航空隊による対艦攻撃回
なお、本作における国防海軍航空隊の命名規則は帝国海軍準拠、国防空軍飛行戦隊のモデルは帝国陸軍飛行戦隊です。一個航空隊の航空機の定数はその頃に比べると少なめに設定しています。現代の航空隊のイメージがそんな感じなので。
間一髪「瑞鶴」からの発艦に成功していた
第601海軍航空隊 F/A-18J/DJ ホーネット 計48機
しかし、攻撃目標があまりに至近距離だった為一度戦闘海域を離脱したのち再度突入する事となった。が、
「隊長!艦隊が!」
「間に合わなかったか…クソ!」
彼らが戻った時、既に守るべき艦隊は悉く大破し、壊滅していた。彼らの帰る場所は失われた。
「化け物め…よくもやりやがったな…ッ!!」
「全機突入!奴らを生きて帰すな!!」
「「「応ッ!!」」」
彼らの士気は下がらなかった。第一艦隊の敵を取ると誓い、復讐に燃えていた。相対する敵が何者か分からないと言うのに、恐れなど知らぬとばかりに勇猛果敢に突入して行く。先陣を切ったのはベテランを中核とする第一中隊だ。
「隊長!対空砲火です!」
「気にするな、予想が正しけりゃ当たらん!」
「で、これ見てどうなんだ12番!」
「多分間違いないです!予想通りだ!」
時系列は少し遡る
数分前
「すまん、もう一度言ってくれ」
「はい、ですからあの敵は人の身体に昔の軍艦の様な能力を持たせた存在だと思っている、と言う事です」
攻撃を行うべく航空隊が一度海域から離れようとしている中、最近第一中隊第四小隊に配属されてきたばかりの12番機(末番機)のパイロットが言った。
「そんな事ある訳ないだろ」
「アニメの見過ぎじゃないか?」
と、同じく配属されたばかりの同小隊のパイロット達には反論されたが、
「いや、オタクの妄想と言い切るにはまだ早いぞ」
と、ベテランパイロットの2番機が言った。
「根拠があるのか、2番」
「ああ、無論だ、隊長」
「奴らの攻撃、なにが起きてたか覚えてるか?あの轟音に奴らの周りに発生した黒煙。俺にはあれが艦砲射撃にしか見えなかった。昔観た映画とそっくりだった。それに奴らは海上を滑るように移動していた。人間としては奇妙だが、船だと考えれば説明はつく。だから、な。そうだろ?12番」
「は、はい!その通りです!」
「信じられん…そんな事があるのか…」
「普通は俺だって信じねぇ。けど見ちまったからには否定できない」
「兎に角、奴らを『軍艦』だと思って攻撃するべきだな、それも大戦期のヤツだ。……この装備で来ていて良かったな」
彼らは対艦攻撃を想定した兵装を積んでいた。第一艦隊の出撃理由が
『「如月」の捜索兼「如月」が攻撃されていた場合は敵性勢力の排除』
であった為、対艦攻撃自体は想定内だったのだ。
「僕の予想では奴らは最高でも1950年代の技術力、防空能力もそれ相応の筈です。比較的安全に攻撃できるかと」
「なら良いがな……」
そして現在に至る
「12番の言った通り、奴らの対空砲火は貧弱だ!このまま突っ込むぞ!」
隊長機を先頭に12機のホーネットが攻撃を仕掛ける。実は直前に対艦ミサイルによる攻撃を試みたのだが、目標が艦と言うには小さ過ぎた事もあり1体の撃沈に留まっていた。よって対空砲火の中に突入して爆撃を実行しようとしているのだ。
「あと少し…ここだ!」
隊長機を皮切りに中隊各機が続々と投弾していく。当然と言うべきか、撃墜された機体は居ない。だが、やはり目標が小さ過ぎた為…
「ほぼほぼ至近弾か…わかっちゃいたけどな!」
パイロット達の高い士気とは裏腹に爆弾は無情にも目標付近に水柱を立てたのみだった。
しかし、至近弾でも艦は何らかのダメージは受けるもの。目標は決して無傷では無かったらしく、続く第二中隊の攻撃で1体が、第三・第四中隊の攻撃によって更に3体が撃沈された。が、爆弾を落とし終えた機体に出来ることはもう無かった。撃墜されない事を良い事に接近して20mm弾を叩き込んだりもしたが、目立った戦果は上げられなかった。
まだ目標は大型の個体も含めた7体が残っていた。怒り狂った1人のパイロットが目標への体当たりを実行しようとした時、援軍は現れた。
「第一艦隊がここまでやられたとはな…」
F-2 戦闘攻撃機を駆る国防空軍第7飛行戦隊戦隊長は第一艦隊の惨状に驚愕していた。彼ら第7飛行戦隊は数時間前までF-2の初配備記念祝賀飛行を担当していた部隊であり、その終了直後のスクランブルによりF-1戦闘攻撃機を主力とする第8飛行戦隊と共にこの海域に駆け付けた。その数計72機。
「あれは空軍の新型!来てくれたのか!」
「こちら第601海軍航空隊、救援感謝する」
「第7飛行戦隊戦隊長だ。間に合わなかった、すまない」
「だが後は任せてくれ。敵は全て沈めてみせる」
「感謝する」
通信の後、601空は航続距離の限界に近かった為戦闘海域から離脱していった。
「…まさかコイツとの初実戦の相手があんな奴になるとはな」
戦隊長は、もしF-2と共に戦場に出るなら敵は高度な防空能力を持つ現代艦だと思っていた。だが実際はどうだ。なんなのだあのバケモノは。
「防空能力が低いのはありがたいが、あのサイズはな…直撃させるのは難しいかもな……だからこそ、これだけの大編隊で来たんだがな!」
「全機突入!奴らを全て沈めてやれ!」
F-1・F-2それぞれが大量の対艦ミサイルや爆弾を投射していく。初めから命中率になど期待せず、敵を面制圧する事を企図した攻撃だった。
そしてこの攻撃は想定通り効果を発揮した。命中弾は少なかったが逃げ場など無いとばかりに大量の至近弾が降り注ぎ、残っていた敵の戦闘能力を根こそぎ奪って行った。
「敵、沈黙!沈んで行きます!」
「やり切ったか…」
攻撃終了後、海上に敵の姿は無かった。
「…にしても、なんだったんだ?奴らは…」
戦隊長の呟きは誰にも答えられぬまま消えて行った。
以下はその後国防軍が纏めた戦闘結果だ。
日本国防軍
海軍
第一艦隊
喪失:6 (大型航空母艦「瑞鶴」大型駆逐艦「球磨」「多摩」駆逐艦「睦月」「如月」「弥生」)
大破:1 (駆逐艦「卯月」)
損害軽微:1(駆逐艦「皐月」)
第601海軍航空隊
喪失:無し
空軍
第7飛行戦隊
喪失:無し
第8飛行戦隊
喪失:無し
???
