ニューニコチュウ襲来-完全版-   作:R.C.S.

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Episode6:諜報員の意地

 「アレグロ雪郎」の祖父「エネルジコ」は今後のスケジュールのために、E.G.所属者を召集した。円卓会議にE.G.メンツが揃っていて、「エネルジコ」や「アレグロ雪郎」、そして部下2人こと「ハルミ」や「ミュゼット」のほか、情報部の長官「エルエー」、情報部員「ラファエル・アトラス/Rafael Atlas」、超官「エドガー・グッドウィン/Edgar Goodwin」、「レオン・バイパー/Leon Viper」、「クリス・トゥルーズデール/Chris Truesdale」が参加するそうだ。9人着席したところで会議を開始する。

 

 

「(エネルジコ:)こうして集まってもらったのは他でもない。現状はわかっているだろう。悪行を繰り返しているのは奴だけではない。奴に狂わされた者がいるということであろう。」

「(エルエー:)狂わされた者といえば、バサカです。その証拠に、奴の悪行を探れば探るほど自分の運命を狂わせるものであるといわれています。」

「(エネルジコ:)...では雪郎。早急に身近の人員を集めて、バサカを追跡せよ。よいな。」

「(アレグロ雪郎:)あっ、はい、祖父!直ちに!!」

「(エネルジコ:)次いでに、私の孫娘にも連絡をとれ。半年間、何の沙汰もなく音信不通なのだが。」

「(エルエー:)あなたの孫娘への連絡は全てこの私を通してください。いかなる場合もです。」

 

 彼の発言に一同は疑いを抱く。「エルエー」は...。

 

「(エルエー:)あ......。もちろん。これは安全のためです。」

「(アレグロ雪郎:)...なにか隠してないか?愛美の居どころはあんたなら知っているんだろ?」

「(エルエー:)ちょっと雪郎。何を言ってるんですか。愛美なら私が責任をもって保護していますよ。」

「(アレグロ雪郎:)...ならいいが。それにしても、妙に引っ掛かるな。取り調べをすると言えど、バサカを緊急逮捕して連行するようなマネはしないだろうが。もしかしたら、俺たちの中に諜報員がいるとしたら...。」

「(エルエー:)知らん!!それから愛美のことはすべて私を通すようにお願いしますね。絶対事項です!!」

「(エネルジコ:)すまなかったなエルエー。もう少しで君を疑うところだった。揉め事で信頼を失うわけにはいかないからな。」

「(エルエー:)は、はあ......。」

 

 会議が終わり、メンツは解散。「アレグロ雪郎」とその部下2人は日本支部に戻り、「エネルジコ」はFBIの仕事に戻った。

 

「(ラファエル:)超官、エルエーをどう思う?」

「(エドガー:)どう思うも何も、彼が潜入諜報員であるという噂が絶えないほどです。コンブリオさんの友人が行方不明になっていますし、彼の動向を注視しておきましょう。」

「(ラファエル:)あ、ああ。そうだな。今回の会議で堂々とミュゼットの顔が見れてホッとしたのに対して、コンブリオの友、ジローラモは今どこで何をしているのか...。」

 

 「エルエー」は引き続き、「アレグロ雪郎」のサポートを担う。持ち場に戻った「アレグロ雪郎」は、「エルエー」に対する不信感を抱く。

 

「(アレグロ雪郎:)エルエーが例の諜報員だとしたら、愛美の音信不通も説明がつくな。信じたくはないが、ウラの顔がある...なんてことは、ううん、ありえん。だって、バサカは俺の判断で対処したんだ。わざわざ当局の力を貸さなくてもいいのに。...ん、待てよ。当局に任せよと提案したのもエルエーが仕込まれていたものだとしたら?」

 

 そんなボソボソ呟いている「アレグロ雪郎」だが、「ミュゼット」は「エルエー」のウラの顔を知っている素振りをする。

 

