな…。それこそ付き合うまでは多難を極めていたよ。」

 

「父さんがあんな性格ですからね…。仕方ないとは思いますよ…。」

 

コトンとテーブルにグラスと瓶ビールが置かれる。

 

「少年、酒は飲めるか?」

 

「…僕、未成年ですよ?」

 

「固い事は気にするな、ココはそういう所だ。」

 

トクトクと注がれていくビールを眺める。

出されたお通しを1口、口に運ぶ。

 

「まぁなんだ、エヴァンゲリオン初号機パイロット就任及び中尉昇進、使徒2体撃破おめでとう。」

 

「へ…?中尉…?」

 

僕が目を丸くすると聞いていないのかと目頭を抑えた副司令。

どうやら、使徒との戦いの功績と街への被害の少なさからSEELE側からの打診があり、それを受け入れたのだという。

そういう大事な事は伝えるべきだとは思うけどね?

チンとグラスの端と端を合わせる。

久々に口にしたマトモな飲み物に少し感動する。

 

「…ユイくんは君を1番に憂いて居たよ。アイツより先にSEELEのメンバーであった彼女はこの先地球がどうなるか、人類がどうなるかを知っていたからな…。」

 

「そうですか…。だから初号機に残ったんですね。」

 

「うむ、最初こそ事故と思われたが、ふと、君が産まれたばかりの頃を思い出してな…。人類の行く末を見守りたいと、息子が生きていくのを見続けたいと。」

 

「そう…ですか…。」

 

それは僕の知らない過去の話だった。母さんがSEELEのメンバーだったのは知らなかったから。

どんな思いで初号機を僕に託したのか今まで理解してこなかった。

次々と運ばれてくる肉を網に乗せては口に運ぶ。そんな作業を黙々と繰り返しながら耳を傾ける。

 

「碇の奴もユイくんと一緒にいた頃と君が生まれた時は楽しそうな顔をしていたものだ。」

 

「…今じゃその面影も無いですけどね。」

 

「然して、少年、何故アレの顔をあのような勢いで殴り飛ばしたのだ…?」

 

それだよ。1番理由付けがしにくいの。

別に友達でもないし、知り合って本の1日足らずだし、そこまでしてなんで?って聞かれたら困るんだよね…。

 

「あっと…。その…クラスメイトとはいえ、僕みたいな怖い目にあって欲しくないなと思って…。」

 

「…嘘をつく時までユイくんに似ているとはね…。」

 

バレるのか…。

つくづく勘が鋭いというかなんというか…年の功というやつなのだろうか…?

 

「だが、あながち嘘では無いようだな。私は君を詮索するつもりは無いさ。」

 

「は、はぁ…。あぁ…そうだ…副司令…。参号機の起動実験は…?」

 

「無事なんのストレスも無く終わったよ。シンクロ率は君には遠く及ばないが、高い水準を記録している。」

 

この世界、やっぱり何かがおかしい。本来なら3号機は第12使徒であるレリエルを殲滅してからの輸送をされて…積乱雲に紛れていた13の使徒であるバルディエルの侵入を許したと…。

どうなっているんだ…?

 

「少年、私の独り言だと思って聞くといい。…世界はひとつでは無い、例え未来を知っていようともそれがこの世界の未来ではない。この世界によく似た世界の過去だ。あまり過信しすぎん方が身のためだぞ。」

 

「ッ!!」

 

やっぱりバレてる。

伊達に副司令をしている訳では無い。

その柔軟な発想力と考察力、だからこそこのヒトがNERVの副司令で参謀役でもあるのだと、分からせられた。

 

「安心したまえ、少なからず私の考察でしか無い。だからこそ碇や人類補完委員会には報告はしていない。」

 

「そうですか…。」

 

残りわずかとなったビールのグラスをクルクルと手で遊ぶ。

モヤモヤと心に残る不安感が拭えない。

じゃあバルディエルはどうなる?何に寄生した?

