いよいよ戦闘パートです(正々堂々真正面から戦うとは言ってない)
「ソニックブームってすげぇ迫力だな!」
「吹き飛ばされるかと思ったよ」
洋平と海斗は初めて間近で体感する戦闘機のソニックブームに興奮していた。
「にしてもすげぇ音だったなぁ〜。あんな凄いもんなんだな、美香!……美香?」
「……今の音は…?」
何かを考える素振りを見せながら美香は呟いた。
「音?ソニックブームの音だろ?さっき教えてくれたじゃねーか」
「それと違う方向からも何か聞こえたの」
「そうか?」
「うん。聞き慣れない音が混ざってたし、タイミングもズレてた。」
「俺らと違って聞き慣れてたから気づけたんだろうね」
「でもよ、だったら何の音なんだよ?」
「分かんない…」
3人は謎の音を疑問に思ったが、答えは出なかった。
同時刻 太平洋上
ミサイル駆逐艦「如月」
「今のはなんだったんでしょうかね」
「さあ…分からん。だが警戒は怠るな。これは恐らく…何かの爆発だ。」
西太平洋の領海哨戒任務に就いていた「如月」でも、謎の轟音が聞こえていた。どうやらその音の発生源により近い位置に居たらしく、物凄い轟音に加え、微弱だが衝撃波にも晒された。よって艦長は「総員、警戒を厳にせよ」と、指示を出していた。
「ですが艦長。レーダーには何も映っていません」
「あれだけの轟音だ。そう遠くないはずだが……」
「如月」のレーダーに今の所反応はない。
(何かおかしい…あれが爆発だとすればその発生源となった物体があるはずだろう。そしてここは海上。あれだけの威力ならそれはきっと船だ。だがレーダーに反応はない…故障か?いや、だが故障したとてそう簡単には全て使えない、などと言う事にはならん筈だ…。まさかジャミングか?)
艦長は言い知れぬ不安を感じていた。そしてその不安は数分後、現実のものとなる。……最も、乗組員の誰もが予想していなかった形であったが。
ズウウウウゥゥゥン……
突如、「如月」の左舷後部に水柱が上がり、爆ぜた。スクリューが破壊され、減速していく。
「何が起きた!?」
艦長が吠える。
「爆発です!艦後部が吹き飛びました!」
「なっ……!?警戒は!?何か探知できなかったのか!?」
「申し訳ありません!」
「クッ…攻撃…何処から…!?」
被弾によって、一部の乗組員は一瞬で消し飛んだ。残った乗組員の間にも混乱が広がる。尚も姿の見えない襲撃者に、艦長さえも恐怖に狼狽えざるを得なかった。
「い、一体何がどうなっているんだ…」
「駄目です、速力回復出来ません!航行不能!」
「……そ、そうだ!連絡を!司令部に連絡!!救援要請を出すんだ!!」
「は、はい!」
冷静さを取り戻した艦長が命じる。流石はベテラン。如何なる緊急事態にも対応すべく訓練を積んできただけの事はあった。
──最も、その成果を見せる機会は、もう永遠に訪れることは無かったが。
艦隊司令部への通信を命じた刹那、艦中央部バイタルパートが爆ぜ、「如月」は海中へと没した。通信が届くことは無かった。
数時間後
「如月」の行方不明の情報が軍令部に伝わったのはその日の夕方のことであった。定時通信が途切れた事で不審に思った艦隊司令部が哨戒機を「如月」が航行している筈の海域へと向かわせたが、発見出来なかったのだ。
これを受け軍令部は空母1隻、大型駆逐艦2隻、駆逐艦4隻からなる第一艦隊へ出撃命令を下令。横須賀に拠点を置く「如月」が所属していた、洋平達の父が艦隊司令官を務める艦隊であった。
「艦長、如月は撃沈されたと思うか?」
「いきなり何ですか司令官。不吉なこと言わんで下さい」
「馬鹿。通信も無い、哨戒機使って目視で探しても見つからない、って要はそういう事じゃないか」
「それは…」
「兎に角戦闘準備だ。いつ敵が襲ってくるか分からんぞ!」
「はぁ…了解。総員戦闘準備!!航空隊は発艦準備を整え待機せよ!」
第一艦隊所属の航空母艦「瑞鶴」──旧海軍の武勲艦であった先代「瑞鶴」の名を受け継ぐ、300m級、アングルド・デッキを搭載した通常動力の大型空母。日本国防海軍の主力艦だ。神崎家現当主「神崎
(如月に何か緊急事態が起きたのは間違い無い。通信が無かったのも、急な襲撃で轟沈したと考えれば辻褄は合う…だがあの艦にはベテランが多く乗っていた。彼らがそう簡単にやられるとは思えんが…)
洋一は「如月」は撃沈されたのではと疑っていたが、乗組員がベテラン揃いであることや、そもそも宣戦布告もされていない状況である事から、まだ確信できてはいなかった。それでも戦闘準備を命令したのは、神崎家特有の好戦的な性格故であろう。神崎流戦闘術を極めた人間は、個人差はあれど大体バトルジャンキーな性格に育つ。代々軍事に携わるのもそれが所以だ。
(もう少しで如月が消息を断った海域だ。何か居るのか…?)
