やはり俺が真祖になるのは間違っている。   作:ダークロウ

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今回から少し物語が動き出します。

衝撃の展開?になる予定です。

ではどうぞ!


②急に彼女たちはやってくる

不安なこともなんとかなるのが人生ってもんだ。

あれほど騒いだ受験も終わり、今はもう高校生である。

もちろん俺は彩海学園に合格し、絃神島の南地区(アイランド・サウス)にやってきた。

入島手続きのときに未登録魔族だと確保されそうになったことも、最初の自己紹介が噛み噛みになってしまったのも、今では黒歴史の一つである。

今は夏休み終盤。

もうあと数日で二学期である。

今年の夏休みもリア充がウェイウェイよく騒いでいた。

もちろん俺にウェイウェイ騒ぐ友達など存在しない。今日も家でぼっちだ。小町もいない。

大人に夏休みなんてないため、母親は今日も社畜。お疲れ様です。

俺と言えば夏休みの宿題が終わり、プリキュアも一段落したため、することがない。

「……飲みもんでも買い行くか……」

 

小声で呟き、コンビニへと向かう。

それが失敗だった。

道中で見知った顔を見つけてしまった。

 

(あれは、同じ1年B組の暁古城?)

 

ゲーセンの前でギターケースを持った女子と話している。『第四真祖』だの『機関』だの聞こえてくる。第四真祖の噂話か。

リア充は噂話が好きなことは知っている。だが、そんなことはどうでもいい。

……へえ、デートかよ。あの制服は中等部のじゃねえか。後輩とデートとかふざけんな。

腹立たしいがここは気付かれないように通りすぎるのが吉だ。

余計なことに首を突っ込むと、碌な目にあわないのを俺は経験上知っている。

例えば、こちらに来てから、車に轢かれそうな犬を助けて交通事故に遭い、足と肋骨を骨折。授業が始まってすぐ長期入院となったこと。

別に構わん。久々に学校に来てクラスに入ったときの「あれ誰だろ?」「転校生かな?」といった反応から、転校生の紹介がなかった途端、「マジ誰」みたいな空気になることなんて気にしてはいけない。ちなみに次の日からはクラスに入っても気付かれなくなった。

その上授業に全くついていけない。

数学?ええ、捨て教科になりましたが、なにか?

……それはともかく、話し相手の女子。どっかで見たことが――

 

「えっ!」

 

思わず声が出てしまった。思い出した、俺は彼女を知っている。

中等部の転校生、姫柊雪菜。補習に行った小町が「転校生が来る!」とか言って撮ってきた写真を見たから間違いない。転校前の女子とデートする暁さんマジぱねえっす。そして小町、転校してすぐ補習とかどんな点数とったんだ。

……まあ、そんなことよりもコンビニだ。さっさと行って帰りたい。ここが常夏の島だからなのか、いつも昼は日射しが強くて灰になりそうだ。

コンビニに向けて歩きだそうとすると二人組の男とぶつかる。

「よう兄ちゃん、ちょっと金貸してくんねえか?」

 

でたよ、絶対返ってこないパターンの「金貸して」

今までこんな目に遭って返ってきたことがない。こんなときどうするか、俺流の対処法を教えてやろう。

……黙って金を渡すこと。これが最良。渡すときに恨みのこもった視線を投げ掛けるのも忘れるな。

自分の保身が第一だ。例外を認めるのは小町に関係があるときだけ。

財布を取り出そうとポケットに目を落とす。そのとき、彼らの腕にある物を見つける。

それは金属製の腕輪だった。

 

(魔族登録証か……)

 

セーフ!気づかないで反抗してたらボコボコにされるところだった。親父譲りの媚びる力が身に付いている。サンキュー!親父。

「あの……どうぞ……」

 

怯えた声とは裏腹に俺は全力で彼らをにらみつける。もう飲み物買う金がねえ。どうしてくれんだコンチクショウ。

 

「「ヒッ、すいませんでした!」」

 

俺の声ではない。

金を渡そうとすると、突然男たちが逃げていく。俺そんなこわい顔してた?防御力や素早さが下がるだけでなく、相手が逃げ出すとは。恐るべし俺の顔。

……言ってて虚しくなってきたので、予定通りコンビニへ行こう。金を持っていかれなかったのはラッキーだ。お茶かコーヒーあたりが――

 

「若雷っ―!」

 

あん?なんだ、今の声。後ろからか?

