やはり俺が真祖になるのは間違っている。   作:ダークロウ

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以前から話のアイデアはあったんだ。

ただ言葉にするのが難しい。


④そして比企谷八幡は立ち向かう

キーストーンゲートへ向かう道の途中で気がついてしまった。

吸血鬼は身体的に脆弱な部類なのだ。

眷獣を使えるから強く、恐れられているのであって肉弾戦など論外だ。

雪ノ下の言ったとおり時間稼ぎより先のことは出来ず、勝つどころか耐えることも至難の技である。

なんで家を飛び出してきたんだろう。

まったく意味がない。

そもそも雪ノ下ならさっきの人間離れした高速移動でさっさと倒してくるだろう。

無傷の生還も余裕なはずだ。

というか俺が行く必要無いだろ。

雪ノ下さえいれば足止めくらい出来るはずだ。

付け加えるなら俺はもう既にビビっている。

 

「やっぱ帰るか……」

 

少し気がかりだが元々俺が行ったところでなにが出来るわけでもない。

俺は言われたことをちゃんとやるいい子なので家でMAXコーヒーでも飲むことにする。

そう考えていたからだろうか。俺は背後から近づいてくる奴に気づかなかった!

 

「比企谷くん」

 

「うっへぇい!」

 

おかしな声がでてしまったが、ぼっちは人に呼ばれることが少ないので仕方ないのだ。

これはデフォ。断じて「ダサ」とか「キモ」とか言ってはいけない。言われた方は結構悲しいんだぞ。その後帰って枕を濡らすのもデフォである。

 

「その気持ち悪い返事は何かしら。人間の言語で話して欲しいのだけれど」

 

「お前が返事ってわかってる時点でこれは人間の言語だ。あとなんの用だ」

 

「私が電話で言ったこと覚えてる?」

 

もちろん覚えている。記憶力には自信がある。

だてに文系科目で高得点取ってない。

 

「自宅警備だったか」

 

「自宅謹慎よ」

 

待機ですらなかった。その言い方だと俺が何かやらかしたみたいじゃんか。

抗議の視線を雪ノ下に送るもにらみ返され、すぐ視線をあさっての方向へ向ける。

 

「あなたは今の自分がどんな状態か分かってないのかしら」

 

「吸血鬼の真祖だろ。昼間のことで納得したよ」

 

「それはさっきまでよ。今は人間の可能性が高いわ」

 

はぁ?昼間に俺が吸血鬼だって証明があったばっかりだろ。まるでわけがわからんぞ。

 

「電話のときの怪我、まだ治ってないんでしょう?」

 

「それがどうした」

 

「今のあなたからは吸血鬼の力が消えている可能性が高いということよ。」

 

つまり今のままキーストーンゲートへ向かったら死んでたのか。

……あっぶね!小町残して死ぬところだった。

そしたら小町が悲しみの余り自殺してしまうかもしれない。良かった。親父のチキンぶりが遺伝して本当に良かった。もう少しまともな人間だったなら俺と小町が死んでいたかもしれない。

そして親父も小町の後を追ったに違いない。

結果として親父のクズさは三人の命を救ったのだ。

将来『クズは地球を救う!』という番組が放映されるのも時間の問題だ。

とりあえず助かったこの命、無駄にしないようさっさと帰るでござる。

 

「それじゃ後はお前に任せて先帰る」

 

「ええ、そうしなさい。私も勝てるあてはないけれど足止めくらいならなんとか出来ると思うわ」

 

ふと、帰ろうとした足が止まってしまった。

 

「昼間の高速移動があるだろ。それで瞬殺だろうに」

 

「あれは半年に一回使えるかどうかのものよ」

 

「何であの時使ったんだよ……」

 

「あっ、あの時はあなたとの力の差というものをはっきりさせるために仕方なく使ったわけで、断じて調子に乗ってしまったとかそういう―――」

 

「もういいよ……わかったよ……」

 

誰にでもあるよな、俺TUEEE!したいときなんて。別にそれは構わない。問題はタイミングが悪かったことだ。

そうなると俺がやらなければならないことも自然と決まってしまった。

 

「雪ノ下、お前帰れ」

 

「……何を言っているの。あなたでは無理よ」

 

理解が早いようで助かるが、そう簡単に帰る訳にもいかない。

 

「かもしれねぇが、他に誰がやるんだ」

 

「私がやるわ」

 

「論外だな。いいから帰れ」

 

「でも……」

 

「じゃあ血をよこせ。その血で吸血鬼の力戻るかもしれねぇから。ダメなら別の手を考える。」

 

ちょっとやばいことを言ってしまったかと思ったが、雪ノ下は何も言わず、持っていた刀で人差し指の先を切った。それを俺は咥える。

にしてもこの絵面は誰かに見られたら完全にアウトだな。

……大丈夫だ。何も考えるな。吸血行為は性的興奮がうんぬんなど考えちゃだめだ!

