自我持つ兵器の英雄譚   作:Nyappy-

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前回の続き、と言うよりはやむを得ず分割した残り。

(鳳翔がママですが子供は一航戦では)ないです。
彼女達の登場はもうちっとだけ待つのじゃ。



26. 【工廠任務】建造試験を実施せよ!

 

3月10日

 

この日、特務艦隊司令部の関係者一同は、再び艦娘技術研究所へ集まっていた。目的は一つ、洋平と“鳳翔”の子供、その誕生を見届けるためである。

 

建造開始予定は正午、集合時間はその三十分前と伝えられていたのだが、午前十時には、予定より二時間も早いにもかかわらず、既にほぼ全員が揃っていた。

 

「来たぞ、秋吉」

 

洋平が工廠へ入ってくる。

 

「待ってたよ」

 

準備状況を確認していた秋吉が振り返った。

 

「こっちはもう大体整ってる。そっちの準備は大丈夫そうかい?」

 

「心構えなら、もう出来てるさ……」

 

答えた洋平の声は、普段より僅かに硬かった。戦場へ艦娘を送り出す時とは違う緊張である。

 

その背後から、“鳳翔”も顔を出した。

 

「はい。いつでもどうぞ」

 

そう答えて微笑んではいるものの、こちらもやはり少し緊張しているように見える。今日、自分達の子供が生まれるのだ。平静でいろという方が無理だった。

 

 

 

少し離れた場所では、“出雲”と“磐手”、士と加奈が話していた。

 

「どんな子か楽しみだな」

 

士が工廠の奥を眺めながら言うと、加奈も頷いた。

 

「女の子なのは確定なんだっけ?」

 

「そうらしいわ」

 

“出雲”が答える。

 

「艦魂の情報を使って身体を錬成すると、基本的に女の子として成立するんだって。今回は“鳳翔”さんの艦魂も関わってるから」

 

「元々、船そのものが女性として扱われる文化が多いのも関係してる……とかだったよね?」

 

“磐手”が補足する。

 

「へぇ……」

 

二人とも、これから生まれてくる姪が気になって仕方ないらしい。もっとも、“出雲”と“磐手”も、海斗達から聞いた話をそのまま伝えているだけで、詳しい理屈まで理解しているわけではなかった。

 

それでも、今日、一人の女の子が生まれる。少なくとも、この時点では誰もそう疑っていなかった。

 

 

 


 

 

 

その頃、海斗と美香は工廠の奥へ来ていた。

 

二人の前には、今回の建造試験に合わせて新たに開発された巨大な装置が据えられている。密閉式の円筒状で、人間が横になった状態で収まるには明らかに大き過ぎる。配管や太い電力ケーブルが何本も伸び、その周囲では研究員の妖精達が最後の確認を続けていた。

 

「へぇ……」

 

海斗が装置を見上げる。

 

「これが新しい建造装置か。何つーか……でっかい容器だな」

 

「その形のせいで、“釜”って呼ばれてるらしいわよ」

 

美香が側面を眺めながら言った。

 

「釜?」

 

「横に倒した大釜って言われれば、まあ……見えなくもないでしょ?」

 

「確かに」

 

妙に庶民的なあだ名だった。だが、この『釜』こそ、第二世代艦娘建造計画における最重要設備の一つである。

 

 

従来の第一世代艦娘は、既に生きている人間の少女へ艦魂と艤装を接続し、艦娘へと改造することで成立していた。この装置が行うのは、その逆に近い。艦魂に刻まれた情報を読み取り、それを身体構造へ変換し、必要な資材から人体そのものを一から錬成する。

 

既に存在する少女を艦娘へ変えるのではない。最初から、『艦娘として生まれる人間』を造る、そのための装置だった。

 

当然、要求される技術水準は第一世代用設備とは比較にならない。生体組織、神経、骨格、遺伝情報、艦魂との同調、それらを最初から一つの生命として成立させなければならない。本来なら、幾つもの技術的な世代を跨いで、ようやく辿り着くはずの装置だった。

 