???
撃沈確実:18 (内、推定潜水艦6隻 他個体については艦種特定できず)
しかし、この戦闘結果が公になる事は無かった。
『高度な政治的判断』
により
「国内外で混乱が生じる事を防ぐ」
と言う理由で真相は伏せられ、一般には
「太平洋上を航行中に嵐に遭い沈没、残った艦も少なからず損害を受けた」、
『第一艦隊遭難事件』
が発生した、ということにされたのだ。
無論疑問の声は上がったが、情報統制により陰謀論として封殺された。
西太平洋
???
「思ッテイタヨリヤルジャナイカ?人類ヨ」
西太平洋の海底で1人の女がそう呟く。彼女の肌はアルビノのように白く、頭部には鬼の様なツノが2本生えており『ヒト』と言うには少々奇妙な見た目をしていた。背後には巨大な口や腕を持ち巨大な3連装砲を2基積んだ生物を従えている。
「フフッ…ダガコノママ攻撃ヲ続ケレバイズレ奴ラノ戦力ハ底ヲツク。物量デハ我ラノ方ガ上ダカラナ。フフフッ…」
「姫サマ、女王陛下ヨリ通信デス」
「ン、陛下カラ?折角良イ気分ダッタノニ…」
「…ドウカシマシタ?陛下」
「攻撃ハ一旦ストップダ」
「…ナゼデス!?コノママ攻撃シ続ケレバ人類ハ簡単ニ滅ボセルノニ!」
「ソレデハ面白クナイダロウ?」
「…ハ?」
今すぐにでも再度攻撃を行おうとしていた彼女は『女王陛下』からの攻撃中止命令を受けて激昂するも、理由を聞くと困惑した。
「ドウイウコトデス?」
「タダ滅ボスダケデハツマラナイダロウ?謀略ニヨッテ世界ヲ分断シ人類同士デ争ワセテ更ナル弱体化ヲ狙ウノダ」
「人類同士デ内ゲバヲサセル、ト?」
「ソウダ、面白ソウダロウ?」
「ソレハソウデスガ、具体的ニハドウヤッテ?」
「簡単ナ事ダ。既ニ各国ニ潜リ込マセテイル工作員ヲ使ッテ争イノ火種ニ着火スルダケダ。火種ナド沢山転ガッテイルカラナ」
「ハァ…イクラ野蛮ナ人類モソウ簡単ニイクモノカシラ…」
「人類ガ確実ニ分断サレル一手ハモウ打ッテアル」
「…ソレハ?」
「…思想サ。キッカケヲ作ルニハ丁度イイ。ソコカラ経済ヤ資源ニモ波及出来レバ完璧ダナ」
「…考エタワネ」
「十分ニ疲弊サセタラ、後ハ我々ガ狩リ尽クス。ソノ時ハ頼ンダゾ、「戦艦棲姫」」
「フフフッ、任セナサイ、女王陛下」
「戦艦棲姫」そう呼ばれた彼女は、狂気に満ちた笑みを浮かべていた。
それから約1年の時が流れ…
2001年9月11日
アメリカ同時多発テロ発生
世界は再び混迷の時代へと突入していく。
その影に「ヒトならざるモノ」の姿がある事を人類の殆どが知らぬまま………
続く
あ と が き
現代を舞台にしている以上不謹慎ネタは避けられませんね……。そもそも不謹慎かそうで無いかのラインってどこだよって話ですが。
「至近弾」については、艦これにおける「カスダメ」に相当すると考えています。なので、今回沈んだ深海棲艦の水上艦は艦これ的に言えばカスダメを大量に食らいまくった、と言う感じです。
そろそろ設定資料集を更新しておきます。気になる方は見てみてください。世界観が分かりやすくなるかもです。
次回 物語は加速する(二重の意味で)