このキヴォトスには変革が必要だ!だが、変革には犠牲が伴う!   作:王朝万歳

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とうとう、書いてしまった。ブルアカ二次。


始まり

 

 

 

 

 

 

「このキヴォトスには、変革が必要だ!」

 

「ボス、やりすぎ」

 

「姐さんのいう通りですよ、社長。これ以上は騒ぎになるからやめましょう」

 

「そんなもの、ここの住人は気にせん。まだまだ、殴り足りん。ついて来い」

 

「そんな~」

 

 仄暗い路地裏。隣接した雑居ビル地帯の日陰で、少女が叫んでいた。透明の薄縁メガネをつけた長身の少女の周りには、無数の不良たちが倒れている。

 

 アリウスと描かれた白パーカーを着た少女が長身の少女を注意する。それに彼女たちの部下である三人の黒服を着た護衛たちも賛同して止めようとするが。それは叶わず、ボスと呼ばれた少女はそのまま次の狙いを定めるため、ゆっくりと歩き出す。

 

 その様子を、向かいの大通りを歩く通行人たちは見ていたが、すぐに興味を失い、前を向いて歩いていく。

 

 普通なら、裏路地で少女が叫び声をあげているなど、常軌を逸した光景だ。だが、ここの住人たちにとっては見慣れたことだった。そう、ここはキヴォトスの中央部に位置する街。学籍を失った生徒や違法な取引で金を稼ぐ黒い大人たちが住まうブラックマーケットにとっては。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

「どこだ、ここは? それに、俺は、確か死んだはず」

 

 目を覚ました場所は裏路地だった。あやふやな記憶から引き出せたのは、前世が男だったことと死んだという事実だけだった。

 

「しかし、この体は小さいな。それに汚い」

 

 身体を確認すると、六歳児ぐらいの子供の姿だった。全身は酷く薄汚れ、骨ばっている。

 

「俺は、ここで寝泊まりしていたのか」

 

 ゴミのコンポストの隣には段ボールが広げられ、その上に薄いボロ切れが乗せてあった。

 

「なるほど……。今世の俺は浮浪児か」

 

 親がいるならば、こんな所にいるはずはないので。ストリートチルドレン確定だろう。

 

 ──ーぐううぅ。

 

 考え込んでいると腹が鳴った。

 

「貧相な体だな」

 

 改めて体を見ると、体はやせ細っており、満足に食事をとれているとは思えなかった。空腹でどうにかなりそうだ。

 

「とりあえず、飯を探さなければ」

 

 俺は、食べ物を探しに裏路地を歩きだした。

 

「見つけた」

 

 飯を探して、数日。俺はゴミ箱の前にいた。ゴミ箱が置かれている建物の正面には、大衆食堂の看板が掲げられている。

 

「抵抗感があるが。数日探して、一番まともな飯がこれだった」

 

 蓋を開ければ、先ほど捨てられたばかりなのか。中には、ほんのりと暖かい湯気を出す食べかけの魚があった。

 

「美味い!」

 

 背伸びして、ゴミ箱の中の魚を掴み取り、付いているゴミを振り落として食べた。

 

「残飯。やるじゃないか」

 

 それは人生で食べた魚の中で一番美味い魚だった。まあ、前世の記憶はないので、当然といえば当然だが。

 

「あ!? おい、てめえ、何食ってんだ!」

 

「そうだぞ! そこは私たちの縄張りなんだぞ!」

 

「誰に断って、飯を食ってやがる!」

 

 食事を味わっていると。そこに、バツ印のマスクをつけ、銃を持った。いかにもな不良たちが現れた。

 

 銃刀法違反じゃないか。それとも、ここは学生が銃を所持できるほど荒れた土地なのか。だが、立ち姿に何故か見覚えが。どこかで見たようなー

 

「ううん。ああ、すまない。ここは君たちの食事場だったのか。それにしても、君たち──頭の上のそれは何なんだ」

 

「質問たあー、いい度胸だな。それに質問も変だし。ま、見たとこ。浮浪児のガキってとこか? なら、教えられてないのも仕方ねえのか?」

 

「いいぜ、答えてやる。私たちの頭に浮かぶこれ。これはヘイローっていうんだぜ」

 

 銃を持った不良、それにヘイロー。その言葉が脳に電流を走らせた。

 

「ぐう」

 

「おい、どうした!?」

 

 頭痛がした。頭がズキズキと痛み、情報が駆け巡り。

 

「そうか。俺は、俺は……キヴォトスに転生したのか!」

 

