このアカシアを君に   作:エンペライ

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最終話 願いの果て

「テオォ!起きてよテオォ!」

 

私たちはなんとか第三の試練の番人であるメテノを倒した。

 

だが、メテノの攻撃によってテオが怪我をしてしまい、意識がない状況だ。

 

「どうしようどうしようどうしよう」

 

私は完全にパニック状態となってしまった。

 

「テオを助けないと!テオが死んじゃう!」

 

「クオォォン!」

 

「キャッ!」

 

パニック状態の私は突然の背後からの声に驚く、振り向くとそこにはスイクンが立っていた。

 

「スイ…クン…」

 

スイクンの登場に私は戸惑う。

だが、現れたのはスイクンだけではなかった。

 

「クォーン」

 

「キューン」

 

ラティオス、ラティアス。

 

「ギュルァアアアアアア!」

 

サンダー。

 

「ドワァー!」

 

「ビリジィー!」

 

テラキオンにビリジオン。

 

試練前に出会った伝説のポケモンたちが私たちを取り囲んでいた。

 

「あなたたち、テオを助けてくれるの?」

 

微かな希望を元に問いかける。

 

 

 

だが彼らから帰って来たのは明確な敵意だった。

 

私の周囲に氷の刃が突き立てられ、雷が落ち、旋風が吹き荒れる。

 

「えっ!?なんで!?」

 

突然の攻撃に驚愕する私は呆然としてその場に立ち尽くすしかなかった。

 

「なんで…ハッ!!」

 

…私はなぜ伝説のポケモンたちがここまで怒っているのかを察した、察してしまった。

 

メテノと楽園は共生関係だったのではないか。

 

私たちはこの楽園の番人であるメテノを倒した…それは同時にこの楽園の終わりを意味しているのではないか。

 

だから伝説のポケモンたちが怒り、攻撃を行なって来た…。

 

「これじゃあ…私たちは…」

 

サンダーから放たれた電撃が私に迫る。

 

私は諦め、目を瞑った。

 

 

……

 

………?

 

 

衝撃も痛みもない。

 

疑問に思いながら目を開けると、青い光を纏う小さな羽虫の群体が、サンダーの電撃を受け止めていた。

 

それを見たスイクンたちは次々に攻撃を仕掛けるが、羽虫の群体が複数の群れへと分裂し、それぞれの攻撃を防ぐ。

 

「これは…それよりもテオは!!」

 

私は目の前で起きていることに疑問と驚愕を感じながらもテオの安否を確認しようとする。

 

そんな私の目の前にあったのはテオの体に群がる羽虫たちだった。だが、先ほどの羽虫たちとは違い緑の光を纏っている。

 

「テオに何して!…えっ!?」

 

テオに群がる羽虫を追い払おうとした私だが、テオの傷が癒やされていっていることに気づく。

 

「これって…もしかして!」

 

私の中で羽虫たちに正体に当たりがついた時、スイクンたちに赤の光を纏った羽虫の群体が襲いかかった。

 

『勇者とその番よ。よくぞ全ての試練を越えてみせた』

 

混沌極める第三の試練の場にアマノシンの声が轟く。

 

「やっぱり!アマノシン様!」

 

どこからともなく聞こえた言葉にスイクンたちの攻撃が苛烈さを増す。

 

『うむ、あとは妾に任せて我が眷属とともに帰還するがよい』

 

アマノシン様の声に合わせて緑の光を纏った羽虫たちが私とテオを運び、青の光を纏った羽虫たちが護衛についたような感じで空へと舞い上がる。

 

それを阻止しようとスイクンたちが必死に攻撃を仕掛けていいたが、羽虫の防御を突破できずに赤の光を纏った羽虫たちの攻撃を受けているのが空へ登りながら見えた。

 

そして私は助かったことと、テオも穏やかな寝息を立て始めたことに安堵し、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トウカ!おいトウカ!」

 

「ん?テォ?…テオ!」

 

「わぷっ!」

 

テオに起こされた私は最初は寝ぼけながらも、テオの姿を確認した途端に覚醒し即座にテオに抱きつく。

 

「よかったよぉ〜テォ〜」

 

「よしよし、心配かけてごめんな」

 

涙を流しながら抱きつく私にテオは頭を撫でてくれて、落ち着くまでそのままでいてくれた。

 

 

 

『コホン!勇者とその番よ、そろそろいいか?』

 

「「…はい」」

 

アマノシン様の神殿の最奥にて、私とテオは恥ずかしさを隠せないほど顔を赤くしつつ俯く。

 