完全に考えてるな、俺。

 

「うしっ!」

 

身体に力が満ちる感覚があった。

吸血鬼の力が戻ってきた。

赤く変色する目を見て雪ノ下はいくらか安堵したようだ。

しかし目が赤くなるか、腐ってるかの二択とかやだな。

 

「……気をつけて」

 

「ぼっちなめんな。逃げる、隠れるは得意分野だ」

 

そう、これは俺がやらなければいけないことだ。

もし、雪ノ下が傷つくのだとしたらそれを止めないわけにはいかない。

傷つくのはいつもぼっちの仕事。俺の領域だ。

誰にも譲るわけにはいかない。

 

 

×××

 

 

 

さて、ああ言った以上俺がなんとか足止めをしなくてはならない。

まず特区警備隊(アイランド・ガード)をかいくぐってゲートの中に入れるかが問題だったが、そこは俺、気づかれることなく侵入に成功した。

ちょっと特区警備隊の皆さん。仕事してる?

ステルスヒッキーは常時発動じゃないよね?

それはともかく、まずはテロリストに追い付かなくてはならない。

急いで下に、下に、下に。

 

「……迷った」

 

広い。本当に広い。

強引にやって来たあげく、道に迷ってなにも出来ず帰った、ではただでは済まないだろう。

それこそ抹殺されてしまいかねない。

どうしたものかと思案しているとこちらへと近づいてくる二人がいることに気づいた。

片方は戦斧をもったオッサン。

もう片方は蒼い目と髪をもった少女。

間違いなく彼らが犯人だろう。

ついにこの時がきた。

 

「お前ら、止まれ」

 

二人は止まらない。

何事もなかったかのように歩き続ける。

あれれー。おっかしいぞー。

声聞こえてるよね?俺の姿見えてるよね?

 

「もう一度言う。止まれ」

 

すると今度は歩みを止めた。

良かった。認識はされてるらしい。

 

「何奴だ。なぜ立ちふさがる?」

 

「お前らを邪魔するただのぼっちだよ」

 

自己紹介なんてしても覚えてもらえないんだ。

他人の名前を覚えるのには時間がかかる。

きっと皆出会ってから数年は名前を覚えるための期間なはずだ。きっとそうだ。

じゃないと俺の名前が未だに正しく覚えられていない理由に説明がつかない。

 

「その赤い目……吸血鬼ですか。しかし我々の邪魔をするのであれば誰であろうと関係ありません。やりなさい、アスタルテ」

 

命令受諾(アクセプト)執行せよ(エクスキュート)薔薇の指先(ロドダク・テュロス)

 

アスタルテと呼ばれた少女の背後から現れる虹色に輝く腕が出現!

あんなん聞いてねえぞ。

ここで問題だ!さあどうする、俺!

 

①残念イケメンな八幡はこの状況を逆転する方法を思い付く。

 

②仲間……がいないので自分でなんとかする。

 

③いつも通り現実は非情である。

 

……碌な答えがない…だと…!

だが諦めない。諦めたらそこで終わりらしいからな。

手札が無いなら創るまで!

悪い手札なら書き換えろ!

 

「うおぉおお!」

 

俺は逃げる!全力で!

勝つ必要なんてない。

足止めさえ出来ればそれでいい。

この二人を逃がさない程度になんとか出来れば……

 

「がはっ……」

 

あの腕が横っ腹にクリーンヒット。超痛え。

逃げ回るよりこのまま吹っ飛ばされて地面に倒れこんで背中をむけた瞬間に後ろから襲撃したほうがいいんじゃないか?よし、そうしよう。

 

「愚かな吸血鬼よ。薔薇の指先は眷獣だというのに。せめてこの者に安らかな死を」

 

眷獣だと……眷獣は宿主の命を喰らってこの世界に召喚されるんだぞ。

無限の負の生命力を持つ吸血鬼以外にそんなもの植え付けたら何日も生きられないぞ。

それを人工生命体が……。

………やっぱ無理だ。覚悟が違う。

眷獣相手に戦えるわけないだろ。諦めよう。

 

「さて、行きますよアスタルテ」

 

早く来いよ第四真祖。十分足止めしただろうが。どうして現実のヒーローはこんなに来るのが遅いんだよ……。

 

「……命令受諾(アクセプト)

 

どうしてただのぼっちの俺が……。

 

「…………待てよ、お前ら」

 

なに立ち上がってんだ俺。

逃げて、逃げられ、避けられるのが俺なのに。

いつもと違うことをするから、自分から関わろうとするから痛い目に遭う。

それはもうわかりきっている。

だが小町の命、雪ノ下の期待、第四真祖が来るという希望。

絶対に俺はどれも捨てられない。

だから……全力で足止めをする。

最後の手段で!

 

「来い!勝利の牙(ネツァク・ファング)!」

 

 

眷獣―――召喚ッ!




久し振りに書いた。

超展開すぎてワロタ、は禁句。

大丈夫だ、問題ない。(震え声)
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