第一競技、障害物競走。
スタジアムの外周凡そ4キロ。
『スタート!』
「跪け」
その言葉と同時に多くの生徒がその場で跪く。
人間の体は電気信号で動いている。
カムイは言葉で己に行動を強く意識させ電波として放ち人間の動きを強制することができる。技の名を『
「「「!?」」」
「思ったより残ったな」
ただし人間の生体電気に合わせて出力されるため異形系には効果が薄く、また個性的な固有信号パターンを持つ個性因子が強力だと効果が薄い。
「皆!?」
「どけやモブ共!」
「お、おいどうした!?」
「………」
A組の生徒で言えば異形系以外で轟、緑谷、爆豪が無事。上鳴はそもそも電気系統なので最初から効かない。
B組のなんか煽ってきた奴と黒髪の女、顔が漫画の男も個性的な個性を持つのだろう。だが身体が自由なことと思考が迅速は別。突然跪いた周囲に混乱している。動いたのは爆豪と轟ぐらいか。
『いきなりなんだあ!? 何が起こった、ほぼ全員が転んだかぁ!?』
「お先」
他の生徒を巻き込まないように前に出たカムイ。次の瞬間、雷鳴。
スタジアムの外周を雷光が駆け抜ける。
「お疲れ」
そしてゴールにて立つカムイ。
『ん? んん!?』
『カメラ』
プレゼント・マイクが混乱する相澤は冷静に定点カメラの映像を確認する。
第一の障害物、仮想ヴィランの群が襲い来る『ロボ・インフェルノ』にて巨大ロボ0ポイントヴィランの群をぶち抜く雷。
第二の障害、巨大な深い穴に突き立つ無数の岩柱。張り巡らせたロープを渡る綱渡り『ザ・フォール』。その上空を一直線に突き進む雷光。
最後に地雷原『怒りのアフガン』を走る稲光。
『これだな。ちゃんと全部越えてる』
『マジで? んん! なんとなんと! 開始数秒もかからねえ最速タイム! 文字通り雷速で駆け抜けたのはこの男! 稲妻カムイィィィィ!!』
「
ゴールに置いてあった水を飲むカムイ。まだ2位がゴールするまで時間はありそうなので観客席の経営科から菓子と炭酸ジュースを買う。
2位は轟か爆豪あたりだろう、と観戦しながら予測する。
「おお、緑谷」
まさかの緑谷が2位だった。制御できない個性を使わず、2位になった。
轟と爆豪が2位争いをしている場に、ロボ・インフェルノで手に入れたロボの装甲と怒りのアフガンの地雷を使い二人の上を飛び越えた。
個性使用はそのまま自爆。故に使えないハンデを物ともせず、考え、諦めることなく掴み取った勝利。
「大したもんだ」
1位 A組 稲妻カムイ
2位 A組 緑谷出久
3位 A組 轟焦凍
4位 A組 爆豪勝己
5位 B組 塩崎茨
6位 B組 骨抜柔造
7位 A組 飯田天哉
8位 A組 常闇踏陰
9位 A組 瀬呂範太
10位 A組 切島鋭児郎
11位 B組 鉄哲徹鐵
12位 B組 泡瀬洋雪
13位 A組 蛙吹梅雨
14位 A組 障子目蔵
15位 A組 砂藤力道
16位 A組 麗日お茶子
17位 A組 八百万百
18位 A組 峰田実
19位 A組 芦戸三奈
20位 A組 口田甲司
21位 A組 耳郎響香
22位 B組 回原旋
23位 B組 円場硬成
24位 A組 上鳴電気
25位 B組 凡戸固次郎
26位 B組 柳レイ子
27位 C組 心操人使
28位 B組 拳藤一佳
29位 B組 宍田獣朗太
30位 B組 黒色支配
31位 B組 小大唯
32位 B組 鱗飛竜
33位 B組 庄田二連撃
34位 B組 小森希乃子
35位 B組 鎌切尖
36位 B組 物間寧人
37位 B組 角取ポニー
38位 A組 葉隠透
39位 B組 取蔭切奈
40位 B組 吹出漫我
41位 H組 発目明
42位 A組 青山優雅
