自我持つ兵器の英雄譚   作:Nyappy-

9 / 40

今回ちょっとダイジェスト気味・シリアススイッチのON・OFF激しめです。



4. 混迷の世界と産まれる希望

 

時系列は少し遡る。

 

第一艦隊 横須賀に帰還

 

 

「瑞鶴は…?父さんは!?」

 

洋平が叫ぶ。百里基地でスクランブルを聞いた彼ら3人はその理由が「第一艦隊の救援要請に応える為」であると知ると、大急ぎで横須賀鎮守府までやって来ていた。だが「第一艦隊が帰還した」と聞いて港まで来てみれば、そこに居たのは「皐月」とボロボロの「卯月」の2隻だけ。父・洋一が乗っている筈の「瑞鶴」の姿は何処にも無かった。

 

海斗と美香は「皐月」から降りて来た階級の高そうな士官に詰め寄った。

 

「父さんは?どうしたんですか!?」

 

「なにが…あったんですか…?」

 

美香は声が震えていた。実の父を失った経験から、察しが付いてしまっていたのだ。

 

「君達は、神崎司令官のお子さんか……」

「……すまない」

 

士官はそう言って去って行ってしまった。

 

「……!?」

 

「そんな、うそだ……」

 

彼らは認識せざるを得なかった。

 

『父が死んだ』

 

という事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

横須賀鎮守府司令長官から父の戦死を正式に報告された3人。最初は3人共悲しみに暮れていたが、連絡を受け鎮守府に駆け付けた母の悲しむ姿を見て決意を固めた。

 

「俺…戦うよ。父さんの敵を討ってみせる」

 

「私も。もう誰も失いたくないから」

 

「……父さん。俺、立派に当主を継いでみせる。だから、俺達の事を見守っててくれ…」

「神崎家当主として、この日本を護ってみせる」

 

 

 

その言葉通り、彼らは高校卒業と同時に海軍兵学校に入学。海軍軍人の道を歩み出した。洋平は本来当主の座を継ぐ筈だった母がその権利を洋平に譲った為、18歳という若さで神崎家当主となった。

尚、「2人の結婚式を早く見たい」と言っていた洋一の思いに応えるべく、海斗と美香は高校在学中に結婚。洋一の葬式に間に合わせ、結婚式を同時に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2年の月日が流れた。

 

この間世界では9•11に端を発する対テロ戦争が起こっており、お世辞にも平和と言える状態では無かった。国防軍も湾岸戦争時と同じく『国防』を拡大解釈する形で参戦。しかし第一艦隊の件もありこれ以上の戦力喪失を恐れた為、積極的な戦闘はせず支援を行うに留まった。

 

2003年4月

 

洋平達3人は兵学校の戦時速成課程をクリアし、士官として配属される事となる……筈だったのだが。

 

「『対SUE用決戦兵器開発任務』の進捗を確認して来い?」

 

「どういうことです?」

 

「そもそも『SUE』って…?」

 

配属より前に国防省から与えられた極秘任務に困惑していた。

 

「まあ実際に見てみれば分かる。『ラボ』の座標を記した地図を渡しておく。良いか?これら全てが最高軍事機密だ。絶対に隠し通せよ。何処にスパイが居るか分からんからな」

 

「「「…了解!」」」

 

斯くして3人は地図に記された情報を元に『ラボ』へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北海道某所

 

『ラボ』秘匿ゲート前

 

「此処か…」

 

3人は『ラボ』のゲートと地図に記されている地点へとやって来ていた。

だが幾ら探しても入口らしき物は見当たらない。

 

「地図が間違ってたんじゃないか?」

 

と、海斗が国防省の不備だと指摘しそうになった時、

 

グォォォォ……

 

と、唐突に地鳴りがしたかと思えば、目の前の斜面がスライドし、明らかに人工物な通路が現れた。

 

「「「…」」」

 