振り返ると、さっきの男たちの一人が姫柊にブッ飛ばされている。もしかして姫柊って攻魔師なのか?

攻魔師とは魔族に対抗する技術を身につけた人間の総称である。そしてこの状況は……もう大体理解できた。

おそらくナンパに失敗したのだ。だが、ブッ飛ばされる程度で済んだのはまだツイていると言っていい。

俺は中学時代、雑誌を読んで感化され、ナンパをするために千葉駅周辺にある“ナンパ通り”と呼ばれる場所に行ったことがある。残念ながら結果は惨敗。声をかける前に逃げられ、帰り道にカツアゲにあった。それ以来ナンパは絶対しないと誓った。

次の日不審者情報が出され、特徴が俺と全て一緒だったのは偶然だろう。

灼蹄(シャクテイ)!やれ!」

 

ふと、我にかえる。事態が急変していた。

さっきの男の片方は吸血鬼だったのだ。

炎の妖馬が現れる。

馬鹿野郎、なんでここで眷獣使ってんだ!?

すぐに魔族登録証のセンサーが稼働、警報が鳴り、辺りの人々が一斉に逃げ出す。

俺は足が震えて逃げられない。

俺ビビりすぎでしょ……。

男には警報は聞こえていないようだ。

まるで自身の魔力に酔っているように見える。

そんな男や眷獣に臆することなく姫柊はギターケースからなにかを取り出した。

それは変形し、槍の形になる。格納されていた主刃が穂先から突きだし、穂先の左右にも副刃が広がる。

は?槍?

 

「雪霞狼―!」

 

そう言って姫柊は槍を構える。

男には安堵の表情が浮かんでいる。

当然だ。過去、槍一本で眷獣と戦おうとした奴なんていない。無謀すぎる。

だが、俺の心配も男の安堵も次の瞬間消えることになる。

姫柊が槍を一閃し――跡形もなく眷獣が消滅した。

信じられない。今まであり得なかった事だ。

姫柊を除き、全員が驚愕する。

「ヒイ!」

 

怯える男に姫柊は槍を突き刺そうとする、って待て!待て!

その槍を暁が殴りつける。ナイス!

 

「おいアンタ、今すぐツレと一緒に逃げろ。これに懲りたらもうナンパなんかすんなよ。眷獣も不用意に使うな!」

 

「あ…ああ、恩に着るぜ」

 

暁が場を収めて一件落着だ。ナンパに失敗した程度で殺される奴がいるのを見たら寝覚めが悪くなる。後は特区警備隊(アイランド・ガード)の来ないうちにコンビニへ行くことにしよう。

後ろで暁と姫柊が言い争っている声が聞こえた。今日はメシウマ確定だな。

 

今日から二学期。

昨日は一昨日と別のコンビニへ行ったら、なんとMAXコーヒーが山のように売っていたので、大量に買い占めた。

それを飲みながらプリキュアを見る。そんな素晴らしい事が出来る夏休みも終わってしまった。

 

「ねえ、お兄ちゃん。昨日の爆発事件、隕石が原因らしいよ」

 

「へー、そーなんだー」

 

面倒なので適当に返事をする。

今は朝食の時間。テレビはそのニュースで持ちきりである。

原因は不明らしい。色々噂は立っているが。

自然現象であれだけの事が出来るかは分からない。可能性があるのは眷獣だがそれでも出来るか怪しいもんだ。それに自然現象と眷獣の区別くらいならこの島では簡単に出来るだろう。そして眷獣の可能性も噂になかった。

ちなみに隕石の可能性は全くないと思う。

「おい、遅刻するぞ」

 