「予選通過は上位42名! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されてるわ!」
次からいよいよ本戦。取材陣も白熱することだろう。
第2種目は騎馬戦。
2人から4人のチームを作り行う競技。障害物競走の順位がそのまま騎馬のポイントになる奪い合い。
42が5ポイントで41が10ポイント。
そして一位が一千万ポイント。そこはもう別に一万でもいいのでは? 数字が多いとすごくバカっぽい。
とはいえそうなると、当然カムイは一番狙われるわけだ。
個性使用ありの残虐ファイト。ただしあくまで騎馬戦なので悪質な妨害行為はなし。また生体電気いじって時間まで粘るのもあり。
「私と組みましょう! 1位の人!」
「ん?」
話しかけてきたのはサポート科発目明。なんか小汚い女子生徒。
因みにサポート科は日常的に戦闘訓練を積めるヒーロー科と公平を期すために自分で開発したアイテム、コスチュームに限り持ち込みOK。
「きっと貴方にあうアイテムもあると思います!」
めっちゃ作ってる。
入学してからそこまで経っていないのに。最早趣味が仕事のタイプだろう。そういえば先輩に依頼したサポートアイテムどうなってんだろ?
「最悪壊していいか?」
「私のかわいいベイビーを!? 使い捨て系なら構いません!」
良いらしい。ベイビーとか呼んでるけど使い捨て系もあるのか。
「因みにこの装備は!」
そしてそれぞれのチームが決まった。
発目チーム。騎手発目(10)、騎馬カムイ(10000000)。合計10000010ポイント。
緑谷チーム。騎手緑谷(205)、騎馬麗日(135)&常闇(175)。合計515ポイント。
爆豪チーム。騎手爆豪(195)、騎馬切島(165)&芦戸(120)&瀬呂(170)。合計650ポイント。
轟チーム。騎手轟(200)、騎馬飯田(180)&八百万(130)&上鳴(90)。合計600ポイント。
鉄哲チーム。騎手鉄哲(160)、骨抜(185)&泡瀬(155)。合計500ポイント。
峰田チーム。騎手峰田(125)、騎馬蛙吹(150)&障子(145)。合計420ポイント。
葉隠チーム。騎手葉隠(25)、騎馬耳郎(110)&砂藤(140)&口田(115)。合計390ポイント。
心操チーム。騎手心操(80)、騎馬庄田(50)&青山(5)&塩崎(190)。合計325ポイント。
物間チーム。騎手物間(35)、騎馬円場(100)&黒色(65)&回原(105)。合計305ポイント。
拳藤チーム。騎手拳藤(75)、騎馬柳(85)&取蔭(20)&小森(45)。合計225ポイント。
小大チーム。騎手小大(60)、騎馬凡戸(90)&吹出(15)。合計155ポイント。
鱗チーム。騎手鱗(55)、騎馬宍田(70)。合計125ポイント。
鎌切チーム。騎手鎌切(40)、騎馬角取(30)。合計70ポイント。
計13チーム。
第2種目が始まろうとしていた。その少し前。
『圧倒的だったわね。誇らしく思うわ』
「で? お忙しいクソババアがわざわざ俺を褒めるって?」
『……加減を弁えなさい。貴方がヒーローになるために結果を残すのは良いけど、他の生徒の邪魔をしすぎてはいけない』
「………………」
『誰よりも
「……………」
『聞いているの?』
「聞いてるよ。ああ、わかったわかった。学生の範囲で勝てば良いんだろ?」
『ご──』
それだけ言うと返事を聞かずに通話を切る。
生きにくい。
全力を出せば壊れる脆く儚い世界。花畑の花を踏まずに愛でろと言われて、ただただ退屈。だからせめて、花の在り方を尊ぶ。
「だから、せいぜい楽しませろよヒーロー志望」
感想待ってます