考えが纏まらない…。

 

「遅れてしまってすんません!」

 

「あぁ、君か、待っていたよ。さ、掛け給え。」

 

「…鈴原くん…?」

 

「あ、いや…碇…。」

 

結局あれからろくに顔も合わせられなかったからか絶妙な空気が流れる。その顔からは起動実験の疲労も見て取れる、何より、暴走することも使徒化することも無かったのが不幸中の幸いか…。

1週間も経ってしまえば、礼を言うタイミングを見失ってしまうのもわかる。

 

「良かった、君が無事で…。参号機、どうだった?」

 

「ワシは…碇のおかげで生きる事が出来とる。妹にもそれは散々怒られてもうたわ…。」

 

「うん、そうだろうね…。」

 

グラスにビールを注ぐ、流石にトウジには悪いと思い、ジンジャエールを注文してグラスに注いだが…。

 

「それで、親御さんは…エヴァのパイロットになるって言ったら…なんて?」

 

「ぎょうさん褒められたで…。オトンもNERV務めやから内情ははよう知っとるし…。お前ん事も知っとった、だからオトンから言われたんは、『碇くんはお前ん事を自分が死ぬかもしれんのに身を賭して守ってくれたんじゃ!だったらその先輩ん役立たんでどないするん?』っての…。妹なんか『あの人は私達を護ってくれたのにお兄のバカ!』って言われてもうたわ…。」

 

ガックリと肩を落としたトウジ。仲のいい家族で正直妬けるけど、だからこそトウジはその生活を守って欲しい。

 

「さて、主役も2人揃った事だ、乾杯でもしよう。」

 

「副司令が呼んだんですか?鈴原くんのこと。」

 

「あぁ、そうだ。参号機パイロット就任及び少尉待遇官就任おめでとう鈴原くん。」

 

「まだ全然実感は無いんですけど…できる限り頑張りますわ…。」

 

不安からかその表情は暗く曇っている。

でも、初めて目にしたであろう高級肉の誘惑には耐えられなかったようで先にお腹の方がグゥと悲鳴をあげた。

 

「元気な事だ、さ、焼けたものから好きなように摘めばいい。シンジくん君はなにか飲むか?」

 

「んー…。」

 

正直言えば、ビールにも飽きてきた、レモンサワーとかで良いかな…。

ずっと指を刺したそれを副司令が汲み取り注文をしてくれる。

 

「碇…その…。」

 

「礼、だろ?気にしなくていいよ、だってそうじゃないか、この間助けた時に君は悪くないと言ったじゃないか…。」

 

「せやかて…。」

 

「だああ!もう!分かったよ!あとで1発ね!?これでいいんだろ…!?第一どうでも良かったら見殺しにしてるよ!!」

 

「「!!?」」

 

「あそこにいるのが父さん(馬鹿なヒゲ)だったら助ける気もないよ。トロッコ問題って有るでしょう?君達2人は僕の命を賭しても守る価値があるって思ったからそうしたまでだよ。」

 

「ある種エゴイストではあるのか…。だが自身の命よりも他者の命を助けるのは見事、と言えばいいのか…。」

 

「碇…いや、シンジ、シンジって呼ばせてくれへんか?」

 

「なら僕もトウジって呼ぶよ。以後この話題は無し!良いね?」

 

グラスの端と端を合わせる。

一応にこやかに乾杯してみせるか、少しぎこちない笑顔を浮かべるトウジ。ふっと微笑むのは副司令で。

 

「細かいことは気にせずにその朗らかな対応か、つくづく碇よりもユイくんに似ているのだな君は…。」

 

とグラスに入ったビールを煽り、小さく呟いた。

 

 

 

「「ご馳走様でした。」」

 

「いや、ホンマにありがとうございます。こんなにええ肉食うたんは初めてで…なんと言ったらいいか…。」

 

「ホントに、ありがとうございます、冬月副司令。」

 

「なぁに、老人のただの世話焼きだと思ってくれればいい。多少なり君達には苦しい思いをさせてしまうからな。私に出来る些細な労いだよ。夜も更けている気をつけて帰りたまえ。」

 

「ありがとうございます。さ、トウジ帰ろうか…。」

 

「お、おう。副司令さんありがとうございます。」

 

ふっと微笑むと軽く手を振り僕達を見送る。

店から離れて大通りへと出ると見知った青のルノーが止まっている。ミサトさんだ。

険しい表情を浮かべたまま僕達を待っていたようだけど、僕を見つけるといつものふっと優しい笑顔に戻る。

 

「遅れてごめんなさい。いい物沢山食べれたかしら?」

 

「うん。副司令って凄いんですね…。なんだか少し勘違いしてました。父さんの右腕だと伺っていたんで、同じような考えの元で生きている人なんだと勝手に…。」

 

「そんな事ないわよ。碇司令の命令よりも副司令の命令の方が素直に動く部署も多いくらいだもの。国連も日本政府も同じくね。」

 

「…あの歳でそれだけ抱えると大変そうですね…。」

 