「あっ、待って」

 

そんな感じで二学期が始まる。

 

 

放課後になった。

中等部と高等部が近くて便利なこと。

それは毎日小町と下校できることだ。

初めて小町と帰った日、「あの、お兄ちゃんいますか?比企谷って名前なんですけど……」と戸惑う小町に「比企谷?別のクラスじゃない?」とほざいたあのアマの名前を絶対許さないリストに書いたことは言うまでもない。藍羽浅葱と殴り書きした。それ以来呪いの言葉を呟く下校タイムだ。

 

「お兄ちゃん、なにボソボソ呟いてんの?キモいよ」

 

「……すいません」

 

我ながら気持ち悪かったと思う。注意していなければ職質されたり、通報されたりするのも時間の問題だ。

 

「そういえばさ、小町、雪菜先輩とお話しちゃったよ~」

 

この妹コミュ力高い!もう名前で呼んでるよ。転校したときもすぐクラスに馴染んだらしいし。俺なんて中学初日で知らない先輩に「オハヨゴザイマス」と小声で言ったのを笑われてから先輩という人種と関わるのはやめた。

……俺って中学での黒歴史多くね?

 

「良かったな、仲良くしろよ。将来自分が利用するために」

 

「……それはポイント低いよ、お兄ちゃん」

 

あれ?人に親切にすると自分に返ってくるって、こういう意味じゃないの?

 

「あの先輩、やっぱり綺麗だったよ!小町並みに」

確かにそうだったが、一つ間違いがある。

まだ俺の小町には及ばない!(キリッ

そう言うのは心の中にだけにしておく。でないとまたキモいとか言われそうだ。

 

「お兄ちゃんの方の転校生はどう?」

 

そう、転校生が来たのは中等部だけではない。高等部にも俺の隣のクラス、一年A組に転校生が来たのだ。しかし……

 

「いや、どうとか言われても話してないし。姿も見てないし。クラスの大半は見に行ったらしいけどさ」

 

なんならクラスメイトとも話してないし、姿もよく見てない。それでも目立つ奴はいるんだが。

例えば三浦、葉山を中心とする女王グループに属す人間とか、暁、藍羽、矢瀬、築島のようなカーストの無いグループとか、内田と棚原のようなクラス公認カップルとか。

……はやくリア充殲滅法出来ないかな。俺が総理大臣なら即その案を提出する。

 

「さすがお兄ちゃん、他の人とは違うね……」

 

悪い方に……と付け足して小町は黙りこんでしまった。そこまで俺は劣等生ではないはずだ。人間関係を除けば。

そのまま家に帰るまで俺たちは一言も話さなかった。

 

次の日の放課後。

今日も同じく小町と下校……ではない。

もう一人。高等部の転校生、雪ノ下雪乃がいた。

「お兄ちゃん、いつの間に知り会ったの?」

 

「ついさっきだ。呼び出しの手紙が入ってた」

 

「えっ!それって……」

 

二人してヒソヒソ話すが、雪ノ下は気にとめる様子もなく俺たちと歩いている。すると、ようやく雪ノ下が口を開いた。

 

「比企谷くんの妹さん、ええと……」

 

「小町です♪」

 

「小町さん、悪いのだけれど比企谷くんと二人にしてくれないかしら?」

 

おい、やめろよ。勘違いしちゃうだろ。俺は小町だけでお腹いっぱいです。助けて小町……。

 

「わかりました♪小町は先に帰ります」

 

見捨てられた。別にいいよ……この程度なら一人でなんとかできる。う、ウソじゃないからな!?

そして小町は帰って行った。

 

「さて、比企谷くん。あなたに話があるの」

 

その日、俺は雪ノ下から衝撃的な話を聞くことになる。それは―――

 

 

 

 




さて、八幡は何を言われたのでしょうか。

でも大体の人は分かると思います。

次回をお楽しみに!

ではサラダバー。

↑それただの野菜食い放題だろ。

と言う訳でさようなら。
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