個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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圧倒

「大したパワーだな」

 

 第1戦。ヒーローチーム緑谷&麗日対ヴィランチーム爆豪&飯田。勝者はヒーローチーム。

 緑谷に固執した爆豪が突撃し、かなり一方的な戦闘を行っていたが終始試合のルールを忘れなかった緑谷がビルにアッパーで核の部屋に通じる縦穴を開け、瓦礫を飛ばし、麗日がその瓦礫を飯田に向かい弾く。

 

 その隙に核兵器に触れ試合終了。実際の核爆弾なら誘爆の危険もある、試合だから出来た勝利だ。

 実質この試合のルールを忘れなかったのは飯田ぐらいだろう。

 

 場所を移し第2戦。ヒーローチーム轟&障子対ヴィランチーム稲妻&葉隠。

 

「稲妻君、私本気出すよ! 靴も手袋も脱ぐね!」

「脱ぐと強くなるのか?」

「ほら、見えないでしょ?」

「…………ああ、そういう個性か」

 

 カムイの目………というより感覚にはどーだ、と両手を広げクルリと回る葉隠が感じ取れている。両手を開いているので隠すべきものが全く隠されていない。

 

 髪の毛がかなりボサボサなのは、どうせ見えないからと髪型に興味がないからだろう。

 

「よーし行ってくるね!」

 

 葉隠はペタペタと核の部屋から出ていった。カムイが核を守るらしい。

 

「……………ん?」

 

 生体電気で探知していると、一人がビルの外に出た。確か片方は個性把握テストで氷を使っていたな。

 

 

 

 

「ふふ〜ん。よ〜し、捕まえるぞ〜」

 

 足音を消すように慎重に歩き轟達の元へ向かう葉隠。と、ヒヤリと空気が冷え込んだ。瞬間、グイッと引っ張られた。

 

「うわわ!?」

 

 見えないはずの自分の腰を掴み持ち上げたのはカムイ。次の瞬間壁も天井も床も全てが凍りつく。

 あのまま歩いていたら足が床に張り付いていたことだろう。

 

「さむ〜!」

 

 そして氷に包まれたビル内は当然気温が低下する。

 素っ裸の葉隠は当然寒くて仕方がない。

 

「たく。着てろ」

 

 とカムイは革ジャンを渡す。葉隠はイソイソと着込んだ。

 

「うう。まだ寒い……でも助かったよ。あ! でも核兵器!」

「問題ねえ。俺は迅いからな」

 

 葉隠から少し離れ、バチッと紫電が走る。次の瞬間カムイの姿が葉隠の前から消えた。

 

 そのほぼ同時。轟が蹴り飛ばされた。

 

「………ん?」

 

 感触が硬い。氷に覆われた左側を蹴ってしまったようだ。殺すわけには行かないから加減したが、しすぎた。まだ意識もある。

 

「避けてたか!」

 

 右手を振るうと冷気が溢れ巨大な氷柱が迫る。カムイが片手を向けるとドロリと溶けた。

 

「っ!? 熱………!」

「電子レンジの要領だな」

 

 マイクロ波とは異なる波長の電磁波で空気分子を振動させ温度を上げているのだ。アメリカの裁判のジョークの猫のように、波長を変えれば人間を殺すことも可能だ。

 

「クソ!」

 

 冷気が増す。それに対応するだけの電磁波による振動を生む。千日手………ではない。カムイはまだまだ余裕がある。轟に接近すると頭を掴み壁に叩きつけようとして、轟が咄嗟に巨大な氷を生み出し勢いが付く前に止まる。

 

「凍りつけ!!」

 

 この距離なら電磁波は使えない。殺してしまうからだ。つかまれた腕から凍り付いていき、しかしカムイは指を開いて氷を砕くと轟の腹を殴る。

 

「っか、ぁ………!」

 

