ムッスー
「なあトウカ、機嫌直してくれよ…」
「…知らない」
プイ
「オイラが悪かったって…でも少しくらい…」
ブツブツ
「ん?今なんて?」
「すみませんでしたぁ!!」
第一の試練をクリアした私たちは、一度集落へと戻ることにした。
私の目が自然とテオの右腕にいってしまう。
「…フッ、大丈夫だよトウカ。お前のせいじゃない」
「でも…」
「大丈夫だって!願いの秘薬が手に入れば腕も治せるってアマノシン様も言ってたし!」
「それは、そうだけど…」
「納得しないならトウカにはオイラのお願いを聞いてもらおうかな〜」
「内容による」
「一緒にお風呂!」
「却下」
「夜伽」
「論外」
「うーん、そうか〜」
「お願いが発情期のガーディなの、自覚して」
「うーん、じゃあ」
「はいはい、お次はなに?」
「オイラ頑張ったからいっぱい褒めて!頭撫でて!」
「…」
「…ダメ?」
「…はぁ、いいよ」
テオが上目遣いでこちらを見てくるのを見て、私はまあそれくらいならと了承した。
…あれはずるい。
「テオ〜よく頑張ったね〜えらいえらい」
(猫撫で声)ナデナデ
「えへへ〜」
「私を守ってくれてありがとう〜ずっと一緒にいて〜」
(猫撫で声)ナデナデ
「それは当たり前のことだよ!」
「っ!?…うん、ありがとうね〜」
ナデナデ
「ほへぇ〜」
5分後
「はい!お終い!」
「今のオイラならたとえ神であっても殴り倒せる気がする」
「テオ〜戻っておいで〜」
「大丈夫、オイラは正常だよ」
「こりゃ重症だ」(呆れ顔)
そんなこんなで集落へと帰り、ゆっくりと体を休めて私たちは第二の試練に向かうのだった。
「ねぇテオ」
「うん、言いたいことはわかる」
数日をかけて追っていた試練までの道標の光が目の前で地面へと向かっているのが見える。
「おそらくこの真下が試練の場所だな」
「だよね〜どうやって向かう?」
「ふっふっふ、オイラに任せて!」
「?」
テオが自信満々に任せろと言っているので、疑問を感じながらも任せてみることにした。
「トウカ、オイラ番人との戦いで強くなったと思うんだ」
「うん、そうだね」
突如語り始めるテオに困惑しながらも私は返事を返す。
「オイラの特性が進化したんだ。オイラにはわかる」
ん?
「これは『トウカブースト』だ!」
「はい?」
「トウカを想えば想うほどより強い力が出せる!それが『トウカブースト』!」
「なんだそれは!?というよりその恥ずかしい特性名やめて!!」
私が顔を真っ赤にして必死に止めるよう嘆願するが、テオは止まらない。
「この前のご褒美を…力に変えて!
『爆裂トウカパンチ』!!」
「やめろぉぉぉ!!」
私の必死の叫びも虚しく、テオが繰り出した爆裂トウカパンチが大地を捉える。
衝撃と共に地面に穴が空いた。
「やったー!!」
「喜んでる場合じゃ!落ちるぅぅぅ!!」
テオの開けた穴に私たちは抵抗する間もなく落ちてゆく。
「テオのバカァァァ!!」
ドッパァァン!!
ブクブクブク
「ぷはっ!はぁはぁ下が水で助かった」
「トウカ〜大丈夫?」
「テオ、正座」
「はっいやここ水の中だよ」
「じゃああそこの浮島で正座ね」
「…はい」
私は浮島へ向け泳ぎ始め、テオも黙って後ろに続く。
あれ?というかここってもう試練の場所なんじゃ…。
嫌な予感が私の頭の中を駆け巡る。
「テッテオ!!」
テオを呼ぶと同時に私の体に何かが纏わり付いた。
「ふぇ?えええええ!!」
私の体に纏わり付いたのは触手だった。
私の体はそのまま水上へと持ち上げられる。
「トウカ!?」
テオが焦った声を上げるが、その瞬間に私は水中へと引きずり込まれていった。
「ガポォ!!」
少し空気を吐いてしまった。
触手の力は強くとてもじゃないが抜け出せない。
ってこの触手どこ触って!ん!!
