個性『雷獣』   作:超高校級の切望

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雄英体育祭開幕

 襲撃事件の次の日は臨時休校。よって拘置されていたカムイは今のところ無欠席。クラス皆と集まる。

 

「腕ちぎられてたよ! 大丈夫なの!?」

「おう。あの程度なら生える」

 

 心配してくる葉隠にヒラヒラと手を振る。

 

「稲妻君の個性は電気系統かと思っていたけど出力が強大すぎる。個性『雷獣』、雷を使う獣に変身する変形型個性。先日見せた変化からその言葉に間違いはない。雷獣は日本に伝わる妖怪。傷が治るとかの伝説はない。むしろ保護されてから空に戻った逸話とかを考えるに傷の治りは普通の生物………いや、あくまで名前がモデルってだけで………炎熱系個性の使い手は過ぎると火傷するって聞いたことがある。雷獣は自分の感電を癒やす前提? 変身しないと本気を出せないのは出力に体が耐えられないから?」

「怖いわ、緑谷ちゃん」

 

 ぶつぶつと呟き始めた緑谷。個性はパワータイプだが緑谷自身はどちらかというと考えるタイプらしい。

 

 そんな会話をしているとホームルームが始まりミイラみたいに包帯だらけの相澤がやってきた。

 彼はとても合理的に一言。雄英体育祭が迫っている事を告げた。

 

「「「学校ぽいものきたあああ!!」」」

 

 つい先日ヴィランの襲撃があったばかりだが実行するらしい。あえて開催することで雄英の危機管理体制は盤石とアピール。例年の5倍の人員が導入される。

 

 何より雄英の体育祭は全国のヒーローに己をアピールしてスカウトされる最大のチャンスでもある。

 

 高校の行事でありながら日本最大のイベントの一つ。個性により形骸化し縮小したオリンピックに代わる祭典。

 

 基本的にヒーロー志望は卒業後まず他のヒーロー事務所でサイドキックとして経験を積むのだ。そこから独立。辞め時を失って万年サイドキックになる場合もあるが。雄英体育祭は在籍中たった三度のアピール期間。

 

 それをふいに出来ないと学校は判断したのだろう。学生思いなことで。

 

 

 

 放課後、なんかめちゃくちゃ人が集まっていた。

 ヴィランの襲撃に生き残ったA組を見に来た………敵情視察だろう。意味がないからどけモブと吐き捨てる爆豪に敵意が集まる。

 

 それに対して噛み付くのは普通科の一人とB組の一人。カムイはどうでもよさそうに欠伸しながらどけとすら言わずに進む。

 

「君も何か言ったらどうだい? それとも言うだけの勇気がないのかなあ!?」

 

 なんか変なのが煽ってきた。

 

「ヴィランに襲われた同級生を心配より先に面白半分で覗きに来る奴等はヒーローに向いてねえよ」

 

 体育祭で強さを知ったとかならまだいいが、強さどころか怪我人がいた事すら知らなそうだ。緑谷は足が折れたし相澤だって重傷。十三号はまだ療養。

 プロヒーローがそんな目に遭う事件に巻き込まれた学生に心配の一つも出てこない者が人を助けるヒーローになる?

 

 カムイの言葉に何も言えなくなる面々。それでも睨んでくる相手をカムイは気にせず歩く。

 雄英体育祭まで後2週間。その2週間で、皆が様々な鍛錬をすることだろう。

 

 カムイは新作モンスターハンティングをプレイしていた。

 今更学生相手に鍛えるとか、それは大人気ないだろ。

 

 

 

 

 

 そして雄英体育祭当日。屋台で売ってたスパーキングわたあめ(パチパチキャンディ入り綿あめ)やたこ焼きなどを控室で食うカムイ。

 

 もうすぐ入場となった時、轟が緑谷に話しかけた。

 

「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」

「へっ!? う、うん」

 

 急にどうした。

 

「お前、オールマイトに目をかけられてるよな?」

「!!」

「別にそこを詮索するつもりはねえが…………お前にも勝つぞ」

 

 まさかの宣戦布告に周囲がざわつく。

 お前()()と轟は言った。次に視線を向けたのは模擬戦で己を打ち負かしたカムイ。

 

「稲妻。お前にも負けねえ」

「名字は嫌いだつってんだろ。格付けは終わってんのに全力を出す気もねえお前と遊んでもなあ。俺の興味はA組だと緑谷と爆豪だけだ」

 

 ギロリと爆豪が睨んでくる。

 

「急にけんか腰でどうした!? 直前にやめろって!」

「仲良しごっこじゃねえんだ。別に何でもいいだろ」

「……………轟君が何を思って僕に勝つなんて言ったのか、わからないけど」

 

 緑谷は少し俯いた。

 

「そりゃ、君の方が上だよ。実力なんて大半の人には敵わないと思う。客観的に見ても………」

「緑谷もそーゆーネガティブなことは言うなって……」

「でも!

 

 しかしすぐに顔を上げ轟を見つめ返した。

 

「皆。他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって、後れを取るわけには行かないんだ……僕も本気で、獲りに行く」

「……………おお」

 

 

 

『雄英体育祭!! ヒーローの卵達が、我こそはと鎬を削る年に一度の大バトル! どうせテメー等あれだろ此奴等だろ!? ヴィランの襲撃を受けたにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星! ヒーロー科! 1年!! A組だろおおお!?』

 

 入場すると多くの視線が刺さる。オリンピックの代わりと言われるだけありとんでもない人だ。いや、オリンピック全盛期なんて知ってる奴今やいないだろうが。

 

『B組に続いて普通科、C、D、E組!! サポート科F、G、H組も来たぞー! そして経営科………』

 

 扱いに完全に差がある。ヒーロー育成学校なのだからヒーロー科が優遇されるのはともかく、同じヒーロー科のB組にそれはどうなのか、と思いつつ十八禁ヒーローミッドナイトに呼ばれ壇上に上がるカムイ。

 

「カムイちゃんが選手代表なのね」

「まあ、入試首席だしな」

()()()()()()()()()

 

 蛙吹達の会話に普通科の一部がふん、と鼻を鳴らす。

 

「あー……俺がここに立ってるのは、俺が一番強いからだ。そう判断されてんだよ、解れ」

 

 突然の言葉に生徒も観客も固まりミッドナイトは面白いと笑みを深めた。

 

「解ったならよく覚えとけ。(ここ)が頂点。全力で挑みに来い!」

 

 バチッと紫電が走り空へと昇る光の柱。バァンと爆音が響き空に亀裂のように広がる雷光。

 次の瞬間、観客席から割れんばかりの歓声が響いた。

 

(ちったあやる気になってきたな…………)

 

 実力で劣るからこそそこにいるのに、気に入らない、それだけの感情しか向けず見下すだけの普通科の目に敵意の他に闘志が宿る。

 

 話題を奪われても仕方ないと何処か他人事だったB組の一部もこの前煽ってきた連中同様やる気に満ちる。

 

(どうせこっちは全力なんて出せねえんだ。お前等が全力出してくれねえと、遊びがいがない)

 

 後先輩に目立ってもいいと言われた。あの人のああいう言い方はむしろ目立つぐらい楽しめの意だ。

 それにここで目立っておけば後々様々なヒーローに関われる。

 

 

 

 

 

 雄英体育祭、開幕!

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