自我持つ兵器の英雄譚   作:Nyappy-

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クリスマスの定番料理、皆さんは何ですか?
私はチョコケーキです。



50. 雪の日の“瑞鶴”

 

 

2015年12月25日

 

釧路近郊にある東堂家の屋敷は、今年も雪の中にあった。

 

庭には白い雪が積もり、縁側の向こうに見える林は、去年と同じように静まり返っている。

遠くの道路を走る車の音も、雪に吸われるようにして小さくなり、屋敷の中にまで届く頃には、かすかな気配だけになっていた。

 

去年の大晦日と、よく似た光景だった。

 

だが、同じではない。

 

今日はクリスマスだった。

 

和室の隅には、妖精たちが張り切って飾りつけた小さなクリスマスツリーが置かれている。

障子と畳とこたつのある部屋に、きらきらとした飾りが揺れている光景は、少し不思議だった。

それでも、妖精たちは満足そうに胸を張っていた。

 

広間には、零がいた。

 

その近くには、希空。

士と加奈。

そして、“阿武隈”。

 

去年の年末、この屋敷はもっと賑やかだった。

洋平と“鳳翔”がいて、穂乃果と凛がいて、“川内”“神通”“那珂”もいた。

さらに、横須賀から来た空母艦娘たちが加わり、広間は小さな宴会場のようになっていた。

 

今年は違う。

 

洋平と“鳳翔”は横須賀を離れられない。

去年この屋敷を賑わせた空母艦娘たちも、それぞれ訓練と調整がある。

“川内”“神通”“那珂”も、今年から本格的な訓練のため横須賀へ移っていた。

 

だから、去年よりも少し静かだった。

 

けれども、“阿武隈”だけはここにいた。

 

「阿武隈は横須賀、行かなくてよかったの?」

 

零が聞く。

 

“阿武隈”はこたつに入ったまま、少しだけ視線を逸らした。

 

「……いいの」

 

「いいの?」

 

「うん。あたしは、こっちでいい」

 

「訓練は?」

 

「ちゃんとやる。あとでいっしょに」

 

「俺と?」

 

「うん」

 

希空が端末から顔を上げる。

 

「本当は、川内ちゃんたちと一緒に横須賀に行く案もあったんだけどね」

 

“阿武隈”の肩が少しだけ揺れた。

 

加奈が苦笑する。

 

「阿武隈、絶対に嫌だって顔してたもんね」

 

「……顔に出てた?」

 

“阿武隈”が小さく聞く。

 

士が短く答えた。

 

「出てた」

 

「う……」

 

“阿武隈”は少し赤くなって、こたつ布団を引き寄せた。

 

零は首を傾げる。

 

「どうして嫌だったの?」

 

“阿武隈”は、しばらく答えなかった。

 

外では、雪が静かに降っている。

広間の中では、妖精たちが小さな皿を運び、クリスマス用の菓子を並べていた。

 

やがて、“阿武隈”は小さく言った。

 

「零と離れるの、嫌だったから」

 

零は瞬きをした。

 

「俺?」

 

「うん」

 

“阿武隈”は視線を合わせないまま続ける。

 

「川内たちと一緒に訓練するのも大事だって分かってる。でも、あたしは……まだ、こっちがいい」

 

それは、わがままに近い言葉だった。

 

けれど、誰もそれを責めなかった。

 

“阿武隈”は呉で零に助けられた。

あの時、零が来なければ、彼女はおそらく生きていなかった。

その記憶は、まだ彼女の中に深く残っている。

 

零の近くにいたい。

零から離れたくない。

 

それは、幼い依存でもあり、心の傷でもあり、同時に彼女なりの安心でもあった。

 

零は少しだけ考えた。

 

そして、言った。

 

「じゃあ、一緒にいればいい」

 

“阿武隈”は顔を上げる。

 

「いいの?」

 

「うん」

 

零は当然のように頷いた。

 

「嫌じゃない」

 

その言葉に、“阿武隈”は少しだけ笑った。

 

「……うん」

 

希空は、その様子を見て柔らかく目を細めた。

 

「零も、そういうこと言えるようになったね」

 

「そういうこと?」

 

「うん。そういうこと」

 

零にはよく分からなかった。

 

だが、“阿武隈”が少し嬉しそうだったので、それでいいのだと思った。

 

こたつの向こう側では、士が小さな包みを確認していた。

加奈がそれを覗き込む。

 

「それ、何?」

 

「クリスマスプレゼント」

 

「士が?」

 

「俺が」

 

「珍しい」

 

「珍しくない」

 

「珍しいよ」

 

加奈は少し楽しそうに笑う。

 

士は表情を変えずに包みを置いた。

 

「必要だと思っただけ」

 

「誰に?」

 

士は、零の方を見る。

 

零もその視線に気づいた。

 

「俺?」

 

「そうだ」

 

