雄英敷地内。校舎から徒歩5分、築三日。
『ハイツアライアンス』。それが雄英高校の寮の名前。一つのクラスにつき一棟。
「でけー!」
「恵まれし子らのー!!」
砂藤や芦戸が感心する横で、八百万は不安そうだ。
「こんなに小さいなんて…………どうしましょうカムイさん。荷物、入るでしょうか?」
「窓はデケェし、いざとなったら梅雨ちゃんや麗日に頼め。男の俺を入れてもいいなら手伝ってやるが」
ベッド程度磁気で飛んでヒューヒョイで済む。
「とりあえず1年A組、全員集まれて何よりだ」
相澤の言うように、幸いA組からは退学、転校はなかった。葉隠なんかは親の説得に苦労したらしい。まあ毒ガス食らってたし。逆にカムイ同様攫われた爆豪は特に不満げな様子はない。親に何か言われなかったのだろうか?
逆に緑谷が葉隠の言葉に反応してた。親に反対されたな。今回
「無事集まれたのは先生もよ。会見見た時、いなくなってしまうのかもと悲しかったわ」
相澤とブラドはあの場の学校側の責任者だから。
……………連合があの場に現れた以上、彼等も内通者候補。監視できるところに置きたいのだろう。そしてそれは、生徒も同じ。
(受信は集中しないとだかんな…………)
一人一人が放つ生体電気、世に溢れる電波、そこから精査し情報を得ることのできるカムイなら或いは内通者を見つけることができるかもしれないが、神野の件は全国ニュースだっただけで本来は簡単に知りたい情報を得られるわけではない。
「さて……! これから寮について軽く説明をするが、その前に一つ。当面は稲妻以外は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動く」
そう言えば林間合宿はそれが目当ての学校行事だった。まあカムイはもう仮免すっ飛ばして実質的な免許を得ているが。一応正式な免許の為に卒業前試験はあるらしいが………。
「カムイちゃん以外は?」
「カムイは特例として特殊免許が与えられた。神野の一件を経てプロヒーローと並べても問題ないと判断された結果だな」
ザワッと生徒達がカムイを見る。
「基本的なヒーローの権限は持っている。此奴はもう仮免を受ける必要がない………どうする?」
「………ま、特訓には付き合ってやる。俺に追いつこうとする奴を、わざわざ見ない理由もねえ」
「そうか………んじゃ次。轟、切島、緑谷、八百万、飯田」
と、相澤は5人の生徒を呼ぶ。
「この5人は
「え………」
皆知らなかったのか。てっきり言ってるものだと思ったが、全員動揺している。同時に何処か納得も。
「その様子だと行く素振りは、皆も把握していたわけだ」
棚上げすると前置きした後、相澤は気絶していた葉隠、耳郎、攫われた爆豪、カムイを除いて除籍するつもりだったと告げた。
行われなかったのはオールマイトが引退したから。
彼の不在から生まれるであろう混乱、行動の読めない
「とは言えお前達が俺達の信頼を裏切ったのも事実。正規の手続きを踏み正規の活躍をして信頼を取り戻してくれるとありがたい」
伝えることはそれだけだ、と背を向ける相澤。
「さ! 中に入るぞ。元気にいこう」
無理じゃないかな。みんな落ち込んでしまっている。特に責任を感じていそうな男子は切島。爆豪を何を思ったのか上鳴を茂みに連れていきウェイ状態にしてみんなを笑わせた後切島に金を渡す。
切島は爆豪達の救出の際役に立つかもと暗視鏡を買っていたのだ。
「わりぃ、カムイからも貰ってて………この内二万五千円はカムイに渡していいか?」
「チッ! 俺より先に借り返してんじゃねえよクソが!」
理不尽。
とは言え沈んだ空気は切り替わる。切島は改めてこの金で焼き肉をおごらせてくれと提案。それがカムイ達の帰還祝いになりそうだ。
一棟一クラス。右が男子、左が女子。ただし一階は共同スペースで左右を繋ぐ唯一の連絡路。
食堂、風呂、洗濯は一階で行う。