神殿最奥の三本の柱には、それぞれ灯りが灯っていた。

 

『改めて、よくぞ全ての試練を越えてみせた。勇者テオ、そしてその番トウカよ、褒めて遣わす。約束通り其方らに妾の願いの秘薬を与えよう』

 

アマノシンの言葉のあとに神殿が揺れ始める。

 

「何この揺れ!キャッ!」

 

「トウカ!」

 

突然の揺れに私はバランスを崩して倒れそうになるが、テオの腕に抱かれることで耐える。

 

揺れにより三本の柱が崩れて、さらにその下の円形の模様の床が陥没する。

 

そこから現れたのは二本の長い腕、次に大きな二枚翅、そして細い胴体とは裏腹に蜂の巣のような形の大きな下半身、最後に鋏角をカチカチとさせて現れた頭。

 

アマノシン ビークイン顕現

 

『よくぞ妾を封じ込めていた封印を解いてくれた。其方らには本当に礼を言うぞ』

 

「ふう…いん?」

 

私は解き放たれたアマノシンの言葉の内容に驚き、思わずつぶやく。

 

『あの試練の柱はな、かつて妾を封じ込めた者たちの楔なのだ』

 

私の疑問に答えるようにアマノシンが話し始める。

 

『あの三本の柱はな、人柱と同様のものでな、封印の楔となった者は正気を失い、ただ封印を保ち続けさせるために生きながらえる傀儡と化す。そしてその命は倒され封印が破られるまで決して終わることはないのだ』

 

「そんな…ではなぜアマノシン様は彼らに封じられておられたのですか!?」

 

『…それは其方らには関係のないことだ。妾は其方なの願いを叶えることができるし、其方らに手を出す気も微塵も持ち合わせておらん。何より楔となった者たちを打ち破った其方らは妾より強いしな。ふふふ』

 

「…わかりました。アマノシン様には大変なご恩があります。私の無礼をお許しください」

 

『良い、許そう。さあこの話は終わりだ。さっそく其方らに願いの秘薬を与えよう』

 

アマノシンがそう言うと、アマノシンの下半身の蜂の巣の部分から2匹のミツハニーが現れる。

 

黄金に輝くシャボン玉のようなものを携えて。

 

「なんて綺麗なの!」

 

「これが!!」

 

『そう、願いの秘薬だ。飲んだ者の願いを叶える』

 

「じゃあさっそくオイラが!いっただきまーす!アム」

 

テオが願いの秘薬を口に入れる。

 

「…」

 

「テオ?どうしたの?」

 

私は願いの秘薬を飲んで黙り込むテオを見て心配になる。

 

「…い」

 

「ん?」

 

「あまーーい!!そしてうまーーい!!」

 

「…」ぽかん

 

テオの大声の甘いうまいの感想にポカンと思考が停止したのも束の間、テオの体に変化が起きた。

 

「うぉ、うぉぉぉ!!」

 

「…」唖然

 

「はっ…生えたぁぁぁ!!右腕が!治ったぁぁぁ!!」

 

テオの右腕が生えて、完全に修復された。

 

「テオ!!」

 

「えっわぷっ、トウカ!?」

 

「よがっだよぉぉぉ!!」

 

私またテオに抱きついて号泣。

 

「トウカ!次は君の番だよ!ほら離れて!」

 

私はテオによって剥がされた。シュン

 

 

 

さて、願いの秘薬を手に入れて私の覚悟も決まっていた。

 

今がテオへの告白の時、本当のことを話す時。

 

「…テオ、私はあなたに話さなきゃいけないことがあるの」

 

「ん?」

 

「あのね、私実は…」

 

「あーあー、そういうのいいから早く願いの秘薬飲んでくれよ〜」

 

「テオ、私今大事な告白をしようと思っているの。いいから聞いて」

 

「嫌だね」

 

「なっ!?」

 

「へっへーん。そんな告白はオイラはいらないね!だってトウカはトウカだろ?オイラが愛したたった1匹の番。どんな秘密があろうがあっただろうがオイラには関係ないね!だから聞かない!」ニィ

 

テオは、私の告白を跳ね除けて、満面の笑みで言い切った。

 

「…バカ」

 

「へへ、ほら秘薬を」

 

「…うん」

 

私は願いの秘薬を飲んだ。

 

「くぅ!?」

 

体が熱い。

 

体のあちこちに激痛が走る。

 

「くっ!はぁぁぁ!!」

 