助手席に腰掛けてふぅっと嘆息をつく。結構お腹いっぱいだな…。ミサトさんはご飯食べたのだろうか…?時計は未だ19時を示している。

 

「鈴原くんも乗っていきなさい。親御さん心配するだろうから送っていくわよ。」

 

「あ、はい。よろしゅう頼んます。」

 

「シンジくんと仲直りは出来たのかしら?」

 

少し悪戯気味に聞くミサトさん。パッと顔を上げて嬉々とした表情のトウジがそれに答える。

 

「バッチリですわ。シンジの懐の深さには感服しました。来ない優しい奴やと思っとらんかったんです。」

 

「そっか、なら良かったわ。鈴原くんずっとその事気にしてたから…。碇くんはいつになったら出れるんですか。そない悪いことした言うんやったらワシが原因やと思うから許してあげてくれへんか?ってね。」

 

「な、葛城さんそれは言わん約束やったや無いですか!」

 

ニヤニヤとイタズラな顔をするミサトさんと恥ずかしそうにしているトウジ。前の世界ならありえない光景になんだか不思議な気分になる。

参号機と共闘する事なんて今迄なかった事だからトウジがどのように動くのか予想もできない。

白兵戦の方が向いてそうだなとは思うけれどもどうなんだろう…。

 

「良かったわ。シンちゃん変に意固地なところ有るから。怒ってるかと思ってたのよ。そんな心配要らなかったわね。」

 

「…僕だって一応ヒトですから許し許されをしないと生きていけませんよ。」

 

「ごめん〜。そんなに怒らないの!」

 

「うわぁ!?ミサトさん!?運転中はダメだっていつも言って…それに後ろにトウジだって居るんだから恥ずかしいよっ!」

 

「私だって寂しかったのよ〜?ガラス越しでしか会えないんですもの…。」

 

そこでハッと気付く。そうだ、`1週間´家に帰ってないのだ。

ぶっちゃけ生活能力の低いミサトさんが、掃除をしているのか、洗濯は?洗い物は?ごみ捨ては?と考え出したらきりもなく。恐る恐る聞くしかない…。

 

「…ミサトさん…?寂しかったのは分かりましたよ。それで家事はしてくれてたんですよね?」

 

「…。」

 

「え、嘘でしょ?片付けるのにあれだけかかったのに…?」

 

「…てへぺろ」

 

隣でウィンクをして舌を出すミサトさん。可愛いんだけどなぁ…。許しちゃいそうになる自分に喝を入れる。

 

「はぁ…。これから先、僕が一人暮らしするって言ったらどうするつもりなんですか…。まったく…。」

 

「えぇ!?一人暮らししちゃうの?シンちゃんいない生活とか考えられないわよ!?」

 

「…そう言ってくれるのは嬉しいですけどね…。」

 

「あの…シンジとは…どういう関係なんですか…?」

 

そりゃあ聞きたくもなるよ。わかる、その気持ち。

 

 

「まぁ言い得て姉弟って感じかしら。司令に会ったと思うけど、あんな感じだからさ、シンジくん一人暮らしするしか無かったから、私が引き取ったのよ。」

 

「えぇ!?じゃあ今一緒に住んどる言うことですか!?シンジ…お前も隅に置けんやつやのう…。」

 

「まぁ、引き取って面倒を見るって言ったのに僕の方が面倒見てると思うけどね…。」

 

「コラ!お姉さんにそういうこと言わないの!まったく…。」

 

「♪〜」

 

「はぐらかすように鼻歌歌うなぁ!」

 

とまぁ和気藹々とした様子の車内、トウジの家に着く頃には最初の重い雰囲気は鳴りを潜めて会話も弾んだ。

それこそあっという間に鈴原邸へと着いた。

 

「ミサトさん、ありがとうございます。わざわざ送ってもらえるぅ思っとらんかったですから。」

 

「良いのよ。これから頑張りましょ?大事なパイロットだしシンちゃんの友達なんだから。」

 

「ホンマにええ人や…。シンジお前には勿体ないくらいや…。」

 

「…煩いよ。でも、これからよろしくね、綾波さんともう1人、セカンドは女の子だって聞いてたから肩身が狭くてね…。」

 

「あい、分かった。すぐにでもシンジに並べるようにワシも頑張るわ。じゃおおきに。」

 

そう言って邸宅へと入っていったトウジ。

見送りも済み車へと戻るとミサトさんがニコニコとコチラを見ている。

 

