個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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無罪

 手錠をかけられるなど何時以来か、などと呑気に思うカムイ。個性を発動しようとする意思を見せれば麻酔薬が打ち込まれる対ヴィランの手錠だ。

 

「カツ丼でねえの?」

「君は、人を一人殺した自覚はあるのかい?」

「ねえよ。今回消し飛ばしたのはただの人形。死体損壊罪にはなるか」

「死体?」

「複数個性持ってたみたいだしな。それに合わせて改造されてた……生体電気パターンが動く時以外常に一定だったし、脳波に至っては規則的すぎた。まあそのあたりは警察が調べろよ」

 

 ヒーローの志望の学生は個性の使用許可は下りていない。多少なら正当防衛で済むが今回カムイは雄英の施設の一部を消し飛ばし、ヴィランの一名を消滅させた。

 

「個性の過剰使用に関する罰はきちんと受けるさ。ヒーロー志望だ。法には従う」

 

 

 

 そして翌日、法を取り仕切る司法が出した結論は無罪。

 ヴィランの数が百人以上に加え、そもそもの目的がオールマイトを殺すという。それに備えた脳無もオールマイトが自身に匹敵する身体能力を持つと断定。

 

 それだけの怪物相手に加減は難しいとの事だ。後、脳無が実際に数人のDNAを混ぜた改造人間であることが確定し人権を伴わなかったのも大きい。

 

「カツ丼ご馳走さん」

 

 ピピッと音が鳴り手錠が外れる

 

「……スイッチ押してないんだが」

「機械は電気で動くからな」

「個性使用を探知するんだけど」

「それ判断するプログラム、電気で動くからな」

 

 つまりその気になれば何時でも脱出可能だった。塚内という刑事は頭痛に頭を押さえた。

 出力はもちろんだが精密性も異常すぎる。ましてや個性使用探知(実際は脳波とか)の機械を欺くとなると、仮にこの少年がヴィランに堕ちた場合捕らえておく手立てはない。

 

(…………頼むぞ、俊典)

 

 彼が真っ当にヒーローに育つ事を親友に託す塚内であった。

 

 

 

 

『まあ結構無理矢理感はあるけど。とはいえ、くっそ強い君をヴィランにしたくないからって思ってくれるかな』

「先輩か。先生かババアからおしかりを受けるかと思ってたぜ」

 

 スマホから聞こえる声にカムイはそう返す。『上』が色々働きをかけたらしい。そうでなければ最悪退学程度にはなっていただろう。

 

 まあその場合根津辺りが口八丁でカムイを放逐することの危険性を説いて残すだろうが。カムイはそれだけ強い。

 

「まあオールマイトの後継は見つけたから退学でも問題なかったがな」

『若人から青春を奪うなんて許されないよ。仮令本人でもね…………で、本当なの? オールマイトに、その…………』

「個性因子の放つ電磁波が同じだった」

 

 生物は電気信号で体を動かす。カムイはそれを探知する事も出来るのだ。そして個性因子は文字通り千差万別の個性的なパターンを持つ。オールマイトの戦闘時の活性化した個性因子のパターンと緑谷出久が本気で動いた時の個性的なパターンはほぼ同じ。

 

「たぶん、隠し子」

『まあ事実が知れ渡ったらそりゃ危険だよねえ。それまだ上には報告してないんだよね?』

「ああ」

『もう少し隠してよっか。この超人社会………個性溢れる世の中で似てる人が居ないとは限らないからね。顔と同じで』

 

 など言ってるが要するにもう少し青春を楽しめという事だろう。この先輩はそういうところがあるのだ。

 

「体育祭で目立つと転校しにくいぞ?」

 

 最悪ヒーローになるならどの高校だって問題はない。が、雄英体育祭で有名になれば目立たぬ転校など最早できぬだろう。

 

『こっちは元々雄英でヒーロー免許取らせるつもりだったんだから、余計な気は使わなくていいよ。それとも、なんか焦ってる?』

「あの脳味噌ヴィランの製作者が知りてえ」

 

 脳無の一体が呟いたライゴー…………おそらくは雷業。

 ただの死体。生前印象深い言葉を言っているだけだろうが、それはつまり素体が雷業に深く関わっていたと言うこと。

 

()()連中がまだ生きてる可能性はあったんだ。三十以上は見つけて殺す」

()()()()()()()()()()()()()()のに物騒な事言うもんじゃないよ』

「知るか。最悪カメラもネットも俺ならどうとでもなる。奴等が生き残ってる事自体虫唾が走んだよこっちは」

『死んでるさ。()()……()()()()()()()………動く死体なんだろ? 死体を利用してるだけさ』

「もっと徹底的に焼いとくべきだったか」

 

 死体が利用されてることですら不愉快だ。彼奴等の死体が腐らず動いていると思うと………湧き出す怒りに抑えが利かずバチバチと紫電が弾けカムイの個性に対応している特別機種のスマホにすらノイズが走る。

 

『どのみち情報がないんだ。お前はそっちでオールマイトの後継を調査、査定を続けな』

「………………わかったよ」

 

 まあ本当にオールマイトが後継を育ててようが、本気を出していいのなら自分が勝つのだろうが。

 

「ん………」

『どうした?』

「モンハンの新作」

『好きだね、ゲーム』

「…………………」

 

 モンスターハンティング、縮めてモンハン。モンスター倒して素材剥ぎ取って武器を作るゲームだ。

 

 モンスターの素材…………モンスターの一部。

 カムイは先日生え変わった腕を見る。

 

「…………サポートアイテム作りてえ。会社紹介しろ。口が硬いとこ」

『嫌な予感しかしねえ………裏の人間にしとくよ。案外そっちの方が口が硬い』

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