自我持つ兵器の英雄譚   作:Nyappy-

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前回の続きから。
一部描写が閲覧注意かもです。(たぶん大丈夫)



23. 真紅を纏う“elite”

 

 

戦闘開始前

 

 

「……これだけの戦力差だと、開幕の一撃がかなり重要そうだね」

 

地下水路を航行しながら、“磐手”が呟いた。

 

「そうね」

 

「そうなりますと、私の艦載機の出番、でしょうか?」

 

「うん。奇襲攻撃の一手目にはちょうど良いんじゃないかしら?」

 

“鳳翔”からの問いに“出雲”が答える。

それを聞いて“磐手”が先日洋平から(惚気気味に)言われた、ある事を思い出す。

 

「そう言えば、最近新型が配備されたって聞いたけど?」

 

「はい。念願の艦上爆撃機です!」

 

「艦爆……。急降下爆撃って言うのが得意なんだっけ?」

 

「そうですね。威力と引き換えに、命中率を高める方法です」

 

 

“鳳翔”の説明を聞いて、“出雲”がある事を思い付いた。

 

「威力が低い……。でも、敵空母を無力化するのには最適なんじゃないかしら?」

 

「そうですね、飛行甲板の破壊は得意だと思います」

 

「だったら、艦爆隊に敵空母を叩いてもらうべきね」

 

「敵艦隊に空母が居るって事?出雲」

 

「最低でも1隻は居る筈。ここまで陸地に近づいといて、エアカバーを怠ってる筈は無いわ」

 

「そっか。ここ1年くらい、散々基地航空隊とやり合ってたもんね……」

 

運用開始以降、日本本土へ近づいて来た深海棲艦を迎撃し戦果を挙げ続けている基地航空隊。

その存在を危険視した深海棲艦は、艦隊上空の制空権確保のために日本本土へ接近する際には必ずと言って良いほど空母を随伴させていた。

それが今回に限って居ないなんて事はまずあり得ない、そう“出雲”は考えた。

 

 

「では、この水路を抜けた所で艦爆隊の発艦作業に入ります。飛行ルートの策定はこちらで行いますね」

 

「分かったわ」

 

「艦爆隊のみんな、頑張ってね!」

 

 

こうして、開幕攻撃は鳳翔航空隊の艦爆隊が担う事となったのだった。主目標は、恐らく居るであろう敵空母。初めは「空母の数が少なかったら現場の判断で別の目標とに分散してね」などと伝えていたが、発艦直前になって触接中の偵察機からの報告で敵空母が10隻近く居る事が判明。心配は杞憂に終わったのだった。

 

また本来の目的は「敵空母の飛行甲板破壊」であったものの、攻撃時たまたま飛行甲板に艦載機が出ていたためにそれらの誘爆を引き起こし、悉く撃沈にまで至っていた。

 

 

 

 

 

時系列は、艦爆隊の攻撃終了後に戻る。

 

 

 

突然の攻撃に対応できず、実に半数の空母を失った深海艦隊。生き残った4隻も準備に手間取り、やっとの思いで迎撃機を発艦し始めた頃には既に鳳翔艦爆隊は居なくなっていた。

だが鳳翔艦爆隊は大型空母を優先して狙っていたため“ヲ級”は全滅。残されたのは比較的小型な空母である“ヌ級”ばかり。

軽空母では出せる戦闘機の数に限りがある。

 

その所為で結局、想定して動いていたにも関わらず第二次攻撃を防ぐ事は叶わなかった。

 

 

「───ッ!!艦隊後方ニ敵編隊発見!」

 

深海艦隊が迎撃体勢を整えていた最中、艦爆隊と同じく発進地点を悟られないように迂回して飛んできた艦娘技術研究所所属の基地航空隊が大挙襲来。

発進自体は艦爆隊より早かったが、知床半島方面から迂回して来たのでこのタイミングでの到着となった。

そしてそれは結果的に樺太方面を警戒していた深海艦隊の背後を突く形となった。

 

「迎撃機ヲ向カワセロ!!」

 

“ル級”の命令を受けて、戦闘機隊が迎撃に出る。

真正面から激突した両編隊はそのまま空戦にもつれ込むが───

 

 

 

 

 

「敵機、恐るるに足らず!」

 

「訓練にもならんわ!!」

 