「良かった、シンちゃんにも友達、できたのね。」

 

「そんな心配しますか?少なからずそういう事は出来ますよ…。」

 

「それでも、よ。ヤマアラシのジレンマって分かる?」

 

「分かりますよ。ヤマアラシは親しくなろうと近付けばかえってお互いのトゲで傷つけあってしまう。適切な距離を見定めるのが難しいってことですよね。」

 

いつだか、ミサトさんに言われた言葉でもあった。

その傷を恐れて他人を拒絶ばかりして孤立していたら悲しい思いをするのは貴方よと。

 

「そうそう。あれだけの事があれば、貴方は他人との関わりを断ちたいと思っていても仕方ないと思ったのよ。」

 

「むしろ逆ですよ、アレと同じになりたくないから他人とは多く関わるようにしたいんです。自分が傷つくのが怖いって逃げるよりその痛みを知った方がいいって今は思ってますから。」

 

「そっか…でもね、嫌なことがあったら逃げてもいいのよ、逃げて考えて、立ち向かってまたダメだったら逃げてもいいの。逃げっぱなしはダメよ。必ず立ち向かうの。」

 

「…嫌なことからは逃げないって決めましたから。でも、ありがとう、ミサトさん…。」

 

「貴方は笑ってる方が可愛いわ。変に難しいことを考えてるより余っ程ね?あーん…いいなぁ…焼肉…。私もお腹すいちゃった。」

 

ニコニコと優しい笑みを浮かべたミサトさんが小さくお腹を鳴らす。時間も時間だしね…。

 

「帰ったら何か作りますよ。あ、片付けはその代わりにミサトさんで。」

 

「えー!?いけずぅ!一緒に片してよう…。」

 

「や!です。あー…でもあれですね」

 

「なぁに?私に出来ることならなんでもするわよん?」

 

「最近ずっと独りで寝ていたから…今日は一緒に寝てくれませんか…?」

 

あの独房のベッド硬くて寝れやしなかったからね…。どれだけ人肌が恋しかった事か…。

 

「…?そんな事でいいの?私も寂しかったから言わずもがな一緒に寝る予定だったけど…。」

 

oh...流石ミサトさん…。

そんな事って言うのか…。一緒にお風呂入りゅ!とか言っておけば良かったのだろうか。

まぁそれはそれで歯止めが効かなくなるだろうし第5の使徒を倒した時の褒美にでも取っておこう…。

 

「むぅ…お願いでもなんでもなくなっちゃったじゃないですか…。じゃあ、一緒に片付けて早く終わらせましょう?」

 

「わーい賛成♪…あ。」

 

やってしまったと言わんばかりの表情を浮かべて、書類の束を漁るミサトさん。

 

「なんでわざわざシンちゃんに行かせるのよって怒ったんだけど…リツコがどうしてもシンちゃんにレイのIDを届けて欲しいって言われたから…。」

 

「綾波さん…ですか?」

 

嫌いでは無いにしろあんな事があれば少し忌避してしまうのは仕方の無いことなんだと思う。

遺伝子学上、母さんのクローンで魂はリリスで…。

サードインパクトの要。

あの赤い海で役目を終えて崩れゆくリリスの残骸は綾波と同じ顔で僕を見つめていた。

 

「…?シンちゃん、レイが苦手なの?」

 

「…父さんのお気に入りで、いつも一緒にいるって伺っています。何より零号機の起動実験に失敗した時も、身を賭して綾波を救ったと聞いていますから。」

 

「実子よりユイさんの親戚の子を可愛がっているとはね。リツコに突き返して来ようか?」

 

「嫌なことからは逃げませんから。明日にでも行ってきますよ。」

 

「ん。嫌だったら嫌っていいなさいね、私が届けても良いんだから。」

 

そう言ったミサトさんの視線は鋭く前を見定めている。

あの髭の見舞いには綾波はしょっちゅう通っているとは聞いている。多分綾波に会ったら思いっきりぶたれるんだろうなと肩を竦めて車窓の外を眺めるしか出来なかった。

あ、部屋は思ってるより汚れてはいなかったよ。

でも僕の部屋で致すのはやめて欲しい。しかも使ったら使ったまま放置するのいただけないよ…。何をって…?電動マッサージ器さ…。

ミサトさんには生姜焼きと漬物と味噌汁を作って簡単な夕食にして貰った。進歩といえばご飯を食べてからビールを飲むようになってくれたということだろう。




長いので2篇に分けます。

ちとばかし修正加えました〜。
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