「トウカ!」

 

テオが心配して駆け寄ってくる。

 

「はぁはぁはぁ」

 

「大丈夫か!」

 

「…たよ」

 

「えっ?」

 

「私…あなたの仔を産めるようになったよ」

 

ここで私は…本当の意味でのテオの雌になったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数年後〜

 

「パパ〜遊んで〜」

 

「よーし、今日は近くの川へパパと釣りに行くか!」

 

「うん!」

 

「夕飯までには帰ってくるのよ〜」

 

「はーい!いってきまーす!」

 

「いってくる」

 

「はい、お弁当。気をつけてね、あなた」チュ

 

「ああ、ありがとう。お前も身重なんだから気をつけてな。何かあればすぐに助けを呼ぶんだぞ」チュ

 

「わかってるわ、ご近所にパッチさんやローラさんもいるから大丈夫よ」

 

「パパ〜まだー!?」

 

「っとじゃあ、いってくる」

 

「ふふふ。はい、気をつけてね〜」

 

愛する夫と息子を見送った私はロッキングチェアに座り、大きくなったお腹を撫でながら体を揺らす。

 

私トウカと夫のテオの願いの秘薬を求める旅から数年が経った。

 

あれからすぐ私たちは、アマノシン様の勧めで眷属となった。

眷属といっても何かをしているわけじゃないけどね…。

 

さらにアマノシン様の計らいにより、古惑の森の集落で暮らしはじめて、願いの秘薬で雌となった私はテオとの間に一人息子を儲けて、現在2人目を妊娠中だ。

 

そんな私たちはアマノシン様の庇護下のもと、幸せに暮らしている。

 

アマノシン様は眷属に対しては良き神であり、また私たち夫婦をとても気に入ってくれているからか、よく顔を出しては息子と遊んでいただいたりしている。

 

ただ、アマノシン様は外ではなかなかのことを行っているようだが私は気にしていない。

 

私には今のこの幸せが大事だ。

 

私は今のこの幸せが壊れないよう夫を支え、息子を、お腹の中にいる新しい命を、育てていこうと思う。

 

「私、幸せだな…」

 

happy end『箱庭の幸せ』




bad end ルート 『勇者の卵』
トウカからアマノシンへの追及により分岐



以下bad end ルートのネタバレ記載

【アマノシン ビークインの正体】

・数多の親 → アマノシン

・願いの秘薬を生成する
願いの秘薬とは、不老不死や傷病の治癒や性転換などの願いを叶えるが、アマノシンに絶対遵守の傀儡となる薬。
また、身体強化等のおまけ効果もあり、本編でアブソル戦後の気絶しているタイミングで少量の願いの秘薬をトウカとテオに飲ませており、テオがドククラゲに苦戦しなかったり、トウカのヒスイ化とだんだん口調が雌になっていったのはこれが原因。

・世界各地の数多の♀ポケモンたちを攫って苗床にし群勢(ミツハニー)を増やす存在。
♂ポケモンは願いの秘薬により性転換させられ苗床にされる。

・苗床としたポケモンによりミツハニーのタイプも変化する。
(例炎ポケモン→ミツハニー炎虫)

・ミツハニー以外に各赤青緑色の光を纏った羽虫の群勢を使役しており、赤=攻撃、青=防御、緑=回復の役割を持っている。
本編のアブソル戦後の傷の治癒は緑の羽虫で行われた。
羽虫だけでも伝説のポケモンを相手にできるほどの強さ。

・古惑の森→蟲惑の森

・はるか昔にもミツハニーの群勢を増やしていたが、3体の英雄(アブソル、ドククラゲ、メテノ)により撃ち倒され、封印された。

・気に入った者に関しては寛容であり、願いの秘薬を与えても傀儡にせず、眷属として箱庭(古惑の森)での幸せな生活を約束している。

・happy end時の場合、テオトウカ夫妻のことは封印を解いてくれた恩もあり特に気に入っており、後の子孫たちについても守護する気満々のセコム&おばあちゃん枠

・bad end時の場合、テオトウカ夫妻のことは封印を解いてくれた恩もあり気に入っていたため、テオについては秘薬での廃人化に留められ、トウカについては性転換後に苗床として運用されている。
その際トウカのスペースの真正面に四肢を固定されているテオが配置されているアマノシンの粋な計らいがある。
その後、アマノシンの気まぐれでテオをトウカへ襲わせて孕ませた…それが原因でアマノシンに破滅をもたらすとも知らずに…。
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