「吹流しのがまだ良い動きをするぞ」

 

 

正に「鎧袖一触」。まったく何も出来ぬまま墜ちていく深海戦闘機。

得意の“数”を封じられたこの状況では、基地航空隊の持つ圧倒的な“質”に対してあまりにも無力だった。

 

基地航空隊の戦闘機は、開発されたばかりの新鋭機『九五式艦上戦闘機』。基地航空隊では現在陸軍機『九一式戦闘機』が主力なのだが、“鳳翔”のために艦上機の開発を優先した影響でその開発拠点に所属するこの部隊は本機体を主力としていた。

更に運が悪かったのは、この航空隊が選りすぐりのエースやベテラン達を集めた“教導隊”だった事。日本全国に点在する基地航空隊、その頂点に立つ精鋭部隊が相手だったのだ。

そしてそれは戦闘機隊だけの話ではない。彼らに護衛された攻撃隊も同様である。

 

戦闘機隊と同様の理由で『九二式艦上攻撃機』を装備する攻撃隊が、何の妨害も受けずに攻撃体勢に入る。敵機の対処を戦闘機に頼っていた深海艦隊は誰もまともな対空兵器を搭載していなかった。

 

 

 

「目標は敵空母だ!攻撃隊の発艦前に沈める!」

 

未だ残っている筈の敵攻撃隊を発艦前に沈めるため、空母を真っ先に狙う九二式艦攻隊。「出雲達にとって1番の脅威である敵空母を潰せ」と秋吉から指示を受けて来ているからだ。

 

 

「目標まで、あと1200!」

 

「……」

 

「1000!」

 

「まだ……」

 

「800!」

 

「まだだ…………!」

 

「……600!」

 

「───今だ!……ってぇ!!」

 

 

本来よりもかなり近距離まで肉薄して魚雷を放つ艦攻隊。

目標を狙い難い夕暮れであったが、狙い澄まされた雷撃は、一本も外れる事なく敵空母や護衛の駆逐艦に命中。

彼女達は吹き上がった水柱に包まれ、収まった時にはその姿は消えていた。

 

 

 

 

 

「基地航空隊より入電!敵空母全滅!」

 

「やるじゃん!」

 

「これで空は警戒しなくて済むわね」

 

基地航空隊からの報告に顔を緩ませる“出雲”と“磐手”。だがすぐに意識を切り替える。

 

 

「じゃあ……そろそろ行くわよ、磐手」

 

「了解!」

 

「気をつけてくださいね」

 

「分かってるわ!」

 

“鳳翔”を心配させまいと“出雲”は微笑んで答え、そのまま“磐手”と共に海峡へと向かって行った。

 

 

「……本当に、気をつけてくださいね」

 

意気揚々と去って行くその姿に、“鳳翔”は妙な胸騒ぎを覚えていた。

 

 

 

 

 

立て続けに空襲を受け、大打撃を被った深海艦隊。

1時間程前まで30隻いた艦隊は、その数を半分の15隻まで減らしている。

 

だが、“ル級”は撤退命令を出さなかった。それはこのまま逃げ帰っては“戦艦棲姫”へ顔向け出来ないからというのもあるが、

 

「コレダケ激シイ迎撃ヲ行ッテクルトイウ事ハ、ヤハリコノ先ニ何カガアルノダロウ」

 

「……ソレヲ突キ止メテヤル!」

 

 

───研究所を守るため行った迎撃が、却って“ル級”へその存在を匂わせる大きなヒントになってしまっていたからだった。

 

 

 

 

 

2時間後

 

日は既に落ち、闇に包まれている宗谷海峡。

そこへ生き残った15隻の深海棲艦が突入して来ようとしている。

 

最大船速で航行しながら北海道側を見続けている“ル級”に、随伴の“リ級”が声を掛ける。

 

「ル級、ココカラドウスル気ダ?」

 

「夜間ニ海峡ヲ抜ケテ警戒網カラ脱出シ、日本海側カラ北海道ニ上陸スル」

 

「本当ニ北海道?樺太ノ可能性ハ無イノカ?」

 

「散々撹乱シテ来タガ、ソレニ騙サレル程馬鹿デハ無イ。ソレニ大体、樺太ハ日本ノ領土デハ無イ」

 

 