それを実用試験へ持ち込めるところまで完成させた最大の理由が、神崎希空である。

 

 

「それにしても」

 

海斗が装置の周囲を見回す。

 

「前に見た時より、電源周りが随分大袈裟じゃないか?」

 

「この装置、物凄く電気を食うみたいよ」

 

美香が答えた。

 

実際、『釜』の稼働に必要な電力は莫大だった。そのため研究所では、今回の本格稼働に合わせて、新型の核融合炉まで追加設置している。それ自体が、約一年半前に完成した初期試作炉とは比較にならないほど高出力のものだった。

 

だが、希空本人は既にその先を見ている。

 

彼女曰く、

 

『核融合炉は、これ以上出力を上げようとしても、いずれ頭打ちになる』

 

ならば、次は核融合そのものを越えればいい。そんな発想で、既に別系統の新型機関研究まで始めていた。

 

 

「……今回のデータを使って」

 

海斗は『釜』を見る。

 

「次は、この装置で“ゼロ”を造るのか」

 

「その予定ね」

 

美香が頷き、少し笑った。

 

「でも今日は、それより大事なことでしょ?」

 

「ああ」

 

海斗も、工廠入口の方へ視線を向けた。そこには、秋吉と話している洋平、そのすぐ隣に立つ“鳳翔”の姿がある。

 

「───そうだな。今日は兄貴と鳳翔の日だ」

 

 

 


 

 

 

一時間後

 

研究所内を見て回ったり、準備状況を眺めたりしている間に、最終確認が予定より早く終わったため、開始時刻を繰り上げることになった。

 

一同は工廠へ集められ、巨大な『釜』の周囲を、多数の妖精研究員が取り囲む。秋吉と希空も、それぞれ端末の前へ立った。

 

洋平と“鳳翔”は、少し離れた場所から見守っている。

 

秋吉が全員を確認し、一度息を吸った。

 

「───建造、開始!!」

 

号令と同時に、妖精達が一斉に動き出した。必要な資材が規定量ずつ投入され、各系統が起動する。低い唸り声のような駆動音、研究所から供給される大量の電力、複雑な演算処理、そして“鳳翔”から得られた艦魂情報を基礎の一つとして、人体錬成が始まった。

 

第一世代艦娘の建造とは、何もかもが違う。少女を設備へ入れ、艦魂や艤装との同調を成立させていくのではない。『釜』の中には、最初から人間そのものが存在していない。そこへ一つの身体が、一つの生命が、少しずつ造られていく。

 

「第一フェーズ、正常終了!」

 

妖精から声が上がった。

 

「第二フェーズへ移行します!」

 

「分かった」

 

秋吉がすぐに答える。

 

「各数値を継続監視。そのまま安全最優先で進めてくれ」

 

「了解!」

 

妖精達が再び作業へ戻る。

 

秋吉は僅かに頬を緩めた。

 

「……良かった。最初の山は越えたみたいだ」

 

そう言うと、すぐに表情を引き締める。

 

「後は、建造終了まで待つしかないな」

 

隣の希空は、表示されている数値を眺めながら計算していた。

 

「今の速度だと……二時間半くらい?」

 

「そんなところだと思う」

 

「まだ短縮出来そうだね」

 

「今日はやらないよ?」

 

秋吉が念を押す。

 

「分かってるって」

 

「初回実証で速度まで欲張るのは禁止」

 

「はーい」

 

口では素直に返事をしつつも、希空の視線は既に改善点を探していた。秋吉はそれを見て、小さく苦笑する。

 

試験はまだ終わっていない。それでも、ここまでは順調だった。

 

 

 


 

 

 

約三時間後

 

『建造工程終了』

 

その報告が入ると、待っていた全員が『釜』の前へ集まった。

 

洋平は先程から落ち着きがなく、“鳳翔”も、その手を胸の前で重ねている。海斗や美香、士と加奈、“出雲”、“磐手”、秋吉、希空、そして多数の妖精達。誰もが、扉を見つめていた。

 

「……全員いるね」

 

秋吉が確認する。

 

「開けるよ」

 