 そして、俺は前世で広告などで薄っすらとだけ知っていた。ブルーアーカイブというソシャゲに登場する、キヴォトスという世界に転生したことが、わかった。

 

「頭痛は治まったのか?」

 

「ああ、治まった。助かったよ」

 

 不良の一人が、心配そうに聞いてきた。その返事を聞いて、安心したのか。不良たちは笑みを浮かべ。

 

「そりゃ。よかった。これで、心おきなくぶちのめせるぜ!」

 

「は?」

 

「よかったぜ。病人殴るのは、気が咎めるからな!」

 

「うち等の晩飯盗んだ嬢ちゃんには、ケジメつけてもらうぜ。おら!」

 

「ぐは。ぐは。ぐは」

 

 蹴ってきた。それに続くように、拳も振るわれる。

 

「いい加減にしやがれえー」

 

「な、こいつ、力強え」

 

 力いっぱいに不良たちの拘束を振りほどき、その場を走って去る。

 

「お~い! ガキ! ここは、うち等の島だからなあ~ 次、同じことやったら、もっと酷えめにあわすからなー!」

 

「馬鹿野郎、覚えてやがれ!」

 

 背中ごしから、聞こえる不良たちの声に。捨て台詞を吐きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

「おい、ガキども。今日からここは、私の島でいいな」

 

「はい。それでいいです」

 

 ここがキヴォトスだと判明してから、4年が経過した。キヴォトスでの暮らしを続けた結果、私はすっかりキヴォトスの倫理観を身に付けていた。今は、自身の快適な生活を得るため、同世代の不良をボコボコにして資源を確保している。

 

「これで、わかったな。もう、逆らうなよ」

 

「もちろんですう」

 

 のされた不良たちが、呻きながらそう答える。

 

「食料はもう十分か。なら、次は金か」

 

 周辺の不良たちを絞めて、裏路地での地位を上げ。食料はある程度は確保した。なら、次は金だろう。転生した当初、着ていたボロボロの服は、この数年間の闘いの結果、血や汗で汚れ、ボロ雑巾になっていた。

 

 服を買い替える金を稼ぐために、仕事を探す。それが次の目標になった。

 

「おい、お前ら、後で返すから。金を寄越せ」

 

「わ、わかりました────」

 

 企業の面接を受けるため、少しスーツ代を借りた。

 

 

 ◇

 

 ブラックマーケットの一角、ある一つの企業ビルで、やや丸みを帯びた中年のロボと少女が剣吞な雰囲気で会話をしていた。

 

「ふざけているのか! 依頼通り、貴様が言う荷物とやら届けた。なのに、この依頼料はなんだ! 約束していた金額の4分の一以下だぞ!」

 

「ハハハハハ。いや、先方から、届けた荷物に傷がついているとクレームが入ってね。あちらに、迷惑料を払うことになってね。君の給料から差し引かせてもらった」

 

 あれから、ブラックマーケットで傭兵として、仕事についた私は、早速企業の依頼を受け、運び屋の仕事についた。だが、契約した企業が最悪だったらしい。見事に私は足元を見られたようで、報酬の金額は、4分の1の額しか振り込まれていなかった。

 

「くっ。それにしても、差し引きすぎだ。これは明らかに不当な労働だ。契約に反している」

 

「不当な労働。はは、何をいうか。契約書には、“もし、仕事に不備があった場合は、被害の穴埋めのため、給料から差し引くことがあります”と書いているだろう」

 

「っ。こんなことは」

 

「“こんなことはヴァルキュレーが許さない”とでも言いたいのかね。はは、面白い。学籍のないスラムのガキと社長の私、どちらが信頼に足ると思う」

 

「それに告発した所で、今回の件には君も関わっているだろう。しかも、実行犯だ」

 

 あのロボの言う通りだ。学籍の無いストリートチルドレンと、怪しい仕事をしているとはいえ、企業の社長という社会的地位がある人物。どちらが信頼に足るかは、わかりきったことだ。

 

「ならばっ!」

 

 ならば、キヴォトス流の解決手段を講じるまで。気に入らない奴はぶん殴る!! 懐から、アサルトライフルを取り出し、目の前のムカつくロボを鉄くずにするため、照準を構えた。

 

「ククク、君たちは本当にワンパターンだな」

 

「はあ? 何がおかしい。まあ、いい。くたばりやがれ」

 

 銃を突きつけられ、焦るかと思われた社長は不敵な笑みを浮かべていた。それが余計に腹を立てさせた。怒りに身を任せ、銃の引き金に手をかけ、発砲する。

 