「(ミュゼット:)彼のウラの顔というのは、コチウニのことかも。」

「(ロドゆい:)そ...そんな......。エルエーがコチウニだなんて信じられない......。」

「(ハルミ:)このままでは、愛美が危ない!!早く助けなきゃ!!」

「(アレグロ雪郎:)落ち着け!!下手に急かしたら、どうなるものか。...まずはバサカの確保が先決だ。なぁにぃ、エルエーが人質取ってるだろうが、責任をもって保護していることに変わりない。では、ミーティング始める。バサカは今どこで何をしているのか俺たちにはまだわからん。まったくの情報不足だ。脱走したバサカの行く末に心当たりがあるとすれば、エルエー...いえ、ガジュだ。じゃあ、パーティ編成といこう。レベッカ、俺についてこい。ハルミとミュゼットは支部の警備にあたれ。それ以外の者は待機だ。いいな。そうと決まれば早速ガジュのいる場所へ向かうぞ。」

 

 他のメンバーはこの場で待機するとして、「レベッカ」と「アレグロ雪郎」は「ガジュ」のいる場所へ向かった。その場所とは、「木枯らし荘」のことで、「ガジュ」はこの荘で暮らしているらしい。到着した二人は、呼び鈴をならしていた。

 

「(アレグロ雪郎:)...管理人はいないな。悪いが、お邪魔させてもらう。」

 

 荘に上がり込み、「ガジュ」の部屋まで移動。しかし、ここには誰もいない。裏庭にいるとにらんで移動したが、そこにもいない。

 

「(アレグロ雪郎:)...留守か。管理人との買い物に出掛けたかもな。それまでに待とうか。」

 

 待ち続けることで一時間後、誰かさんが入ってくる。

 

「(アレグロ雪郎:)来たか。」

 

 そこに現れたのは、意外な人であった。

 

「(アレグロ雪郎:)待っていたぞ、バサカ。」

「(バサカ:)待っていたのも何も、バサカの手柄を台無しにしたガジュに仕返ししてやりたいだけだっぺ。」

「(アレグロ雪郎:)エルエーの策に嵌められたとはいえ、あんたが調べた奴の情報を共有したいだけなんだ。わかってくれ。」

「(バサカ:)......。ネットでバサカの悪口を言う、テリーにおどされた。仕返ししてやろうとテリーの秘密を調べあげて曝してやろうとした。でも邪魔が入った挙げ句、檻に閉じ込められた。すぐにでも伝えなきゃと思い当局から抜け出すも、既に手遅れだった。最悪の事態は避けられなかった。全部ガジュが邪魔したせいだ!!だから、テリーと同じく悪いことをして、どれだけ怖いものなのか思い知ってやるっぺ。ガジュはどこだっぺ。」

「(アレグロ雪郎:)あいにくガジュは今、買い物に出掛けている。なかなか帰ってこないと思うぜ。」

 

 返答もせずに出ていこうとする「バサカ」だが、「アレグロ雪郎」と同行していた「レベッカ」に呼び止められる。

 

「(レベッカ:)待って。エルエーについて知っていることを話してよ。」

 

 その頃「エルエー」は、「ロデオン一家」殺害関与の他、「ブラー」行方不明、「マリア愛美」拉致、当局における不正といった黒い噂が絶えず、どのみち疑われるだろう。かくなるうえは、我がぎみらしき人物へのメッセージを送るのであった。

 

「(コチウニ:)こちらコチウニ。我がぎみ、聞こえていますか。いささかやりすぎてしまったようで、もうすぐ私の正体がばれるでしょう。もはや一刻の猶予も無い。私は今から出来る限りの手を打ちます。勝手な妄想(行動)をお許しください。我がぎみ。通信終わり。」

 

 ウラの顔を解き、別の組織に連絡する。

 

「(エルエー:)こちらエルエー。お元気ですか。私は今、テリーを傍観しています。奴がいる限り、平和の約束は難しいでしょう。邪魔なテリーを排除できれば、この世界は救われるでしょう。さて、最後の仕事が残っているので。」

 

 「レベッカ」は「エルエー」のことを話したものも、「バサカ」には聞く耳を持たず、返答しない。

 

「(レベッカ:)あー、話が通じない。どうしよう。」

「(アレグロ雪郎:)狙いはガジュだけだろ?俺が会わせてやるよ。管理人つきだがな。」

 

