個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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合宿開始

 林間合宿当日。

 

「え? A組って補習いるの? つまり赤点取った人がいたってこと!? ええ!? おかしくない!? おかしくない!? A組はB組よりずっと優秀なはずなのにぃ!? あれれれれれ!?」

「そう自分達を卑下すんな。お前はともかく、他のB組に失礼だろうが」

「………なんだって?」

()()()()()()()A()()()B()()()()()()()()()()()()()A組もB組(どっち)も差なんてねえよ。あるとしたら俺かそれ以外だ」

「っ! 僕が皆を馬鹿にするわけないだろ!」

「今正にA組の方が上ってお前が言ったんだろうが」

 

 その言葉に絡んできた物間が固まる。

 

「そもそもこっちでお前等より上と思ってんの爆豪ぐらいだろ。こいつの場合A、B関係ねえし」

「たりめぇだ俺が一番になんだよクソッタレが何時までも頂点気取れると思うな舐めプ野郎!」

 

 一息でいうんじゃん此奴。

 だがまあ、実際カムイの言う通り。物間の言い方はB組がA組に見下されて初めて意味のある煽り。そんな事実はないのだから、彼はただ自分で自分のクラスメートを侮辱しているだけだ。

 

「まあ確かに体育祭表彰4人にB組はいなかったが、それで格付けが決まるもんでもねえよ。結局最後の最後に勝てた奴の勝ちなんだ。喚いてねぇで牙を研げよ、遊んでやっから」

「ふん! そんなに強気でいられてうらやましいねえ! 聞けばI・アイランドでも巻き込まれたみたいだねえ!? やだなぁ、林間合宿にまで恐ろしいことが起きたらぁ!! あべぇ!」

 

 拳藤が物間を引っ叩いた。

 

「シャレにならんからやめろ」

 

 特にI・アイランドなんて被害がとんでもない事になったわけだし。

 

「というかヒーロー目指してんならヴィランが向こうから捕まりに来てること喜べよ」

「ごめん、こいつ心がちょっとあれなんだ」

「心が」

 

 と、拳藤に続きB組も頭を下げた。

 

「物間怖……」

「体育祭じゃなんやかんやあったけど、よろしくね、A組」

「ん」

 

 B組女子達を見た峰田は「選り取り見取りかよ」とよだれを垂らす。切島もこいつそろそろ駄目じゃないかと思い忠告するも聞こえていないようだ。

 

「A組のバスはこっちだ! 席順に並び給え!」

 

 と飯田が張り切っていたが皆自由に並びたがり相澤の早くしろの一言で思い思いの席に座った。

 

 

 

 クイズだのしりとりだのをしながらAM9時30分。バスは山道の一角で止まる。景色が見下ろせる山道でよくあるなんか知らないけど車が止められるスペース。そう言えば名前なんだろう、とカムイはそんな事を考えながら体を伸ばし背骨をゴキゴキ鳴らす。

 

「つーかなにここ、パーキングじゃなくね?」

「ねえ、アレ? B組は?」

 

 B組のバスはない。代わりに車が1台。

 トイレにいきたい峰田がプルプル震えている。せめてトイレ休憩だけでも挟んでやればよかったのに。

 

「何の目的もなくでは意味が薄いからな」

「よーう、イレイザー」

 

 相澤が何やら意味深に呟くと話しかけてくる声。ご無沙汰してます、と頭を下げた。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」

 

 ビシッとポーズをとるのはアイドル衣装のようなフリフリとしたコスチュームに身を包み肉球グローブ、メカニカルな猫耳のようなヘッドパーツを付けた女性2名。後小学生ぐらいの子供もいた。

 

「今回お世話になるプロヒーロー「プッシーキャッツ」の皆さんだ」

 

 連名事務所を構える4名1チームのヒーローチーム。縮めて「ワイプシ」。山岳救助を得意とするベテランチームだと緑谷の解説が始まった。因みにキャリアは十二年。ヒーロー科卒業から始めたとしても今年で30。年子でも29。

 

「うわ、キッツ」

「そこがいいんだろうが馬鹿野郎!」

「きれんなよ峰田」

 

 カムイの呟きに峰田が叫び上鳴が落ち着かせる。ワイプシの二人は頬を引き攣らせた。

 

「まあ、このキャラでデビューしちゃったからね」

 

 遠い目にするプッシーキャッツの一人、黒髪ショートのマンダレイ。人気商売のプロヒーローは民衆に覚えてもらうためにキャラを作ることも屡々。プッシーキャッツ達もチームを組んだ時に決めたキャラを突然変えると人気が落ちたりする。

 

 準公務員なれど自衛隊と違い給料は成果によるヒーローは訓練などで金を得られるわけもなく、事務所やサポートアイテムの維持にはやはり人気も必要。この辺り、兄貴分もカムイも、なんなら公安委員会会長もどうにかしたいとは思いつつ民衆が邪魔で手を出せない議題だったりする。

 

 ステインほど過激じゃないが、ヒーローなら無報酬で人を助けろと考える声は意外とあるのだ。

 

 マンダレイはこほんと咳払い。これ以上この話はよそう。

 

「ここら一帯は私達の所有地なんだけどね………あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」

「遠っ!?」

 

 というかまだ距離があるのになんでバスを降りたのか。トイレ休憩でもないのに。

 

「バスに戻ろう、な? 早く………」

 

 嫌な予感がする。

 

「今はAM9:30、早ければ……12時前後かしらん」

「ダメだ、おい」

「戻ろう!」

「バスに戻れ、速く!」

「それまでに辿り着けなかったキティはお昼抜きね!」

 

 慌ててバスに向かい走り出す一同。何もかもがもう遅い。プーシーキャッツの一人金髪のピクシーボブが地面に手を突く。

 

「悪いね諸君。合宿はもう、始まっている」

 

 土流がA組生徒達を押し流した。

 都市部で力を発揮するセメントスやウォルフラムと同系統の個性。ただし操るのは土。

 

 山岳部で大いに活躍する個性だ。大規模でありながらマンダレイ達やバス、車は無事。

 

「私有地につき個性の使用は自由だよ! 今から3時間! 自分達の足で施設においでませ! この“魔獣の森”を抜けて!!」

 

 

 

 

「お、来たか」

「あれぇ!?」

 

 宿泊施設である「プッシーキャッツのマタタビ荘」に車で辿り着いたピクシーボブ達を出迎えたのはタイワンリス(指定外来生物)を焼いてるカムイだった。

 

 ほかにも鳥獣管理保護法の加護を受けない狩猟鳥獣が何匹か新鮮さを保つために痺れた状態で放置されてる。

 

「…………イレイザー?」

「まあ此奴は、プロヒーロー含めた上でオールマイトぐらいしか比較対象いないので」

「必要? 訓練………」




Q.なんで野生動物狩ってんの?

A.施設の鍵が空いてないしそもそも食料勝手にあさるのは駄目だろ
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