“ル級”は、目標が北海道の何処かにある事を疑ってはいなかった。どんなに撹乱されようとも、この辺りに日本の陸地は北海道しか無い以上、疑う理由が無かった。

この撹乱は洋平達の考案した策であったが、彼らの思っている以上に、深海棲艦は人類の事を知っていたのだ。

 

だが偵察機が全滅したため、頼れるのは己の眼のみ。そのため、深海艦隊は北海道への上陸を企図していた。自前で上陸作戦を行えるのも、人型である事の利点だ。

 

 

 

だが彼女は見誤った。

人類の、いや秋吉と希空の持つ科学力を過小評価し過ぎていた。

自分達が従来のレーダーに映らないから、また今日人類側が偵察機を使って触接して来ていたから、彼らが『それ以外の索敵方法』を持っていないと勘違いしていた。

 

“リ級”とこうして話している間も、ずっと『電波探信儀』で監視され続けている可能性は頭に無かった。

 

彼女が監視に気付いたのは、艦隊の先頭を航行していた駆逐艦が突然爆発して沈んだ後だった。

 

 

「───ナンダ?ナニガアッタ?」

 

「敵!敵ダ!」

 

状況を掴めていない“ル級”に、“リ級”が報告する。

 

「待チ伏セラレテイタノカ?……数ハ?艦種ハ?」

 

「2隻ダ!艦種ハ……、ンン?何?出雲型ダト?」

 

「……」

 

更なる報告が2隻の元へ届き、それを聞いた彼女達は仰天……しなかった。

昨今の世界的な艦娘フィーバーの影響などで有名な艦娘の情報は深海棲艦側にも届いており、その中でも「出雲型」は、特に危険な存在として下位個体の間で恐怖の対象となっていた(多少の誇張も含んではいるが)。

そんな存在と鉢合わせたとなれば、驚いて当然だった筈なのだが。

 

 

「遂ニ、コノ“力”ヲ試ス時ガ来タカ……」

 

そう話す“ル級”と“リ級”はその身体に真紅のオーラを纏っていた。このオーラを纏った個体は人類との戦争が長引くにつれて出現し始めた事から、歴戦の個体である証だとされていた。

 

「───昼間ノ借リハ、返サセテ貰ウゾ」

 

“elite”───後にそう呼ばれる事となる力が、牙を剥いた。

 

 

 

 

 

戦闘開始30分後

 

 

「───ッ!痛っ!」

 

「磐手!大丈夫!?」

 

 

「他人ノ心配シテイル場合カ?」

 

「きゃあ!?」

 

 

“真紅のオーラ”は伊達では無かった。随伴艦を後方支援に残して2隻で挑んできた“ル級”と“リ級”に予想外の苦戦を強いられている“出雲”と“磐手”。同数での戦闘で互角───“質”の面で同格な上、大量に飛んでくる後方からの砲撃───圧倒的な“数”に翻弄されていた。

 

 

「火災!?ダメージコントロール!」

 

「サセルカ!燃エ尽キロ!!」

 

「ああっ!!」

 

“磐手”の左舷艤装に後方からの砲撃が直撃し火災が発生。

そしてそれを消火しようとしたところに、“リ級”の放った砲撃も直撃。

左舷副砲群が吹き飛び、火災も拡大する。

“磐手”自身も重傷を負ってしまう。

 

一方“出雲”も、度重なる“ル級”や後方からの砲撃を受け、致命打こそ避けているが損傷が拡大。航行に支障をきたし始めていた。

 

 

(マズい……!コイツらがこんなに強いなんて!?

目の前の“赤いル級”、手強いなんてレベルじゃない!

あっちの“赤いリ級”もヤバいし、後方支援も厄介過ぎる!)

 

 

ここに来て、出雲型“装甲巡洋艦”と“重巡洋艦”、“超弩級戦艦”との間の“質”の差が表面化していた。

今までは艦種の差を埋めるどころか圧倒的に上回る程の技量の差というもう一つの“質”があったために問題にならなかったが、“真紅のオーラ”によって技量がある程度追い付かれた今、純粋な艦種の性能差に“出雲”と“磐手”は苦しめられていた。

 

だが、本来なら“真紅のオーラ”はここまでの強敵にはならない。確かに強化されているが、決して勝てない相手ではない。

それがここまで追い込まれているのにはもう一つ理由があった。それは後方から襲い掛かって来る大量の砲撃との連携だ。ただ適当に撃つのでは無く、“ル級”や“リ級”が逐一指示を飛ばし続け、ピンポイントで大量の砲撃を叩き込んでいたのだ。

