天使と悪魔は鬼を狩る   作:もく 

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10話 天使と悪魔の出会い 3

柱との任務を終え、照たちは単独行動が許されるようになり、

照と月詠は早速浅草に訪れていた。

 

「……ここだ」

 

照が足を止める。

 

月詠も、同時に気づいていた。

音も匂いも、気配もない。

それなのに、不自然な空白がある。

 

「隠してるな。血鬼術だ」

 

「……間違いない」

 

耀哉から聞いていたのは、「浅草にいる」という情報だけ。

それでも二人は、剣士として積み上げてきた感覚で、その一点に辿り着いていた。

 

照が一歩踏み出した瞬間。

 

「――見つかるはずがないのに」

 

鋭い声が、空気を裂いた。

 

影から現れたのは、年若い男。

目には敵意と警戒がはっきりと宿っている。

 

「誰だ。どうやってここを――」

 

言い終わる前に、月詠が一歩前に出た。

 

「敵じゃない。鬼殺隊だ。」

 

その言葉に、男――愈史郎の眉が大きく歪む。

 

「鬼殺隊?

……冗談じゃない。あんたたちに、ここを嗅ぎ当てられる理由はない」

 

「血鬼術は完璧でも、気配までは消せない」

 

月詠の声は低く、淡々としていた。

 

「守る対象が“人”である限り、どうしても歪みが出る」

 

愈史郎が言葉を失いかけた、そのとき。

 

「……その通りですね」

 

奥から、静かな声がした。

 

照と月詠の視線が向く。

 

現れたのは、一人の女性だった。

穏やかで、丁寧で――そして、忘れようもない気配。

 

「お久しぶりです」

 

珠世は、微かに微笑んだ。

 

「照さん。月詠さん」

 

二人は、息を呑んだ。

 

「……珠世、さん」

 

「生きて……いえ、目覚めたのですね」

 

その言葉に、確かな時間の隔たりが滲む。

 

愈史郎は、二人と珠世を見比べ、困惑を隠せずにいた。

 

「珠世様……この人たちを、知ってるんですか」

 

「ええ。とても、大切な方たちです。どうぞお入りください」

 

その一言で、愈史郎の態度は一変した。

警戒は残しつつも、敵意は引いた。

 

屋敷の中は、静かだった。

 

再会の言葉を一通り交わした後、照が本題を切り出す。

 

「鬼の血を、採取したいんです」

 

珠世は、迷いなく頷いた。

 

「準備しています」

 

机の上に並べられたのは、刃の薄い器具。

ナイフに似ているが、明らかに用途が違う。

 

「採取用です。

無惨の呪いを、ほぼ完全に切り離せるようになりました」

 

月詠が目を細める。

 

「……ほぼ?」

 

「ええ。完全ではありません。

ですが、強制的に死へ導かれることも、位置を特定されることもなくなりました」

 

続けて、小さな小瓶を差し出す。

 

「こちらは保管用。

……あなた方の“鬼化”にも、使えるはずです」

 

照は、それを受け取り、深く頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

 

珠世は、静かに首を振る。

 

「それと……大切なことを」

 

表情が、わずかに引き締まる。

 

「もし、あなた方の大切な人が鬼にされたとき」

 

その言葉に、空気が張りつめる。

 

「拘束できる状態であれば、私を頼ってください。

鬼を人間に戻す薬が完成するまで、保護することが可能です」

 

月詠の拳が、僅かに強く握られた。

 

「……分かりました」

 

珠世は、柔らかく微笑む。

 

「何かあったらまた訪ねて来てください」

 

愈史郎は、二人をじっと見つめてから、ぶっきらぼうに言った。

 

「……珠世様に何かあったら、許さないからな」

 

照は少しだけ笑う。

 

「それは、こっちの台詞かもね。珠世さんをよろしくね、愈史郎」

 

浅草の夜は、変わらず騒がしい。

けれどその奥で――

 

戦国から来た剣士たちは、

少しずつ未来を見据えていく

今後の投稿について

  • 全部時系列順に書く
  • 一気に原作開始まで飛ばす
  • ある程度は時系列順、必要なときに回想
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