妖精へ合図を送る。

 

「ロック解除!」

 

固定機構が外れる音が響いた。ゆっくりと、巨大な建造装置が左右へ開いていく。密閉されていた内部から白い蒸気が溢れ、床を這うように広がった。

 

誰も口を開かない。

 

数秒後、蒸気が薄くなり、内部が見える。

 

 

そこにいたのは、一人の赤ん坊───ではなかった。

 

 

……二人。

 

 

小さな赤ん坊が、並んで寝かされていた。

 

「…………え?」

 

洋平が目を瞬く。

 

一人は、小さく口を開けながら、ぼんやりと周囲を眺めている。もう一人は、何故か生まれたばかりとは思えないほど、むすっとした顔をしていた。

 

全く同じ日に、同じ装置から生まれた。なのに、既に性格が見えそうなほど対照的な二人だった。

 

そして、二人がこの世界で最初に目にしたものは、目を見開き、口を半開きにして、研究者らしからぬ顔で固まっている男だった。

 

「──────うぇっ?」

 

秋吉の口から、素っ頓狂な声が漏れる。

 

「双子?」

 

 

 


 

 

 

数分後

 

洋平達の不安は、別の意味で膨らみ始めていた。

 

生まれた二人そのものに、今のところ異常はない。呼吸、心拍、脳活動、身体形成、各数値は安定している。にもかかわらず、秋吉と希空は『釜』へ張り付き、さっきから大量のデータを確認し続けていた。

 

「……なあ」

 

痺れを切らした洋平が声を掛ける。

 

「何かマズいのか?」

 

秋吉が振り返る。

 

「いや」

 

「いや?」

 

「二人とも健康だよ」

 

「じゃあ何だよ、その顔」

 

「……一人の予定だったんだ」

 

「は?」

 

「建造されるのは」

 

秋吉は二人を見る。

 

「一人だけのはずだった」

 

「……」

 

洋平も二人を見る。“鳳翔”も見る。

 

一人はぼんやり、もう一人はむすっとしている。

 

「……二人いるな」

 

「ああ」

 

「増えたの?」

 

美香が聞く。

 

希空が首を傾げる。

 

「増えた」

 

「そんなことある?」

 

「今起きた」

 

原因はまだ分からない。艦魂情報を利用した人体建造という時点で、人類にとって初めての試みである。

 

何らかの理由で情報が二個体へ分化したのか、あるいは“鳳翔”という艦魂側に、まだ理解出来ていない性質があるのか、それは今後調べなければならない。

 

ただし、それは研究者側の問題だった。洋平と“鳳翔”にとっては、まず二人が無事かどうか、それだけが重要だった。

 

「……二人とも、無事なんだよな?」

 

「ああ」

 

秋吉は頷く。

 

「今確認出来る限りでは、二人とも問題ない」

 

その瞬間、洋平の肩から力が抜けた。

 

「だったら良い」

 

“鳳翔”も安堵したように微笑む。

 

「はい」

 

予定外ではあった。だが、一人の娘を迎えるつもりでいたら二人になった。少なくとも、今の二人にとっては、それだけの話だった。

 

 

 


 

 

 

となれば、次に必要なのは名前である。もっとも、それが一番の難題だった。

 

洋平と“鳳翔”は、数週間前から子供の名前を考え続けていた。候補は幾つも出た。それでも、最後の一つを決められない。

 

理由は、二人とも気付かないほど自然なものだった。

 

この子は、分類上は艦娘になる。艦魂を用いて造られ、将来的には艦娘技術体系の一部に位置付けられる存在だ。それでも、二人にとっては兵器ではない。娘だった。

 

だから、艦名のような名前、型式番号のような名前、何かの兵器を連想する文字、そうしたものを無意識に避け続けた結果、最後の最後まで決められずにいた。

 

まして、今や一人ではない。二人分である。

 

「……どうする?」

 

洋平が“鳳翔”を見る。

 

「どうしましょう……」

 

珍しく、夫婦揃って完全に困っていた。

 

 