また普通なら誤射を恐れて萎縮する所を、「オマエ達ノ砲撃ナド私達ニハ当タラン!」と言い切り、恐れず撃てと暗に伝えていた事も大きかった。

 

結果としてそこにあったのは「戦いは数だよ兄貴!」が成立する、ごく普通の戦場だった。その「ごく普通」が、“質”で“数”を上回らなければならない少数精鋭の艦娘にとっては、正に致命傷だと言えた。

 

 

“出雲”は初めて「敗北」を意識した。どうやって敵を仕留めるかではなく、どうやってここから逃げるかを考えたのはこれが初めてだった。彼女にとっては、目の前の“ル級”があの時の“空母棲鬼”よりも遥かに恐ろしい化け物に思えた。

 

だが戦況は、彼女が考える事を許さない。恐怖によって生じた一瞬の隙を突かれ、“ル級”の主砲の直撃を喰らってしまう。砲弾は右舷艤装の弾薬庫付近へめり込んだ。

 

 

「───ッ!?パージ!!」

 

 

咄嗟の判断で彼女は右舷艤装を切り離す。

直後、切り離された艤装は誘爆に巻き込まれて大爆発を起こした。

切り離した事で轟沈こそ免れたが、至近距離にいたために巻き込まれ、元から損傷していたのもあって“出雲”は右の手足を吹き飛ばされてしまう。

左脚が残っているため一応航行は可能だが、あまりのダメージに彼女は動きを止める。艦娘の痛覚は普通の人間と一緒なのだ。

 

 

「───ぐっ、うぅ……」

 

そこへ、装填中の“ル級”の主砲が向けられる。

 

「コノ主砲ノ装填ガ終ワッタ時ガ、貴様ノ最期ダ」

 

 

 

「出雲っ!!」

 

“磐手”が気付いて叫ぶが、“出雲”は動けない。助けようにも、彼女も彼女で“リ級”と一進一退の攻防を繰り広げており、手一杯だ。

 

 

 

 

 

「出雲大破!」

 

 

「出雲ちゃん!!」

 

「何とかならないのか!?」

 

指揮所で戦況を見守っていた海斗と美香も、“出雲”の絶体絶命の危機に叫ぶ。だが基本的に見ていることしか出来ない彼らに出来る事は無い。

 

「秋吉、何か無いのか!?」

 

洋平が縋るように聞く。だが秋吉は黙ったままモニターを見つめている。

 

「───っ」

 

海斗も、美香も、洋平も、この場に居る皆が“出雲”の死を覚悟した。

 

 

 

 

 

「……」

 

「装填完了。───終ワリダ、トップエース!」

 

 

 

 

 

「──────間に合った」

 

ただ一人、秋吉を除いて。

 

 

 

 

 

《はいは〜い!もしもし聞こえてる?》

 

 

「……何ダ?」

 

「───えっ?」

 

突如として海峡一帯に響き渡る声。

 

《あっ、反応してくれた!こんばんは、深海棲艦のみんな〜!!》

 

聞こえて来たのは、ここが戦場である事を忘れさせるような可愛らしい声だった。

 

 

(この声は……!?)

 

「───希空ちゃん!?」

 

“磐手”が振り返ると、そこには海峡の中央に堂々と仁王立ちしながらスピーカー片手にこちらへ呼び掛ける希空の姿が。

 

(なんでここに!?)

 

理解が追い付かず固まる“磐手”を他所に、希空は話を続ける。

 

 

《突然なんだけど、私の話、聞いてくれる〜?》

 

深海棲艦達も困惑している中、“ル級”だけは冷静だ。狙いを満身創痍の“出雲”から外し、希空へと向ける。

 

 

(子供ガ……。

トチ狂ッテオ友達ニデモナリニ来タノカ?)

「距離5000、仰角調整───」

 

 

《ちょ、ちょ、まぁまぁ待ってよ!ちょっとくらい良いでしょ?》

 

 

「……何ノ真似ダ」

 

場違いにも程があるその佇まいに呆れたのか、主砲を向けたまま“ル級”も耳を傾ける。

 

《聞いてくれるんだね?ありがと!じゃ〜あ〜……いくつか質問をしよう!第一問!》

 

そう言いながら、希空は“ル級”を指差す。

 

「…………」

 

《貴女の主砲の大きさは??》

 

 

(フン……情報ガ欲シイノカ?馬鹿ジャナイノカ?)