 肺の中の空気を吐き出し悲鳴を上げることも出来ず蹲る轟は、しかし執念だけで気絶せずカムイを睨みつけてくる。

 

「こんな、とこで………俺は………! 彼奴を…………」

 

 此奴俺を見てないな、とカムイは思った。再び冷気を放ってくるが、先程よりもぬるく規模も小さい。カムイが一瞥すると同時に轟を雷が襲う。

 

「がっ!?」

「思ったより焦げてねえな? 咄嗟に防御…………いや、お前、熱への耐性が高いな?」

「っ!!」

 

 再び右手を挙げる轟。さっきからずっと左手を使わない。手で操作しているなら操作性が上がりそうなものだが。

 

 まあ良いか。片足を後ろに振り上げる。轟は氷を生み出し盾にするも、その氷ごと吹き飛ばしビルの壁が破壊される。

 

「うお!?」

 

 ビルの外を移動し核兵器保管部屋に向かっていた障子が短い悲鳴を上げ宙に浮かぶ。慌てて腕を伸ばすが、カムイが背を向けると同時に落雷が落ちて2人を気絶させた。

 

『ヴィランチームWIN!!』

 

 オールマイトの声を聞きながら電磁波で分子を振動させ氷を溶かしていく。葉隠と合流すると葉隠が革ジャンを返してくれた。

 

「私何も出来なかった。でも凄いね稲妻君!」

「名字はやめろ。嫌いなんだ」

「凄いねカムイ君! 私ももっと頑張らないとだね」

 

 

 

「今回のMVPは………まあ間違いなく稲妻少年だね! 轟少年も仲間と核兵器を傷つけない見事な作戦だったけど、稲妻少年が上手だった」

「すごいよね。ピカーでドカーンだったよ!」

「すごく強力だよな。俺とは出力からしてちげぇのに応用力まであって」

「…………まあ、色々()()()()()からな」

 

 羨ましそうな上鳴の言葉にポツリと呟くカムイ。聞き取れたであろう障子は気絶中。

 

「どうやったらそんなに強くなれんだよ」

「生まれた時から俺は強ぇよ」

 

 

 

 

 その後も模擬戦は進み、大きな怪我人も出ることなく終わった。

 

 保健室に向かった緑谷や轟達も戻ってきて、特に緑谷に人が集まる。爆豪との戦いに熱いものを感じたらしい。

 

 緑谷はそのまま一人先に帰った爆豪を追って教室から飛び出した。なんか仲悪く見えたけど幼なじみらしい。

 

 

 

 

 さて翌日。学校に向かうとマスコミ達が屯していた。

 

「すいません! 学園内でのオールマイトについて詳しく聞かせてもらえますか!」

 

 無視した。

 

「オールマイトの授業を受けられることに対して思うところはありますか?」

 

 無視した。

 

「オールマイトが教師になる事について、ご両親は反対などされませんでしたか?」

「……………」

「うわ、カメラが!?」

「マイクも! 急に電池残量が減って!?」

 

 何やら騒がしいが無視した。

 

 

 

 

 さて、ホームルームにて片腕を自ら破壊した緑谷と私怨優先していた爆豪が叱られる。しかしそれはついで。本題は………

 

「学級委員長を決めてもらう」

「「「学校ぽいのきたー!!」」」

 

 普通の高校なら面倒事を押し付けられると嫌がられる役職だがヒーロー科では他を牽引するトップヒーローの素地を鍛えられるので皆やりたがる。

 

 投票になったのでカムイは飯田に投票した。メガネだし。

 

「一票……! 誰が!」

「自分に入れなかったのか」

「なんか負けた気分」

 

 しかし緑谷が3票で学級委員長になった。と思ったら昼食時に起きたマスコミ侵入による警報、警報によるパニックを収めた飯田が委員長になった。

 

 自分で自分に入れ、他の誰かに入れられたとは言え自分で自分にも入れた女子学級委員の八百万は複雑な気分であった。

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