士は短く答える。

 

「何?」

 

「あとで渡す」

 

「今じゃない?」

 

「今じゃない」

 

「どうして?」

 

「雰囲気がある」

 

加奈が思わず笑った。

 

「士が雰囲気って言った」

 

「言うだろ」

 

「言わないと思ってた」

 

「失礼だな」

 

士は少しだけ眉を寄せた。

 

それを見て、零は小さく笑った。

 

笑った。

 

ほんの少しだけ。

 

希空はそれを見逃さなかった。

 

零は少しずつ変わっている。

戦闘の中で強くなっただけではない。

こういう場所で、こういう会話の中で、少しずつ人として表情を増やしている。

 

その変化が、希空には何よりも大切だった。

 

「零」

 

希空が声をかける。

 

「何?」

 

「今日は楽しい?」

 

零は少し考えた。

 

「うん」

 

「去年より?」

 

「去年も楽しかった」

 

「じゃあ、今年は?」

 

「少し静か」

 

零は正直に答えた。

 

希空は笑う。

 

「確かに。去年はすごかったもんね」

 

“阿武隈”が頷く。

 

「龍驤さんと凛ちゃんが、ずっと言い合いしてた」

 

加奈も笑う。

 

「赤城ちゃん、食事のところで目が輝いてたよね」

 

「加賀ちゃんは、ずっと零を見てた」

 

“阿武隈”が少しだけ不満そうに言う。

 

零は首を傾げた。

 

「見てた?」

 

「見てたよ」

 

「どうして?」

 

「零が珍しかったんじゃない?」

 

希空が答える。

 

「第二世代艦娘の長兄に当たる存在で、しかも上位個体を倒した子。横須賀の子たちからすると、気になるのも当然だよ」

 

零は少しだけ黙った。

 

「俺、珍しい?」

 

「かなり」

 

希空が即答する。

 

士も頷いた。

 

「珍しい」

 

加奈も続く。

 

「珍しいよ」

 

“阿武隈”も、小さく頷いた。

 

「珍しい、かな」

 

零は、少しだけ考え込んだ。

 

珍しい。

 

それが良いことなのか、悪いことなのかは分からない。

 

ただ、今日の零は戦場にはいない。

研究所の実験室にもいない。

こたつに入って、クリスマス飾りを見て、菓子を食べている。

 

それだけで、少し不思議だった。

 

その時、屋敷の外から車の音が聞こえた。

 

“出雲”と“磐手”はまだ来ていない。

海斗と美香も、到着は夕方頃だと聞いていた。

 

“阿武隈”が顔を上げる。

士も立ち上がりかけた。

 

希空が端末を確認する。

 

「登録車両。予定通りだね」

 

「海斗兄さんたち?」

 

加奈が聞く。

 

「うん。お父さん、お母さん、出雲、磐手」

 

そこで希空は、少しだけ首を傾げた。

 

「……あと、同乗者がいる」

 

零が顔を上げる。

 

「誰?」

 

「……さて、誰でしょう」

 

希空は少しだけ楽しそうに笑った。

 

その笑みで、零は何かを隠しているのだと分かった。

 

玄関へ向かうと、去年と似た光景があった。

 

雪の中に車が停まっている。

運転席に座っていたのは、人間ではない。

 

等身大になった艦載機パイロット妖精だった。

 

小さな飛行帽。

真面目な顔。

ハンドルを握っていた妖精は、車を止めると、こちらに向かってぴしりと敬礼した。

 

零はそれを見て言った。

 

「去年もいた」

 

妖精は少し誇らしげに頷いた。

 

助手席から降りてきたのは、海斗だった。

黒いコートについた雪を軽く払う。

 

「待たせたな」

 

「待ってた」

 

零が言う。

 

海斗は一瞬だけ目を細めた。

 

「そうか」

 

それだけだった。

 

だが、その声は少し柔らかかった。

 

続いて、美香が降りてくる。

 

「零!」

 

彼女は雪を気にせず、零の前まで来ると、そのまま抱きしめた。

 

「寒くなかった? ちゃんと食べてる? 怪我してない?」

 

「怪我してない」

 

「本当に?」

 

「うん」

 

「じゃあ、よし」

 

美香は零を抱きしめたまま、満足そうに頷いた。

 

零は少しだけ苦しそうにしたが、逃げなかった。

 

希空が横から笑う。

 

「お母さん、到着して一秒で確認全部やるのすごいね」

 

「大事なことだから」

 

美香は当然のように答えた。

 

「零、また少し大きくなった?」

 

「分からない」

 

「大きくなってるよ。お母さんには分かる」

 

「昨日もビデオ通話で言ってなかった?」

 

希空が言う。

 

「毎日大きくなってるからいいの」

 

美香は胸を張った。

 

海斗が静かに言う。

 

「毎日は大きくならないだろ」

 

