個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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テロ

 緑谷が共にいた少女の名前はメリッサ・シールド。I・アイランドに住む学生。この世代ではとても珍しい無個性らしい。

 

 発目はあの後メリッサと話が合ったようだ。

 最初は機能優先の発目と顧客の意見を聞くべきのメリッサで方向性の違いがあったがどちらもサポートアイテムを愛しているのは変わらない。お互い意見交換し合ったりと、とても有意義な時間を過ごしていた。

 

「カムイ君の、雷爪・宙斬………雷の速度で伸縮・変形………どういう素材で出来てるの?」

「さあ? 私も是非知りたいのですが!」

「守秘義務がある」

 

 兄貴分から「素材を絶対人に知られるなよ。マジホントタノム」と言われている。

 血が電池代わりになると知った途端にじゃあくださいと吸血装置用意する発目に知られると普通に骨要求される可能性もあるし。

 

「それは残念です!」

「まあ、これだけ特殊な金属なら。でも雷速って…どうやって動かしてるの?」

「電気系個性持ってるやつの生体電気に反応すんだよ」

「そうじゃなくて、人の知覚速度を超えているでしょ?」

「俺には問題ない」

 

 雷爪の使用条件は雷系統の個性を持つこと。ただし使いこなす条件は雷速を処理する思考速度。一昔前のヒーローではあるがオクロックに電気系個性を移植すれば使えるだろうか?

 

「で? 緑谷になにか渡すんじゃなかったのか?」

 

 今夜行われるレセプションパーティー。参加するのだが始まるまで時間があるので、何かを渡したいとメリッサが緑谷をアカデミーの研究所まで誘ったのだ。

 

 発目はそれを知りたいとついて行きカムイは御目付。ワイヤレスリードは未だ付いている。

 

「名付けるなら、フルガントレット!」

 

 と、メリッサが緑谷に渡したのはリストバンド型のサポートアイテム。スイッチを押すと手首だけだったバンドが変形し腕に巻き付く。

 

 デクの手の傷、ヴィランアタックに参加した際に個性をセーブしている様子を見て強すぎる個性に肉体がついていけないのでは、と思い渡すことにしたらしい。

 

 オールマイトの全力にも3回までなら耐えられるとか。

 

「ほうほう、興味深い! 他のサンプルはありませんか!?」

「量産するにはお金がね………」

 

 それを緑谷にあげるらしい。困っている人達を助けるヒーローになってほしいから。

 ヒーローを支える。それがメリッサの夢。

 

「それも立派なヒーローですよ! ()()()()()()()()()()()()なのですから!」

 

 パワーローダーが問題児と言いつつも評価する理由が分かった気がした。と、その時緑谷の携帯が鳴る。

 

「も、もしもし?」

『何をしている緑谷君! 集合時間はとっくに過ぎているぞ! カムイ君達もいるんだろう!? 急ぎたまえ!』

 

 

 

 

 I・アイランドの象徴ともいえるセントラルタワー。その1階に慌てて入ってきた緑谷。カムイはもういた。

 女子達と爆豪、切島がいない。

 

「団体行動をなんだと思っているんだ!」

 

 と、飯田が叫んだタイミングで女子達もやってきた。肩を出すドレスを着た麗日に峰田と上鳴のテンションが上がる。この2人はバイトで訪れていたらしい。

 

 本来ならレセプションパーティーへの参加資格はないがメリッサが特別に用意したのだとか。

 

「申し訳ありません。耳郎さんが………」

 

 続いて八百万と耳郎。八百万は上流階級だけあり品がある。耳郎もなかなかに可愛らしいと言いたい上鳴は何故か「馬子にも衣装」という諺を使い、峰田が「女の殺し屋みてぇ」と呟きイヤホンジャックを食らっていた。

 

「デク君達まだここにいたの? パーティー始まってるわよ!」

「それはいけません! 急がなくては! いきますよカムイさん!」

 

 一つとはいえ年上のメリッサの大人の女に仲間入りしかけている魅力と意外とある発目に峰田と上鳴は涙を流し始めた。が、発目は今日一日でカムイを一緒に行動する相手と認識したのか腕を引くと峰田の涙が赤く染まった。

 

「待ちたまえ! まだ爆豪君と切島君が来ていない!」

 

 と、飯田が呼び止める。そのまま電話するが通知音しか聞こえてこない。寝ぼけた爆豪がうるせえ!と爆破してたりして。

 

 と、その時だった。

 

