自我持つ兵器の英雄譚   作:Nyappy-

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今回はちょっと短め……かな?
外国人キャラが登場する際も文章は日本語ですが、実際は英語等で会話している……と脳内補完お願いします。



15. 秘密裏のG5サミット

 

2008年12月

艦娘技術研究所

 

この日、この場所に5ヶ国の艦娘司令官が集った。段取りを整えるのに半年以上掛かったが、上手く情報を隠しながら集まることが出来た。

 

呼び出したのはイギリス・アメリカ・ドイツ・イタリアの司令官達。元々はイギリス・アメリカ・ドイツの3ヶ国の予定だったが、イタリアにも呼ぶに値する司令官がいて、尚且つ簡単に接触出来た為に飛び入り参加してもらうことにした。フランスやロシアなどにも接触を図った人物はいたが、上手く行かなかった。

 

 

「初めまして、俺が神崎洋平少将だ。まず初めに、今回こうして集まってくれた事に感謝する。Thanks」

 

会議は洋平の感謝の言葉からスタートした。

 

 

 

「まずは世界の現状を把握したい。生憎俺は軍の中枢から遠い人間だから……」

 

「私もだ。私なんて、ただのUボート艦娘達の司令官でしかないからな」

 

「私もそんな感じです」

 

そう話すのは、米海軍のロックハート大佐と独海軍のグーテンベルグ大佐、伊海軍のアルベローニ大佐。彼らはそれぞれの海軍内において、別に中心的な人物という訳ではなく、更に言えば彼らは階級こそ『大佐』だが、数年前に艦娘部隊司令官として採用された元民間人なので、政治的な部分はからっきしだ。

 

 

「私は一応それなりの立場にあるが、それでも国内の事しか詳しくない。それと、艦娘の研究開発についても聞きたいな。頼めるか?」

 

こちらは英海軍のウォード少将。彼は元から軍人かつ貴族出身という事もあって他の3人と比べれば影響力を持っている。だがまだ若いのもあって軍全体を動かすには不十分だ。

 

彼らの階級は洋平と同じかそれ以下だが年齢はほぼ変わらない為、洋平の希望で堅苦しすぎない形で会議を行っている。(ちなみに海斗は少将、美香は大佐)

 

「了解。それじゃまずは世界情勢の説明から行くか」

 

 

そうして洋平は、現状の世界情勢や艦娘と人類の関係について4人に話した。

 

 

 

 

 

数十分後……

 

「「「…………」」」

 

「多少聞いてはいたが……酷いな」

 

3大佐は言葉を失い、ウォード少将は冷静に呟く。4人は世界情勢については普通に聞いていたが、艦娘関係の事件の話になるとその顔を歪めた。事件が起きた事に対する怒りもそうだが、1番は語られた内容に自国で起きた事件が含まれている事に気づいた為だ。

 

 

「悪い、欧米諸国を貶すような意図は全く無いんだ。……ただ、デカい事件を羅列して行くとどうしてもそうなってしまうだけなんだ。そもそも、欧米は艦娘と司令官の母数が多いから」

 

「分かっているさ、だから気にしないでくれ。君達もそれで良いだろう?」

 

ウォード少将にそう聞かれ、3大佐も頷いた。

 

「……では、ここからは艦娘研究の事について聞かせて貰えるかい、神崎少将?」

 

「ああ。だが、これは俺よりも適任が居るな。……頼めるか、秋吉?」

 

「了解。……では、ここからは私、本研究所所長の秋吉智明技術大佐が説明致します」

 

そう言って秋吉は、第一世代艦娘のファースト〜サードまでの各ロットの特徴、改良の流れ、そして現在主力になりつつあるサードロットにおいても未だ未解決の問題点に触れ、現在までの艦娘研究の流れをざっくりとだが説明した。

 

 

「……なるほど。艦娘はこうやって生まれていたのか」

 

艦娘を指揮する司令官でありながら、その彼女達の建造プロセスを見て4人は驚いていた。その事を意外そうに思った洋平だったが、

 