「レーダー、ソナーに反応は?」
「いずれもありません」
「…」
その時だった。
「司令官!卯月被弾!炎上している模様!」
「何!?何処からの攻撃だ!」
「何も見えなかったとのこと!」
「どう言う事だ…!?」
艦隊右翼前方に展開していた駆逐艦「卯月」が被弾したと報告が入った。
(ジャミング、もしくはステルス機か何かか?だとしたら厄介だぞ)
「警戒を厳に!レーダーに頼りすぎるな!目視でも探せ!」
「はっ!」
第一艦隊総出で襲撃者を探した。海上、空中、海中もくまなく探した。だが…
「睦月被弾!航行不能!!」
「弥生がやられました!」
「今度は球磨か!畜生!!」
──「瑞鶴」の戦闘指揮所に入って来るのは味方艦の損傷報告ばかりだった。
「哨戒機からの報告は!?」
「何もありません!」
「何故見つからない!?これでは何も分からないまま全滅してしまう!」
次々と駆逐艦がやられていく様を見て艦隊首脳陣からも冷静さが欠けていく。
だが、それでも第一艦隊は精鋭揃いの艦隊。ただでやられはしなかった。
「ソナーに反応!小さいですが何か居ます!!」
「でかした!対潜戦闘!!」
「目標補足!対潜魚雷発射!!」
「撃てぇぇぇぇぇ!!」
目標のあまりの小ささに戸惑いつつも駆逐艦の乗組員達は果敢に反撃した。幸い、磁気信管は作動し、目標に命中した。
………
……
…
「全ターゲット沈黙」
「…目標の小ささからは考えられない爆発だ。まるで潜水艦を撃沈したみたいだ」
洋一の呟きと同じ事を誰もが思った。
『目標のサイズと爆発の規模の剥離』
…これだけで彼らに更なる不安を植え付けるには十分だった。
「被害はどうなっている?」
「はっ。球磨、睦月航行不能。卯月中破。多摩、弥生、皐月は損害ありません」
「卯月戦線離脱。皐月が護衛に付きました」
「半分やられたか…」
「撤退しますか?」
「そうするしか無いだろう…
全艦撤た
脳内に何かの声が響いた感覚を覚えた洋一は、一瞬言葉を詰まらせた。
…もう手遅れだった。
ドオオオォォン……
キイイイイイィィィィン………
大海原に時代遅れの轟音が鳴り響く。
だが…『それ』が条件さえ整えば必殺の一撃となるのは現代でも変わりはしない。万の時が流れようともただの石が人を殺せる凶器であり続ける様に──
「多摩轟沈!」
「ああっ!!」
「あの高い水柱、風切り音…まるで……!?」
「艦砲射撃…だと…!?」
乗組員に衝撃が走る。だがすぐに困惑で塗り替えられた。
当然だ。もうすぐ21世紀になろうかというこの時代において一体何処の国が砲撃戦などするだろうか?
…する筈がないでは無いか?だってそんな距離になる前にミサイルでお陀仏に──
──不味い!
そこまで考えて彼らは絶望を感じた。
現代では砲撃戦になる条件が整わないだけであって、『砲撃』そのものを無力化出来るようになった訳では無いと言う事を改めて認識してしまったからだ。
ましてや現代艦は大戦期の戦艦の様に打たれ強い訳では無い。
結果そこに待っているのは──
「艦後部に被弾!速力低下します!」
「クソ……ッ!!」
雨の如く降り注ぐ大量の砲弾による蹂躙だった。
最初こそCIWSなどを駆使して迎撃出来ていたが、それも長くは続かなかった。
艦体を穿つ無慈悲な砲弾。
次々に沈んでいく艦。
爆発によって消し飛ぶ命。
ある「瑞鶴」乗組員が叫んだ。
「ヤツはこっちの攻撃を耐え抜きながら一撃で沈めてくる…!」
「こんなのまるで…戦艦じゃないかあああ!!」
燃え盛る飛行甲板から彼が最期に見たものは、黒煙の中こちらを見て笑みを浮かべている戦艦の主砲の様なモノを両腕に装備した──
黒髪青目の女であった。
第一艦隊旗艦 航空母艦「瑞鶴」 沈没
神崎洋一司令官以下第一艦隊首脳陣 総員戦死
横須賀に帰って来ることが出来たのは、早々に被弾したことですぐに艦隊から離脱していた「卯月」と護衛していた「皐月」の2隻だけだった。
だが彼女らも艦隊が攻撃を受けた時はまだそう遠くない位置に居た。では何故この2隻は逃れられたのか?
「瑞鶴」は確かに沈んだ。
…だがただでは沈まなかった。
「テメェら……!よくも俺達の帰る場所を!!」
搭載されていた艦載機
F/A-18 ホーネットの航空隊が「瑞鶴」が被弾する直前に全機発艦していた。
ありったけの爆弾や対艦ミサイルを積め込んだスズメバチの大群が海に浮く未知の人型生命体へと突っ込んでいく──
続く
あ と が き
『如月』
まあ、うん
最初の戦没艦にするならね……
ごめんね如月。
とはいえ艦娘達には必要以上に酷いことはしません。
特に瑞鶴は投稿者の嫁艦+0話で描写した通り今作のメインヒロインなので……
まあみんな出てくるのはまだまだ先ですけどね。
国防海軍は対潜戦闘が滅茶苦茶上手いと言う設定です。なので今回そこまでは何とか戦えました。
次回は今回最後に書いた通り瑞鶴航空隊がメインです。お楽しみに。
南瓜イベント来ましたね。私は水雷戦隊司令部を取りに行きます。