「なるの。気持ちの問題」

 

「……そういうもんか」

 

海斗はそれ以上言わなかった。

 

零は、美香の腕の中から海斗を見る。

 

「お父さんも、そう思う?」

 

海斗は少しだけ考えた。

 

「……少しは、大きくなったな」

 

美香が勝ち誇ったように笑う。

 

「ほら」

 

「少しだ」

 

「少しでも大きくなってるなら同じ」

 

「違う」

 

「同じ」

 

そのやり取りに、加奈が笑った。

 

士も、口元だけわずかに緩める。

 

零は、少しだけ不思議だった。

 

海斗と美香が来ると、空気が変わる。

希空がいる時とも、士や加奈がいる時とも違う。

何かが少し柔らかくなる。

 

それが何なのか、零にはまだはっきりとは分からなかった。

 

けれど、嫌ではなかった。

 

 

後部座席のドアが開く。

 

“出雲”が降りてきた。

続いて、“磐手”も車から降りる。

 

二人とも普段着に近い姿だったが、去年と同じように、視線の動きは護衛のそれだった。

屋敷の周囲。

林の方。

道路。

雪に残った轍。

 

それらを短く確認してから、“出雲”は零たちを見る。

 

「異常なし」

 

“磐手”が少し笑う。

 

「今のところはね」

 

「お疲れ様」

 

希空が言う。

 

“磐手”は肩をすくめた。

 

「去年よりは静かでしょ?」

 

「人数はね」

 

「その分、何か起きたら目立つけど」

 

“出雲”が短く言った。

 

「警戒はする」

 

「お願い」

 

希空は素直に頭を下げた。

 

そこで、運転席の妖精が後部座席の奥を振り返った。

まるで、まだ降りていない乗客へ合図するように。

 

零はそちらを見る。

 

海斗が言った。

 

「鳳翔から預かってきた」

 

「預かった?」

 

「正確には、この妖精が任されたらしい」

 

妖精はまた敬礼した。

 

美香が笑う。

 

「鳳翔、来られない代わりに、お守りを任せたんだって」

 

「お守り?」

 

零が首を傾げた。

 

 

 

その時、車のドアから一人の少女が降りてきた。

 

白い髪。

落ち着いた雰囲気。

六歳ほどの見た目。

寒さに少し肩を縮めながらも、動作は静かで、丁寧だった。

 

彼女は雪の上に立つと、まず“出雲”と“磐手”に軽く会釈し、それから零たちへ向き直った。

 

「初めまして。翔鶴です」

 

柔らかい声だった。

 

その後ろから、もう一人が顔を出した。

 

灰色の髪。

五歳ほどの見た目。

落ち着いた“翔鶴”とは対照的に、車の中から外を覗いた瞬間、ぱっと目を輝かせる。

 

「雪! ほんとにすごい!」

 

そう言って、彼女は勢いよく外へ降りようとした。

 

だが、足元の雪に少し滑りかける。

 

「瑞鶴、危ない」

 

“翔鶴”が慌てて手を伸ばす。

 

「大丈夫、大丈夫!」

 

灰色髪の少女はそう言ったが、少しだけ体勢を崩した。

その直前、零が前に出て、彼女の腕を支えた。

 

彼女───“瑞鶴”は目を瞬かせる。

 

零も、彼女を見た。

 

その瞬間。

 

零は、なぜか動きを止めた。

 

初めて会うはずだった。

 

少なくとも、零の記憶の中に、彼女の顔はない。

声も知らない。

名前を聞いたことはあっても、直接話したことはない。

 

それなのに、何かが引っかかった。

 

嫌な感じではない。

怖い感じでもない。

戦場で感じる敵意でも、研究所で感じる機械の気配でもない。

 

もっと遠くて。

もっと近い。

 

雪。

墓石。

加奈の声。

古い記憶。

光。

初めて口にした言葉。

 

その全てが形になる前に、零の中で淡く揺れた。

 

“瑞鶴”もまた、零を見ていた。

 

「……あんたが、零?」

 

「うん」

 

零は頷く。

 

「零」

 

“瑞鶴”は、じっと零を見る。

 

「ふーん」

 

「……何?」

 

「なんか、変な感じ」

 

「変?」

 

「うん。初めて会った気がしない、かも」

 

零は少しだけ黙った。

 

そして言った。

 

「俺も」

 

その言葉に、士と加奈が反応した。

 

希空も、静かに目を細める。

 

三人は、かつてのことを覚えていた。

 

まだ零が言葉を持たなかった頃。

東堂家の敷地内にある墓地。

神崎洋一の墓。

そこに刻まれた空母「瑞鶴」の名。

光。

そして、零が初めて発した言葉。

 

おじいちゃん。

ずいかく。

 

だが、それを今ここで口にする者はいなかった。

 

零本人も、目の前の“瑞鶴”も、その理由を知らない。

知らないままでいい。

 