「俺達は着任した艦娘を指揮してはいるが、その艦娘達が建造される所を見ている訳じゃないからな」

 

そのロックハート大佐の言葉で合点がいった。彼等は艦娘の計画段階から関わっていた洋平達と違って、あくまでも建造され各基地へと送られて来る艦娘達を配備先で指揮する司令官の一人でしか無い。だから艦娘の技術的な部分には触れて来なかったのだ。同様に、主砲や魚雷発射管と言った各種兵装に関しても製造された完成品が送られてくるだけだった為に詳しくは知らなかった。

 

「なるほどなぁ……たくさん基地作って艦娘を分散配備してはいるけど、建造や装備開発は一ヶ所の工廠でやってるのか」

 

「まぁこの配備方式ならその方が各基地に工廠設備を作るよりも合理的よね〜」

 

以前から設備などの観点から分散配備方式に疑問を持っていた海斗と美香も話を聞いて納得した。

 

 

そこからしばらく工廠関係の事を説明した後、話はサードロットにおいても解決の目処が立っていないという『欠陥』の事に。

 

 

「……という訳で、脳の処理能力の不足に関しては未だ解決に至っていない。また、艤装と被験者との同調が上手く行かず、身体へダメージを与えてしまう事もあるな」

 

「なっ……!?ウチの艦隊の皆は大丈夫なのだろうか……」

 

「あー……その心配は要らないと思うぞ、グーテンベルグ大佐。この問題が起こるのは基本的には初めて艤装を接続した時だ。欧米で各基地に配属されてくる艦娘達は、この問題はクリアしてきている筈だ」

 

「そ、そうか……。それを聞いて安心した」

 

「はは……」

(その問題にクリア出来なかった子達も当然ながら居る訳だが……その子達の行く末については、今は良いか)

 

自らの指揮する艦娘達の事が心配で聞いてきたグーテンベルグ大佐を安心させつつも、内心では正に艦娘建造の闇と言える事柄について考えていた洋平だった。

 

 

「とまあ、これらの問題を一挙に解決する為に考えたのが、素体となる少女諸共全てを工廠で建造してしまう事でより同調率の高い艦娘を生み出す、という考えです。これが、『次世代艦娘開発計画』が始動した主な経緯です」

 

「なるほど、そう言った経緯で次世代艦娘を建造しようと……」

 

「そうだ、アルベローニ大佐。この研究が上手くいけば、更に強力な艦娘を建造する事が可能になる。それは同調率もそうだが、単純なスペック面でも、だ」

 

「と、言いますと?」

 

「現在の第一世代艦娘では、精々戦間期前半辺りの艦艇を建造するのが精一杯だ。だが、この次世代艦娘はまだ研究段階ではあるが、今のところ第二次大戦期の艦艇も建造可能となる予定だ。イタリアでいうと……ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦、とかだな」

 

「おお!」

 

第二次大戦期の自国の代表的な艦艇を建造出来ると聞き、嬉しそうにするアルベローニ大佐。また他の面々も、

 

「とすると、俺の国はアイオワ級やエセックス級、フレッチャー級といったところか」

 

「ビスマルク……もそうだが、我が艦隊としては新型のUボートが盛り沢山だな」

 

「我がロイヤルネイビーは……アークロイヤル級やイラストリアス級、戦艦ならKGV級、ヴァンガードも行けるのか?」

 

「それで、日本は……」

 

「この流れなら、ウチはやっぱり大和型戦艦だろうな!」

 

「翔鶴型や伊400型も良いわね」

 

そう言い各々の考える第二次大戦期の自国の代表的な艦艇を思い浮かべていた(ヴァンガードはほぼ戦後艦だが)。

 

 

そんなこんなで会議は数時間行われた。終了後、洋平は4司令官を連れて研究所内を見て回っていた。

 

「ここが、研究室。艦娘研究の最前線だ……今はまぁ、ちょっとだけ別のこともやってるけどな」

 

「おお」

 

「ここが……」

 