まさかこんなSFチックな秘匿ゲートになっていたとは思っていなかった3人は言葉を失った。

 

そうしていると……

 

「あなた方が神崎家の方々ですね?ラボの中にご案内します」

 

「え、は、はい」

 

ゲート内から現れた女性に話しかけられ、言われるがままゲートに入って行った。

 

 

 

『ラボ』内 応接室

 

「ここまでよく来ましたね。歓迎します。僕は秋吉(あきよし)智明(ともあき)。此処の『ラボ』、正式名称『艦娘技術研究所』の所長です。」

 

そう言って出迎えてくれたのは、この『ラボ』改め『艦娘技術研究所』で極秘裏に対SUE研究を続けている秋吉智明所長だった。

 

「初めまして。神崎家当主、神崎洋平です。所長……にしては若く見える。失礼ですが、年齢は…」

 

「20歳です」

 

「「「わっか!?」」」

 

「いやあなた方も大概な気がしますけど…」

 

「…あれ?て言うかその名前どこかで聞いたような」

 

「美香さんは知ってらっしゃるかも知れませんね。高校時代から軍事技術の研究に携わってますから。最近のF-2改良計画にも関わってますし」

 

「そうそう、それだ!凄いよ〜『稀代の大天才』なんて呼ばれてさ!」

 

「はは、そんなんじゃ無いですよ」

 

秋吉は数年前から世界的に注目を集めていた天才科学者であり、その才を買われて高校卒業後19歳の若さで軍の研究施設を任されたのだ。

 

 

 

「ところで…任務を受けてからずっと気になっていたんですが」

 

「敬語は良いですよ、同い年なんだし」

 

「…じゃあ、聞きたいんだが、『SUE』って何だ?」

 

「…洋平君なら知っている筈だ」

 

「え?」

 

「君達のお父上を殺した、正体不明の生命体。その国連軍における通称さ」

 

「「「…ッ!!」」」

 

父を殺した存在と聞き、3人は動揺を隠せない。記憶が鮮明に思い起こされ、怒りや憎しみといった感情が湧き出て来た。

 

「…だからこそ、上層部は君たちにこの任務を託したんだろうね」

 

秋吉は3人の豹変ぶりを見て、何故国防軍が彼らにこの任務を託したのか改めて理解した。

 

 

 

少しして…

 

「落ち着いた?」

 

「もう大丈夫だ…それよりも、そうなんだとしたら任務名の『対SUE用決戦兵器』って…!」

 

「そうさ、鋭いね海斗君。此処ではそれを研究しているのさ」

 

「対抗出来るのか!?」

 

「ああ。今研究中の『艦娘』を使えば、ね」

 

「「「カン、ムス??」」」

 

「そう、艦娘。艦に娘と書いて艦娘。その名の通り、軍艦の力を少女に付与する事で産まれる新たな力さ」

 

「少女って…」

 

美香は少女が直接兵器にされる事に抵抗を感じた。

 

「…まあそこはあまりツッコまないで欲しいな。今改善しようと研究中だけど…正直上手くいってないんだ」

「けど、SUEは次いつ攻めて来るか分からない。『ミレニアム・ショック』以降奴らは一度も姿を見せていないんだ。それが不気味で仕方ないよ」

 

2000年の『第一艦隊遭難事件』はその真相を知る者からは『ミレニアム・ショック』と呼称されている。知っているのは主に各国や国連の一部政治家や軍事部門の上層部のみ。彼らは世界でもトップクラスの実力を誇った日本国防海軍第一艦隊が壊滅している事実から、それを引き起こした正体不明の生命体に警戒を強め、『SUE』と名付け極秘裏に対策を進めていた。

 

「…でもよくそんな技術を発明出来たね。いくら大天才と言ってもそう簡単には行かないだろうに」

 

「それも理由があるんだ。紹介しよう、着いてきて」

 

海斗の質問に秋吉は何かを見せる事で答えようという。

 