そんな二人を見ながら、“磐手”は赤ん坊達を交互に眺めた。

 

一人は、ぽやっとした顔で天井を見ている。もう一人は、何が気に入らないのか、相変わらず少し眉間へ皺を寄せている。

 

「じゃあさ」

 

“磐手”が言った。

 

「こっちの、ほわわっとしてる子が『穂乃果(ほのか)』」

 

「穂乃果?」

 

「うん」

 

そして、もう一人を見る。

 

「こっちの、何かキュッとしてる子が『凛(りん)』」

 

「凛……」

 

「どう?」

 

完全な思い付きだった。その場で二人を見て、その印象から付けただけの名前である。だが、だからこそ妙にしっくりきた。

 

洋平が、ぽやっとした赤ん坊を見る。

 

「穂乃果」

 

“鳳翔”も、もう一人を見る。

 

「凛……」

 

名前を呼ばれたところで、当然まだ返事はない。穂乃果は相変わらずぼんやりしている。凛も相変わらず少し不機嫌そうだ。

 

その様子を見て、洋平と“鳳翔”は顔を見合わせた。

 

「良いんじゃないか?」

 

「はい」

 

こうして、予定になかった二人の娘には、それぞれ名前が与えられた。

 

 

神崎穂乃果。

 

神崎凛。

 

 

人間としては、神崎洋平と“鳳翔”の娘。二人が心から望み、新たに迎えた家族である。

 

そして、艦娘技術の歴史から見れば、これから始まる第二世代建造へ向けた、最初期の実証個体。“ゼロ”へ至るための、大きな一歩だった。

 

二人の少女は、そうしてこの世界へ生まれた。

 

 

 


 

 

 

新しい生命が二つ生まれた。それだけで、この日の試験は充分過ぎるほど大きな意味を持っていた。

 

だが、研究者達にとっては、もう一つ極めて重要な事実がある。

 

人間の少女を素体として用いることなく、艦魂から得た情報を基礎に身体そのものを一から構築し、一人の人間として成立させる。その方法が、実際に成功したのである。

 

秋吉が長く構想してきた、第二世代艦娘の建造方式。その根幹部分が、初めて現実になった。

 

もし、この技術を安定させ、量産出来るところまで持っていければ、第一世代艦娘が抱えていた、素体となる少女への負担、適性、年齢、改造手術、その他数多くの問題、その多くを根本から解決出来るかもしれない。

 

いずれ、この日が深海棲艦との戦争を終わらせるための、大きな一歩だったと評価される日が来るかもしれない。

 

穂乃果と凛、そしてこれから生まれてくる第二世代艦娘達が、世界へ何をもたらし、何を変えていくのか、今はまだ誰にも分からなかった。

 

 

 


 

 

 

ただし、一つだけ、既に生じていた認識の違いがある。

 

秋吉智明にとって、今日の建造は第二世代艦娘建造の成功だった。

 

彼が提唱した『第一世代』『第二世代』という区分は、元々、性能の高さを基準にしたものではない。違うのは、生まれ方だった。

 

既に存在する人間の少女へ艦魂と艤装を後付けする。それが第一世代。

 

人間を素体として使わず、艦魂に刻まれた情報を利用して、身体そのものから一から成立させる。それが第二世代。

 

その定義なら、穂乃果と凛は間違いなく、第二世代方式によって生まれた存在だった。

 

 

だが、希空の中では少し違っていた。

 

「……まだ」

 

『釜』から回収した建造データを眺めながら、希空は小さく呟いた。

 

秋吉が横を見る。

 

「ん?」

 

「まだだね」

 

「何が?」

 

希空は答えなかった。

 

彼女も、秋吉が作った分類そのものを否定しているわけではない。建造方式を基準にすれば、穂乃果と凛は第二世代である。それは理解している。

 

けれど、希空が『第二世代艦娘』という言葉へ求めていたものは、それだけではなかった。

 

第一世代とは明確に違う、性能、火力、防御、機動力、情報処理、成長性、あらゆる面で、それまでの艦娘とは隔絶した存在。

 