 「アレグロ雪郎」は「バサカ」を連れて、二人の捜索にあたることにした。

 

「(アレグロ雪郎:)なあバサカ、久々のE.G.のお手伝いはどうだ。」

「(バサカ:)なんっぺよ、今さら。起きてからじゃ遅いのに...。」

 

 グロサリーストア(食料雑貨店)に到着したものも、すれ違う形で結局会わず...。

 

「(アレグロ雪郎:)いないか。だとすると、既に帰路についているかもな。引き戻そう。」

「(バサカ:)先生、わざとガジュに会わせないようにしてるっぺ?信じられないっぺ。」

「(アレグロ雪郎:)何を言う、わざとじゃない。まさかとは思うが、管理人はガジュを擁護している...なん...ま、とにかく、このことが本当だとしたら、駐車場のどこかに隠れているはずだ。」

 

「レベッカ」は偶然、駐車場の外にこっそり出ようとする管理人とガジュを見かけたので、こっそり抜け出し、二人に声をかける。

 

「(レベッカ:)君たち、雪郎の言う『管理人』と『ガジュ』か?」

「(管理人:)そうだけど。」

「(ガジュ:)姉ちゃん誰なの?」

「(レベッカ:)今や有名のはずのこの私を知らないとは......私が何者か教えてあげるからその耳でよく聞いて。2年前のフェスティバルや去年のゲームで誰もが知っている、レベッカとは私のことだよ。雪郎の傍にバサカがいる。合わせる顔がなく、こっそり逃げるのはよろしくないな。話せばわかりあえるはずのに、どうしてそんなことを?」

「(ガジュ:)手柄を立てたくてやったとはいえ、バサカに悪いことをしてしまったの。後から知った話だけど、彼は私たちのために動いているとは思わなかった。彼の働きに手を出してしまった結果が、今の最悪の事態を止める術がなくなってしまった。今も後悔している。」

「(レベッカ:)大丈夫、私と兄貴がなんとかしてくれる。雪郎もね。」

 

 「アレグロ雪郎」と「バサカ」は「レベッカ」の話し声に気づく。

 

「(アレグロ雪郎:)常に見張っているお目付け役がいるのを忘れるなよ。」

「(バサカ:)......。」

「(レベッカ:)噂をすれば、向こう側も気づいたみたい。さあ、仲直りしよう。」

 

 お目付け役付きの「バサカ」、保護者同伴の「ガジュ」、果たして仲直りの結果はいかに?

 

「(ガジュ:)あなたのことを誤解していた。不届き者でもなく、私たちのためだったんだよね。悪い噂が絶えなくて今も疑われている、あのエルエーがあなたを排除したんだよ。私たちを...ううん、私たちは利用されたんだ。わかる?」

「(バサカ:)......。」

「(アレグロ雪郎:)どうなんだ?バサカ。」

 

 もう後戻りができないということを「バサカ」は思い詰めている。彼の脳裏をよぎる「ダークチップを使いなさい」よろしく悪魔の囁き...。

 

「(イレギュラー:)それができないなら、お前の命はないぞ。」

 

 その声に彼を追い詰める。自分の命が危ういと思わせるほど「バサカ」の心を突き動かすかのように暴走し始め、手始めに隠し持っていたカッターナイフを「ガジュ」に突きつける。

 

「(バサカ:)みんなはバサカを嵌めたっぺ!!バサカはいい人だったっぺ!!」

「(レベッカ:)...やっぱし。何かあると思ったら、奴の差し金か。哀れな...。」

「(バサカ:)違う!!バサカは絶対消されない!!消されないっぺぇ!!」

「(アレグロ雪郎:)レベッカ、彼は哀れじゃないぜ。奴に脅されたに違いない。決定的な証拠だ。バサカ、あんたはこんな馬鹿な真似をする男じゃないはずだ。落ち着け。...落ち着けって!!」

「(バサカ:)少しでも動いてみろっぺ!!ガジュはオシマイだっぺ!?」

 