『I・アイランド管理システムからお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたと情報を入手。I・アイランドは現時刻を以て、厳重警戒モードに移行します。島内に住む方は………』

 

 島内に響き渡る避難指示。重要施設の封鎖が始まり、突然セントラルタワーのシャッターも下りていく。

 

「むむ! 空気の読めないテロリストですね! カムイさん、やっちゃってください!」

「遠隔操作でもねえ限りこの広い島から探せるかよ」

 

 逆に遠隔操作の爆弾なら探せるらしい。電波出てるしね。それでも電磁波探知を起動させるカムイ。人の知覚を超えた感覚が数キロ圏内を把握する。

 

「…………レセプション会場に武装集団。それと……こっちは対策されてんな。警備室か? 見張りが居るな。近くの部屋に転がされた数人」

 

 流石I・アイランドのセントラルタワー。いくつかのフロアは電波を遮断し覗かせない。まあ電波が通らないなら通るように伝導率なんかを操作して…………ん?

 

「オールマイト達が縛られてんな。この程度の相手に………」

 

 何遊んでんだ? と訝しむカムイにメリッサはハッとする。

 

「警備システムが乗っ取られてるなら、島中の警備ロボットで島民を攻撃できるわ。多分、島全体が人質」

「面倒だな…………」

 

 数百体の警備ロボットの操作を奪うことは可能だが、I・アイランドの警備システムを電波だけで完全に乗っ取るには時間がかかる。

 

「時間がかかるだけなんだ…………」

「まあ乗っ取れねえ可能性もあるか。どのみち異変に気づかれて操作可能な残りの警備ロボを動かされる」

「そう………」

 

 これがそこらの警備会社なら一瞬で乗っ取れるが、冥府の名を冠する監獄タルタロスに匹敵する警備システム。カムイとて一瞬で掌握は不可能。

 

「メリッサ。警備システムの管理室に案内しろ。直接なら即効で掌握出来る」

「戦う気かよ!?」

「待ち給えカムイ君! 個性の使用は………!」

「ここは日本じゃねえ」

 

 I・アイランドは個性の使用は自由だ。武装したヴィラン相手ならぎりぎり正当防衛扱いになるだろう。というかさせる。

 

「しかし………」

「戦闘は最低限。システム掌握して人質解放……後はヒーローに任せる。それなら文句ねえか?」

 

 なおも食い下がる飯田にカムイが最低限の妥協点を告げる。

 

「僕も手伝うよ!」

 

 と、デクが叫ぶ。その言葉に麗日、轟、耳郎達と続いていく。峰田も泣きながら続いた。

 

「メリッサさんはここで………」

「私もついていくわ! この中に警備システムの変更ができる人がいる?」

「俺なら出来るぞ。発目もここに残れ」

 

 カムイの言葉にメリッサが固まる。

 

「えっと、タワー内の案内とか………」

「確かにいくつかの区画は見れねえが、その気になれば見れ……………いや、そうだな」

 

 現状はあくまで発せられている電波を感知しているが、不用意にこちらから放てば警備システムに探知される可能性がある。

 

「足手まといになるかもしれないけど、私にも皆を手伝わせて!」

「…………わかりました。いきましょう、メリッサさん」

 

 と、デク。カムイもテロリスト共の通信機の電波に干渉し数を探る。置いていくよりは連れて行ったほうが安全か。

 

「まずは会場に向かうぞ。緑谷、オールマイトにジェスチャーかなんかでメッセージ送れ」

 

 オールマイトが動かなければ他のヒーローも動くまい。島全体が人質の今、彼には時が来るまで大人しくしてもらいたい。

 

「分かった。まずは会場に行こう……メリッサさん」

「ええ、ついてきて。案内するわ!」

 

 

 

 

 

 テロリストリーダーの名前はウォルフラム。金のためならどんな悪事でも行うヴィラン集団の長だ。

 

 裏世界の支配者の『友』の一人でもある。そんな彼は今回の計画を何処から知ったのか、支配者より『力』を与えられた。

 

 そしてもう一つ…………。

 

「……………トリガー、か。()()()()()()()()()()()()()()が」

 

 曰く『この世で最も個性因子と親和性の高い一族』の血を加工した特製トリガー。使えば最後、人の形を失う。その代わり得る力は強大。

 雑多な英雄(ヒーロー)を軽く蹴散らす存在に至るそれを、あの方はあらゆる国の神話、伝承において英雄と対峙する怪物の名を冠し『竜の血』と名付けた。




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