個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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休日の過ごし方

 速すぎる男。ウィングヒーローホークス。個性『剛翼』。異形型であり発動型。風切羽を飛ばして操る。

 羽の一つ一つが人を軽く抱えるパワー。さらに新しく生え変わる。背中に戻すことも可能。

 

 羽を剣のように硬化して振るう、羽を通して振動を感じ取る等中距離、近距離戦闘は勿論索敵すらこなす万能型だ。その飛行速度はヒーロー随一。

 

「くっ!」

 

 そんなホークス………No.3ヒーローを模した戦い方というだけあり雷でないので当然何時もより遅く、何時もより火力は無い。だが、戦うのが()()()

 

「これは間違いなく、ホークスの戦い方!!」

「羽一つ一つの操作。複数の剣を持つ相手と同時に戦っているようなものだ。でも司令塔は一人、物量で押せば乱れる? いやでも普段から砂鉄の触手を無数に操れるしホークスだって複数の(ヴィラン)を同時に相手に。余裕を奪うのは不可能? だけど磁気で浮かしているだけなら踏ん張りは利かない!!」

 

 ワン・フォー・オール1()0()()!! シュートスタイル!!

 

「っああ!!」

 

 緑谷の蹴りが鉄の風切羽を吹き飛ばす。羽がぶつかり合いカムイの周囲に漂う羽の渦に僅かな隙間。

 

「死ねえ!」

 

 徹甲弾(APショット)

 

 爆豪が噴出孔を絞り貫通力を上げた爆破を放つ。爆破というより火炎放射だな。指向性のある衝撃は味方を巻き込まない。

 

「悪くねえ」

 

 しかしカムイは宙を自在に飛ぶ。一つの方向にしか向かわない爆発など容易く避ける。

 

「が、よくもない」

「ちぃ!」

 

 迫る蹴りを見て避ける。反射速度はA組随一。追撃に羽根を飛ばそうとして、峰田のモギモギ、瀬呂のテープ、八百万の電磁石が羽を数枚押さえる。

 

「これなら防げないでしょ!?」

 

 耳郎の音波攻撃。薄い鉄板であるフリカムイでは防げないように見えるだろう。

 

「惜しいな」

 

 音力発電。振動を電力に変換する機構がフリカムイには込められている。これはホークスの音波探知をサポートアイテムで再現するための物。電波に変換された音波を感知するのだが、重要なのは変換効率と変換されたという結果。

 

 音という振動エネルギーは電力に変換され消える。バチバチと電気を纏うフリカムイ。サポートアイテム故のオリジナルにはない特性。

 

「電気、なら!! こっちに来い!!」

 

 上鳴が片手を向け電気を纏う。距離はある。それでも………イメージしろ、あの電気を自分が帯する!!

 

「来い!!」

 

 フリカムイの電力が上鳴に奪われる。間にあった羽も磁気が乱れ数枚の動きが狂う。

 

「シッ!!」

 

 その結果にカムイがニィ、と笑う。肉食獣が牙を剥くかの如く。おう、と上鳴が声を漏らした瞬間、バチリと紫電が弾けた。

 

 

 

 

「ああ、そうだ緑谷。お前は残れ」

「え? うん」

「………………」

 

 その日の訓練も終わり寮を目指す緑谷を呼び止める。爆豪がそれを横目で見た後舌打ちして去っていった。

 

「あの、どうしたの?」

「Aコースを選択したお前だが、やっぱ一度個性の因子活性を試しておきたくなってな」

 

 緑谷の個性、オールマイトから継いだ個性の中に眠る複数の個性因子。未だ眠っているそれに刺激を与える。

 

「オール・フォー・ワン。あれが何かを企んでいる以上、ワン・フォー・オールの強化は必須。後俺の遊び相手務まるようになるかもしれねえし」

「それが本音なんじゃ」

「んじゃいくぞ」

 

 と、カムイは緑谷の額に触れた。瞬間………

 

 

 

「まさか、外からこっちに干渉してくるなんてね。まだ、時じゃない。この子のためにもね」

 

 

 

「!?」

 

 声が聞こえた。個性因子に干渉していたカムイの電気信号が散った。

 

「……………カムイ君?」

「……………………いや。無理だったみたいだな」

 

 個性自身に拒まれた。

 カムイも個性因子に母の記憶が宿っていたが、あれは明らかな自我があった。

 

 緑谷を慮ってはいるようだが…………。

 

 

 

「体育祭でもあったんだ」

 

 緑谷曰く、歴代継承者の影。オールマイトも影を見たことはあるらしい。しかし話しかけてきたことはない。

 

「言い方からして、ワン・フォー・オールが馴染めばお前の前に現れるっぽい。そん時改めて力借りろ。先達のアドバイスは役に立つだろ」

「う、うん」

 

 

 

 そして休日。

 緑谷は飯田とシュートスタイルの訓練。轟は母のお見舞い、残る生徒達も各々の休日を過ごす中、カムイはケータイに記された駅の出口に向かう。

 

 友人との待ち合わせだ。

 改札を出て、目立つ映画の広告が張られた柱に一人の女性が背を預ける。時計を見て改札に視線を向け、カムイに気付くと笑顔で手を振ってきた。

 

「カムイ君! 久し振り!」

「おう」

「遅れたけど、退院おめでとう! 今日は大丈夫?」

「別にあの日退院でよかったぐらいだ。学校でもお前の弟しごける程度には元気だぜ」

「そっか。焦凍も頑張ってるんだね………じゃ、いこっかカムイ君! 今日の映画、面白いって評判なんだ〜」

 

 念の為言っておくと別に恋人同士のデートではない。ただちょっと年の差のある友人と遊ぶだけだ。

 

「今日の映画ね〜、好きなドラマシリーズの監督の最新作なの」

「へえ」

 

 楽しい思い出をいっぱい作ってもらいたい冬美と休日特に予定のなかったカムイ。そんな2人のありふれた休日。

 

「ねえあれ! 雄英体育祭でみた!」

「オールマイトと共闘してた神野の!」

「すげぇ、本物!?」

「す、すいません!」

「取り敢えず場所移すか」

 

 捕まったらせっかくの休日なのに休めなくなってしまう。カムイと冬美は人に囲まれる前にその場から離れた。

 


 

その頃耳郎達はギター、峰田達は怪談百物語と小説版の話をやってる

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