少なくとも、今は。

 

“翔鶴”が、少し困ったように微笑んだ。

 

「妹が失礼なことを言っていたら、ごめんなさい」

 

零は首を横に振る。

 

「失礼じゃない」

 

「本当ですか?」

 

「うん。……瑞鶴、面白い」

 

“瑞鶴”がすぐに反応した。

 

「面白いって何よ!」

 

零は少し考える。

 

「元気」

 

「それならまだ分かるけど」

 

“瑞鶴”は腕を組んだ。

 

「というか、あんた、あたしと同い年なんでしょ?」

 

「同い年?」

 

“翔鶴”が説明する。

 

「瑞鶴は建造から一ヶ月ほどです。見た目の年齢は、零さんと同じくらいですね」

 

「同じ」

 

零は“瑞鶴”を見る。

 

“瑞鶴”も零を見る。

 

「じゃあ、あたしが年上とか年下とかじゃないってことね」

 

「そう」

 

「でも、第二世代艦娘の長兄なんでしょ?」

 

「そうらしい」

 

「そうらしいって、自分のことでしょ」

 

「うん。でも、年は同じ」

 

“瑞鶴”は少し考え込んだ。

 

「ややこしいわね……」

 

「うん」

 

零も頷いた。

 

その様子を見て、加奈が小さく笑った。

 

「何だか、すぐ仲良くなりそう」

 

士が静かに言う。

 

「そうだな」

 

希空も頷いた。

 

「たぶんね」

 

“阿武隈”だけが、少し複雑そうな顔をしていた。

 

零と“瑞鶴”が、初対面なのに自然に話している。

そのことが、なぜか胸の奥を少しだけちくりとさせた。

 

“阿武隈”はそれを自分でもうまく説明できなかった。

 

嫌なわけではない。

“瑞鶴”が悪いわけでもない。

零が楽しそうにしているのは、きっと良いことだ。

 

でも。

 

「……零、楽しそう」

 

小さく呟いた声に、希空が気づいた。

 

「阿武隈ちゃん?」

 

“阿武隈”は慌てて首を横に振る。

 

「な、何でもない」

 

希空は少しだけ笑う。

 

「そっか」

 

その笑い方が、何かを分かっているようで、“阿武隈”は少しだけむっとした。

 

美香はその様子を見て、にこにこしていた。

 

「阿武隈ちゃん、こっちおいで」

 

「え?」

 

「寒いから。ほら、零も瑞鶴ちゃんたちも、みんな中に入りなさい」

 

美香は自然に場をまとめた。

 

海斗が車から荷物を下ろす。

士がそれを受け取り、加奈が玄関を開けたまま待つ。

“翔鶴”は“瑞鶴”の雪を払ってやり、“瑞鶴”は少し不満そうにしながらもされるがままだった。

 

零はそれを見ていた。

 

“翔鶴”は姉のようだった。

“瑞鶴”は、よく動く。

 

そして、どこか懐かしい。

 

理由は分からない。

だが、それは零にとって嫌な感覚ではなかった。

 

広間へ戻ると、去年より少ない人数のはずなのに、部屋はすぐに賑やかになった。

 

“翔鶴”は丁寧に挨拶をし、こたつに入る時も少し遠慮がちだった。

“瑞鶴”は最初こそ落ち着きなく部屋の飾りを見て回っていたが、すぐに零の近くへ戻ってきた。

 

「これ、何?」

 

“瑞鶴”がツリーを指差す。

 

「クリスマスツリー」

 

零が答える。

 

「それは分かる。なんで畳の部屋にあるの?」

 

「妖精が置いた」

 

「理由になってる?それ」

 

“瑞鶴”はツリーの飾りを眺める。

 

「でも、悪くないわね」

 

「うん」

 

零は頷く。

 

「きらきらしてる」

 

「そうね」

 

“瑞鶴”は少しだけ笑った。

 

“翔鶴”はその様子を、静かに見ていた。

 

「瑞鶴が、初対面の相手とこんなにすぐ話すのは珍しいです」

 

“翔鶴”が言う。

 

“阿武隈”が少し反応する。

 

「そうなの?」

 

「はい。落ち着きはありませんが、意外と相手を見ます」

 

「落ち着きがないって言わないでよ!」

 

“瑞鶴”が振り返る。

 

“翔鶴”は微笑む。

 

「では、元気がいい」

 

「それならいい」

 

“瑞鶴”は満足した。

 

“阿武隈”は、少しだけ“瑞鶴”を見る。

 

元気がいい。

落ち着きがない。

零と同い年。

初対面なのに、どこか零に近い。

 

“阿武隈”は、こたつ布団を少しだけ握った。

 

零がそれに気づく。

 

「阿武隈?」

 

「何?」

 

「寒い?」

 

「寒くない」

 