そう呟きながら、彼等は艦娘の研究データと思われる書類やモニターに映し出されている艦娘の3Dデータを見て回っている。

彼等がやって来たのは、秋吉達が日夜研究に勤しむこの研究所の心臓部、研究室だ。ここでは現在、次世代艦娘の研究と同時進行で、ある重要な研究も行われていた。それは艦娘だけでなく、人類全体にとって重要な物。

 

「失礼する。……希空〜、居るか?」

 

「……あっ!おじさん!!今行くね!ちょっと待ってて!」

 

そう言って、作業を中断して奥の部屋からこちらに歩いてくる希空。以前よりも成長し、更に研究者らしくなっていた。特注の小さい白衣も良く似合っている。

 

「紹介しよう。俺の姪、希空だ。ここの研究員をやってるんだ」

 

「こ、こんにちは。神崎希空です」

 

流石に初めて会う人、それも外国人とあっては流石の希空も緊張していた。が、

 

「凄いな……こんな子供が研究者を」

 

「見た目よりずっと大人っぽいな」

 

「元気そうな子ですね」

 

3大佐はそんな希空の姿を見て驚き、そのままその可愛さに落ちた。

 

「彼女も、艦娘なのか?」

 

「鋭いな、ウォード少将。その通り、希空は次世代艦娘のテストベッドと言える存在だ。主に頭脳方面の、な」

 

「なるほど……」

 

 

(……冷静に考えている風だが、ニヤけてんなぁ〜)

 

淡々と洋平に希空の事について聞いていたウォード少将も、内心ではその可愛さにやられている様だった。

 

 

「それで、希空。今は何の研究をしてるんだったか?」

 

「えっとね、次世代艦娘の研究と、後は……核融合炉!」

 

「「「「……は?」」」」

 

4司令官は開いた口が塞がらなくなっている。

見た目だけなら5歳ほどに見える幼女から唐突に『核融合炉』などという言葉が飛び出せばこうもなろう。……本来なら『次世代艦娘の研究』なんて言った時点でこうなるべきな気もするが。

 

 

「か、核融合……?」

 

「一体何を……」

 

「何を言ってるのかって?そりゃ核融合炉の研究をしてます、って言ってるのさ。何と言っても希空は今世紀最大の天才だからな」

 

困惑する4司令官に、半笑いで説明する洋平。こう言ってはいるが、昨日ここに来た時に希空に同じように言われ、全く同じ反応をしていた。だから彼等の気持ちも分かるのだ。

 

「来て来て、こっち!」

 

そう言って希空が研究室から少し離れた施設に手招きするのでついて行くと、そこにはまぁまぁデカいサイズの炉心があった。だが、少しでも知識のある者なら、そのあまりの小ささに驚くだろう。その炉心は、現在絶賛稼働中らしかった。

 

「これが、私の作った核融合炉!今はこの研究所の主電源になってるんだよ!」

 

「「「「へ、へぇ〜」」」」

 

彼等は流石にドン引きしていた、にわか知識ながらもまだまだ実現には程遠いと知っていた核融合炉が試験どころか実用化されていた事に。まさかこんな幼女が世界的に見てもとんでもないブレイクスルーを引き起こしているとは思っていなかったのである。

 

「あはは……まあそうなるよな。本当どうなってんだよ、お前の頭ん中」ナデナデ

 

「ん〜?」ニマニマ

 

伯父に頭を撫でられ気持ちよさそうにする姿からはとても想像出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 





あ と が き

イタリアの飛び入り参加云々は史実第一回サミットのオマージュ。
今回の参加国・非参加国の振り分けはなんとなく、です。まあ強いて言うなら艦これ実装済み艦娘の多い順……かな?(しっかり数えて無いから間違ってるかも)
最近はフランス艦娘も増えてきたけどね。

欧州イベントも秋刀魚イベントも終わりましたね。私はグローリアスと野埼が刺さりました。いずれ本作品にも出します。
(まぁ1番手に入って嬉しかったのは夜間熟練搭乗員だけどね。村田隊長にプレゼントする予定です)

次回 研究、本格始動!!
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