「おっと、クライアントに怪我を負わせられては困るな」

 

 だが、それは防がれてしまった。突如、背後から現われたロボに手を掴まれ、社長に向けていた銃の弾が逸らされ。そのまま、ロボの男に組み伏せられる。

 

「ククク、高い金を払っているんだ。もう少し早く助けてくれてもよかったんじゃないか。カイザーPMCの派遣兵士さん」

 

 社長は椅子から立ち上がり、近づいていき。そして、組み伏せられた私を見下ろしながら、カイザーの兵士と会話する。

 

「おや、今のタイミングが貴方にとって、一番よかったのでは」

 

「クク、君にはかなわんな。まったくもって、その通りだ。私は、こうやって生意気にも大人に逆らってきた。野蛮な生徒が、這いつくばる姿を見るのがたまらなく好きなんだ」

 

「過去に君と同じようなことをしてきた奴がいて、一度、痛い目にあわされたんだ。だから、それ以来、対策しているのさ」

 

 ロボ社長は高い声色で、喜悦に満ちた様子で、しゃべり続ける。

 

「さあ、君たちお得意の暴力もダメになったわけだ。これで、話しあいに戻れる。これから話す、私の話に対する返事は“ハイ”しか受け付けない。それ以外の返事をしたら、どうなるか。わかるな」

 

「…………」

 

「はあ。君、やりたまえ」

 

「了解です」

 

「いっ。わかった。答える、答える」

 

 社長の指示を聞いた兵士が、腕を極めてくる。手の角度が段々上がっていき、体中からミシミシと嫌な音が鳴った。あまりの痛さに根をあげて、大人しく命令に従ってしまう。

 

「よろしい。では、君にはわが社と専属契約してもらおうか。そうだな。私を不快にさせた罰として、今回の給料は半分にするのは当たり前として。次回からの依頼もその額でいこうか。それでいいね?」

 

「はい」

 

 不当な契約。絶対に破滅する。頭ではそう分かっているのに、首を振るしかない。

 

「では、契約成立だな。即刻、帰りたまえ。私はこの後、商談があるんだ。君のような薄汚いガキに構っている時間はないのだよ」

 

「それと、うちから逃げるのは、おすすめしない。これでも私はこの地域の顔役でね。逃げようものなら、君はこの地域で働けなくだろう」

 

「逃げられるなど、もう考えていません。さようなら」

 

「ああ、さようなら。君は、我が社の期待の新人だ。よく働いて、貢献してくれることを願っているぞ。ククク」

 

 カイザー兵士に拘束を解いてもらい。部屋を出る。去り際、部屋の奥から“やはり、スラムのガキは使えるな。馬鹿な上に、後ろ盾もない。これ以上ない、搾取の対象だ”。そんな声が聞こえ、耳に残った。

 

 私は、それから逃げるように、ビルから抜け出した。曇天の空、土砂降りの雨の中、街を駆けた。あまりにも、惨めな自分の姿に涙が出そうだったから。

 

 

 

 

 ◇

 

「完膚なきまでに負けた」

 

 得意の暴力ですら、組織と金の力によって、ねじ伏せられた。暴力は、万能の力だが。すべてをねじ伏せられる程、私は強くなかった。

 

 ブラックマーケットの寂れた公園にブランコの軋む音が響く。普段、ここを利用する園児たちも、あいにくの大雨で来ず、利用者は一人だけだった。

 

「ひでえ、顔だな」

 

 大雨で出来た水たまりを見れば、瞼は赤く腫れ上がり、目元は涙で潤んでいた。

 

「嫌いだ。大嫌いだ。大人も、あのロボ人間も大っ嫌いだ。いつか、いつか、復讐してやる」

 

 雨に打たれたことによる寒気か。それとも、あの恫喝による恐怖か。もしくは、奴隷になったことに対する屈辱か。あるいは、そのすべてか。体は酷く震えていた。

 

「生徒を取り締まるだけの腐敗にまみれたヴァルキューレ、俺たちのような社会的弱者を利用する悪い大人。酷く不快だ、何よりこんなことがまかり通る世界があっていいはずがない」

 

 この世界で暮らして、数年、抱いていた。疑問や感情が噴出した。

 

「この世界には変革が必要だ!」

 

 私は、支配から逃れ、この世界を変えることを決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただき、ありがとうございます。

ここはこうだったはずといった。指摘があれば、言ってください。

現在、主人公の名前と、破滅を呼ぶ風をモチーフにしたキャラたちの名前を募集中
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