「ドポポウププカアア!!」
必死に追いついてきたテオの左手の鋭い爪が私の体に纏わり付いてた触手を切り裂く。
解放された私を抱えながらテオは水面へと急ぐ。
「プハッ、トウカ!無事か!?」
「ガハッ!はぁはぁた、助かった」
「よし、とりあえず浮島にぃ!?」
テオの驚いた声を聞き、私は周囲を見渡す。
水面の至る所から触手が生えている。
そして、触手たちが取り囲んでいる中心箇所に2つの赫い点が見えるのを確認した。
逃げ場はなさそうだ。
「テオ、私頑張って耐えるから、あの触手全部叩き切りなさい」
なぜか今回の守護者は私を捕まえようとしている。
テオが危なくなることはないはずだ。
「トウカ…わかった。すぐに戻る!!」
テオがそう言い私の元を離れていく。
しばらくすると触手が一本、また一本と切り倒されているのが見えた。
私?
ああ、絶賛触手の餌食になっているよ…。
「ん!この触手!変なとこばっかぁ!嬲りやがってぇ!あっ!」
流石にきつい。
「テオォ!助けてテオォ!」
痛みはないが色々と辛い私は、テオに助けを求めてしまった。
「ウ、ウォォォォ!!」
私の声を聞いたからか、触手の倒れる間隔が短くなる。
相手側もとうとうテオの方へも触手を回し始めたが、全て叩き切られている。
テオってこんなに強かったんだ…。
そんなことを考えながら私は嬲られ続ける。
「オラァァ!33本目ぇぇ!!次は!」
テオの周りを触手が取り囲む。
「ッチ、キリがない!」
テオはチラリと水中をみる。
「大元を絶たないと…トウカも保ちそうにな…いやあれはあれで良い光景だ。もうしばらくは…いや、オイラが後で○されるか…」
テオはそんなことを考えたが、頭を左右に振り、雑念を振り払い水中へと向かう。
「どこだ!どこだ!…いたぁぁぁ!!」
急に触手の動きが止まった。
何事かと息を荒げながらも私はあたりを見回す。
ゴゴゴゴゴと大きな揺れと共に少し遠めの水面が泡立ち始める。
そこから巨大な存在が顔を出し、空中へと投げ出されるのであった。
「ばぁぁくれぇぇつ!トウカパァーンチ!!」
テオの仕業で。
…頭痛くなって来た。
巨大な存在、第二の試練の守護者はドククラゲと呼ばれるポケモンだった。まあ大きさは通常のものとは明らかに違うし、何より触手の数が違いすぎる。
力無く倒れるドククラゲが消滅し始める。
どうやら第二の試練クリアらしい。
触手から解放された私は浮島でテオと合流した。
「テオ、やったね!」
「…」
「…テオ?」
「…トウカ」
「ん?」
「オソウ!」
「えっ!?ちょっと待って!やめて!」
テオが急に暴走して私に襲いかかる…性的な意味で。
まずいまずいまずい。
なんとかテオの猛攻を交わしながら私は思考を巡らす。
でもなぜ急にこんなことにと思ったその時。
ドクン!
なに?これ?急に体が…熱く。
ハッと消滅したドククラゲの方を向く。
まさか!あいつの毒かこれ!?
「トウカ…トウカ…」
「こんなの…こんなの…」
「トウカ…トウぶべらっ!!」
「ただの変態ポケモンじゃねぇぇかぁぁぁ!!」
哀れテオ、正気を保ってないとはいえ、トウカの振り翳した黄金の右手がテオの顔面を捉えた結果、撃沈した。
『よくぞ第二の試練を越えたの…と言いたいがなぜ勇者は伸びておるのだ?傷等はないように思えるが?』
「知りません」
プイ
『?』