「じゃあ、どうしたの?」

 

“阿武隈”は少しだけ迷った。

 

そして、言った。

 

「……別に」

 

零は分からない顔をした。

 

美香が横から言う。

 

「零、阿武隈ちゃんにもお菓子渡してあげて」

 

「うん」

 

零は素直に皿を取り、“阿武隈”へ差し出した。

 

“阿武隈”はそれを受け取る。

 

「ありがと」

 

「うん」

 

それだけだった。

 

だが、“阿武隈”の表情は少しだけ戻った。

 

希空はそれを見て、小さく笑う。

 

「零、こういうところはちゃんとできるんだよね」

 

「こういうところ?」

 

「うん」

 

零にはやはりよく分からなかった。

 

 

 

その後、クリスマスの時間はゆっくりと流れていった。

 

食事時、食卓に並ぶ七面鳥を見て“瑞鶴”が顔を顰めたが、結局は零と一緒に美味しそうに食べていた。

 

美香は、零の隣に座って何度も話しかけた。

 

「零、これ食べる?」

 

「食べる」

 

「こっちも?」

 

「それは、さっき食べた」

 

「じゃあ、もう一回」

 

「いいの?」

 

「いいの。今日はクリスマスだから」

 

海斗が静かに言う。

 

「食べさせすぎるな」

 

「少しだけ」

 

「美香の少しは信用ならない」

 

「ひどい」

 

美香は笑う。

 

「ねえ、零。お母さん、ひどい?」

 

零は少し考えた。

 

「ひどくない」

 

「ほら」

 

美香は嬉しそうに海斗を見る。

 

海斗は小さく息を吐いた。

 

「零は優しいからな」

 

「優しいのはいいこと」

 

「そうだな」

 

海斗は認めた。

 

その声は穏やかだった。

 

希空は、そんな三人を少し離れた場所から見ていた。

 

海斗。

美香。

零。

そして希空自身。

 

零にとって、希空は姉であり、先生であり、ある意味では母親に近い存在でもある。

だが、零には、そしてもちろん希空にも、海斗と美香がいる。

父と母がいる。

 

そのことが、希空には嬉しかった。

 

零が兵器ではなく、誰かの息子としてそこにいる。

誰かに抱きしめられ、食べ過ぎを心配され、少し大きくなったと言われる。

 

そんな当たり前のことが、艦娘にとっては当たり前ではない。

 

だから、希空はその光景をできるだけ覚えておこうと思った。

 

「希空」

 

海斗が声をかけた。

 

「何?」

 

「お前も食べろ。さっきから見てばかりだ」

 

「見てるのが楽しいの」

 

「食べながらでも見られる」

 

「お父さんって、そういうところ細かいよね」

 

「食事を抜く奴に言われたくない」

 

希空は苦笑した。

 

「ばれてた?」

 

「ばれる」

 

美香も振り返る。

 

「希空、ちゃんと食べないと駄目だよ」

 

「お母さんまで」

 

「零も心配するよ?」

 

零が希空を見る。

 

「食べないの?」

 

希空は少しだけ固まった。

 

「……食べる」

 

加奈が笑う。

 

「零に言われると弱いんだ」

 

「弱いね」

 

希空は素直に認めた。

 

零は、なぜ自分が言うと希空が食べるのか分かっていなかった。

 

それでも、希空が皿を受け取ったので満足した。

 

しばらくして、士が置いていた包みを持ってきた。

 

「零」

 

「何?」

 

「渡しとく」

 

士は小さな包みを差し出した。

 

零はそれを受け取る。

 

「開けていい?」

 

「おう」

 

包みを開くと、中には手袋が入っていた。

 

黒に近い色で、動きやすそうな薄手の手袋だった。

子供用にしてはしっかりしていて、細かな滑り止めもついている。

 

「手袋」

 

「外に出る時に使え」

 

士は言う。

 

「研究所の備品よりは、普通に見えるものを選んだ」

 

加奈が隣で補足する。

 

「士、結構悩んで選んでたんだよ」

 

「余計なこと言うな」

 

「いいじゃない」

 

零は手袋を見つめる。

 

「ありがとう」

 

士は少しだけ視線を逸らした。

 

「必要だと思っただけだ」

 

加奈が笑う。

 

「照れてる」

 

「照れてない」

 

「照れてるよ」

 

「……照れてない」

 

“瑞鶴”がそのやり取りを見て、零に小声で聞いた。

 

「士って、いつもあんな感じ?」

 

「うん」

 

「分かりにくいわね」

 

「でも、優しい」

 

零は言った。

 

“瑞鶴”は、少しだけ士を見る。

 

「ふーん」

 

その隣で“翔鶴”が微笑んだ。

 

「素敵な贈り物ですね」

 

零は頷く。

 

「うん」

 

彼は手袋をつけてみた。

少しだけ指を曲げる。

動きやすい。

 