 ガジュの首に血が少々垂れて...。

 

「(アレグロ雪郎:)くっ...。手出しできん。管理人、すまん。」

 

 そんな窮地に立たされる中、高層タワーの屋上からスナイパーライフルの弾が「バサカ」の足元に着弾。「バサカ」は一瞬で怯み、その隙に「レベッカ」は彼を確保した。

 

「(レベッカ:)はい、捕まえた。物騒な刃物は没収ね。」

 

 「バサカ」の抵抗は伊達じゃなく、取り逃してしまう。解放された「ガジュ」は首の切創以外に損傷はなく、無事である。

 

「(レベッカ:)礼なら、あの狙撃手にね。今は見当たらないけど。」

「(アレグロ雪郎:)バサカは逃げられてしまった。それと、奴の差し金のキーワードでずっと引っ掛かっていたエルエーの黒い噂が本当だというなら、愛美はとらわれの身、つまり敵の手中にあるということじゃないか!!よし、本部で確認してくる。レベッカ、あんたはガジュの保護よろしくな。」

 

 「アレグロ雪郎」はその真偽を確かめるべく、大急ぎでE.G.本部に戻っていく。

 

 その頃、本部は...。

 

 「エルエー」の黒い噂を嗅ぎ付ける者は少なくない。「エルエー」は腹をくくって、「エネルジコ」のいる部屋へ向かった。そこには「エネルジコ」が「エルエー」を待っているかのように佇んでいた。

 

「(エルエー:)エネルジコ長官...あなたは嘘が下手ですね。FBI長官とE.G.最高責任者の両立は非現実的と言っておきながらも、E.G.への後方支援すなわちバックアップをするし。」

「(エネルジコ:)そういう君こそはE.G.に潜入しているだろうが。中央情報局の連中の一人、ロンガーム・ショックコース。」

「(エルエー:)お互いの目的や利害は一致していても、あなたと私のやり方は違う。私...俺は俺たち諜報員のやり方でいく。奴の悪辣を止めるには手段を問わない。味方を利用してでもな。」

「(エネルジコ:)方向性の相違...か。ならば仕方がない。こちらも手を打っておいた。見て驚くでない。」

 

 「エルエー」は少々驚いた顔で、「エネルジコ」の取った行動は何なのか、それを知るものは誰一人もいなかった......。

 

 インキュバスの力を借りて本部まで駆けつけた「アレグロ雪郎」だが、第一目撃者の口より衝撃の悲報を知らされる。「アレグロ雪郎」は膝を崩しかけるも、冷静に状況を確認する。

 

「(アレグロ雪郎:)...いったい誰が...誰にやられたのか?」

 

 冷静に現場を見渡す「アレグロ雪郎」。倒れていた「エネルジコ」に、「エルエー」の武器らしきものが転がってある。理解を求めるべく「第一発見者」に問いかける。

 

「(アレグロ雪郎:)祖父...。なあ、あんた。第一発見者なんだろ?...祖父とアイツの間に何が起きたのか、その経緯を教えてくれ。」

「(三つ編みメガネの子:)私はエルエーを尋問しに探し回ったところ、責任者の部屋のドアが開いてまして、既に倒れていたの。誰にやられたというと、コチウニって。」

 

 「第一発見者」の証言のほか、理解を超えた現場こそが祖父のダイニングメッセージともいえる。それがわかると、「アレグロ雪郎」は嘆く。

 

「(アレグロ雪郎:)...理解に苦しむ。あぁ...理解できんな......。頑なに愛美の居所を教えてくれないあの馬鹿め......あ...ちくしょう......おまけに...祖父を手にかけやがって......あぁ...ふざけるな......。」

 

 「アレグロ雪郎」は大きく荒れるほど取り乱し、悲しみや怒りが混じった慟哭の声をあげる。

 

「(アレグロ雪郎:)...う"ぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 「エネルジコ」は...死んだ。その哀しみは立ち直るのが難しいほど大きい。「レベッカ」は、そんな小6の少女に未来や希望を託すために保護を続けている。輝かしい未来を作るために。「レベッカ達」の希望のために。

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