「広キレー! そふぁあああ!」
「中庭もあんじゃん」
「豪邸やないかい」
麗日がふらりと倒れかけた。
「聞き間違いかな? 風呂、洗濯が共同スペース? 夢か?」
「男女別だ。お前本当にいい加減にしろ」
「はい」
峰田はいつも通り。
部屋は2階から、1階層4部屋。一人一部屋でエアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼット付き。ベランダまである。
部屋は学校側が決めているらしい。荷物はすでに運ばれていると知り八百万がほっと安堵。どんだけでかい家具を用意したのか。
因みに部屋割りは
2階
峰田 ✕
緑谷 ✕
青山 ✕
常闇 ✕
3階
口田 耳郎
上鳴 ✕
飯田 ✕
✕ 葉隠
4階
障子 麗日
切島 ✕
爆豪 ✕
✕ 芦戸
5階
稲妻 八百万
砂藤 ✕
轟 ✕
瀬呂 蛙吹
当然だが空き部屋が多い。後でその部屋をどう使うか皆で話し合うのもいいかもしれない。一度部屋を確認してから再集合するよう伝えておいた。
「そういうことでしたら、一室書斎にできないでしょうか? お母様達が用意してくれたのですが、どうにも部屋が狭くベッドで部屋の殆どが埋まってしまいそうでして………あ、勿論皆さんが読んで下さっても構いませんよ!」
八百万の個性は『創造』。あらゆるものを作り出せるが理解が必要で、その為勤勉な彼女の為に両親が様々な国の百科事典、図鑑を用意したらしい。
「女子棟ならさすがに時間は決めとくか。特に峰田」
「チェック表とかつける? 特に峰田」
「誰が来たかは分かったほうがええね。特に峰田君」
「てか、男子にあまり来てほしくないんだけど。特に峰田」
「峰田は勉強とかしねえから進入禁止でいいんじゃね?」
「おめぇもだろ上鳴ぃ!」
「出来れば女子棟が好ましいのですが………」
「発目に頼んで女子棟に電子キーでも作ってもらうか。誰がどの時間に来たか分かるように」
カムイは発目にメールを送る。女子のメアドがある事に峰田が凄い目を向けてくる。
「それでもだいぶ送り返すことになりそうですが………」
「中身は?」
「皆さんとお茶会の時の為にとお母様が用意してくださった茶器などが」
「そっちはキッチンにスペース作るか。そっちの段ボールは?」
「イブニングドレスなど」
「送り返せ」
「ですがパーティの授業などでつかうかもしれませんし」
「ません。送り返せ」
八百万はションボリ。
「なあなあ、一室さ、トレーニングルームにしようぜ!」
と、切島。
「軽い運動用ならいいぞ。それ以外は自室と学校の施設使え」
「シアタールームとかどうよ! 映写機買ってさー」
と、瀬呂。
「普通科からの転入も考えられるからそれ考えて必要なもんだけに部屋使う」
「必要だって! ええと、ほら、映像記録とか! そういう時以外に映画見たりとかさ………!」
「…………一理あるか?」
雄英には雄英体育祭や、申請すれば過去のクラス対抗の映像なども見れる。チームアップ、連携の知識が手に入る。
一応相澤に伝えておく。相澤は許可を出し、ついでに一言。
『稲妻、お前寮長やれ』
とのことだ。
「委員長でいいじゃねえか」
「いや、ここはカムイ君に任せたい! 俺より余程早く寮生活を快適にするための提案をしてくれた!」
「面倒」
「では、私は副寮長も兼任いたしますわ」
「……………なら良いか」
「カムイ、洋室は落ち着かねえ」
と、轟。
「どうにもならねえよ、俺に言うな」
その後、発目に呼ばれて雄英の森に向かうと写真をなくした轟がやってきたり発目の発明が散歩していたリカバリーガールを襲ったりそれをカムイが止めたりちょっとした騒ぎがあったがその甲斐あってリカバリーガールが相談に乗り、粗大ごみ置き場から畳や木枠の照明、障子などをゲットした。どうにかなるものだ。
その夜
「お部屋披露大会がしたいです! 寮長、許可を!」
「いいぞ」