零は士を見る。

 

「ちょうどいい」

 

士は短く頷いた。

 

「そっか」

 

それだけだった。

 

だが、少し嬉しそうだった。

 

夜になる前に、子供たちは庭へ出た。

 

雪はまだ降っている。

去年よりも静かで、人数も少ない。

それでも、庭に出れば、すぐに足跡が増えていった。

 

“瑞鶴”は雪の上を駆け回り、“翔鶴”が慌てて追う。

 

「瑞鶴、転ぶわよ」

 

「大丈夫!」

 

言った直後、“瑞鶴”は少し滑った。

 

零がまた手を伸ばす。

今度は転ぶ前に、彼女の腕を掴んだ。

 

“瑞鶴”は少し驚いた顔で零を見る。

 

「また?」

 

「また」

 

零は頷いた。

 

「雪、滑る」

 

「知ってる」

 

「でも滑った」

 

「それは、ちょっとだけ」

 

“瑞鶴”は頬を膨らませる。

 

零は首を傾げた。

 

「ちょっとだけなら、いいの?」

 

「よくはないけど、転んでないからいいの」

 

「そうなんだ」

 

零は納得したように頷いた。

 

“翔鶴”がその横でほっと息を吐く。

 

「ありがとうございます、零さん」

 

「零でいい。敬語もいらない」

 

「……では、零」

 

“翔鶴”は少しだけ微笑んだ。

 

「“瑞鶴”を支えてくれて、ありがとう」

 

“瑞鶴”が不満そうに言う。

 

「支えられなくても大丈夫だったし」

 

“翔鶴”はにこりと笑う。

 

「そういうことにしておくわ」

 

「信じてない!」

 

零は、その二人を見ていた。

 

姉妹。

 

穂乃果と凛にも似ている。

けれど少し違う。

“翔鶴”は静かで、“瑞鶴”はよく動く。

でも、二人の間には自然な距離があった。

 

零は“瑞鶴”を見る。

 

「瑞鶴」

 

「何?」

 

「雪、好き?」

 

“瑞鶴”は少し考える。

 

「好き。まだ慣れてないけど」

 

「俺もまだそこまで慣れてない」

 

「今も?」

 

「うん」

 

「じゃあ、あたしがあんたよりも先に慣れる」

 

“瑞鶴”はそう言って、雪を軽く蹴った。

 

その仕草に、零はまた少しだけ不思議な感覚を覚えた。

 

昔から知っていたわけではない。

なのに、知らないとは言い切れない。

 

彼女の名前───瑞鶴。

 

その響きが、胸の奥で静かに揺れる。

 

「零?」

 

“瑞鶴”が顔を覗き込む。

 

「どうしたの?」

 

「分からない」

 

「分からないって何よ」

 

「瑞鶴を見ると、変な感じがする」

 

“瑞鶴”は少しだけ目を丸くした。

 

「……それ、あたしが言ったやつ」

 

「うん」

 

「真似?」

 

「違う」

 

「じゃあ、同じ?」

 

「たぶん」

 

“瑞鶴”は、少しだけ黙った。

 

それから、笑った。

 

「変なの」

 

「うん」

 

「でも、嫌じゃない」

 

「俺も」

 

その会話を、少し離れた場所で士と加奈が見ていた。

 

加奈は、手袋をした手を胸の前で握る。

 

「やっぱり、何かあるのかな」

 

士は雪の庭を見たまま言った。

 

「あるんだろうな」

 

「士も、そう思う?」

 

「あの時のことを考えればな」

 

加奈は目を伏せる。

 

東堂家の墓地。

神崎洋一。

空母「瑞鶴」。

まだ言葉を話せなかった零が、初めて口にした言葉。

 

その記憶は、加奈の中にも残っている。

 

「でも、今は言わなくていいよね」

 

「ああ」

 

士は短く答えた。

 

「今は、あいつらのものだ」

 

加奈は少しだけ笑った。

 

「そうだね」

 

庭の向こうでは、“阿武隈”が雪玉を作っていた。

だが、その視線は時々、零と“瑞鶴”の方へ向いている。

 

希空がそっと隣に立つ。

 

「気になる?」

 

“阿武隈”は驚いて雪玉を落としかけた。

 

「気になってない!」

 

「そっか」

 

「本当に!」

 

「うん」

 

「その顔、絶対分かってる顔!」

 

希空は笑った。

 

“阿武隈”は少しだけ赤くなりながら、雪玉を丸め直す。

 

「……別に、零が誰と仲良くしてもいいけど」

 

「うん」

 

「でも、なんか……早い」

 

「早い?」

 

「会ったばっかりなのに、もう普通に話してる」

 

“阿武隈”は小さく言った。

 

「零、あたしたちには最初、もっとこう……分からない感じだったのに」

 

希空は少しだけ考える。

 

