個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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仮免試験終了

 2次試験は救助活動。

 先程迄勝ち抜き戦に使われていたステージが爆弾でふっ飛ばされた。

 

 水の氾濫、ビルの倒壊、土砂崩れ、瓦礫だらけの工業地帯………そこに自ら瓦礫の隙間に挟まったりしているのは『HELP・US・COMPANY』……通称『HUC(フック)』の社員達。

 

 こういった救助訓練に要救助者役として雇われる会社だ。いろんな仕事があるのである。

 

 当然カムイに追いつくために鍛えた必殺技の出番はない。

 

「たぶんカムイ君、これには興味ないんだろうな」

「だね………」

 

 カムイが冷たいとかそういう理由ではなく、あくまで要救助者の()()という試験に興味がないだけだ。

 

 と、集まっていた雄英に士傑高校の生徒達が近づいてきた。リーダーはどうやら毛だらけの男らしい。

 

「爆豪君よ」

「あ?」

「肉倉………細目の男に出くわさなかったか?」

 

 その言葉にステインもどきを思い出す爆豪。

 

「のした」

「やはり! 色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろう………あれは自分の価値基準を押し付ける節があってね。何かと有名な君を見て暴走してしまった」

 

 まあ瞬殺であったが。カムイという頂点のいる雄英1年の実力はかなり突出している。

 

「雄英とは良い関係を築き上げていきたい。済まなかったね」

「君もごめんね〜」

 

 と、士傑の女子生徒が緑谷に向かって手を振ってくる。

 

「おい緑谷ぁ!? てめぇ、このエッチな感じのお姉さんといつ知り合いやがった!?」

「ナンパか!? ナンパしてたのかこの緑!」

「わ、いたい! やめて何!?」

「彼に何かしたのかケミィ?」

「通過した後の彼に攻撃しちゃった」

 

 爪で引っかかれた。もう終わりと油断していたのもあるが、直前までまるで気付けなかった隠行は流石雄英に並ぶ難関校だと思ったものだ。

 

「何をやっているんだ何を」

 

 その後すぐにターゲットから警告が伝えられ離れていったが。

 

「ごめんなさい」

「まったくお前は…………」

 

 毛だらけ男は呆れたように肩を落とす。

 

「すまないね緑谷君」

「い、いえ………」

 

 いい関係と聞き轟は坊主頭を見る。控室に来てすぐに、轟は一度彼に睨まれた。その目がどうにも何かを思い出しかけて嫌な感じだった。

 

「おい坊主のやつ。俺、なんかしたか?」

「……………ほほぅ?」

 

 ギロリと振り返る夜嵐イナサ。

 

「いやぁ、申し訳ないっすけど()()()()()()()()()()()………俺はあんた()が嫌いだ。あの時より幾分かマシな雰囲気になりましたが、あんたの目はエンデヴァーと同じッス」

 

 

 

 

「で、その結果が足の引っ張り合いと」

 

 第二次試験終了。

 要救助者に対して態度の悪かった爆豪と、(ヴィラン)役として参入したギャングオルカとの戦いで夜嵐と足を引っ張り合い不合格。

 

「わりぃ………」

「申し訳ありませんでしたっす!!」

 

 ゴン、と頭を地面に打ち付けるイナサ。

 

「嫌うあまり嫌なもんに、自分がなってた!」

「いや、エンデヴァーは他のヒーローの邪魔しないだろ」

「え? いやでも、すごい冷たい目っすよ!」

「それは彼奴がヒーローらしからぬ行動する事に繋がんねえだろ」

 

 カムイの兄貴分が大ファンだからそういうのは嫌になるほど聞かされた、本当に嫌になるほど。

 

『世間は結構勘違いしてるっすけど、エンデヴァーは手柄のために先走ることはあっても被害を増やすような事はしないんすよ。現場にヒーローが現着してきちんと対応出来てたら余計な手出しせずに人命救助優先する。ちゃんとヒーローしてんよね』

 

「初めて会った時の嫌な目は同意だが、お前もステインもヒーローとして認めないってんならまずヒーローとしての実績を見てから判断しろよ。志一つで救えるなら、誰も訓練なんてしてねえよ」

 

 因みにカムイも体育祭であったエンデヴァーの目はヒーローらしくねえな、とは思っていた。らしくないだけでヒーローであることに変わりはないが。

 

「ぬぬぬぬ!!」

「まあその上で認めねえのはお前の自由だ。それこそ俺の知ったことじゃねえしな」

 

 何やら考え込み始める夜嵐にそれだけ伝えるとカムイはバスに向かった。

 

「轟と爆豪は特別講習だったかあ? 内容的に戦闘より心構えがメインだろうが、Aコースの受講はどうするよ」

「余裕でどっちもやってやるわクソが!」

「そっちで置いてかれる気もねえよ」

「ならいい」

 

 

 

 

 さて、仮免試験も終わり明日からいよいよ二学期。授業も通常のものへと戻る。

 

「そうですか、ヤオモモさんは合格! 流石ですね!!」

「ありがとうございます発目さん。つきましては、試験が近い故に後回しになっていた他のサポートアイテムを………」

「はい! A組の個性を再現したいというお話でしたね。出来ていますよ!」

 

 一つ一つの再現なら苦でもない。それを自在に作り出せるのだから八百万の手数はこれから更に増える。

 

 それはつまり選択肢が増えるということ。そこから最適を選べるようにならなくてはいけない。

 

 簡単な道のりではない。だが、と付き添いできてくれたカムイをチラリと見る。

 

 きっと彼に追いつくにはまだまだ遠い。それでも期待してくれている事実がとても嬉しい。

 

「あ、これまずいですね!」

「!!」

 

 聞こえてきた発目の声に咄嗟に盾を出す八百万。発目がいじっていた装置が爆発した。慣れたものである。

 

「けほ、こほ! いやぁ、失敗失敗!」

「発目さん! 大丈夫です…………か?」

 

 発目に会いに行けばよく爆発に巻き込まれる。それでも友人だ。毎回無事でも毎回心配する。

 カムイまで巻き込んだのは始めてだがカムイが爆発程度で傷つくとは思えない。

 

「はい! 大丈夫です! カムイさんもありがとうございます!」

 

 爆発の衝撃でふっ飛ばされてカムイの胸に飛び込んだ発目。八百万にも勝るとも劣らない豊満な胸が形を変えている。因みについ最近緑谷も同じ感触を味わってたりする。その際はお茶子が動揺し、今回は………

 

「ご、ご無事で何よりですわ。その、そろそろ離れては………」

「おっとそうですね! ここ最近お風呂に入っていませんでした! 匂いましたか!?」

 

 ()()発目が匂いを気にした!? と驚愕する他サポート科生徒達。

 

「煤と油と垢」

「むむ。やはり匂いましたか。簡易的な洗浄機を作るべきですね!」

「……………ちゃんと中身隠れるようにな」

 

 発目なら『フレームあると場所取って邪魔ですね』とか言い出して小型のそれを素っ裸で使いかねないイメージがある。

 

「私にだって恥じらいはありますよ! 安心してください!」

 

 相も変わらぬ笑みで語る発目。説得力が微塵もない。

 

「んじゃ戻るぞ八百万」

「それではまた、ヤオモモさん! 今度また材料の提供をお願いしますね!」

「はい。発目さんも、また」

 

 

 

 

 その夜、カムイは手作りPCの最終調整を行っていた。

 プログラミングは全て個性のみで行う。個性訓練の一環。と、夜風を運ぶ窓の外から微かな物音。

 

「…………緑谷と爆豪?」

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