 

 

研究室

 

秋吉に連れられ3人は研究室へと足を運んだ。そこには十数人の女性が働いていた。先程出迎えてくれた女性もいた。

 

だが…そんな彼女達の姿に3人は何処となく違和感を覚えた。

 

「彼女らは一体…?」

 

「違和感を感じたかい?」

 

「ああ…人間なのに人間じゃないって言うか、なんて言うか」

 

「そりゃそうさ。彼女達は人間では無いからね」

 

「「「は???」」」

 

「はははっ!皆同じ反応だね、流石兄妹だ」

 

「い、いやいや!確かに違和感は感じたが人間じゃないってのは聞いてねぇよ!どう言う事だ!?」

 

「そこも含めて詳しく話すよ」

 

 

 

秋吉の話によれば、彼女達は1年程前に突如として日本国防軍を統括する国防省に姿を見せ、

 

「我々はSUEに対抗し得る技術を持っている。協力しよう」

 

と言ってきたとの事。彼女達は自らを『妖精』と名乗り、そのイメージ通りの小さいサイズから人間と同等のサイズまで変幻自在の体を持っているらしい。国防省側は当初は当然警戒したが、彼女達が公開した

『艦魂のサルベージ、またそれを用いた人間サイズの艤装建造技術』

『艤装と人間の接続・同調技術』

と言う、現代の技術レベルからすれば明らかにオーバーテクノロジーと言って良い技術に興味を持ち、協力関係になっていた。

 

「…それで出来上がったのが艦娘さ」

 

「なるほど、艦娘がどういうものか何となく分かった」

 

「でも本当に対抗出来るの?」

 

「正直…分からない。けれど、これが最適解ではあると思うんだ。」

「敵の兵器に対抗するにあたって1番分かりやすく手っ取り早いやり方は、敵の兵器と同ジャンルかつ同等以上の性能を持つ兵器を開発する事さ。具体例を挙げるなら…フィクションにはなるけどMS(モビルスーツ)とか、現実なら戦車なんかもそんな感じだったね」

 

「MSは分かりやすいんじゃないかな?国力なら圧倒的だった大国が新機軸の兵器によって劣勢に追い込まれて………」

 

「「……」」

 

 

「…それで国力を生かして敵より高い性能の物を開発して………」

 

「「…………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…秋吉お前SEED観てるだろ」

 

「…ははっ!バレたか」

 

 

 

今は2003年である。

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…確かに理屈は分かったけどさ、それは艦娘がSUEと同ジャンルの兵器だった場合の話でしょ?大丈夫なの?」

 

「じゃあ3人共、知ってる限りで良いから『艦娘』と『SUE』の共通点を考えてみてよ」

 

「「「うーん……」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒後…

 

 

 

 

 

「「「あっ…」」」

 

「…分かって貰えたみたいだね」

 

「艦娘ってまさか」

 

「うん、そうさ。言ってしまえば『艦娘』は人類製『SUE』と言っても良い代物なんだ。この2つの兵器の特徴はあまりにも酷似している…妖精達が持ってきた技術がこういう物だったって事もあるけれど、艦娘をこういう形にした1番の理由は人類の持つSUEへの対抗心、だろうね。まあ、実際に艦娘の基本設計を完成させた僕が言うんだから間違いないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、数時間に渡り艦娘などの事について話したのち、洋平達は研究所を後にした。

 

帰り際、

 

「艦娘は後2年もすれば実戦投入可能なレベルに仕上がるはず。だから……それまで生きていてくれよ?艦娘だけが居ても彼女達を指揮出来る司令官が居なきゃダメなんだからさ!」

 

 

 

…そう秋吉は話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





あ と が き

や〜っと艦娘建造フラグ立ったよ……。これでやっと堂々と「原作:艦隊これくしょん」を名乗れる……。

次回 艦娘 建造 (注意:オリジナル艦娘です)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。