「たぶん、瑞鶴ちゃんとは、何か引っかかるものがあるんだと思う」

 

「何か?」

 

「うん。でも、それは阿武隈ちゃんとの時間が消えるってことじゃないよ」

 

“阿武隈”は黙った。

 

希空は続ける。

 

「零の中に、大切な相手が増えるだけ」

 

「増えるだけ」

 

「そう」

 

“阿武隈”は、零の方を見る。

 

零は“瑞鶴”と話している。

“翔鶴”がそれを見守っている。

 

少しだけ、胸がちくりとした。

 

けれど、零が楽しそうなのは、やはり嫌ではなかった。

 

“阿武隈”は雪玉を持ったまま、少しだけ息を吐く。

 

「……じゃあ、あたしも混ざる」

 

「それがいいと思う」

 

希空は笑った。

 

“阿武隈”は零たちの方へ歩いていく。

 

「零」

 

「何?」

 

「雪玉、作った」

 

“瑞鶴”が反応する。

 

「雪合戦?」

 

“阿武隈”は一瞬だけ迷う。

 

「……違う。雪だるま」

 

「なんだ」

 

“瑞鶴”は少し残念そうにする。

 

零が言う。

 

「雪合戦は、神通に止められる」

 

“阿武隈”が頷いた。

 

「いなくても止められる気がする」

 

“翔鶴”が微笑む。

 

「では、雪だるまにしましょう」

 

そうして、四人は雪だるまを作り始めた。

 

零。

“阿武隈”。

“翔鶴”。

“瑞鶴”。

 

最初は少しぎこちなかった。

“阿武隈”は“瑞鶴”を気にして、“瑞鶴”は雪の扱いに慣れず、零はどこから手を出せばいいのか考え込み、“翔鶴”がそれを穏やかにまとめる。

 

だが、少しずつ形になった。

 

小さな雪だるま。

少し歪んだ頭。

不揃いな枝の腕。

 

“瑞鶴”はそれを見て満足そうに頷いた。

 

「なかなかいいじゃない」

 

“阿武隈”も、少しだけ笑う。

 

「うん」

 

零は雪だるまを見た。

 

「四人で作った」

 

“翔鶴”が頷く。

 

「はい」

 

その言葉が、零には少し嬉しかった。

 

屋敷の中から、美香の声が聞こえた。

 

「みんな、そろそろ戻ってきなさい! 冷えるよ!」

 

海斗の声も続く。

 

「走るな。滑る」

 

“瑞鶴”は小さく舌を出した。

 

「走らないって」

 

言いながら、少し早足になる。

 

“翔鶴”が慌てて追う。

 

「瑞鶴」

 

「走ってない!翔鶴姉は心配しすぎ!」

 

「ほとんど走っているわ」

 

零はそれを見て、少し笑った。

 

“阿武隈”も笑う。

 

今度は、胸のちくりは少しだけ小さかった。

 

夜。

 

広間には灯りがともり、外の雪は暗闇の中で白く浮かんでいた。

 

食事を終えた後、妖精たちが小さなケーキを運んできた。

美香がそれを見て目を輝かせる。

 

「すごい、妖精さんたち本気だ」

 

妖精たちは誇らしげに並んでいる。

 

希空が笑う。

 

「去年のツリーから進化してる」

 

海斗はケーキを見て、少しだけ眉を寄せた。

 

「甘そうだな」

 

「そりゃクリスマスケーキだもん」

 

美香が言う。

 

「零、食べるよね?」

 

「食べる」

 

「瑞鶴ちゃんたちも?」

 

“瑞鶴”は即答した。

 

「食べる!」

 

“翔鶴”は少し控えめに頷く。

 

「いただきます」

 

“阿武隈”も小さく手を上げた。

 

「食べる」

 

加奈が皿を並べ、士が切り分けを手伝う。

海斗は何も言わずに飲み物を用意し、希空は妖精たちに礼を言う。

美香は零の隣に座り、ケーキの皿を渡した。

 

「はい、零」

 

「ありがとう」

 

「美味しい?」

 

零は一口食べる。

 

「甘い」

 

「甘い以外は?」

 

「柔らかい」

 

「美味しい?」

 

零は少し考えた。

 

「うん」

 

美香は嬉しそうに笑った。

 

「よかった」

 

海斗がそれを見ていた。

 

「美香」

 

「何?」

 

「零が食べ終わる前に次を勧めるな」

 

「まだ勧めてない」

 

「勧める顔してる」

 

「そんな顔ある?」

 

「ある」

 

零は美香の顔を見る。

 

「勧める顔?」

 

美香はにこりと笑った。

 

「もう一口食べる?」

 

海斗が言った。

 

「それだ!」

 

広間に笑い声が広がった。

 

零も、少しだけ笑った。

 

 

 

希空は、その笑顔を見ていた。

 