 

「……16インチダ」

 

《おお〜!おっきいね!やっぱり超弩級戦艦なんだ!そりゃ〜強いよね!……じゃあ第二問!!》

 

 

「───モウ良イダロウ」

 

“リ級”が主砲を向けようとすると、“ル級”がそれを静止する。

 

「マァ落チ着ケ。馬鹿ナ子供ノ最期ノオママゴトニ付キ合ッテヤロウジャナイカ?」

 

「……ワカッタ」

 

 

《……フゥ~ありがとね〜!じゃあ改めて第二問!!

そのオーラって何か意味あるの〜??》

 

この質問には“リ級”が答えた。

 

「サァ?知ランナ。強クナッテイル気ハスルガ、ソレハ我々ガ経験ヲ積ンダカラサ!オーラノ力デハ無イ!」

 

「そっかぁ〜!へぇ〜じゃあ頑張ったんだね!すっご〜い!!」

 

そう言って希空はわざとらしくおどけてみせる。

 

最早彼女を止めようとする者は居ない。

そして彼女は、最後の質問をした。

 

 

 

《じゃあ、第三問!!!》

 

 

 

(融合炉稼働正常。時間稼ぎはもう充分)

《──────“浮沈特火点”って、知ってる?》

 

 

希空がそう呟いた直後、

その質問に答えるかのように海中から無数の砲台がせり上がってくる。

 

 

「ッ!?」「ナン、ダ!?」

 

 

 

(16インチ砲なら耐えられるし……)

 

(あの強さがオーラじゃなくて自分の経験なら、

装甲圧に変化は無い)

 

 

(───だったら)

 

 

 

「アレハ一体──────」

 

「騙シタナ貴m──────」

 

《───撃て!!》

 

 

“ル級”と“リ級”が反応する間もなく希空はトリガーを引いた。

 

 

次の瞬間、その砲台群が発したのは火薬による砲火ではなく、

 

電磁の力で撃ち出されたマッハ10の砲弾と

地球全体を包み込むかのような激しい衝撃波だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

《オホーツク海方面デ“出雲型”2隻、ソシテ推定ダガ“鳳翔”トモ交戦シタ。其方ニモ共有シテオク。……派遣シタ艦隊ガ全滅シタカラ、詳細ハ解ラナイガナ》

 

《マタ、ソノ同時刻に我々ハ“房総半島沖デ”他ノ一特艦、二特艦ノ艦娘トモ交戦シテイル》

 

 

「情報共有、感謝する。

その3隻は、両特務艦隊の中核メンバーと言って良い。

だがそれなら何故、その3隻だけ別の場所に…………?」

 

 

 

 

 

「…………北に、何かがあるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く





あ と が き

艦娘の中・大破は本当はかなりエグい事になっていると思っているのが私です。

“真紅のオーラ”は実際に強化に寄与しています。“リ級”含め深海棲艦側もオーラの事をよく理解していないが故の勘違いです。
まぁ希空があの質問で聞きたかったのは「オーラによって装甲が厚くなっているのかどうか(=あの砲台で撃ち抜けるのかどうか)」であって、
結局はオーラも何も関係無く撃ち抜けてしまったので問題無かったのですが。

“希空の質問コーナー”は要は必死の時間稼ぎです。秋吉は「間に合った」とか言ってましたが、実際はまだあの時点では融合炉の出力が上がりきっておらず、すぐには撃てなかったんです。
なので質問の為に戦場に出るのは別に士や加奈、“鳳翔”とかでも良かったのですが、“艦娘なため海に浮けて、かつ危険視されない”のは、希空だけだった、という事です。

ちなみに、最後に言及のあった「房総半島沖での戦闘」では、洋平達は出撃した艦娘達の指揮を艦娘技術研究所の戦闘指揮所から取っていました。

また今回九五式艦戦が出たので紹介しますが、
前回例のテストパイロットが乗っていたのは
本機の試作機『九〇式艦上戦闘機改』です。


次回 死闘の(入渠)痕と新たな(改装)
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