第一世代艦娘という兵器体系そのものを、過去へ追いやるほどの存在。それこそが、希空にとっての『本当の第二世代艦娘』だった。

 

秋吉が第二世代を構想した頃にも、第一世代から大きく性能を引き上げる構想はあった。だが、当時目標としていた水準の一部には、既に大規模改装を受けた“出雲”達が届き始めている。

 

ならば、それでは足りない。もっと先へ。希空はそう考えた。

 

穂乃果と凛は、新しい建造方式を実証した。けれど、性能そのものは、希空が求める水準から見れば、まだ第一世代の延長線上だった。だから彼女の中では、二人はまだ『第一世代の範疇』だった。

 

そして、希空には、それを覆すための存在が既にいた。

 

 

研究室へ戻った希空は、一つのファイルを開く。そこに表示された文字は、『JK-2-X-00』。

 

仮称、“ゼロ”。

 

希空は、その設計データを眺めた。

 

その存在には、今回の建造試験で得たものも、これまで自分が造ってきたものも、これから完成させるものも、全て惜しみなく注ぎ込むつもりだった。

 

建造技術、高性能な脳、新しい機関、新素材、制御技術、情報処理、そして、まだ構想段階にしかない技術さえ、完成出来るなら全て。

 

この時点で、希空の中にいる“ゼロ”は、まだ見ぬ妹だった。自分が認める、最初の本当の第二世代艦娘。その後に続く数多の第二世代艦娘達の、最初の姉。そして何より、自分自身の手で造り上げる、大切な妹だった。

 

そのためなら、妥協する理由はなかった。

 

普通なら、研究開発には幾つもの壁がある。理論、設備、技術、資金、時間、既存の常識、安全性、制度。そのどれか一つに突き当たれば、開発は止まる。あるいは、何十年という時間を掛けて、次の世代へ引き継がれる。

 

けれど、今の希空の周囲には、世界最高水準の研究設備がある。妖精達がいる。秋吉をはじめとする研究者達がいる。世界中から集まり始めた莫大な資金がある。

 

そして何より、普通なら幾世代もの研究者が積み重ねて辿り着くはずの壁を、一人で次々と越えてしまえる、神崎希空という特異点がいる。

 

秋吉は、当然、その全てを好き勝手にさせるつもりなどなかった。安全性も見る。危険な技術なら止める。現実的でなければ修正する。

 

けれど、それでも、希空の頭の中から生まれてくるもの全てを、先回りして止めることなど出来ない。何故なら、まず何を思い付くのか、それ自体が誰にも予想出来なかったからだ。

 

希空は設計画面を切り替える。

 

そこには、今の艦娘技術とは明らかに違うものが並び始めていた。既存科学の延長線上にはある。だが、その延長線を異常な速度で、遥か先まで進めてしまった技術だった。

 

本来なら、未来の研究者達が何世代も掛けて、少しずつ辿り着くはずだったもの。それを一人の少女が今、自らの手で一つの存在へ集めようとしていた。

 

全ては、“ゼロ”のために。

 

自分の持てるものを全て、まだ見ぬ妹へ与えるために。最強の艦娘を造るために。そして、その子を始点として、次に続く艦娘達を今とは比較にならないほど強くするために。

 

後に、“ゼロ”と、その後へ続く数多の第二世代艦娘達が持つ性能は、神崎希空というただ一人の特異点によって、本来の技術発展から数世紀分、先へ押し進められることになる。

 

それは、人類に絶大な力をもたらす。深海棲艦との戦争を大きく変えるほどの力を。

 

だが、力があまりにも急激に大きくなれば、そこには必ず何かが生まれる。

 

 

この時、誰もまだ知らなかった。

 

希空によって数世紀分引き上げられた技術、その恩恵と共に生じる歪みもまた、決して無視出来るものではないことを───。

 

 

 

 

 

続く





あ と が き

“鳳翔”の子供が双子なのは、“縁の力”的なアレが原因です。彼女と親子的な形で良く描写される空母艦娘達は、皆2人セットなので。


次回 2人の娘と新生活
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