この時間が続けばいいと思った。

 

研究所の外で。

戦場ではなく。

家族の中で。

 

零が、ただの子供のように笑う時間。

 

それが、どれほど貴重なものなのかを、希空は何となく知っている。

 

海斗も、美香も、士も、加奈も。

きっと、同じように思っている。

 

だから、誰も口にはしなかった。

 

この時間を守りたい。

 

ただ、それだけだった。

 

 

 

やがて夜も更け、雪は少しずつ弱くなっていった。

 

子供たちは眠気を見せ始める。

“瑞鶴”はまだ起きていると言い張ったが、何度も目をこすっていた。

“翔鶴”が隣で毛布をかける。

 

「眠いなら寝ましょう」

 

「眠くない」

 

「目をこすっているわ」

 

「雪が入っただけ」

 

「室内よ」

 

“翔鶴”が静かに指摘すると、“瑞鶴”は言葉に詰まった。

 

零はそのやり取りを見ていた。

 

「瑞鶴」

 

「何?」

 

「眠いなら、寝ればいい」

 

「零も眠そうじゃない」

 

「少し」

 

「ほら」

 

“瑞鶴”はなぜか勝ったような顔をする。

 

“阿武隈”が横から言う。

 

「零は眠い時、ぼーっとする」

 

「そうなの?」

 

“瑞鶴”が零を見る。

 

零は否定しなかった。

 

「たぶん」

 

「自分のことなのに?」

 

「分からない」

 

“瑞鶴”は笑った。

 

「やっぱり変なの」

 

「瑞鶴も変」

 

「どこが?」

 

「よく動く」

 

「それは元気ってこと!」

 

「うん。元気」

 

零がそう言うと、“瑞鶴”は少しだけ満足したようだった。

 

夜の広間に、穏やかな空気が流れていた。

 

美香は零の髪をそっと撫でる。

 

「眠い?」

 

「少し」

 

「じゃあ、今日は早めに寝ようね」

 

「美香は?」

 

「お母さんは、もう少し起きてるかな」

 

「どうして?」

 

「零の寝顔を見るため」

 

海斗が静かに言う。

 

「怖いこと言うな」

 

「怖くないよ。可愛いんだから」

 

「本人の前で言うな」

 

「可愛いものは可愛い」

 

零は首を傾げる。

 

「俺、可愛い?」

 

希空が即答した。

 

「可愛い」

 

美香も頷く。

 

「可愛い」

 

加奈も笑う。

 

「可愛いと思う」

 

士は少し沈黙した後、

 

「……まあ」

 

と言った。

 

海斗は視線を逸らす。

 

「子供としてはな」

 

零は少し考えた。

 

「そうなんだ」

 

“瑞鶴”が笑う。

 

「何その反応」

 

「分からないから」

 

「可愛いって言われたら、喜べばいいんじゃない?」

 

「瑞鶴は喜ぶ?」

 

「まあ、悪くはないわね」

 

「じゃあ、喜ぶ」

 

零はそう言った。

 

美香が口元を押さえる。

 

「零、今のもう一回」

 

「もう一回?」

 

「可愛いから」

 

「美香」

 

海斗が止める。

 

美香は少し残念そうにした。

 

 

その夜。

 

零は布団の中に入りながら、今日会った二人のことを考えていた。

 

“翔鶴”。

 

静かで、柔らかくて、姉のような少女。

 

“瑞鶴”。

 

同い年で、よく動いて、初めて会った気がしない少女。

 

なぜそう感じるのかは分からない。

 

けれど、名前を呼ぶと、胸の奥が少しだけ温かくなる。

 

ずいかく。

 

昔、どこかでその言葉を口にした気がする。

それがいつだったのか。

誰に向けたものだったのか。

零にはまだ分からない。

 

分からないまま、彼は目を閉じた。

 

襖の向こうでは、大人たちの小さな声が聞こえる。

美香の明るい声。

海斗の低い声。

希空の軽い声。

加奈の笑い声。

士の短い返事。

 

それらが混ざって、屋敷の夜を満たしていた。

 

外では、雪が降っている。

 

白く、静かに。

 

その雪の日に、零は“瑞鶴”と出会った。

 

それはまだ、何かを大きく変える出会いではなかった。

 

ただ、初めて会ったはずなのに、どこか懐かしい少女と、同じ雪の上に立っただけ。

 

けれど、その小さな親近感は、零の中に確かに残った。

 

戦うためではなく。

守るためでもなく。

ただ、誰かと出会い、名前を覚えるための一日。

 

零は眠りに落ちる直前、小さく呟いた。

 

「……瑞鶴」

 

その声は、誰にも届かなかった。

 

けれど、雪の夜の中で、確かにそこにあった。

 

 

 

 

 

続く





あ と が き

50話にして遂にダブルヒロインが出揃いました。


次回 ノスタルジックな思い出
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